参考『「君の膵臓をたべたい」を Himawari アルバム版で。』

との比較用の シングル版 になります。
劇中ではこの シングル版 が使用されています
(厳密に書くと シングル版にかなり近い作りの物が使用されています)

上記リンクのアルバム版の詳細で、気になった点を「共病文庫」の内容等から考察しています

春樹が夜の病院に駆けつけてくれた日の「共病文庫」の一文を
こちらにも置いておきます。

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<共病文庫> 2005年5月25日 より 一部抜粋

彼が帰って一人になって
たくさんたくさん泣いた。
一日でも長く生きられるように頑張ろう

嘘をついた。初めてじゃないかな。
はっきりと嘘をついたのは。
何かあったのかときかれて、また泣きそうになった。
話してしまいそうになった。
でも駄目だと思って言わなかった。
持ってきてくれる日常を手放したくなかった

あんなにほっとした顔をされたらさ 伝えられないじゃん
でも嬉しかった。
生きててこんなにうれしい事があるのかと思うくらい。
あんなに必要とされてるって知らなかったから。
嬉しくて嬉しくて、
一人になった後にたくさん泣いちゃった。

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※アルバム版の詳細が 文字数制限で書ききれなかったので、こちらにも少し書きます

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次に気になったのは その後の 春樹 を取り巻く環境の悪化についてです。

ただでさえ「疫病神」「なんでこんな奴と」「ストーカー」「下着泥棒」等と散々な言われようでしたから、あの後、桜良の死の原因が春樹にあるかのように騒がれた事は容易に想像ができます。

図書委員の仕事を途中で投げ出してしまったのは 桜良を亡くしたショックだけでなく、彼を取り巻く環境の悪化にも一因がありそうです

そんな中、恭子を呼び出して「共病文庫」を見せたと思われるので
(桜良の病気の事は 一部の親族以外は 共病文庫を読んだ人しか知らない。恭子は劇中、桜良の手紙にある病気の事について触れている箇所を読んでも、全く動揺しなかった事から事前に知っていた。つまり共病文庫を読んでいたという事になる)

原作の展開をヒントに考えると、劇中では春樹は恭子を呼び出し「共病文庫」を読み終えた恭子と喧嘩別れしたままの状態で 大人になっている パラレルワールド的な世界だと考えられます。(原作では1年がかりで友達になった

仲良くなりかけていた ガム君とは、その後疎遠になっていたことが式場に訪れた時の春樹の表情で推察できますし、あの後 更に孤立した状況になっていた事が感じ取れます

春樹が恭子に桜の手紙を渡した時、学生時代の時より かなり おどおどした態度で接していた事に 少し違和感を感じていましたが、こう考えてみると そうなる出来事はあの後あったのだという事が推察できます

そうなるとやはり 桜良は北海道旅行の後、病気の事を学校やクラスメイトに公表し 「春樹は病気の自分の願いをかなえる手伝いをしてくれていた」とか、何か彼を援護するような事を考えていたのではないかと思うようになりました

桜良は自分が亡くなった後、残される大切な人達の状況を考え自分に何ができるのかを ずっと考え続けいた人ですし、春樹と恭子が「友達」になるのが難しい事を彼女も感じていたので、母親へのサプライズの準備を入念にしていた実績を考えると、春樹に対しても 何かしら考えていた可能性が高いと感じました。
ならあの時、ここで終わる無念さだけでなく それができなくなる悔しさもあったのではないかと思います

実際、原作、映画共に桜良の病気の事は公表されていませんし、その事が春樹の立場を悪くする事は彼女も気づいていたはずですから。

劇中の春樹は 桜良の「先生になりなよ」という言葉に導かれるまま高校教師にりました。

しかし友達はできず、生徒たちとの関係もうまく作れず、まるで彼の中の一部の時間が 止まったまま惰性で生きている様に感じました

そんな春樹だからこそ、桜良の遺書を見つけた瞬間「桜良の生き方に憧れ、そうなりたいと願っていた自分の想い」と「彼女のいまだに かなえられていない願い」が鮮明に思い出され、とても眩しく感じたのではないかと思います

