【感動☆総集編】休日、海釣りをしていると溺れた女の子を助けたら取引先の美人社長の子どもだということが発覚。社長「ご恩は必ずお返しします」5日後、机に解雇通知書が…女の子「お兄さんクビなんでしょ?」【朗

別れ際はか社長が言った今日のご音は必ず お返しします俺は先ほど取先社長の娘が海 に落ちたのをたまたま目撃無が夢中で海に 飛び込んで娘さんを助けたのだ社長の自宅 でシャワーも浴びさせてもらい着替えも 準備してもらいおいしいおみもご馳走に なったもう十分すぎるほどのお礼をして もらったのに彼女はまだ俺に何かしなくて は怪我済まない様子だったそれから5日後 この日は久しぶりの内金だった事務所に 入るなり先輩が心配そうな顔で近づいてき たけとお前何したんだよ先輩の言っている 意味が分からず俺は自分のデスクに向かう そして1枚の髪が目に飛び込んでき た解雇通知書ってなんすかこれ解雇される ようなことは俺は何もしていない営業成績 も悪くはないしこの間も契約を獲得してき た頭を抱える俺に先輩が遠慮がちに行った お前松村産業の担当だよなそこでやらかし てないかいややらかしてはないです長の娘 が溺れていたのを助けて社長といろんな話 をしたでもやらかしてはないぞなんで そんなこと聞くんですか全然関係ないかも しれないが2日前か社長がうちの社長に 会いに来てたんだよ普通そんなことない からちょっと気になっただけだよおいケト どこに行くんだよ金社長が何か知ってるの ではそう直感し俺は金長の自宅に向かった 俺の名前は磯村ト精密危機会社の営業で 働く27歳だ今日は3ヶ月ぶりに海釣りを しに来ている海と空の青さを全身で感じ 1人でぼーっととするこの時間が俺にとっ ては唯一の気分転換でありエネルギー チャージでもあった本当のことを言うと魚 は釣れなくてもいいただ海に長時間いる 理由付けとして俺は釣りをしているのだ 穏やかな涙だ な俺はスマホで海の写真を撮って母親に 送った母さん今日は体調いいかな ああこれからどう しようごちゃごちゃした頭の中を一旦 リセットしたくて海に来たのに今日の俺は 海を見ても全く心が安らかなかったその時 遠くから小学生が10人ほどキャッキャ 言いながら走ってきたたきっとすぐ近くの キャンプ場に遊びに来た子たちだろういつ もはしけさを求めて海に来ていたが今日は 子供の無邪気な声になんとなく救われた こんなに騒いでいたら魚は寄ってこない だろうなそんなことを思いながら俺は目を 閉じるしばらくして俺はパッと目を開けた 子供たちの笑い声が急に悲鳴に変わった からだはなちゃん誰かけ て少し離れた場所にいる子供たちを見ると 海を覗いて叫んでいる子もいればキャンプ 場の方へとかけていく子もいたよく見ると 子供が海に落ちているではないかう嘘だろ おい俺は慌てて子供たちの方に駆け降り海 に飛び込んだ捕まって俺は無が夢中で パニックになって溺れている女の子に手を 伸ばす大丈夫だから 落ち着け幸い俺はライフジャケットを装着 しており俺に必死にしがみついてきた 女の子と共に行くことができた周りの 釣り人も気づいてくれて俺たちを騎士に あげるのを手伝ってくれたあなちゃん痛く ない子供たちが駆け寄ってくるどうやら この海に落ちた子ははなちゃんと言う らしい大丈夫苦しくないかいはい呼吸も しっかりでできているし意識もしっかりし ているしかしよっぽど怖かったのだろう はなちゃんは体をガタガタふわせて呆然と してい たそこへキャンプ場の方から大人たちが 走って くるはな はな顔をまそうにして走ってきた女性が はなちゃんを抱きしめた大丈夫痛いところ はお母さん 母親が来て安心したのかはなちゃんは大声 で泣きじゃくったよかった無事で俺は一 安心あ着替え持ってきてないや自分もびし 濡れであることに気づき帰る支度をする ため元の位に戻ろうとしたするとはな ちゃんの母親に呼び止められるあの ちょっと待ってください本当にありがとう ございましたあなたは娘の命の人ですあの お名前を教えいたけないでしょうか何かお 礼を近づいてきた母親の顔を見て俺は目を 疑ったなんとはなちゃんの母親はうちの 取引先である松村産業の社長松村かえさん だったのだ松村社長は5年前30歳の時に 社長であった父親を亡くしその後をついで 若くして社長になった俺が入社した年に 彼女はちょうど社長に就任したのだがが 30歳という若さ単に女性社長ということ で俺の中で彼女のインパクトは相当強かっ たか社長ってめっちゃ美人じゃないですか 美人でスタイル良くてそして社長完璧です ねまだ大学を卒業したばかりだった俺は 美人な金社長を見てドキッとするすると 先輩が呆れていったこら先に鼻の下伸ばす なお前が社長とどこなることは100% ないから安心しな100%は言いすぎ でしょ人生何があるか分かりませんよや 100%なだから早々に諦めてしっかり 仕事しろ よ先輩の言い方に少しむっとしてしまった が先輩の言っていた意味が今ようやく 分かったバリバリのキャリアウーマンだっ たため勝手に独身とを決めつけていたが金 社長は娘がいる母親だったのだ俺は衝撃を 受け たあの金社長ですよねえ私本社と取引させ ていただいている岩水の磯村ケトと申し ますご挨拶が遅くなり申し訳ありません岩 の伊村さんあ先日ラビーでうちの担当とお 話ししていましたよねそうですよくご存知 でで決まったスーツ姿しか見たことなかっ たので気づきませんでした申し訳ありませ んなんと彼女は名前こそ知らなかったが ありがたいことに俺の存在は知っていた ようだ俺は嬉しくなった礼なんてそんな とにかく娘さんが無事で良かったですさ 早く娘さんを着替えさせてあげて くださいそう言って社長に一礼しかっこ よく去ろうとしたのだ が くし波が立ちそうなくらい大きなくしゃみ が出てしまったかっこいい去り際を演出 するはずがただの強がりな男になり赤面 する磯村さん早く着替えないと着替えあり ますかいやでも急いで帰るので大丈夫です ようこの近くなんですうちでシャワー浴び ていってください着は父のいない新品が あり ます取引先社長の家でシャワーなんて俺は 全力で首を横に振るいやあそんなさすがに それはふ ふししかしまたしても恥ずかしいほどに 大きなくしゃみがちょっとあそこで待って いてください車回してくるのではこの お兄さんと一緒に待って てそういうやいなや社長はあっという間に にキャンプ場の方へ走って行ってしまった お兄さん助けてくれてありがとうあっちで お母さん待ったかあ うん今更断ることもできず俺ははなちゃん に手を引かれて指定の場所に行ったのだっ たお待たせ数分後社長が車を運転して 現れる社長だから高級車に乗ってるかと 思ったが普通の車で表紙抜けした はいこれで拭いてね社長は俺とはなちゃん にバスタオルを渡してくれるそしてまず はなちゃんを車に乗せささっと着替えさせ たちょっと待っててくださいねさらに後部 座席にビニールシートを敷くはい伊村さん はここに座ってください花は着替えたから 助席でいいわよすぐに着くからもう少し だけ辛抱してください ね社長はそう言うとびしびしの俺を先に 乗せ車を発信させ た伊村さんって海によく来るんです か社長とバックミラー越しに目が合う思わ ずドキッとしてしまったが一生懸命俺は それを隠し平然を予想って答えたはい海 好きなんであでも今日は3ヶ月ぶりなん です最近ちょっと忙しくって休日出勤も 多いんですねなあいやあ母が病気で入院し ちゃってうち母子家庭で弟と2人兄弟なん ですけど平日は弟に母のことを任せっ ぱなしなんですだからせめて土日は俺がと お見舞いに行っていたんですけど今日は母 に息抜きしてこいと言われ て母は昔から俺と弟の変化によく気がつく 人だったお腹が痛いのもすぐにばれるし テストを隠してもすぐにばれる社長に言う と彼女は笑った母親なんてそんなものです よいつも子供のこと観察していますから 最愛の人が困っていないか傷ついていない かちゃんと見守っているんです よなるほど 母親でもある社長の言葉には妙に説得力が あった平日は仕事土日は病院に行って病気 の母を当たりにする日々母の病気に関して は俺は治るように神様に願うことしかでき ない自分ではどうしようもないことが目の 前に立ちはかっていると毎日ため息とどう しようという言葉しか出てこなかった そんな俺の気持ちを見抜いた母に昨日俺は 言われたのだ今何が釣れるの えっと今は最近釣り行ってない でしょ何でも分かっている母には隠し事は できない今はテレビ電話もできるし土日 わざわざ片道1時間かけて来なくて大丈夫 よ自分の時間も大事にしてねでもじゃあ海 の写真送ってお母さん当分外には行けそう にないから代りにケトが行って写真で見せ て よ分かっ たそういうわけで俺は今日母に写真を送り 今何が釣れるか答えられるよう3ヶ月ぶり に海釣りに来たのだったすみません自分の ことばかり話して締めっぽくなった車内の 空気を感じ取り俺はハとバレに帰るうん うん話してくれてありがとうございます さあうちに着きました風邪引かないよう 早くシャワーで温まって ください着いたのは意外にも普通の6階 建てマンションだった社長の家と言ったら 大きな敷地の一見やか何十回もある高級 マンショをイメージしていた俺ここですか そうだようちは2011なんだしかも最上 会でもないちょっとだけ表紙抜けしたが なんだか安心したはなちゃんを先にそう 言おうとしたがはなちゃんに言葉を遮 られる花着替えたし後で大丈夫だよ お兄さん先 どうぞそう言って俺の手を引っ張って 脱衣所へ連れて行ってくれるちゃん着替え 後で置いておくので遠慮せず入って ください ね家につくなりキビキビした母親モードに なった社長うちの母親と同じだあ はい俺は言われるがまま先にシャワーを 浴びることにしたこの状況一体何なんだ 意外と普通の家に住んでいるからと言って 取引き先の社長三択には変わりない誘する 前に一刻も早くしなくては社長が準備して くれた着替を着てこの後の振る舞いを考え ながらリビングに向かったごめんなさい おじさんぽい色合いで社長はエプロンをし てキッチンで忙しそうにしていたいえ 着心地抜群です洗って近いうちにお返しし ますのでいいですよ返さなくてもううちで 着る人はいないから気に入らなければ捨て てもらってもいいですし捨てるなんて そんなはなお風呂入っといでお好み焼き 作っとくから あいこれが社長のいつもの家での様子なの だろうテキパキと料理しながら子供に指示 を飛ばす本当にうちの母親みたいだった ケートさんお好み焼き嫌いですかいや好き ですよかった俺はまだ食べるとは言ってい ないがこの状況はどう見ても俺も一緒に お好み焼きを食べる流れだろう社長のの ペースに持っていかれ俺は1人アタフタし ていたが社長はそんな俺のことなどお構い なした伊村さんって何歳なんですか27歳 ですあこ下なの社長はびっくりして俺を じっと見つめるすみません若僧でいや 落ち着いているからてっきり自分くらいの 年かと俺が入した年にかさんが社長に任し たんですあまり年がないのに完璧ですごい 方だなって本当に社長のことを尊敬してい ます仕事もできてしかも美人で松村産業に 出向いた時に遠目でも社長を見ることが できた日は心が踊っていたなんてことは 言えなかったか社長は少し恥ずかしそうに 笑う完璧じゃないですよ私ミコのシングル マザーですし えミコのシングルマザー 結婚せずにはなちゃんを産んだってこと ここにははなちゃんと2人っきりで住んで いるの か驚きと共に疑問が次々と浮かんできたが それを口に出すことはできなかったそんな 俺の様子に気づいたのだろう社長は自ら 自分の過去を話してくれ たか社長は昔から海外で暮らす夢があった そうだ父親が社長でお金持ちの家庭で育っ たため年に3回は海外に行っており海外が 身近だったという大学時代には留学も経験 し現地で彼氏もでき た彼は3歳年下だったんだけどとても スマートだったどこまでも優しい人で結婚 の約束もしてくれたん ですしかしかさんの両親は娘がその彼と 結婚するのも許さなかった彼はアフリカの 地からやってきた留学生で留学期間が終わ たら祖国に戻らなければならなかったのだ かさんは彼の祖国で暮らしてもいいと本気 で思っていたが両親は何度説得しても許し てくれなかったというかさんは1人っこの ためいずれ日本で父親の会社を継ぐのが 決まっていたのだしかし留学生活が終わっ てからもかさんと彼氏との関係は終わら なかった父の会社を継ぐ人は他にもいる私 よりも優秀な部下がいるじゃないか いつかきっと両親は自分たちの交際を許し てくれるだろうそう思って2人は交際を 続けたそうだでも両親の気持ちは変わら なかったそれで私ある日親に黙って日本を 飛び出して彼の元へ行ったんですえご両親 怒らなかったですかもう縁はきるって大学 のでもそれでも私は彼と一緒にいたかった んですよね か社長が遠い目をして いる彼も彼の家族も私は温かく受け入れて くれましたでも同じくらい私の両親のこと を心配していまし た彼の祖国では特に家族に対する愛情が 深かったという時間が裁量の薬だからって きっと今は娘のことが心配なだけいつか私 の両親が許してくれた時に正式に結婚し ようって彼は言ってくれまし ただから大好きな彼とは席を入れなかった のだというやがて花が生まれ1年経ち両親 に孫の顔を見てもらおうと帰国を検討して いた時何年ぶりかに社長の母親から連絡が 来たと いう父が倒れた嫁半年しだって私は花と 急いで帰国しまし た再開した父は頬がこけて顔色も悪く すっかり変わり果てていた母親に聞くと ちょうど社長が家を飛び出す少し前に父は 癌の宣告を受けていたと いうお父さんあなたの気持ちもよく分かっ ていたのよでも自分のそばにいて欲しかっ たのあなたのことを本当に愛していた