物語の類型としての異界転移譚は『古事記』の時代からみられるが、欧米ファンタジーの影響を受けた異世界召喚ものの嚆矢は高千穂遙『異世界の勇士』(1979年)とみられている[1]。

1992年から刊行されている『十二国記』シリーズが累計1000万部を突破する人気作となるなど、異世界ものは継続的に人気を得ているが、今日のジャンルの広がりは、2002年から個人サイトでオンライン小説として連載され、2009年に書籍化された『ソードアート・オンライン』のヒットや、 2004年から刊行された『ゼロの使い魔』のヒットから、小説投稿サイト「小説家になろう」に異世界ものの作品が多数投稿され、そこから書籍化・アニメ化される作品が増えていったことを発端とする[2][3]。

「ヒーロー文庫」「アルファライト文庫」など、事実上の異世界専門レーベルも相次いで創刊され、異世界を舞台にした作品が多くあるジャンルがなろう系と呼ばれるようになり[4]、2015年から2016年にかけて募集、選考された「小説家になろう」開催の第4回ネット小説大賞では受賞作が軒並み異世界ものという事態になった[5]。異世界を題材にした作品があまりにも増えているため、2017年にはKADOKAWAのライトノベルレーベル「NOVEL 0」主催の小説コンテストや、文学フリマならびに小説家になろう協同主催のコンテストではこのジャンルの作品を投稿することが禁止になった[6]。2018年に週刊少年ジャンプが開催した新人賞「Jスタートダッシュ漫画賞」の投稿作で一番多かったのは主人公がいきなり死亡したり死後の世界から始まるもので、同誌は「衝撃的ではあるが、単に馴染みのない人間(キャラクター)が死んでいる、というだけでは興味を持ってもらいにくいぞ!どんなキャラクターがどんな死に方をするのか、というところまで踏み込んで描写してみよう!!」としている[7]。

異世界転生を競技化し娯楽として観戦するなど、ジャンル自体をパロディ化した作品も発表されている[8]。

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