「コツコツ貯めてたものが…」人気店を襲った火事から8ヵ月…再起に奮闘する店主に密着 北海道京極町

2024年、北海道京極町にある人気うどん店を襲った火事から8ヵ月。3月1日にに営業を再開しました。再起までに奮闘する店主に密着すると、そこには店主の人柄に魅了された多くの温かい人々とのつながりがありました。

羊蹄山のふもと。
名水の里、京極町にある「名水うどん野々傘」です。

■店主・野々田耕一郎さん:
「ついにですね、きましたねこの日が。ちょっと緊張しちゃいますね…あんまりしてないか(笑)」

店主の野々田耕一郎さん57歳。脱サラして2006年にこの店をオープンしました。ミネラル豊富な名水と全粒粉小麦を100%使ったもちもちのうどんがこだわりです。オープン以来多くの人々に愛され、行列のできる人気店に成長しました。その繁盛の中、突然の悲劇が…。
原因不明の火事。店舗の裏にあった倉庫兼製麺工場は全焼しました。

■野々田さん:
「パニックはありましたね。すごい焦って、家の鍵を閉めるのも、鍵がどこにあるかわからないとかっていう。」

幸い、この火事によるけが人はいませんでしたが、在庫の小麦粉に冷蔵庫や製麺機など麺を作るのに必要なものはすべて焼失。
店は休業を余儀なくされました。

■野々田さん:
「オープンから18年間かけてコツコツ貯めてたものっていうのが一気になくなってしまって/すべて失われたときに気持ちがプツンって切れちゃう部分があって、あの状態にもう一回戻すことはできるんだろうかいや難しいかなとか色々な葛藤があった。」

途切れかけた情熱。
野々田さんの背中を押したのは、窮状を聞きつけ集まったお店のファンの人々でした。

■常連客:
「いろいろお世話になってるので、こういうときくらい役に立てればと」

■前職時代の知人:
「一日でも早く再開できればいいな、綺麗になればいいなという思いです。」

献身的な活動に支えられ、店はゆっくりと動き出します。

■野々田さん:
「久しぶりですね、もう7ヵ月ですね。7ヵ月ぶりに窯に火を入れました。」

店舗の横に設置された大きな海上コンテナが新しい厨房です。
先月、電気やガスの工事が完了し開店に向けて出汁作りや製麺など本格的な仕込み作業が始まりました。
住み込みのボランティアとして、日本の文化を学ぶためにこの地に来たアーサーさんとレノンさんも仲間入りしました。

■野々田さん:
Qこの機械は新しいものですか?
「うどん屋さんのわたしの師匠に当たる方が送ってくれました。」

野々田さんにうどん作りを教えた木田武史さん。
弟子の窮状を知り、高価な機械を寄付しました。

■き田たけうどん・木田武史さん:
「彼が一番熱心だったかなとは思いますけどね/それ以上にあの人柄ですから非常にみんなにも可愛がられていて/誰もけが人がいなかった話を聞いたのでとりあえず一安心と。モノであればどうにでもなりますから/とりあえず心配しないでできることやってあげるからってできることの1つが機械だったんです。」

師匠から譲り受けた製麺機は以前使っていたものと同じ型。
うどんはかつてと変わらない出来栄えです。

■アーサーさん:
「さすが野々田さん相変わらずおいしいですね。」

■野々田さん:
「いつも元気だねって言われるんですけどそこらへんは皆さんにこうやって応援してもらって何とかしなくっちゃって/そういうものが背中を押してくれていまにに至っている」

小樽市の住宅街にあるフレンチレストラン。この日は店の再開に合わせて提供する限定メニューを試作します。

■いぐれっく5.3オーナー・安川眞美さん:
Q火事のことを聞いたときは?
「もう真っ青になりましたね」

ジャンルは違えど、互いに一目置きあう料理人です。

■安川さん:
「(野々傘のうどんを)初めて食べて衝撃を受けてそれから友情の押し売りじゃないけど『こういうの作ったけど食べるかい?』って料理持って行ったりとか/新たに出発するからそれに合うようなちょっと華やかなメニューを考えなきゃなって色々考えました。」

安川さんのお店でも好評のパスタソースを参考にうどんに合うようアレンジしました。

■2人
「うん!めちゃくちゃうまい!」「これいける」

■野々田さん:
「うどんとかも当たり前のように讃岐うどんとか作ってちゃあいけない時代なんでこういう色んなことにアレンジしたり色んな技術を学べるっていうのがすごいかけがえのない存在です。」

再開当日。
天候にも恵まれました。

■野々田さん:
「やばいやばい急げ急げ~間に合うのか~」

野々田さんの家族も手伝いに駆けつけ一家総出で準備します。
以前はうどんだけでも30種類ほどあったメニュー。
スタッフが集まるまでは安川さんと作った限定メニューを含め釜玉うどん4種類に絞り提供します。

■野々田さん:
「どうもです!」
■常連客:
「いや~大変でしたね」
■野々田さん:
「何があるかわからないもので」

再開して初めて迎える客は、創業時からの味を良く知る常連の夫婦でした。
■常連客:
Q味は変わらない?
「グレードアップした。もちもちでおいしい。」

■野々田さん:
「うどんを作れる幸せっていうのを感じながら一杯一杯作ることができました。これからもそういうのは続けていきたいと感じますね」

その後…

■店主・野々田さん:
Qまったりですね
「まったりですね/まさかこんなに来ないと思わなかったので」。
この日の客は全部で4組。
それも復帰戦にはちょうどいいそうです。

■店主・野々田さん:
「ほんと何やってんのかな~みんな。
まあこうやって格好つかないところもうちの店の良いところいうことで
(笑)」

【スタジオ】

たくさんの人たちの支援があって営業が再開しました。ほかにもクラウドファンディングでは330人以上から支援が寄せられたそうです。

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