から父親の病気に全く気づかなかった自分 を社長は心から責めたという父は私と花を 見るとお帰りと言ってにっこりと笑って くれまし た社長は父親のそばにいることを決意毎日 病院に通って父と離れていた時間を埋める ようにいろんな話をしたと いうその中でどれだけ父が会社を大切に 思っているのかもよくわかりました私は これまで全く親高校をしてこなかっただ から私父の会社を継ぐことを決めたんです 交際相手ともたくさん話し最後はみんな 納得して社長ははなちゃんを連れて日本に 戻ってきたという嫁半年と言われていた父 ですが嫁よりもさらに半年長く生きてくれ ました母もそれから1年後に後を負うよう に亡くなりましたが日本に戻ってきて よかったって真底思いまし たご両親そばに社長がいてくれて安心でき たでしょうね 社長はにっこり 頷く私は自分が選んだ道を後悔していませ ん結果的に未婚のシングルマザーですが これが私にとってベストな道だったって胸 を張って言え ますかさんが出来たてのお好み焼きを さらに乗せで持って くるいい匂いが するタオルで髪を乾かしながらはなちゃん がタイミングよく部屋に入ってきた 全然完璧ではないですが私が胸を張って 言えることは家族のことを1番に考えて 行動すれば後悔はないということですさあ 食べ ましょう熱々のお好み焼きは家庭の味で身 も心もポカポカ温まったアットホームな 雰囲気にいつの間にか俺は心地よくなり気 がつけば自分の話をだいぶしてしまった 母は進行性の病気で本当は平日もちょっと でもいいから顔を見たいこと会社には時間 に融通の聞く部署に移動願いを出している がなかなか希望通りにはかない ことしかし仕事を辞めては治療費が払え なくなるため仕事は辞められない こと母は俺と弟を1人で必死に育ててくれ てようやく最近自分の時間を持てるように なったんですなのに病気になるなんて俺 たちまだ全然親高校できてないの に自分の気持ちを言葉にすると不に涙が こぼれてしまっ たお兄さん大丈夫 はなちゃんが心配そうに 見つめるごめんごめん大人が泣いたら おかしい ね涙を吹きながら笑うと社長が言った伊村 さん全然おかしくないですよ 1人で抱え込まないでください私たちケト さんの味方です から恥ずかしかったが社長の言葉はとても 嬉しかったお腹も満たされ荷物を取りに 先ほどの海まで送ってもらう別れ際は社長 が言った今日のご本は必ずお開始します いやいやシャワーも借りて着替も準備して もらっておいしいお好み焼きまでいだいて もう十分すぎるくらいですありがとう ございまし たさらに話も聞いてもらえて久しぶりに俺 は心が満たされた感謝しているのは俺の方 だ社長は優しい笑顔を俺に向けそして去っ ていった明日からまた頑張ろう釣り道具を 片付けに行くと俺の道具は綺麗に橋に寄せ られていたきっと近くで釣りをしていた人 が片付けてくれたのだろう世の中捨てた じゃないな今日ここに来て本当に良かった 俺は清々しい気持ちで車に乗り込んだそれ から5日後この日は久しぶりの内金だった 事務所に入るなり先輩が心配そうな顔で 近づいてきたけたお前何したんだよえ何 って聞いてないのかみんな心配してたんだ ぞ先輩の言っている意味が分からず俺は 自分のデスクにに向かうそこで1枚の紙が 目に飛び込んでき た怪光通知とってなんすかこれケトが何か やらかしたんじゃないのかよいや俺は何も 解雇されるようなことは何もしていない 営業成績も悪くはないしこの間も契約を 獲得してきたやったことといえば移動願い を出したことくらいだ移動願いくで解雇さ れるわけないだろなんか勘違いされてるん じゃないか部長のところ行ってこい よ先輩にせかされ俺は部長室へと急ぐ部長 は俺を見るなり困ったような顔をし たそして今回の解子は社長の一存で決まっ たことを教えてくれ た解雇されては母の治療費を払えない俺は なんとてもを撤回してもらおうと今度は 社長室へ向かおうとしたが部長から社長は 出張であることを聞かされるうれて戻って きた俺に先輩らが駆け寄って くるどうだった社長の一存だって社長は 出張中で話を聞けませんでした頭を抱える 俺に先輩が遠慮がちに行ったお前松村産業 の担当だよなそこでらしてないかやらかし てはないですはなちゃんを助けてか長と いろんな話をしたでもやらかしてはないぞ なんでそんなことを聞くんですか全然関係 ないかもしれないが2日前か社長がうちの 社長に会いに来てたんだよ普通そんなこと ないからちょっと気になっただけだよおい ケトどこに行くんだよ金長が何か知ってる のでは し俺は金社長の自宅に向かった201の 部屋のインターホンを鳴らすが今は金曜日 の午前10時だ誰かが家にいるわけがない しかし会社に戻ってもうちの社長は今日は 戻ってこない金社長は何も関係ないかも しれないがとにかく俺は社長の家の前で 彼女が帰ってくるのを待つことにしたあ お兄さん 何時間経っただろうか 遠くからランドセルを背負った女の子が 駆け寄ってきたはなちゃんだ遊びに来て くれたのあお母さんが帰ってくるまで1人 なんだ遊ぼうよいや俺はお母さんに用事が あってそんな俺のことなどおまえなしの花 ちゃん俺を家の中へと引っ張っていっ たお母さん俺のこと何か言ってなかった あごめんなんでももないお兄さん首なん でしょえどうして知ってる のだってお母さんが言ってたからお母さん 話がうまくいったってすっごい喜んでた よやっぱり俺が解雇になったのは金長が 絡んでいるのか俺はへなへなと座り込む俺 何か恨まれるようなこと言ったか優しい 笑顔を向けてくれたのにあれは嘘だったの かご音は必ず返すって気づかずにやらかし た俺にやり返すてことだったのか頭を 抱える俺をはなちゃんが心配そうに 覗き込むお母さん今日は6時には帰って これれるってお兄さんうちで持っててっ ていつの間にかはなちゃんは社長に連絡を 取ってくれたようだ俺は社長が帰宅する まで待つことにしたごめんなさいお待たせ しちゃっ て6時ちょっと過ぎか社長が帰ってきた あの社長本当に申し訳ありませんでした 何か社長の激に触れるようなことをした なら心から謝りますだから解子だけは俺は 必死に社長に頭を 下げる磯村さん何か勘違いしてるわよ あなたの会社の社長から話を聞いてない の社長は出張中でして俺も今週は今日が 初めての出勤日だったんですそしたら机の 上にこれがあって何かやらかしたんなら 本当にすみませ ん俺はポケットから折りたたまれた骸骨 内書を取り出し社長に見せ たそれでわざわざうちまでなんかごめん なさいね焦っている俺を見て社長がふっと 笑ういやいや笑い事じゃないんですけど 磯村さんと別れてから色々と考えたのそし たら磯村さんは今の会社をやめるべきだっ て結論に対したのあにずっとついとけって ことですかそれができるならいいですけど でも俺が働かないと治療費が払えないん ですうちは社長の家と違ってお金持ちじゃ ないんです よ普通の国産者に乗って家も普通の マンション未婚のシングルマザーとして 頑張っているか社長にいくらか親近感を 抱いていたのに社長令嬢として育ち今は 会社の社長である彼女とは結局分かり合え ないんだな少し寂しくなったし勘違いして いた自分がいだしもなったそんな俺の様子 を見てはなちゃんがやってきたお母さんと お兄さん喧嘩しないでお兄さん来週から お母さんとと働くんでしょ一緒に働くなら 仲良くしなくちゃ え俺がか長と 働くわけが分からず俺は社長の方を見た 平日もお母様の顔を見に行きたいって言っ ていたじゃないでも移動願いがなかなか 受理されないってだから私あなたの社長に 直談判に行ったのよ目をパチクリさせる俺 にか社長は優しく説明してくれた はうちの社長に会いに行き言ったそうだ うちを担当している磯村さんをうちに ください俺の務める会社は現在規模拡大を している最中のため俺を引き渡すことを 社長は渋ったという俺の移動希望が なかなか認められないのも特に営業職の 人手が足りないためだっただったら 仕方ないむしろ会社に必要とされている ことに感謝しようとそれなりに納得はして いたのだがか社長はそれが許さなかった ようだ磯村さんには今近くにいてあげる べき人がいるんです会社の発展よりも大事 な人がいますうちでなら磯村さんの働き方 を尊重してあげられますので来週から彼に はうちの社員になってもらえます ねこうして俺は今の会社に解雇されること になったそうだ来週から社長の会社で働 くって俺何をするんですか 社長に尋ねると彼女は笑っていったそれは 今から決めるわでねそれとは別にもう1つ 話があっ て金長は鞄を漁りあるパンフレットを 差し出したこの病院に名義がいてねそれは 林間の行動医療ができる大きな病院の パンフレットだったお母様ここに定員させ てはどうかしら社長はの医者にうちの母の ことを相談するとここの病院を紹介して くれたのだというえでもここから3時間 くらいかかりますししかも入院費も高そう じゃないですか俺の収入じゃとてもじゃ ないけど支払えないそう思ったうちの会社 家族の病気や入院に関して手厚い補助を 行っているの家族は仕事をする上でも大切 な存在よいい仕事をしてもらうために会社 も従業員の家族のことを考えるべき でしょう両親をなくしたか長らしい言葉が 俺の胸にぐっときた社長は話を続けるその 病院の近くにはか社長の会社の死者があり 俺はその死者で働く予定だというさらに その死者の近くに会社の単身料がありそこ を使っていいとのことそこまで考えて くれるなんて俺は換気余った 営業食じゃないけどいいもちろん構いませ ん少しの時間でいいから毎日お母様に顔を 見せてあげて子供に会えることが何よりの 薬だ から社長の言葉には説得力があったなぜ俺 にこんなに良くしてくださるのですか こんなに真味になってくださる方社長が 初めて ですすると社長が真面目な顔になるそれは 花を命がけで助けてくれたからよあの時 あなただって危険な目に会う可能性は十分 にあったそれでも海に飛び込んでくれた こと私は一生感謝し ます社長が改めて深と頭を 下げる親はね子供の成長をできるだけ長く 見ていたいのよお母さん1人で必死に育て てくれたんでしょうできる時に親高校し なくちゃそばにいてあげる それが十分な親高校だ から社長にさされ俺の目から涙が 溢れるか社長ありがとうございます本当に 本当にありがとうござい ます俺は何度も頭を下げ たそれから俺は会社に戻り身の回りを 片付け5年間務めた会社を去っ たケトとかがどこなることは100%な いって言っ悪かったなさぎは先輩が言った いやどこなることは100%ありませんよ それはどうかなお母さんは大事に 頑張れよ先輩に背中を押され俺は新たな 一歩を踏み出したのだっ た金社長が色々と助けてくれたおかげで母 は1ヶ月後には無事に店員もできた母さん 今日は顔色いいねうん薬が合ってるみたい で最近体が軽いの気持ちまで軽くなった気 がする わ毎日顔を合わせることができ母は心底 喜んでくれたそれに俺も母のちょっとした 変化にも気づくようになった体調が悪そう な日には看護師さんに相談もしやすい仕事 もできてお見舞いにも行けてか社長には 最高の環境を与えてもらった かさんにはいくら感謝しても感謝しきれ ないわケトあんな素敵な人と結婚するの よあんな素敵な人か社長しかいないよ俺は 心の中で 思う半年後母の病状が落ち着き外出許可が 降りた母さんどこに行きたい海行きたい あんたが好きな海を一緒に見 たいそういうわけで俺は母を海に連れて 行ったお母さん寒くないですかおまあ ちゃん手 つごうか社長とはなちゃんも一緒に来て くれた なあみんなで見る海と空最高ね賑やかなの が1番かさんこれからもケトのことを よろしくお願いしますちょっと母さん何 言ってるんだ よこちらこそしくお願いし ますどこまで意味を分かっているのか わからないがはなちゃんが絶妙な返事をし て俺は慌てふめたそしてか長を見ると彼女 は気のせいか頬をあめて いる私も賑やかな家族に憧れていますまた 一緒にみんなで出かけましょうね お母さんか社長の言葉を聞いて母はとても 幸せそう だこの先俺とか社長がどうなるかわから ないでも家族のそばにいることの重要さを 教えてくれた社長に俺はいつまでも尊敬の 念を抱きそして彼女が必要としてくれる なら彼女のそばにいたいと思ったの だ俺の名前は上野タが現在とある会社で 営業マとして働いている30歳だ俺は20 代前半まで全く違う職種で働いていたため この仕事になれるまではなかなか苦労も 多かっ たしかし先輩たちが根気強く俺に営業の イハを教えてくれたおかげで俺はなんとか 取引先の人とそれなりに話せるようになっ てい たそれまでの俺はひどいものだった相手と 会話をしして話を振っても相手がそれに 返事をしてくれたらそうなんですねとか そうですよねと言ってそこで会話 終了当然相手が心を開くはずもなく契約に なんて至るわけも ないそんなひどい会話スキルに危機感を 覚えた先輩たちが必死で特訓してくれた 結果俺はそれなりに営業トークや世間が できるようになってい たしかしそんな冴えないながらも懸命に 努力し続ける俺のことを先輩たちは呆れず 見捨てないでいてくれ たそんな先輩たちには感謝してもしきれ ないそしてこの会社の社長もまた社員同様 心ある人だっ た社長は今はなき父を思い出させる穏やか でいつも笑顔な人物で少し顔を見せるだけ でも社員たちが笑顔になるそんな人 だ俺はそんな先輩たちや社長に見守られ できないながらにのびのびと仕事ができて い たある日地方の出張から帰り新幹線を 降りるといつも利用している駅の景色や ざわざわ感が戻ってきて俺はほっとしてい たやはり慣れない土地に行くということは 新鮮でワクワクする一方疲れることも 多いそのため少し遠出をした後帰ってくる 