ヒントはあったのに遺書の存在に気づけなかった悔しさと、この年になっても変ることができずにいる自分自身に対し「今まで何をしていたんだ!」と腹を立てて走り出したようにも感じます。

ガム君は春樹の苦しい状況をずっと気にしていたでしょうし、恭子から「共病文庫」の内容について多少なりとも聞いていると思われるので、

春樹が恭子に友達の了承を得た瞬間、春樹の後ろでピントの合っていないガム君の表情が緩むカットはとても印象的で好きです

桜良の遺書の発見は、春樹の中の止まっていた時間を動かし、教え子が良き聞き手となってくれた事もあり「少しづつでもいいから 憧れていた桜良の生き方に近づけるように変わっていこう」としっかりと前を向いて歩きだしたように感じました。

恭子が結婚式を挙げるタイミング
思い出の場所である母校の図書館が解体されるタイミング
桜良が亡くなってちょうど12年目13回忌のこのタイミングに春樹が母校に赴任してきた事は、桜良があちらの世界から手を回したのかな?とも思いますが、

春樹は教育実習で母校に来ていたでしょうし、図書館解体の話が出てきた事で、優秀なサポート役にもなる春樹が母校に呼び戻された可能性が高いと思います

つまり、
春樹を母校に呼び戻す決断をした春樹の事情を知っている母校の校長?教頭?の“選択”
春樹に結婚式の招待状を出していた恭子の“選択”
遺書を見つけ出すヒントを残していた桜良の“選択”
これらが、このタイミングで全て繋がり 皆を引き合わせたとも言えます

桜良のセリフを借りると「偶然や運命ではなく、君がしてきた選択と私がしてきた選択が私たちを会わせたの」という事なのかもしれません。
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映画「キミスイ」公式@kimisui_movie

Type:共病文庫編 v4.81 シングル版 WQHD UPConv 60fps

蛇足:
この物語には、原作、映画 どちらにも共通する “アキレス腱”ともいえる設定が残っています

『「君の膵臓をたべたい」を Himawari アルバム版で』の詳細に「母親が春樹の情報を何も持たず、桜良の友達に“彼”が誰かを聞こうともしていない」件について その理由を書きましたが、

それ以外にも 最悪の場合 春樹が容疑者として疑われ、真犯人は捕まらない という BAD END につながる設定が残っています。それはこの2点。

・「犯人が 現行犯逮捕されていない」
・「ガラケーのメールは 誰でも見れちゃう」

刑事は 犯人につながるヒントを探して被害者の所持品を徹底的に調べます
携帯やメモがあれば真っ先に中を見て調べ、メールも読みます

つまり ロックのかかっていないガラケーのメールは刑事が徹底的にチェックします

すると中から「君の膵臓をたべたい」という ヤバ気なメールを発見します。しかも

メールを受信した直後に桜良が刺殺されている事から、まず 春樹 が容疑者として 浮上します

春樹の周辺への聞き込みでも「疫病神」「ストーカー」「下着泥棒」「入院中の桜良のベッドに忍び込んだらしい」「何を考えているかわからない暗い奴」「最近よく一緒にいる」等の状況証拠が集まっていきます

こうなると春樹に「文句のつけようがない完璧なアリバイがある」事が かえって疑わしく感じるようになります。「殺害を誰かに依頼した計画的な犯行」なのではないかと

ここまでくると 真犯人の捜査からはかなり ズレてしまうので、真犯人が捕まらない可能性もてきます

桜良の母にも春樹の存在がバレるので あの名シーンは無くなり、春樹が教師になる事も無く、遺書は見つかる事なく図書館は解体され…

「Bad End」

もし、犯人が「現行犯逮捕」されていれば この問題は回避される可能性が残るので 設定的にはまだそちらの方が自然だったのではと思います

同人誌的なネタになりましたが ちょっと気になったので _(_^_)_  終

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