遺書、公開

監督/英勉
ハンサム★スーツ(08)
 脚本は鈴木おさむ

映画 賭ケグルイ(19)
ぐらんぶる(20)
映像研には手を出すな!(20)
東京リベンジャーズ(21)
東京リベンジャーズ2(23)
血のハロウィン編-運命- / -決戦-

出演/
吉野北人
志田彩良
髙石あかり
堀未央奈
宮世琉弥
松井奏
忍成修吾

漫画原作の映画化で全部で9巻あるコミックスの内容を削ぎ落とせるところは削ぎ落として2時間の映画として成り立たせたのは見事。
これは脚本の鈴木おさむの手腕だろう。

英勉(はなぶさ つとむ)と鈴木おさむといえばハンサム★スーツでもタッグを組んでいて、このハンサム★スーツが結構思いの外面白かったので、安心して劇場に足を運ぶことができたと思う

ただ、舞台は高校の教室でほとんどが進行するのだが、
出演している
吉野北人が27歳
堀未央奈で28歳
志田彩良(しだ さら)が25歳
宮世琉弥(みやせ りゅうび)21歳
松井奏(まつい みなと)(IMP.)が24歳
など俳優の多くが実年齢は20歳を超えている。

こうなってきた場合、これらの年齢で制服やセーラー服を着ているのにツッコミを入れる人はそもそもこの映画の鑑賞には向いていないかもしれない

また漫画らしい後出しの情報などもミステリーとしては評価を下げる人がいるかも知れない。
とはいえそれを覆すだけの頑張りを見ることができるし、演者ができる演技を精一杯しているのは汲み取れるので素直に見るのがおすすめ

物語
1学期の春、2年D組にSNSで送られてきた【序列】
──そこには生徒と担任の全員の明確な順位が示されていた。
タチの悪いイタズラだとしたら、誰が何のために決めたものなのか?犯人が分からないまま時は過ぎ、ある日──

誰もが羨む序列1位の姫山椿が学内で自殺した。

そして葬儀の次の日、クラス全員に姫山からの遺書が届く──。
死んだ姫山の遺書がなぜ教室に? 1位の彼女はそもそもなぜ自殺したのか? 遺書は本当に姫山が書いたのか?
衝撃の事態の中、姫山の自殺の真相に迫るべく、25人全員が自分の遺書をクラスメイトの前で公開することになる。

だが彼らは知らなかった。その日から、学級崩壊までのカウントダウンが始まってしまったことを…!
死者から明かされる衝撃の真実を、あなたは知りたいですか?
それでは、遺書公開を始めます──

主人公の池永柊夜(いけなが しゅうや)を演じた吉野北人(よしの ほくと)
全体的にキャラクターにかなり寄せた 若干内気で前に出れない雰囲気づくりは上手くできていて、演技もみせてくれている。志田彩良演じる廿日市 くるみ (はつかいち くるみ)への思春期らしいアプローチのかけ方も上手く、観ていて前に出てこないのに心象に残るキャラクターを演じていたと思う

序列1位の姫山椿を演じた堀未央奈はさすがアイドル出身
序列1位のお姫様感であったり、誰にも好かれるクラスの人気者感の雰囲気出しは上手くできていた。

宮世琉弥(みやせ りゅうび)くんは映画慣れしてきたのか、演技の過剰さが薄まってきて、ますます良くなってきている。

前半の豹変演技で見せてくれたのは松井奏(まつい みなと)。
キャラ変する部分での演技はよかった

志田彩良(しだ さら)はゆるキャンの斎藤さんのように他人との距離感が微妙なポジションだったが、それを活かしたような演出と演技は安定感。
やはり演技が上手い子がこのポジションを演じてくれたのは大きなポイントだろう。

そんな中でやはりずば抜けて甘さを感じたのが髙石あかりだろう。
あのキレ芸的な部分や理論で相手を攻め立てまくる部分の百変化ともいえる喜怒哀楽の変化はさすが。
そこまでクラスの中でも目立つけど微妙だった髙石あかりが一気にメインストリームに出てくるシーンの演技の凄さは圧倒的な存在感とも言える。

とはいうもののクラスメイトの役者の中には演じること自体に若干のオーバーリアクションであったり、演じていることの過剰感がある俳優がでてしまうが、これはもう気にしていたらきりがないとおもう。

それらがあるから、髙石あかりの演技が際立っていたのもあるし、宮世琉弥(みやせりゅうび)の、ここぞというときに魅せてくれる演技が光っていたのもあるだろう。

シナリオの内面部分でいうと、人間が持つ思い込みや嫉妬心からの対人評価の危うさを浮き彫りにさせる見事な展開。
これはいまのSNSでもよく観られる
「こういう人だよね」
の思い込みからの真偽性の確認をせずに発信してしまう心理にもつながるものだろう。

その演出の延長にある
「◯◯さんの本性はこうだった。本当はこうなんでしょ」
というやり取りが続きすぎる感もある。

それを回避するためにクラスメイト数を25名にしたのかもしれない。

また犯人探しへの布石も劇中での展開はスローペース。
スクリーンで観ている側からすれば◯◯が怪しいかも?
と思わせる演出が続き、思い込む前にどんでん返しが続くので
ミステリーを楽しむ…という部分においては初心者ほど
犯人かもしれない人がコロコロと変わる展開
についていくのが疲れる…という人も出てくるかもしれない

とはいえ、日々繰り返される遺書公開によって、クラスのほぼ全員のどす黒い「裏の顔」が見える展開は面白く映画として十分面白さの振り幅をもたせたのは成功していると感じる。

その一方で脚本全体…というか、展開そのものでは漫画らしいちょっと飛びすぎた展開があるのも事実。

例えば
実は彼女がこれを残していました…
という展開は、前半にもっと露骨なまでに「それを残すシーン」インサートしておくくらいのほうが良かったかもしれない。

◯◯さんの話し、実はこうだよね
の繰り返しに飽きる人も出てくると思うので、テンポの良さは…あるようでなく、無いようである…とも言える。

また原作からの改変が重要なポイントではあるが、大幅に変更されたのは、序列1位の姫山椿のバックボーンであったりするのだが、そのへんはスクリーンに直接描かれていなので大きな変化とも言えないかもしれない。

ラスト直前のサイコパス感を滲み出す演出は賛否でるところかもしれない
あのキャラクターの本質がとても異常性であることを見せるための演出ではある。

そこに記念撮影的なシーンからの実景映像ではなく、あのキャラクターが描いたイラストで人形を作っている…といったほうがサイコパス感が強く出たのではないか?と思ったりもする。

あのキャラクターはなんだかんだ親しくなった人との距離をきっと詰めて手のひらで転がすのだろう。
と思う終わり方はなんとも言えないエンディングかもしれない

ただエンドロールは、どのキャラが誰が演じて、どういう事をした、話したのか?を思い出せるうまいエンドロールなので最後まで観てもらいたいと思う

ミステリー映画としてはとても初心者ほどドキドキする展開になっているし、犯人探しの展開もわかりやすい。
見慣れてくるとどうしても、
一番怪しくない人が一番怪しい
で観てしまい、犯人探しを常に脳内でぐるぐるして素直に楽しめないかもしれない

やはりこの手の映画は最低限の情報で素直に見るのが一番楽しいと思います。

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