時見慣れた景色が見えてくると体の緊張が 抜けていくような感覚があるのは俺だけで はないんじゃないかと思って いるそこは俺の勤めている会社から1番 近い新幹線が止まる主要液で会社からは そんなに近く ここからまた各駅停車の電車に乗り換え なくてはいけないのだがその前に何か買っ て一息つきたい疲れていたためカフェイン の入った飲み物でも買いに行こうと思い俺 は一度改札から出ることにし たこれは出張に行った時のいつもの流れな ので俺は最後に降りる駅までの切符をいつ も買わない こうやって旅の途中に色々買うことが俺の さやかな楽しみだから だそのため営業職に転職したという部分も あるもちろんそれが目的ではない が社会人になってからは遊べなくなる そんな先輩たちの声を聞いていたからか いつしか俺は絶対に色々なところを 飛び回れるような仕事がいいと思いある 専門学校に 進学その後その分野の職についたものの やりたいだけでやれるほどその業界は甘く はなかっ たとある企業に入社したもののそこからの 下積みそして新人研修は雑用の繰り返し だった基本ができてこそデザインができる ようになるという理念を掲げてのその地道 な鍛錬が行われていたようだがそれなら デザインを何度もした方が腕が上がるん じゃないかと俺は常々不満を思ってい たそれでも学生の頃から色々な企業から目 をかけられていたような学生はそのまま すぐにデザインに取りかかっせてもらえて いたので実力のないものはまず実力のある ものの補助をしろという意味も兼ね備えて いることは十々承知してい たしかしもちろん俺はそんなことではめげ なかった努力の買いあてかそれから2年後 俺はやっと少しだけ本格的な業務を任さ れることとなっ たしかしその後先輩の元についてビしばし 仕事ができるように色々教えてもらった もののいつも言われるの は君この業界に向いていないよという言葉 だった仕事というのはというものがある 程度必要なものもあるそれは営業製造販売 どんなところでもほとんどの仕事がそうで はないかと 思うしかし俺には努力したい気持ちや根性 真面目に言われたことをやり続ける姿勢は あったもののセンスに関しては空きだった らしいいつも会社の先輩や同僚から はなんだこれは 全然ダメじゃないかほらあいつの作った 資料を見てみろお前とは全然違うだろお前 の作るものはいつも俺たちの欲しいものと は違っているだからあいつやあいつを参考 にもう一度やってみろと言われてばかり だっ た先輩の言う通りできる同僚の作った資料 を参考にして再び資料を作り直してみる もののやはり今毎ということで俺の社内 評価は最悪だっった結局その会社には4年 ほど務めたがどんどん後輩に抜かれていっ たこともありもうダメだしばかりされる 毎日にも疲れきってしまっ たそのため俺は26歳にして全く関係の ない営業職に転職したというわけだった 全く経験のない俺を雇ってくれた人事部の 人たちには感謝しか ない普通なら経験のあるやつやもっと 爽やかで快活そうなやを選ぶところを全く 接客などしたことがなかった平凡な おっとりした俺を雇ってくれたんだ から彼らの恩に報いるためにも俺は毎日精 一杯働いていた幸いにも営業食は思いの他 俺の証に会っていたらしく先輩たちに言わ れたことを守りながら営業回りをしている と次第にうまくいくことが増えていっ たそれでもノルマや成績の争いというもの はあってギラギラしている様子を見ている のは結構しんどかったけどそういうことを 気にしないで俺はお客さんに圧の強い営業 をしないことだけを心がけてい たされたら嫌なことはしないの精神は営業 にも通じていると思うし押売りタルが うまいのはコミュニケーション能力が高く 顧客をいい気分にさせられる人たちが少々 強引に進めてもそれじゃあ君からならいい かなとなって買うものだと思っていたから 俺はそういうのなしで買いたいなと思った 人に買って欲しいと思っていたからあまり 営業成績自体は良くなかったけど行き先の 人たちとはみんな笑顔で別れられることが できてい たそんな俺の評判はなかなかいいものだっ た らしいそれに前ダメでも次行ったら契約し てくれるなんてこともざにあったため俺は 根気よく付き合い続けることの大切さを この会社で学ばせてもらっている気がし た話は戻り改札を通り駅近くのコンビニに 入ると見たことのないデザインのエナジー ドリンクとカパを買って店を 出る体は適度に疲れていたがなんとなく その日は早く帰りたくないと思いしばらく 電車が来るまで駅近くをプラプラしてい た何分か経つと急にドっと疲労感が 押し寄せてきたため再び会社の最寄り駅 までの切符を買い改札を通って次の電車 まで何分あるかを確認し た幸ここは関東の田舎の方ではあるものの そんなに電車の本数が少ないわけでも なかったのでしばらく待っていると電車が やってきたその電車に乗り20分ほど窓の 外を眺めているといつの間にか少しだけ 眠っていた らしいふと次の駅名が表示される場所を 見ると俺の家の最寄り駅まで来てしまって い たまずい早く折り返さと乗り過ごしたのが バレてしまう俺は慌てて立ち上がるとすみ ませんと言いながら人混みをかき分け少し ドアの近くに移動し た幸い会社と俺の家の最寄り駅はそんなに 遠くなかったためすぐ引き返して電車が すぐにあればそんなに時間はロスしない俺 は祈るような気持ちでスマホを取り出し 手早く時刻表を確認するとあと4分後に 反対方向に行く電車が到着すると表示され たこれに乗ればそんなに遅れないはずそう 思いながら俺は電車が駅に到着するのを今 か今かとそわそわしながら待っていた日中 なのにその日は夜景に電車内は混んでいて ああもしかして今はみんな春休みの時期か と思った 懐かしいな昔も俺はこうやって長期休みを 楽しんでいたのかと思うと学生時代の色々 な思いが蘇るようだっ た友人たちと騒いで部活してお腹が空い たら帰ってご飯を書き込んでいた中高 時代男子というのは嫌いだけど一緒にい たりということが女子よりは少ないため 苦手な奴と一緒にいるけど1人よりはマ なんて風に悩むことがないので楽だと思う 1つ年下の妹は女同士の仲良くしている ふりだとか気の強い子からの嫌がらせとか 機嫌を損ねないようにとか色々大変そう だったけど俺はそういうことでは悩んだ ことがない気が合わないと思ったら距離を 取ればいいし気の合わないやばかりの クラスならでいればいい周りの目を気にし なければ1人は案外休まるしいいことも あるだが女子というのはそういうわけには いかないらしいいつも同じグループの リーダー格の女の子の機嫌を伺って疲れて いた妹に嫌なら離れればいいじゃんと言う と私たちは男子みたいに楽じゃないのそう やって簡単にに離れられるものじゃないし すぐ1人になるんだからねとすごい見幕で 怒られていたふーん女子って本当に大変な んだなと言うと妹は男子はいいわよねお 気楽そうでと言ってため息をついていたっ けそんな風に人間関係であまり苦労してこ なかったからだろうか会社に入ってからは 色々な欠点を持つ同僚や先輩たちとうまく やっていかなくてはならないため仕事以外 の疲れもなかなかひどかったように 思うでも少し一緒に働いていればよほど嫌 なやでない限りお互いに足りない部分は 許し合いフォローし合うようになるもので あるそのため成績が悪いということ以外は 困り事といえば少し容量が良く嫌な仕事を したがらない奴がいることくらいだっ たしかしそういう人はどんなに普段性格を よく見せていても次第に孤立していくもの で ある気づいたらそういう人は大抵やめて いくのを俺たちは知っていたため嫌だなと 思いながらも次第に何も言わなくなる何も 言われなくなったら実は終わりというのは 本当でみんから見捨ているためにそこから の成長は見込め ないそんな環境に嫌気がさしてやめていく のだろうが自業自得だ今までのそういうや の顔や一緒に働いた思い出なんかを 思い出しながら折り返しの電車が来る ホームまでダッシュしていたら駅の近くに うろうろしている外国人らしき女性が見え てき た彼女は大きなバックパックを背負い キョロキョロしながらその場をうろうろと して いるしかし俺は彼女を目の端に捉えながら も急いでホームへの階段を駆け降りたする とすすみません誰か助けて くださいとその女性が叫び出したのだまだ 俺の乗る予定の電車は到着していないもう 時間がないため俺は彼女のことは見てみぬ ふりをしようかと思ってい たしかしここで社長や先輩たちの顔が 浮かんでくるこういう時多分説明したら 分かってくれるだろう人たちだったので俺 は電車に乗らずその人を助けることにした というか一瞬自分が怒られないことを優先 しようとはしたものの結局そんなことをし ていないでさっさと帰って来いという会社 でも俺は彼女のことが気になってしまい 結局助ける道を選んでいたように 思う俺は急いで階段を駆け上がり駅の ホームへと改札を抜けるとダッシュでその 女性の元にかけつけ たあのすみません息を切らしながら必死に 走ってきた俺の姿を捉えるとその女性は 最初驚いた顔をしていたがすぐに ああもしかして私の声を聞いて駆けつけて くれたんですかとすがるような表情で行っ てきたあああはい何かとてもお困りのよう だったのでそれで一体どうしたんですか なるべく分かりやすい敬語で俺が話して いると彼女は あああの私電車を間違えてたみたいで東京 駅に行きたかったのに気づいたら全然違う 景色になっていってあれてなってたんです 東京は高いビルがたくさんって聞いていた からすみませんここって東京ではないです よ ねどこをどう間違ったらここにたどり着い たのか聞くとはなは携帯の充電が切れて しまったらしく充電する暇もないまま足の 時間が近づいてきてしまったため適当に 電車に乗ってしまったのだという焦ってい ても駅員さんに聞けばいいのにと思ったが 駅員さんはどうも他の客の対応で時間を 取られていていつまで待っても対応して もらえなそうだったということらしかっ たどんどん景色が田舎っぽくなっていくの にその電車に乗っている人はハンナの 派手めな格好や日本人ではないということ から敬遠されてしまったらしく電車内で これはどこ行きの電車なのかと聞こうとし てもみんな言葉が通じないと思ったのか それとなく逃げる人ばかりだったのだと いうあまりにも運が悪すぎるしかしハナは そんな日本人の態度におじ気づいてその まま黙って電車に乗り続けていたことを 後悔していたああ 急いでいるからと言って電車に乗らなきゃ よかったあのここから東京まではどれだけ かかります かそれに対し俺が大体の所要時間を答える とはなは えそれじゃ絶対に間に合わないどうしよう 今日はとても大事な仕事の打ち合わせが あるのにこれに遅れたら大きな契約がダメ になっちゃうかもしれないのにどうしよう どうしようと言っておろおろし出した ああでもこれは電車の乗り継ぎとかの時間 も含めての時間なので車で行けばもっと 早くつけますよと言うとハナは本当ですか じゃあタクシーでと言って財布を取り出す がその中には5000円ほどしかないこれ で足りますか とハナは財布の中を見せてくるが明らかに 足りなかっ たそこで俺はあることを思いつい たそうだここから俺の家が近いんで東京 まで送っていきます よそう言うとはなは申し訳なさそうな顔を してしばらくオロオロしていたが本当に他 に手はないとすぐに思った らしくごめんなさい自分の国な お金はなんとかなるんですけどここでは 自分の国でできることができなかったり するのでうまくいかなくてあのお願いして もいいですかと頼んできたわかりました ちょっと車を取ってくるので待っていて くださいそう言うと俺は駅から1kmほど の距離を出手した徒歩9分などと言われて いるが普段から体を鍛えることが好きだっ た俺はなんなくすぐに到着することができ た急いで車のキーを手に取り車に乗り込む とエンジンをかけ車を発信させる駅の ロータリーで待っていてと言っていた通り 彼女は焦った顔をしながら1人心細そうに 丸いロータリーの真ん中で俺のことを待っ ていた駅に到着するとすぐにぷと クラクションを鳴らし窓を開けて彼女に手 を大きく振っ たすると彼女は満面のエミを浮かべて俺の 車が止まっているところに駆け寄って くるガチャと後部座のドアを開けると彼女 はありがとうございます本当に本当に 助かりましたどうぞよろしくお願いします と言って大きな荷物を押し込み 自身も乗り込ん だ急いでいるところごめん発車する前に 少し会社に電話をかけてもいいかなと言う と彼女はもちろんと頷いてくれたので俺は 急いで会社の番号をタップし発信ボタンを 押したプルルル プルルル参考ほど鳴った 後おい上野お前一体どうしたんだもう そろそろ帰ってくるかと思っていたんだが 何かトラブルでもあったのかと開校1番 先輩は心配してくれた申し訳ありません実 は東京にどうしても外せない仕事の用事が ある外国の方が駅の近くにおりましてあと 2時間ほどで東京駅に到着しないといけ ないみたいなので電車だと絶対間に合わ ないんですでも車ならそれよりはかなり 早くつつけるので あのこの方を東京駅まで送っていっても いいですか帰っても仕事は他にもあるなの に先輩は分かった社長にすぐ確認してくる から待って くれと言ってくれたそれから数分ほど待っ ているとああ上野社長が見知らずの土地で そんなに困っている方がいるのならそちら を優先してあげてほしいと言っていた だから気をつけて送り届けてあげてなそれ じゃと言って先輩は電話を切ったやっぱり 思ってた通りだったこの会社の人たちは 仕事もできるのにこういう場合に自分たち のことより困った人を助けてあげてと言っ てくれるそんな温かい心を持った人たちな ん だそのことを知っていたから俺はすぐに 気持ちを助けようという風に切り替えられ たん だ俺は後部座席の方に 振り向き会社思った通り送ってあげて 欲しいと言ってくれたので大丈夫でした それじゃ急ぎましょうかとにかっと笑って 言うと彼女は信じられないという顔をした 後 ああ本当ですかありがとうございます ありがとうございます と何度もお礼を言ってくれたそれから俺は 車を発信させなるべく早くつつける方向へ と走り出したやっと安心できた彼女は走行 中に自分のことを話してくれた彼女の名前 はハンナ現在29歳で色々なところを 飛び回る仕事をしている らしいそして今回は日本にいる自分の尊敬 している師匠的な存在の人に会いに来たの だとはなさんは話してい た仕事のことを話すはなさんのキラキラし た表情を見ていると俺はしたくて飛び込ん だ前職のことを思い出していた ああ自分もやりたいだけで飛び込んだあの 世界でもっと活躍できていたら今どんなに 楽しかっただろうかもっと人生が輝いてい たのではないだろう かそう思うことは何度もあっ たそしてそういう後悔というのは大抵思考 が空虚になる運転中とか夜の時間などに 訪れる彼女が尊敬するかつ今回仕事を一緒 にすることになったという師匠の話をして いる時俺はなんだか羨ましいような悲しい ようなひりひりした気持ちになってい たしかしここであることを思いつく そういえば俺も若い頃から色々な場所を 飛び回る仕事をしたいと思っていたんです よと言うとはなさんは嬉しそうな顔をして そうだったんですねそれでお仕事は何をし ているんですかあアパレル関係で営業をし ているんですそうなんですね大変なお仕事 でしょうが大事な役割だと思いますああな のにお仕事中にごめん なさい仕事の話になりまた申し訳なさが 募ってきたのか慌てて謝り始めるはなさん に俺は笑ってあ俺がしたくてしているんだ からいいんですよさあここからもう謝るの はなしですよければもっとはなさんの話を 聞かせて くださいと言うとはなさんは再び嬉しそう な顔をして自分の住んでいる国の話や町の 話休日は料理をしたりカフェ巡りなどをし て過ごすことを教えてくれ たはなさんは謙虚ながらに明るくはなさん が楽しそうに話しているのを聞いている だけでこちらまで元気が湧いてくるそんな 女性だっ たきっと友人もたくさんいるんだろうな なんて思いながらはなさんの話を聞いて いる いつか海外に行ってみたいなと思っていた 気持ちが再びむくむくと湧いて くるそして気づけば彼女の話をもっと 詳しく聞いてみたくなりそれでその町は どんなところなんですかとかどんな食べ物 をよく食べられているんですかとかはな さんの住む土地のことそこでの生活習慣 どんな服を来ているのかなど色々質問して いるとあっという間に東京近くまで たどり着いてい た東京駅が近くなるとはなさんは ああここでもう大丈夫ですあの時は困って パニックになって大きな声で助けを求めた けどこんなに親切にしてくれるなんて思っ ていませんでしたそうだ今度来た時お礼が したいから名前と連絡先を教えてくれませ んかというのでそんなのいいですよほら 約束の時間に間に合わなくなったらだめ でしょ早く電車に乗ってくださいと返した するとはなさんはそんなわけにはいかない ですあそうだあなたの会社のああの ビジネスカードくださいあなたの会社の 名前と名前が書いてあるやつですと言っ てかないので俺は名刺入れを取り出しその 中から1枚引き抜いて彼女に手渡したする と本当に助かりましたタイガ ありがとうと言ってブブと大きく手を振っ て改札の方に走っていったのだっ たなんとか間に合いそうでよかったなよし 会社に今から戻ると電話をして急いで帰ろ それから俺はすぐに会社に電話をかけて 無事はなさんを送り届けられたことその 結果はなさんが仕事の約束に間に合いそう なことを伝えたすると先輩はほっとした ような声でそれならよかった無事そっちに 着いたみたいで何よりだよ社長も喜んで くれると思うそれじゃ気をつけて帰って こいよと言ってくれた 最初自分が思い描いた道とは違う今の仕事 だが先輩や社長の言葉を聞いてやっぱり この会社に入ってよかったと思ってい たそれから記者すると俺は遅れた分の仕事 も取り返すかのように働いてその日は帰宅 し たそれからはまた営業営業ノルマの日々 ああいう時は優しいけれどり俺が営業 ノルマをなかなか達成できないことに関し ては先輩たちも渋い顔をしていることが 多かっ たしかし俺は自分の営業スタイルを変える ことはしようと思わなかっ たこのスタイルで信頼や安心感を積み上げ た結果うちの商品を買いたいと思ってくれ た人に買ってもらえたら いいその信念を胸に時に苦言を呈される ことがあっても 俺は必死で取引相手のことだけを考え働き 続けてい たそれからほどなくして俺がいつも通り朝 出社すると会社の近くに大きな黒塗りの 高級車が止まっているのが見えたうちの 会社に誰か偉い人が来ているのかと思い ちょっと緊張しながらその隣を通り すぎようとすると会社の入口にスラっとし た背の高いスーツを着た外国人女性が立っ ているのが見えたそのスーツは少し遠目 から見ても分かるデザインの良さが際立っ ており彼女の地位を示しているかのよう だっ たまだ朝早いため会社の受付は空いてい ないそのためか女性はキョロキョロと辺り を見回しながら誰か目的の人物を探して いるようだったよくあるウェブのかかった 綺麗な金髪にすらっと高い 身長誰かなと思い彼女の横を通って会社に 入ろうとしたその 時タイガー見つけたと言って満面の笑顔で はなさんが勢いよく飛びついてきた前の 少し遠慮したような感じとは違い テンションの高いハナさんに少し圧倒され たものの彼女にまた会えたことが嬉しく てハンナさんまた日本に来ていたんですね またあえて嬉しいですと言うとはなさんも ニコっと笑って私もよまた仕事で日本に 来ることになったから絶対大雅に会おうと 思ってここに来たのよと言って俺をぎゅっ と力強く抱きしめた彼女はなかなか力が 強かったがその抱きしめ方から本当に会え たのが嬉しいことが伝わってきてなんだか 俺の胸がじわりと温かくなってくるそう だったんですねわざわざこんな田舎の方 までありがとうございますあそういえば前 の約束にはきちんと間に合いましたかそう 尋ねるともちろんよあの後約束していた人 と一緒に仕事ができることになってもう 本当に最高のなの彼女ね時間とか約束した ことを守る守らないってことに厳しい人 だったからタガが助けてくれなかったら私 きっと彼女の信頼を失っていたわ本当に 大雅は私の恩人よああそれでね今日は もちろんお礼を言いに来ただけじゃないの ねえタイガあなた私に何か隠していること は ないそう言って俺の方をちらりと意味な笑 を浮かべて見てくるはなさん俺はその時 まさかと思ってひやりとしたがすぐに何も 悪いことをしたわけじゃないと 思い直しままさか俺が元デザイナーだって ことを知ってと恐る恐る聞いてみたすると 当然よ帰国してからすぐあなたの名前を何 度も索していたからねと返してはなさんは パチンとウインクをしたななんで分かった んですかああだってあなた私が仕事の話を した時かなりバックミラーから見える目に 力がこもっていたというかなんか雰囲気が 変わったのを感じたのよねそれにやたらと 専門用語を出しても全て分かっている風に 私の話についてきたしそう言うと俺が よほど変な顔をしていたのかはなさんは ふふっと笑ってこう言葉を続け たまああとはなんとなくかかな話している となんとなくこの人は旅が好きそうだなと かクリエイティブな感じって分かるのよね これ友人が言うには私の特技みたいなんだ けどだからもしかしてって思ってあなたの 名前を検索してみたのそしたらあなた数年 前までデザイナーをしていたって言うじゃ ないそれでネットで見れた分だけタイガの デザインした服を見せてもらいましたそう したらもう素晴らしく個性的なデザイン ばかりでびっくりしたわあなたのデザイン は日本のファストファッションによくある ような星的なデザインとは合わないわ あなたのデザインをうちに取り入れたいの ね是非うちのブランドで働いてみ ないそう目を輝かせて言うはなさん俺はと 言うと1度無理だ無理だと言われ続け心が 折れてい たかつての夢の世界にまた戻れる可能性が あるという話をされただただ方針してい たする とどする迷うということは今のあなたが 勤めている会社もきっといい会社なん でしょうそこで気持ちよく働くことも悪く ないと思うわでもうちに来たらきっと刺激 的な毎日が遅れると思うわよどう近々うち は大きな賞を開催するのよそれにあなたが 作ったドレスを出してみたいと思ってるの それくらい私の我が者の社長はあなたの デザインを買ってるあもしこの話に乗って くれるというのならこの連絡先に電話して ねもし来る気になったのなら空港まで迎え に行くから一緒に素晴らしい服をもう一度 作ってみましょうよますぐに返事はでき ないと思うからいい返事を待ってるわそれ じゃあまたね俺がまるでもう一度会いに 行くかのような言葉を残しハンナさんは コツコツとヒールを鳴らし歩いていくと その高級車に乗り込みあっという間に 走り去ってしまった途中からその様子を見 ていたらしい先輩たちが俺に駆け降り なあ上野お前すごいじゃないかあの有名な パリデザイナーのハンナさんにスカウトさ れるなんてこんなチャンス滅多にないぞと 興奮した様子で話しかけてくる しかし俺はその話にすぐに飛びつけほど やっぱり自分のデザインに自信がなかっ たそれから2週間ほど俺は悩みながらも元 の会社で働き続けていた受けるにしても 受けないにしても彼女から返事をする期限 だけは聞いておけばよかったいや気づいた 今すぐにでも聞いておかなく ちゃそう思いその日の終業後スマート フォンを手に取るとその瞬間再びはなさん から電話がかかってきたんだももしもし ああタイガ久しぶりねあれからあなたから の返事を待っていたんだけどなかなか返事 がないものだからまた私から電話をかけ ちゃったそれでどう返事は決まっ たはなさんの問いかけに俺はしばらくりん でしまったはなさんとあの有名ブランドの 会社の社長は俺が作り出したどこに こびようともしていないありのままの デザインをいいと言ってくれただからもし あっちに行っても前のように思ったままに デザインを書いてそれを受け入れて もらえる可能性は前の会社にいた時よりは 格段に高いん だろうでも俺はデザイナーをやめてから 大分立ってしまっているその間に俺の中に ある独創性はなりを潜めかなり凡よなもの しか書けなくなっている可能性がある俺は それを不安に思っていたんだだから せっかくビッグチャンスをつめそうなのに こんなに返事を引き延ばしてしまって いる今のまま怖がっていたらまた夢を心の 奥底に押し込めて平凡な毎日が 始まるもちろん無理なくきちんとこなせる 仕事があって周囲の人たちがいい人ばかり で環境に恵まれていることはとても重要な こと だでも俺がしたいことってなんだ平凡で 穏やかな毎日か夢を追ってもう一度 チャレンジし続ける毎日 かしばらく黙って悩んでいたもののああ いくらいいでデザインが書けるからと言っ てもまだ決断できないのなら仕方ないわね それだけ悩むということはまだ日本に残り たい気持ちも強いんでしょOkまた気が 変わったらこの番号に電話してとはなは そう言って電話を切ろうとしたでも俺は そこでやっと自分の本心に気づいた海外 生活は大変だとかそこで結局できなかっ たら前の会社と似たような扱いになって しまったらそれなら今の安定した生活の ままでもいいんじゃないか前の失敗と学生 時代から個性だけがありすぎて実力が伴っ ていないと先生たちから国表されてきた ことそれが俺の心を沈ませていたでもはな さんたちは違う ハナさんたちは俺のデザインをいいと言っ てくれたんだそれに芸術というのは例えば 絵でも受け取り手の解釈や価値観1つで その価値は変わって しまうそれならいいと言ってくれた相手の 懐に飛び込んでみたっていいんじゃない か最初は誰だって自分の表現するものが いいと言われるか分からない中でどこかに 所属するものだなら 俺はいいと先に言ってもらえている分まだ 安心材料が少しだけあるじゃないかダメだ と言われたらそこでまた修行すればいい今 の安定した生活よりは苦労するだろうけど それでも いいはなさんが再び電話をかけてくれた時 俺の心には熱い何かがほとばしってい たそれを分かっていながらまた迷うなんて もうやめよ彼女から手を離されそうになっ た時俺はやっと色々なこじつけから 解き放たれ自分の中に眠る本心を 呼び覚ますことができ たはなさん待ってください俺そっちに行き ます電話が切れるか切れないかすれすれの ところで俺がそう叫ぶとそうじゃあ6日に A空港に来てね待ってるから そう言ってはなさんは嬉しそうに電話を 切っ たそれから2週間後俺は指定された空港の ゲートに立ってい たそれから数ヶ月後俺は2枚のドレス デザインにオッケーをもらい見事有名な賞 でそのデザインのドレスを出してもらえる ことになったデザインの腕はやはり多少 鈍っていたもののその会社の社員さんたち に少しアドバイスをもらって手直しした ところすぐにいいねと言ってもらえ社長 からもOKが出たから だやっぱり私の見立てた通りねまさか こんなことになるとは思っていなかった けどあなたが頷いてくれてよかったわ タイガうちに来てくれて本当に ありがとうとハンナも嬉しそうに言って くれて いるこの出会いは運命だったのか分から ないがみず知らずの女性を助けて今はそれ よりもとても大きな恩返しをしてもらう こととなっ た彼女から受けた恩を返すべくこれからも この会社で頑張っていきたいと思って いるほらさっさと出ていけよここはもう お前たちの喫茶店ではないん だ大家のイさんの声が喫茶店の中に響いて いる俺と妻のまり子は寂しく空っぽになっ た店を見渡した一生懸命頑張ったけどここ までか俺はこの店を守ることができなかっ たじいちゃん ごめん俺はため息をついてまり子と一緒に 店を出ようとしたするとその時俺たちの目 の前に主が現れ驚きの展開に発展すること になるのだっ た俺の名前は山口弘樹33歳で現在は喫茶 店のオーナーをして いる喫茶店と言っても大きなお店ではなく テーブル席とカウンター席が数席しかない 小さな店だ店の中には昭和時代のテーブル セットが配置されグラスを連想させるよう な照明アンティーク調のマグカップなど 昭和レトロという言葉がふさわしい店に なって いるこれは全て祖父が大切にしてきたもの ばかりだ祖父は50年前にこの喫茶店を 開業し1人で切り盛りをしてきた豆から 引くこだわりのコーヒーに自分で位置から 作る軽食など祖のこだわりが詰まった店 だったのだが今は俺がこの店を継いで いる2ヶ月前まで俺は会社に務め普通の サラリーマンをしてい たまり子と結婚もして平凡だが幸せな生活 を送りこのまま何事もなく人生を終えるの だと思っていただがそんなある日のこと 祖父が既得と連絡が入った急いで病院に 駆けつけたがもうすでに祖父は多して しまっていた俺は祖父の顔を見て涙が 止まらなかった祖父は俺にとっては大事な 存在だったから だ俺の両親は共働きで忙しく家にいる時間 が短かっ たそのため祖父が親代わりになり俺を育て てくれたのだ一緒にたくさん遊び宿題の 手伝いもしてくれた 俺は祖父が大好きだっ たそんな祖父は喫茶店を経営していたので 俺は幼い頃から祖父の喫茶店で過ごす時間 が長かっ た両親が自宅に帰ってくるまで俺は喫茶店 で本を読んだり喫茶店のお客さんやソフと 話したりして待っていたの だ祖父は寂しそうにしている俺によく クリームソーダを作ってくれた 大きなグラスに並々のメロンソーダ大きな バニラのアイスクリーム真っ赤なチェリー を乗せたクリームソーダは俺の大好物だ 祖父は俺を喜ばせようと必死だったの だあの店ももう畳むしかないなあそう ね祖父の葬儀中両親はそう言って顔を 見合わせた祖父の店が閉店 そんなのは絶対にダメだ祖父が大事にして きた喫茶店は俺が絶対に守って みせるそんなに簡単に畳んだりなどさせ ない父さん 母さん俺にじいちゃんの喫茶店を継がせて くれないか な両親は驚いて目を丸くして俺を見て いる喫茶店のオナをするのは大変なことな んだぞ大丈夫なのかそうよまり子さんも 賛成するかわからないわ よ両親は2人揃って俺の意見に反対して いるようだったが俺は2人を説得したの だ大変なことは分かっているけど俺はあの 店を守りたいんだ絶対に父さんや母さんに は迷惑をかけないようにする から俺の強い熱意に押された両親は俺が 喫茶店を継ぐことをしぶしぶ了承してくれ た だがまり子が賛成するかはまだわからない 俺は心配になりながらもまり子にこのこと を伝えるとまり子は俺の意見を尊重して くれ てあなたが決めたことだったら私も全力で サポートするわと言ってくれたのだっ た俺は会社にすぐに退職届けを提出書類上 の手続きを全て終えた俺は親から喫茶店の 鍵を受け取りまり子と一緒に喫茶店に入っ た店の中にはまだ祖父の匂いが残っていて 昔のままの大好きな喫茶店が残ってい た今日からここが俺の新しい職場だこの時 の俺は祖父がいた頃の活気をまた取り戻し てみせると生き込んでい た物心つく頃から祖父の仕事を見ていた俺 は大体のことはできるが本格的なコーヒー や軽食などの知識がないさてどう しようそう思っているとまり子が一冊の ノートを持って俺に見せてきたそのノート の表紙には弘樹へと書かれて いるこのノート作業台の上にあったの あなたのために用意していたのね 俺は驚いて言葉を失ったノートの中には 本格的なコーヒーの入れ方やドリンクと 軽食のレシピなどこの店に関係する全ての 情報が書かれてい たさらには喫茶店を利用する常連のお客 さんの情報も細かく書かれてい た祖父は自分がこの世にいなくなり俺が この店を継ぐことになるのをまるでさして いたかのようだ祖父の生前は俺も仕事が 忙しくなってしまい祖父のこの喫茶店を 訪れる時間もなかったが祖父はきっと俺に この店を継いでもらいたかったのだと 思うあなたがこの店を継ぐ時に困らない ようにしてくれたの ねまり子は涙組みながら話している俺は ノートを握りしめ祖父に心から感謝をした のだ 今日は店を掃除して明日からまた店を オープンさせようと思っていた俺たちは壁 や床棚やテーブルなどの吹き上げを行った がどこもほとんど誇りは溜まっておらず 綺麗な状態 だいかに祖父がこの店を綺麗にしていたか が分かったその時店の扉が勢いよく開き 1人の男性が店の中に勝手に入ってきた 体格がよく60代くらいの男性だったお客 さんだと思った俺は焦りながらも申し訳 ないですが今日はお休みなんですと言うと その男性は軽減そうな顔して俺の方を見て き た俺は客ではないこの店の大家のイ だ俺とまり子はその男性が大家だという ことは知らなかった この時に初めて知ったのだ深深と頭を下げ てすすみませんこれから祖父に変わり僕と 妻がこの喫茶店のオーナーをすることに なりましたよろしくお願いしますと言った のだがその男性は笑い出し たお前たちがこの店のオーナーだと ちゃんとこの店の賃料を毎月払っていける の か稲さんは俺たちのことをまじまじと見 ながら腕を組み始め たきちんと賃料を払っていくつもりですご 迷惑をかけないようにしますの で俺の言葉を遮るようにイさんは驚くこと を口にするのだっ たやっとあの頑固じじいがいなくなったと 思って喜んでいたのにまさか孫のお前が この店を継ぐなんて信じられんよ景気も 悪いし賃料は今月から値上げするからな え賃料の値上げが嫌なんだったらこの店を 買い取れよまお前たち貧乏人には一生 かかっても無理だろうけど な賃料を値上げするなんて話は聞いてい ない値上げされてしまったらこの店を継続 していくのはさらに難しくなってしまう だろう俺とまりこが困惑しているとイさん は笑いながら店を出ていっ た俺は椅子に座り込み深くため息をつい た大家だからと言っていりすぎねでもやる と決めたからにはやるしかないわ一緒に 頑張り ましょうまり子の言葉に救われたそうだ もうやるしか選択しはない頑張って喫茶店 を盛り上げていつかこの店を買い取って みせる 俺は心にそう誓ったの だ次の日俺とまり子は回転の2時間前には 準備のために店に入った祖父が残してくれ たノートを何度も見返していた俺とまり子 はスムーズに準備を済ませることができ た回転まであと少しとなった時店の扉が 開き2人組の老夫婦が入ってきた俺が席に 案内しようとするとその夫婦は慣れたよう にテーブル席に座っ た君が弘樹君だねおじいさんから話は伺っ ているよ君がこの店を継いでくれたと知っ たらおじいさんは泣いて喜ぶ よ老夫婦はそう言って涙ぐんでいる祖父は 常連のお客さんに俺のことを言っていたの か俺が祖父に愛されていたという証拠だ なそう思うと胸が熱くなるのを感じた同時 に俺は祖父のノートに書かれていた常連客 の名前を思い出していたこの夫婦はきっと 赤坂さん夫婦だろうノートには赤坂さん 夫婦がよく注文するメニューや好きなもの などが書かれてあり毎日来てくれる常連の お客さんだとも書かれてい た赤坂さんですね今日もブレンドとトスト でよろしいですか祖父がノートにお客さん の情報を書いて俺に残してくれていまし た赤坂さん夫婦は驚いて目を丸くしている そしてすぐに 微笑みおじいさんがやりそうなことだね 本当に君のおじいさんはいい人だった注文 はそれでお願いするよと言っ た祖父は頑固な一面もあったがに優しく 人望も熱い人だった赤坂さんの言葉を聞い て俺は祖父のことを誇りに思ったのだ赤坂 さん夫婦のテーブルにブレンドコーヒーと トーストセットを置くと夫婦はすぐに食べ 始めた俺とまり子はそばでその様子を 食い入るように見ていた祖父が残してくれ たレシピ通りに作ったが少し心配だった からだだがかかさん夫婦はブレンド コーヒーを口に入れた瞬間笑顔になっ たおじいさんの味ね おいしい本当だなあおじいさんの味その もの だ俺とまり子は心の底から安心した倉庫し ているうちに店は常連客で賑わってき たここが再開するのを心待ちにしていたの よここのコーヒーは本当においしいから ね常連のお客さんたちは口々にそう言って 俺の入れたコーヒーや軽食を食べてくれ たまたこれからも来るよおじいさんのため にも頑張るんだ よ赤坂さん夫婦はそう言って店を出ていっ た最初は不安しかなかった喫茶店経営だっ たが赤坂さん夫婦や他の常連のお客さんの 一筋の希望が見えた気がした喫茶店に来て くれるのは祖父の時から通ってくれている 常連のお客さんばかりだったが客足が 途切れることはなかった喫茶店のオーナー になり1ヶ月が過ぎようとしていた頃 まり子が困惑した顔して俺に驚くことを 言ってき た賃料が上がったせいで今月は赤字になり そうだ わ俺は自分の耳を疑ったえこんなに常連の お客さんが来てくれているの にまり子は静かに 頷く実は祖父は利益をあまり求めておらず お客さんが良い気持ちになってくれたら いいというような人だったためコーヒーも 軽食もどこよりも安くお客さんに提供して いたのだ祖父の頃は賃料も安かったため それでもやっていけたのだろうだが 値上がりしてしまった今は祖父が店に出し ていた値段では到底やっていけなかったの だ今更そのことに気づいた俺は絶望感で いっぱいになってしまっ たとりあえず赤字の部分の補填は貯金を 切り崩すしかないな今月は仕方ないけど 来月からコーヒーとか軽食とかの値段を 見直さなければいけないわね まり子の言っていることは正論なのだが俺 はどうしても値上げしたくはなかっ た祖父の味を求めて通ってくれている常連 のお客さんに申し訳ないと思ったから だ値上げはしないよ俺がなんとかする から俺の言葉を聞いたまり子は大きな ため息をついた があなたのおじいさんが貫いてきた値段だ ものねわかったわ違うところで経費削減し ましょうと言って賛同してくれたそれから まり子が徹底的な経費の見直しをしてくれ たおかげですれすれではあったが赤字には ならなくなってきたのだっ たしばらくしていつものように喫茶店に 出勤し回転の準備を始めるとイさんがまた 突然店に入ってき た俺とがちょうど床の吐き掃除を始めてい た時だっ たこの店も回転してからもう50年経つ だろうそろそろ修繕工事をしようと思って いるんだだから工事代の200万円を準備 して おけよ俺とまり子は顔を見合わせて言葉を 失った 200万円祖父からこの店を引き継いで そんなに紐も立っていないのにそんな大金 があるわけがないそもそも修繕工事するか しないかは俺が決めることではないのか俺 は不審感でいっぱいになってい たあの修繕工事はありがたいですが 200万って大金すぐに用意はできない ですよですので修繕はお金が溜まってから でも大丈夫でしょう か俺の言葉を聞くなりイさんは大きな声を 出した 俺は今すぐに修繕工事をしたいんだよ金が ないなら早く出て 行け稲さんのあまりの迫力にまり子は 後ずさりしているそんなことを言われても ないものはないの だわかりましたなんとかしてお金を作り ますのでもう少しだけ待ってもらえません かイさんは下打ちをしながら俺を見 たこっちはお前たちみたいな貧乏人にこの 店舗を貸したくはないんだよお前たち みたいなのに貸さなくても借りたいと思っ ている人たちは5万といるんだ1ヶ月以内 に金が用意できなければこの店から出て いけ分かった なわ分かりまし たイさんは怒りながら店を出ていった 静まり帰る店内で子が泣き始めて 1ヶ月で200万って大金用意できないわ よ私たちどうなってしまうの かしらまり子が不安になってしまうのは 仕方がないことだ俺がこの店を継ぐと決め た時両親には頼らないと言ってしまって いるまり子の両親も年金生活だ俺たちが 頼れる人などどこにもいないの だ1ヶ月頑張って喫茶店を繁盛させて後は ビビたる貯金で200万をどうにかしよう とまり子に提案し たまり子は不安そうにしていたがすぐに 切り替え てなんとかして200万を作るしかないわ ね後悔しないようにやるだけのことはやり ましょうと言った俺は物事をネガティブに 捉えがちだがまり子は違うネガティブに なってしまうことも人間だからあるには あるがすぐにポジティブな考えに変換する ことが できる俺が悩んでいる時も俺のことを ポジティブに励ましてくれて今までに何度 もそんなまり子に救われてきたのだまり子 と一緒になれて本当に良かった俺は心から まり子に感謝していたの だこの日から俺とまり子はいつもよりも より真剣にをし たお客さんと一緒に会話を楽しむことを 心がけ提供スピードを上げて接客の効率を 良くしたの だそのおかげで1日の売上も少しずつ伸び ていったが200万にはほど遠い金額 だ俺もまり子も徐々に諦めモードになって いってしまっ た約束の1週間前の夕方喫茶店はお客さん が減り1日の終わりの閉店準備を始めてい た俺もまり子も口には出さなかったがあと 1週間で店を畳まなければいけなくなると 思いながら店内の清掃を始めていたの だするとそこに常連のお客さんではない 60歳代の夫婦が来店してき たこの店に常連ではないお客さんが来る ことは珍しい は夫婦にお冷やとメニュー表を差し出した 夫婦はとても感じが良くまり子に話しかけ て いるなんだか喉が乾いてしまいましてね クリームソーダを2つお願いし ます男性はまり子に微笑みながらそう言っ た暑い時はクリームソーダが1番ですよ ねまり子の言葉を聞き夫婦は笑った 俺はすぐにクリームソーダを作り始めた クリームソーダは俺も大好きで暇があれば 祖父は俺によく作ってくれたものだ両親が 忙しくて俺の相手ができず寂しい思いをし ている時に祖父は よくこのクリームソーダは元気になる薬な んだと冗談混じりに行って俺を笑わせて くれ たそんな思い出にながらクリームソーダを 完成させて夫婦のテーブルに運ん だお待たせしました特製クリームソーダ ですソフのクリームソーダは他の喫茶店の ものよりもはるかに大きなグラスに入って いてメロンソーダやバニラアイスもソフが オリジナルで作ったものになって いる俺もレシピを受け継ぎその通りに作っ ているのだ夫婦はテーブルに置かれた巨大 なクリームソーダを見て驚いて いるこんなに大きなクリームソーダは見た ことがないよまあ美味し そう2人は早速メロンソーダに口をつけた その瞬間男性の顔色が変わったのだ男性の 奥さんの方は ずっと おいしいと言って食べ続けている 俺は不思議に思い男性に尋ねることにし たどうされましたか大丈夫です か俺の言葉を聞いた男性は俺を無視して ひたすらクリームソーダを口に含んでいる 心配した奥さんは男性 にあなたどうしたのと聞き始めた男性は ようやく我に帰ったようでさんにこの クリームソーダ 懐かしいと小さな声でつぶやくように言い 始めた奥さんは不思議そうな顔をしている そして男性は大きな声でまり子にこの クリームソーダーもう1杯いただけない ですかと言ってきたの だ暑いからと言ってさすがにこんなに 大きなクリームソーダを2飲むとなると お腹が冷えてしまうだろう心配したまり子 は男性にさすがに牌は体に良くないですよ 他の温かい飲み物もありますよと優しく声 をかけたのだが男性は断固として首を縦に は振らなかっ た体は大丈夫だからクリームソーダを持っ てきてくださいわ分かりました 俺はすぐに2杯目を作り男性が待つ テーブル席に持っていった男性は待たして も美味しそうにクリームソーダを飲み干し たのだったそしてグラスを置くなり男性は 俺にこのクリームソーダ懐かしいなぜです かと尋ねてきたのだオリジナルのメロン ソーダとバニラアイスから作られている このクリームソーダは他の喫茶店では 食べることができないそのため懐かしいと いうことは祖父のクリームソーダを飲んだ ことがあるのではないかと思っ たこのクリームソーダは僕の祖父が考えた レシピで作っているのですがお客さん以前 にソフのクリームソーダを飲んだことが あるのではないです か俺の言葉を聞いて驚く 男性おじいさんの写真などはありますか [音楽] 俺は驚いたが店の片隅に置かれている写真 建てに入った祖父の写真を見せたすると 男性の目からは涙が次々と流れてきたの だその姿を見た奥さんも目に涙を溜めて いるあなたついに見つけたの ねやっと見つけたよこの人は私がずっと 探していたさんだ よ俺もまり子も顔を見合わせて何が起こっ ているのか理解できていなかっ たあなたのおじいさんはもうこの世には いらっしゃらないんですねははい2ヶ月前 に天国へ旅立ちまし た男性は寂しそうな顔をしたそして驚く ことを口にするのだっ た私は社会人になってから40年 全国の喫茶店のクリームソーダを飲み続け てきましたそれもこれも全てあなたのお じいさんに再開するためです え祖ですかはい実 は男性は大家族でお金に恵まれない家庭で 生まれ育った家族が多かったため毎日満足 に食事も取ることができなかったと いう毎日と買いながら1日1日を生き延び てきただがそんなある日のこと町を歩いて いると俺の祖父が優しく男性に話しかけて くれて自分の店に男性を入れ美味しいご飯 をご馳走してくれたそう だ食後には美味しいメロンソーダまで男性 に飲ませてくれたと いう男性は申し訳なく思いお金を払おうと したのだが祖父は決してそのお金を もらおうとはしなかったそれだけではない 祖父は男性 に家族も連れておいでご馳走してあげる からと言ったそうだそれからというもの 祖父は男性や男性の家族にご飯を食べさせ 続けたそう だご飯を食べることは生きていくためには とても大事なことだよ私が作るもので よかったらいつでも食べにお いで祖父は男性にいつもそう言っていた そうだそんな生活がしばらく続いたある日 のこと祖父は袋に入った多額のお金を男性 に渡し た私は違うところで喫茶店を開業すること になってしまったんだだから君にはもう ご飯は作ってあげられないんだよこのお金 を当面の食費にしなさい 男性は渡された封筒の中を見て驚愕した中 には数10万円が入っていたの だどうしてこんなに僕に優しくしてくれる のですかそれは君が私と同じ人間だからだ よ助けられる人が困っている人を助けるの は当たり前のことだよ君も大きくなったら 私がしているように困っている人を助け なさい 祖父はそう言って男性の前から姿を消した そうだその時男性はまだ学生で祖父を 探し出すことができなかったが社会人に なり自分でお金を稼ぐようになって祖父を 自力で探し始めたのだ手がかりはクリーム ソーダの味だったそう だあの時の私は君のおじいさんに本当に 救われました一言お礼を言いたくてこの 40年間妻も巻き込んで探してきました君 のおじいさんがいなかったら今の私はここ にはいませ ん祖父は困っている人がいたら助けずには いられない優しい人だ他人にお金を恵んで あげられるほど決して裕福ではなかったが 祖父は困っている人を見るとすぐに助け た俺の頬には涙が自然と流れてきた祖父は どこまでもいい人で尊敬される人だったの だ俺のことを助けてくれた君のおじいさん はもういないけど君がその意志を継いで この店を繁盛させてくれたら私も嬉しい ですまたクリームソーダを飲みに来ます ね男性はそう言って微笑んだが俺とまり子 の表情は暗かった男性はすかさず俺たちに どうかしましたか何か問題でもあるんです かと心配そうにしているその時店の扉が 勢いよく開き待たしてもイさんが入ってき たそして俺を見る なりあと1週間だなあどうせ金は用意でき ないんだろう店を明け渡す時は綺麗にしろ よこれで俺もやっとお前たち親子から解放 されるなあ と言い放ったの だこれには男性もその奥さんも驚きを隠せ ない様子だったイさんは言いたい放題言っ てまた出ていっ たお客さんの前でこのようなことを言う なんて信じられない俺は怒りでいっぱいに なっ た嫌なところをお見せしてしまって申し訳 ありません僕も妻も祖のを守りたくて 頑張ってきたのですが社会は厳しいです ね俺の言葉を聞いて男性は悲しそうな顔を し始め たそうですね社会は厳しいですでもこの 世の中は因果王法の世界ですどんな行いも 自分に等しく帰ってきます最後まで諦めず に頑張ってください私も妻もあなたの味方 ですよ 男性はそう言うと奥さんと一緒に寂しそう に店を出ていっ たあなたのおじいさんは本当にいい人だっ たのねこのお店は亡くなってしまうかも しれないけどおじいさんのように困って いる人たちを助けられるようになり ましょうねそうだ な俺とまり子はこの日から静かに店を畳む 準備を始めたのだった 運命の約束の日がやってき た約束の200万を準備することができ なかった俺とまり子は店の中を綺麗にし 置かれたテーブルセットや食器類を全て軽 トラックに積んだ今日でこの喫茶店ともお 別れ だ俺の頭の中にはソフとの思い出が相島の ように浮かんできたもし祖父が今のを見て いたらなんと言うだろう か俺が色々な思いにふけっていると上期限 のイさんが現れ た店がこんなに綺麗になっているという ことは金が用意できなかったんだなあ用意 できないんだったら最初から用意できると か言うなよまあ用意できたとしてももう この店は売ってしまったからお前のもので はないがなえ この店はもう売却済みなんだよほら さっさと出て行けよここはもうお前たちの 喫茶店ではないん だイさんは手で出ていけという ジェスチャーをして いるそうかもうすでに新しい人の店になっ てしまうのが決まっているの か俺はとてつもない寂しさを感じていた 空っぽになった店をぐるりと見渡し最後の お別れをし たじいちゃん店を守れなくて本当にごめん 俺を許して くれ俺はそうつぶやきまり子と一緒に店を 出た横を見るとまり子の目からは涙が流れ ていたどうして俺はこんなにも無力なの だろう何もできない自分に腹が立っ た喫茶店を出てイさんに店の鍵を渡すした その瞬間店の前に高級者が1台止まり 見覚えのある人が降りてきたするとイさん は頭をペコペコと下げ始めたの だこの度はこの店を購入していただき ありがとうございます今すぐにこの貧乏人 たちを追い払いますの でイさんはそう言って俺たちを睨んできた 早く消えろさんがを害してしまうではない か俺とまり子は急いでその場を去ろうとし たのだがそのつみさんという男性がイさん に大きな声を出し たイさんあなたの言葉の方がよっぽど気分 を害しますよそれに山口さんはこの店の 所有者なので出ていく必要はないのです ええ俺とまり子は固まった 山口さん紹介が遅れて申し訳ありません私 は1週間前にクリームソーダを飲んだツと 申しますああの時 のまり子は驚いて言葉が出せないようだ 山口さん今日からまたこの店はあなたたち のものですよ中に戻って くださいつさんこいつらのためにこの店を 購入したのですか大企業の社長のあがどう してこんな貧乏人のためにここまでなさる のです かイさんは信じられないという顔してつ さんを見て いる稲さん山口さんよりも何十歳も年上の くせに山口さんたちのことを貧乏に扱い するのはやめてください山口さんたちはお じいさんの店を守ろうと必死だったんです よそれを害な金額を要求した挙に追い出す なんて信じられませんあなたが今すぐに 山口さんたちに謝らないのなら私は出る ところに出ます よつみさんは店に初めて来てくれた時と まるで違う鬼のような顔で稲さんに注意し たそう実はつみさんは誰もが知る大企業の 社長だ中学を卒業後会社を立ち上げ1人で ここまで会社を大きくしたそうだ俺の店に 始めて来た時つみさんは自分の正体を隠し ていたそれは大企業の社長としてではなく つみさんとして祖父に会いたかったから だろうそして俺たちの店がピンチに陥って いることを知り俺たちのためにこの店をイ さんから買い取ってくれていたの だイさんは完全に恐縮して震え始めた そ そんな謝るんですかそれとも謝らないん ですかはっきりして くださいも申し訳ありませんでし たイさんは膝をついて俺とまり子に謝って きたイさん今後は人によって言動を変える のはやめた方がいいですよ人は見た目だけ では分からないものですもう少しを見る ようにしてくださいは はいあんなに偉そうにしていたイナさんの 姿はもうどこにもないイさんはいつまでも 俺たちの後ろ姿を見ていたのだっ た空っぽになった喫茶店に入りつみさんは 店の鍵を俺に渡してき たまた美味しいクリームソーダを作って ください ねつみさんは微笑んでいる俺は勘極まって 涙が溢れそうになっ た本当にありがとうございました必ずお金 は返し ますつみさんは首を横に振っ た返してもらわなくても大丈夫です私は あなたのおじいさんによって救われました 今度は私があなたを救う番だったのです私 にお金を返すのではなく困っている人に 使ってあげてください 俺はつみさんと固く握手をしこの店を守る こと2度と手放さないことを約束したの だっ たその後つみさんの行為により店を綺麗に 改装することになった祖父がこだわって 選んだテーブルや食器はそのままで新たな 喫茶店が誕生したお手頃な価格で本格的な コーヒーが味わえると常に行列ができる ような大人気喫茶店へと様変わりした今と なっては赤字を出していたお店とは誰も 気づかないだろうそして俺とまりこは兼ね てからやりたいと思っていたことを実践 することにしたの だハンバーグお願いし ますクリームソーダも くださいはいはいじゃあ席に座って待って いてねはーい 子供たちは嬉しそうにテーブル席や カウンター席に座っているそこにつみさん が現れ た子供食堂賑わってますね私も手伝います よつみさんはそう言ってまり子と一緒に 出来上がった料理を運び始めた子供たちは 自分が頼んだ料理がテーブルに並べられる と乾期の声をあげ始めたそう俺たちがやり たかったことそれは子供食堂だお腹を空か せている子供たちに閉店後の喫茶店で夕飯 を無料で提供しているのだ俺たちが子供 食堂をすると言った時つみさんは喜んで 協力してくれ た子供食堂に来る子供たちも大人になっ たら困っている人たちを助けられるような 立派な大人になってほしいと願って いる俺はこれからも祖父が大事にしてきた この喫茶店を守り困っている人たちを助け ていき たいおい中卒お前は本当にできない奴だ な松浦工場長の大きな声が工場内に響く 松浦工場長はいつもこうやって俺のことを 見下してくるような人間だ初めのうちは 松浦場のこの態度に戸惑うことも多かった が見下され続けて慣れてしまっ たお前みたいな社員は給料泥棒って言うん だ よ給料泥棒俺が今まで必死にどんな思いで 雑用ばかりしていたと思っているんだ さすがの俺もこの言葉には真底いらついた 何か一言松浦工場長に言わないと気が済ま ないそんなことをいたのだがある人物の 登場で松浦工場長には天罰が下ることに なるのだっ た俺の名前は藤原春25歳だごく一般的な サラリーマンの家庭に生まれ今まで育って きた特に容姿や頭が際立っていいわけでも なかったが1つだけ誰にも負けない特技が あったそれは手先が人よりも器用でが 大好きだったことだそのため学校では他の 科目は標準的な成績だったが図工だけは 飛び抜けてよかったのだ家でも大好きな 工作ばかりしていた父はそんな俺を見 て何でもいいから人に誇れるものがあると いうのは素晴らしいことなんだぞと言って くれたのだ幼いながらにその言葉は俺の胸 を動かし将来は物作りの職人になりたいと その時思ったのだったそれから長い年月が 過ぎ俺は中学3年生になった周りの同級生 は高校受験に向かって動き出しているだが 俺は高校に進学する気など全くなかったの だ俺にはもうすでにやりたいことが決まっ ていたので高校に行く意味などないと思っ た俺は高校には行かないよ中卒で働きたい 俺がそう言うと両親は目を丸くして驚い た高校に行かないで何をする の高校に行っておいた方が後々後悔しない で済むぞ両親は必死に俺を高校に進学する ように説得してくれたがそれでも俺の 気持ちは固かっ た俺はもう決めたんだよ 片に高校進学を拒否する俺に両親はそれ 以上高校進学について言うことはなくなっ ていったそして俺の就職活動を応援して くれたのだ中卒で就職先を探すのは容易な ことではなかったが縁があり俺はとある 工場に就職が決まったその工場は電荷製品 の部品を作る工場で俺がやってみたかった 仕事だ就職が決まった両親は自分のことの ように大喜びしてくれたやりたいことが できるというのは幸せなことだ な俺は喜んでくれる両親のためにもこの 工場で頑張っていこうと心に誓ったのだだ がそのやる気がはなくも崩れ落ちてしまう ことになるなんてこの時の俺は想像もして いなかったのだ出勤初日俺はを胸に工場に 入ったまずは工場長に挨拶をしなければ いけない俺が工場内を歩き回っている時に 1人の男性が顔をしかめてこちらに向かっ て歩いてきたその男性は体が大きく いかつい俺は思わず肩がすんでしまった するとその男性は俺の前に立ち止まるなり 大きな声を出してきたの だお前が者の藤 かあまりにも大きな声だったので恐怖で俺 の声は震えてしまっていたはあはいこれが 藤原です俺の言葉を聞いた男性は俺を 睨みつけながらさらに大きな声を出し た俺は工場長の松浦だお前みたいな中卒を この工場に入れるなんて本社は一体何を 考えているんだ中卒は無能 だ俺は自分の耳を疑った中卒は無能と誰が 決めたのだろうか確かに俺は中卒だが無能 と言うなんてひどい俺が呆然としていると 松浦工場長は笑い出し たそうかお前は雑用がかりとして採用され たんだな今日から雑用しっかりやるんだぞ 松浦工場長はそう言うとどこかに去って いった俺は凍りついてしまいその場から 動くことができなかったすると今度は別の 男性が俺に近づいてきたのだ藤原君僕は 梅田って言うんだ君の席に案内するよ梅田 さんは俺に優しくそう言って席まで案内し てくれた席に到着しは自分の荷物をデスク の上に置いたすると梅田さんは辺りを 見渡し小声で話しかけてくれたの だ松浦工場長は自分が有名大学を卒業して いるから中卒や高卒の社員には厳しいんだ 俺も高卒だから目をつけられていて毎日 怒鳴られている よそういうことかだが自分がエリートだ からと言って見下してもいいことにはなら ない自分勝てな松浦工場長には呆れたそう なんですねこれからも怒鳴られ続けると 思うと気が重いですが頑張ります俺がそう 言うと梅田さんは一緒に頑張ろうと言って くれたその後梅田さんは自分のやっている 仕事を俺に教えてくれたのだその作業は俺 が求めていた仕事で気がついたらと作業し ていた松浦工場長にはうんざりで顔も見 たくないけど仕事内容は完璧だったその時 だった俺の後ろでまた松浦工場長の嫌な声 が響いたの だなぜお前はその仕事をしているんだ梅田 にやれと言われたのか梅田さんは青い顔を している松浦場に仕事教えるように言われ たのでその通り教えました梅田さんの言葉 を聞いた松浦工場長は怒り狂った声を出し た俺は雑用教えろという意味で言ったんだ よ高卒の梅田には難しい言葉だったか中卒 のこいつに仕事を任せてはいけない分かっ た な松浦場長の顔は鬼のように真っに歪んで いる俺が中卒だから仕事を任せてはいけ ないとは一体どういうことなんだあまりに も理不尽な松浦工場長の言葉には会いた口 が塞がらなかった梅田さんは力なく 頷きはい申し訳ありませんでしたそして 松浦工場長は俺に工場内の掃除を命じてき た掃除と一言で言ってもはとても広い しかも俺は部品を組み立てる仕事がしたく てこの工場に就職したのにあまりにも ひどいではないか俺は思わず声を出してい た掃除が終われば部品組み立ての仕事も やらせてもらえるのでしょうかだが松浦 工場長は大きな声で笑い出し たそんなわけないだろ俺たがっていのは 精密機械なんだ中卒のお前に任せたら大変 なことになってしまう だろ中卒だからという理由でやりたかった 仕事をやらせてもらえないなんてあまりに もひどい俺は言葉を失っ たそれにみんなと一緒の仕事がしたいの ならせめて高校卒業するんだ な俺は呆然としながらも掃除用具を手にに したこの人には何を言っても分かって もらえないそう思ったからだ周りの社員 たちも安然としながらその様子を見ていた 就業時間が終わりみんな続々と帰宅して いく中掃除が終わらない俺は残業しようと していたするとまたしても松浦工場長が俺 に近づいてきたの だ本当にお前は仕事が遅いな残業しても 雑用がかりのお前には残業代なんて出ない から早く 帰れよだがこの時にはもう松浦工場長が どれだけ冷酷な人間なのかが分かっていた のでなんとなくそんなことを言われる だろうと予想していた俺は驚かなかった 静かに返事をしながら急いで残りの掃除を 終わらせたのだ出勤初日でこんなことに なるとは思っていなかっ俺は疲れはてて しまった思い足取りで工場を出るとそこに は梅田さんが待っていてくれていた出勤 初日は疲れただろうはいこれ俺も新入社員 の時はこのドリンクにお世話になったんだ そう言って梅田さんは俺に栄養ドリンクを 渡してくれた俺はその気持ちがとても 嬉しかったあありがとうございます 俺は栄養ドリンクを受け取り深深と頭を 下げた梅田さんは俺を見て険しい顔つきに なる松浦工場長は自分の考えが一番正しい と思っていて自分よりも学歴が低い部下を 見下すんだもう何人も松浦工場長が嫌で 工場を辞めてしまっているよどうか藤原君 はやめないで続けてほしい 梅田さんは切実に俺にそう訴えた松浦工場 長が上に立っている限り辞めていく人も多 そうだなとは思っていたため驚くことは なかっ たできる限り頑張るつもりです応援して くれている梅田さんをがっかりさせない ためにそう言ったのはいいが俺はここで 長く働いていく自信が全くなかった俺は 疲れきった体をとか動かしやっとの思いで 家に到着した家に帰るといい匂いが キッチンの方からしてくる出勤初日の俺を 祝うために母がご馳走を用意してくれてい たの だ疲れたでしょ出勤初日どうだったの母の 言葉に父は笑い ながら楽しかったに決まっているだろう なあはま と何の疑いもなく俺に言ってきた両親は俺 がやりたい仕事に着くことができたと喜ん でくれていたしここで俺が本当のことを 話してしまったら悲しむに違いないそう 思った俺はできる限り自然に見えるように 必死で笑顔を作りああ最高に楽しかったと 言ったのだった顔は満面の作られた笑顔だ だったが心の中は虚しさでいっぱいになっ てしまった俺の顔を見た両親も嬉しそうに 笑顔になるその笑顔を見て俺は頑張ら なければいけないと改めて思ったのだ次の 日今日は松浦工場長に何を言われるの だろうとビクビクしながら出勤しただが まど暮らせど松浦工場長は出勤してこない また勝手に仕事したら怒られると思い工場 の掃除を始めたもしかしたら松浦工場長は 今日は休みなのかもしれないそんなことを 思っているともうすでに時計の針は十字を さしていたすると工場に眠そうにあびをし ながら松浦工場長が入ってきたのだえ今頃 出勤か俺が驚いていると梅田さんが小声で 俺に話しかけて来た松浦工場長は大抵は この時間に出勤なんだよいつも寝坊するん だ俺は驚きを隠せず目を大きくする工場長 ともあろう人が毎回寝坊で遅刻してくる なんてありえないそれなのにきちんと出勤 している俺を中卒だと言って見下してくる のか理不尽すぎる状況に言葉を失った俺が 内心イライラしながら掃除をしていると 松浦工場長がありえないことを大きな声で 言ってき た眠気ざましにコーヒーが必要だなおい誰 か買って こいその声は工場内に響き渡っているなぜ 真面目に仕事している俺たちが寝ぼして 遅刻してきた人のためにコーヒーを買わ なければいけないのか理解できない工場内 は一気に静かになるだが誰も行こうとはし ないすると松浦工場長が怒った声で俺に 大きな声を出したの だこういう時は中卒のお前が率先して行く というのが普通だろうお前には何の取りえ もないんだから少しは俺の役に立てよ な松浦工場長はそう言って俺を睨んできた どうして俺が怒りがふつふつと腹の底から 湧き上がってくるのを感じたがここで反抗 してしまったら倍になって嫌を言われる だろう仕方なく俺はコーヒーを買うために 工場を出たのだった周りの社員たちは道場 の目で俺を見ていたそれからも俺は松浦 工場長から中卒の無能と言って見下され 続けありえない雑用を押し付けられる日々 が続く俺は感覚が麻痺してしまいそれが 当たり前の生活になっていってしまった そんな日々が10年続き俺は25歳になっ ていた10年もこの工場で働き続けている なんて自分でも驚いたその間も工場長は 変わらずに松浦場長のままだそのことに 対して松浦長はのように不満を言って いるどうして俺はずっと工場長のままなん だエリートの俺はもっと上に昇進しても いいはず だろう松浦工場長は確かにエリートかも しれないが当たり前のように遅刻も無断 血筋もする昇進できなくて当たり前なのだ そのことに自分が気づくことができない なんて重傷すぎるそしてこの10年の間に 何人もの新入社員が入社してきた俺と同じ ように中卒の社員もその中にはいたのだが 1人を残してみんな松浦工場長の嫌みに 耐えられずに辞めてしまっていたそのせい で工場内は常に手一ぱいで社員不足に陥っ てしまっていたのだそのため雑用ばかり やらされていた俺も少しずつ部品を 組み立てる仕事を任せるようになっていっ たもう少し優しく接すれば新入社員が辞め ていくこともないのに俺はもどかしい 気持ちでいっぱいだっ た原さんこの部品はどこに運べばいいです か竹森さんは俺に搬入されてきた部品の 保管場所を聞いてきた俺は竹森さんが 分かりやすいように保管庫までついていき ここに置くよと教えていたのだ竹森さんは 唯一辞めないで残っている中卒の男の子だ この工場に勤め始めて3年になる若干18 歳という若さではあるが真があり真面目に 仕事ができるいい社員だだが俺もそうだっ たように松浦工場長は竹森さんにまで ひどい嫌みを言って くるおい竹森お前は卒だかから他のみに 迷惑かけるなよ中卒は無能のポコばっかり で本当に困る よだが竹森さんはその嫌みに 負けじ魂は起きて しまう2日酔いと思われる姿でフラフラと 遅刻してきた松浦工場長が積み重ねて置い てあった部品の箱にぶつかってしまったの だ その衝撃で箱が倒れてしまい中に入ってい た部品が床に散乱してしまった コンクリートの床に打ち付けられてしまっ た部品は粉々になり使い物にならなくなっ てしまったのだだがこの部品を使った製品 の納期は明日だ今からダメになった部品の 発注をしても明日には絶対に間に合わない だろうすると工場長は慌てふめき大きな声 を出し始めたの だ一体誰がこんなところに部品の箱を置い たんだよ全部そいつのせい だこの人は何を言っているんだ部品の箱は いつもと同じところに同じように置いて あったではないかしかもふ酔いでフラフラ していてきちんと歩けずにぶつかって しまい倒したのはつら工場長なのだすると 俺の隣にいた竹森さんが恐る恐る手をあげ たぼ僕 ですするとそれを見た松浦工場長は怒り 狂って竹森さんに詰め寄っ たやはりお前だったのか明日のきの部品 だったんだぞ一体どうしてくれるん だ周りの社員たちは哀れみの目で竹森さん を見ているなぜ竹森さんが怒られているの か俺は全く理解できなかったかわいそうな たもさんは今にも泣きだしそうだ黙った ままのたもさんに松浦工場長は続けて罵声 を 浴びせる黙っていないでなんとか言ったら どうなんだ謝るくらいは中卒にでもできる だろう がははこれ以上理不尽な松浦工場長の言葉 を黙って聞いているわけにはいかなかった 思わず松浦工場長に負けないくらいの 大きな声を出してしまったの だ竹森さんはただ低位置に部品の箱を置い ていただけですよ何もそんなに起こること ではないと思い ます俺がそう言うと松浦工場長は顔を 真っ赤にしたみるみるうちに顔をしかめて まるで鬼のよう だおい俺が悪いと言いたいの か俺は喉のところまでそうだと言いかけた が我慢し たそそんなことは言っていませんが竹森 さんが謝る必要はないと思ったん です中卒は口だけは達しだなもういいお前 らは一生雑用でもや お前みたいな社員は給料泥棒って言うんだ よ えやはりこの人は何を言ってもダメなのか もしれない俺が今までどんな思いで雑用 ばかりをこなしていたのかこの人は分かっ ていないようだそれに一生雑用だなんて 信じられないやっと雑用以外にも部品の 組み立ての仕事も少しずつだができるよう になったのに一生雑用なんて悪夢だだが 松浦工場長は 笑うお前ら中卒には雑用が一番よく似合う よはあ振り出しに戻ったなそう思わずには いられなかったがもうこうなってしまっ たらどうしようもない俺は松浦工場長の 去っていく後ろ姿をイライラしながら 見つめることしかできなかっ た原さん僕のせいでゴタゴタに巻き込んで しまって申し訳ありませ ん竹森さんは申し訳なさそうに俺の方を見 ている俺は首を横に振る竹森さんのせい じゃないよ全ては松浦工場長が理不尽だ から行けないんだ よ竹森さんは俺に深く頭を下げた それからというもの松浦工場長の俺たちに 対する態度はひどいとしか言いよが なくなってしまった俺が反抗したことが 原因だろう工場長のくせにそんなことで 態度を変えるなんて本当に信じられないが 事実なのだそんな日々が続き気づけば綺麗 な桜が満回の季節になっていたいつもの ように出勤するといつも遅刻してばかの 松浦工場がもうすでに出勤していることに 気がつく松浦工場場が時間通りに出勤して いるなんて何か悪いことが起こる前ぶれか もしれないとさえ思ったすると竹森さんと 梅田さんがこそこそ話をしているのが 見える吸い込まれるように2人の方に行く と2人は席を切ったように話し始めたの だ海外有名企業マリオ株式会社のCEOが 明日この工場に視察に来ることが決まった ようなんだうちの会社がそのマリオ 株式会社の参加に入るかもしれないそう です よ話を簡潔にまとめると自動車産業で有名 な海外企業のマリオ株式会社がうちの会社 を参加に入れるという噂が出ているような のだマリオ株式会社の参加に入ることが 決まればうちの会社は子会社になることに なり今までよりも収益が増えることになる だろうそれはすごいな俺たちがそんな会話 をしているとどこからともなく松浦工場長 が現れたそして工場内のみんなを集合させ たの だもうみんなも知っているとは思うがこの 工場に株式会社CEOが時々に視察に来る ことになったCEOが気に入ればこの会社 はマリオ株式会社の参加に入るそうなれば この工場も安泰 だ松浦工場長はどこか誇らしげに話して いる俺は黙ってその話を聞いていたのだが 松浦工場長は俺と竹森さんを見て睨み始め たこ がいかに役に立つかを見せたいと思って いる当日は竹森と藤原には何もしないで 工場内に雑用だけをやってもらうお前たち のせいでこの話がなしになってしまったら 大変だから なまた始まった言われなくても俺も竹森 さんもそうするつもりだ俺と竹森さんが 静かに返事をすると松浦は満足げな顔をし た分かったならいい明日のために工場内を できるだけ綺麗に掃除しろいつも以上に 丁寧にやるんだ ぞわかりまし た俺と竹森さんは毎日のように工場内を 掃除しているいつも以上に綺麗にするため に俺たちは手分けをして隅々まで掃除した のだったあっというに次の日になり俺は 出勤したもうすでに松浦工場長は出勤して いてマリオ株式会社のCEOが到着するの を今か今かと待ちわびている時計が10時 をさした頃急に松浦工場長が俺に声をかけ てき たもうすぐこちらにCEOが到着すると 連絡が来たお前は今すぐにCEOのホット コーヒーを買くるん だ突然の言葉に驚いたが工場長命令には 従わないといけないだろう俺は何も言わず に短い返事だけをして工場を出たのだった 近くのコンビニで急いでコーヒーを購入し 工場の前まで来るとそこには高級車が1台 止まっていて中には運転手と思われる男性 が運転席に座っていたもしやもうCEOは 到着しているのだろうか俺は急いで工場の 中に入るすると松浦工場長が上ずった声で 話している様子が見えたCEOは身長が 高くなかなかのイケメンで驚くほどに流暢 な日本語を話していたどこかで見たことが あるような感じがしたが気のせいかと流し た俺が到着するのが見え松浦工場は俺の方 を見て早くコーヒーを渡すように合図して くる俺はその合図の通りにコーヒーを CEOに渡したのだっ たホットコーヒーです暑いので気をつけて ください俺がそう言って手渡すとCEOは 俺の方を見て微笑ん だありがとうござい ますだが次の瞬間CEOの顔色が変わった 不思議に思った松浦工場長はCEOの顔を 覗き込んで いるどうかされました かCEOは松浦工場長の言葉には全く反応 せずに俺の顔ばかり見て いるまさか君 はCEOは驚いているそう言われて俺も やっとCEOにどこであったのかはっきり と思い出したのだ松浦工場長も他のみんな も状況が読み込めずに不思議そうに俺と CEOを見ているするとCEOは突然俺の 手を握ってき た藤原君だねこんなところで会えるなんて 思っていなかった よ藤原を知っているんですか松浦工場長は 驚きの顔をしながらを丸くして いる知っているも何も藤原君は世界発明 コンクールで優勝した素晴らしい人なん です よCEOの言葉に信じられないという表情 をしている松浦工場長周りの社員たちも前 としたさらにCEOは話を 続けるえもしかして知りませんでしたか 藤原君を社員にできるなんて松浦長も 幸せ者ですね え藤原が世界発明コンクールで優勝こんな 中卒 が松浦工場長は心の声がだだ漏れだった そう実は俺は工作が好きなあまり物を発明 するのも好きだった1から自分で考えて1 つのものを作り上げるのはの自慢の娯楽に なっていたのだ俺は小学生の時から友達と 遊ぶよりも物作りに熱中し周りからは 変わり者だと後ろ指を刺されても作ること をやめなかった父はそんな俺の真剣な まなざしを見て熱中できるものがあるのは いいことだと言ってくれたのだが母は友達 と外で遊ばずに家の中で黙々と作している 俺を見て心配をしてい た周りの同級生たちは仲良く遊んでいるの にこの子は大丈夫なの かしら母の心配をよそに俺の工作に対する 熱意は日に日に強くなっていったそして 中学生になった頃俺は担任の先生にそんな に物作りが好きならば世界発明コンクール というものに参加してみないかと提案され のだった世界発明コンクールなど見たこと も聞いたこともなかったがなんだか面白 そうだと思った俺はすぐに参加を決意 エントリーすることにした題材は特に 決まっておらず自分が発明したものを レポートにまとめて提出するだけだ俺は何 を開発しようか考えた結果あるものを開発 することに決めたのだったそれは自転車の ザー付き速度計だ自転車のブザー付き速度 計とはある一定の速度になればブザーで 教えてくれるシステムだこの発明をする ことにしたきっかけは母が自転車に乗る時 に速度を気にせずに走っているのを見て 危険だと思ったからだ今どのくらいの スピードで走っているのか目と音で確認 することができればおのずと交通事故も 減るかもしれないと思った 早速俺は開発に取りかかる小さくて細かい 部品をつなぎ合わせたり可愛らしい デザインにしてみたりと俺は開発を楽しん だ決して世界発明コンクールで賞を狙って いたわけではない純粋に作るのを楽しんで いただけなのだ自転車のブザー付き速度計 は思考錯誤の末にようやく完成し俺は レポートを書いて提出したその1ヶ月後 結果が出た担任の先生は信じられないと いう驚きに満ちた表情で俺を呼ん だ藤原君あなた世界発明コンクールで優勝 を勝ち取ったの よ俺は先生の言葉が信じられずに何度も 確認をしたが先生の言う通り俺は見事に 優勝していたの だ努力が報われてよかったな 全てあなたの努力の結果なのよ両親が喜ぶ 姿を見てこのコンクールに参加して本当に 良かったと思ったそれからしばらくして俺 と両親は海外で行われた受賞式に参加その 時に俺に症状を手渡してくれたのがマリオ 株式会社のCEOだった実はこの世界発明 コンクールのスポンサーをしていたのが マリオ株式会社だったのだこの出来事から 俺はもっと物づくりに携わりたいと思い今 の工場で働くことを決意したのだっ た松浦工場長の心の声がだだ漏れで俺の ことを中卒と言った時後ろから大きな声が 聞こえてき た誰が中卒だって え社長えと藤原です松浦工場長はバの悪 そうな顔で社長を見ているそう大きな声を 出した男性はこの工場の本社の社長だった の だ今日はマリオ株式会社の視察があるから 私も来たんだよ君は部下のことを中卒だと 言って見下しているの か社長は減そうな顔して松浦長を見ている 松浦長はしまったという顔をして言い訳を し始めたつつい口が滑ってしまって謝って いってしまっただけです中卒と言って 見下すことなんてしていません よしらじらしい嘘をついている松浦工場長 を見てうんざりしたよくもこんな嘘が つけるものだ俺は深いためしか だがその時黙ってその様子を見ていた梅田 さんが聞いたこともないような大きな声を 出したの だ松浦工場長が本当のことを話さないので 僕が話します松浦工場長は僕たち定学歴の 社員を常日頃から見下し特に藤原君や竹森 君にはひどい打ちばかりしていました部品 組み立ての仕事はさせずに工場内の掃除 などの雑用ばかり押し付けていたん ですななんだ と社長は目を大きくして梅田さんの話に 聞き入っ たな何を嘘ばかり言っているんだ社長 こんな高卒で仕事ができないやの話なんて 信じないで くださいついに松浦長は社長の前で本を 表したのだ社長は松浦工場長の言葉を 聞き逃すことはなくしっかりと聞いてい たやはり君はそうやって藤原君や竹森君の ことを見下していたのではない か社長はカカに起りながら松浦工場長を 睨んでいる竹森さんも梅田さんの後に続く ように大きな声を出した それだけではありません松浦工場長は寝坊 して遅刻してくるのは当たり前なんです よ梅田さんも竹森さんも我慢の限界だった のだろう社長は大きなため息をつい た松浦工場長遅刻なんて工場長の君がして いいことではないだろうそれに藤原君は俺 が惚れ込んでこの工場に職させ 藤原君のようなアイディア溢れる社員がい てくれたらこの工場も安泰なんだそれなの に君という人はなぜ見下すようなことしか できないん だ申し訳ありませんでし た松浦工場長は弱々しい声で社長に謝った 俺がこの工場に入を決めた理由それは世界 発明クールで俺の受賞策を見た社長が俺に スカウトしてくれたからだ色々な会社から 中卒を理由に就職を断られていた俺にとっ て社長の優しい言葉は身にしみたこの社長 がいる会社なら頑張って働くことができる そう決心して入社を決めたのだっただが 工場で俺を待ち受けていたのは中卒を 見下す松浦工場長だったのだ 松浦工場長君は荷物をまとめておくんだな 明日中には事例を出すよ えそ そんな社長は戸惑う松浦工場長に最後の 一言とどめをさし た人間は学歴では決められないどんなに エリートでも藤原君には叶わないんだよ 松浦工場長はその場に膝から崩れ落ち 情けないほどに声を出して泣き始めた周り にいた社員たちやCEOは驚きながらも その様子を見ていた今までの松浦工場長 からは想像もできない姿だったその姿を 横目にCEOは本題に入っ た藤原君の発明したものは斬新で今のこの 会社には必要なものばかりですそんな藤原 君がこの工場で働いているなんてとても 魅力的ですね是非あなたの会社を我が社の 子会社にし たいずっと黙って聞いていたCEOが声を あげた社長は嬉しそうに我が者がマリオ 株式会社の子会社になることができる なんて光栄ですよ是非ともよろしくお願い しますと子会社になることを心よく了承し たのだ俺や他の社員たちは拍手をして祝っ たその間も松浦工場長は泣き続けていたの だったその後松浦工場長には社長から正式 に解雇通知の書類が届いた書類を見た瞬間 松浦工場長の顔は青白くなりその場に 凍りついてしまっ その様子を見ていた梅田さんも竹森さんも いい君だと言わんばかりの表情で松浦工場 長を見ていた松浦工場長は会社を辞め今は どこで何をしているのか知っているものは 誰もいないだが人を見下すような人が幸せ に暮らしているとは思えないせいぜい人に 迷惑をかけないように暮らしてほしいと 思う場が変わった工場は以前とは雰囲気が 全く異なり明るい雰囲気になっ たさあ朝礼を始める ぞ新しく工場長になった梅田さんは松浦 工場長とは比べ物にならないくらい 頼もしく常に部下のことを応援してくれて いる梅田さんが工場長になって良かった です竹森さんも嬉しそうだ俺はこれも 大好きな物作りを目いっぱい楽しみながら 仕事も頑張っていこうと 思うちょっと待って あなたどこかで見たことあるような美人な 女医に声をかけられるだけど今はそんな 立ち話をしている暇はない妊婦さんが先 です俺の言葉に後ろ髪を惹かれるような 表情で立ち去っていた彼女翌日事態は急転 開を迎え たさあ決着をつけ ましょう20年以上前の些細な賭け事から 始まった俺たちの謎解きは想像を絶する ある人の思いにつがるのであっ た俺の名前は吉岡誠38歳独身のどこにで もいる一般人 だ一般人と称したのは俺自身には何も価値 がないと思っているからただのらりくらり と生きるごく普通のありふれた人間それが 俺 だ俺は18歳で日本を立ち単身で海外に 渡ったなんとなく高校に進学しなんとなく 大学に進学して就職しなんとなくの人生を 歩むことが本当に幸せなのかと思っていた から だ俺は勉強が得意なわけではないしかし父 が外国の元軍人で母が日本人だったので 英語と日本語は普通に喋れていたただねな 英語と日本で学ぶ英語は色々と違うこと からテストではそこそこの点数しか取れず ちょっと英語が得意なくらいで見られてい たと 思う場合にもよるがうちの場合金髪壁岩の 父と黒髪黒目の母が結婚したので優勢遺伝 である黒髪黒目で生まれてきた俺ミドル ネームはあるけど普段は吉岡誠という普通 の日本人として生活しており俺がハーフだ と知って驚く人の方が多いだろうそんな俺 はもっと広い世界を見たいという夢を持ち 大学受験をせず日本を立つと両親に相談し た当然反対されるものだと思って色々 言い訳を考えていたのだが両親は何も言わ ず俺を見送ってくれたこうして俺は高校 卒業すると同時に海外に渡りそれから早や 20年が経過とうとう38歳になって しまった俺は未だ独身で彼女も特にいない し作る気だってなかったいや作れなかった のだろ 未だ俺の中にはかつて青春を共にしたあの 子の影がちらついている一種の呪いのよう なものだった仕事が忙しくて全く規制でき ていなかったが人切りついたこの タイミングで日本の田舎町にある実家へ 規制することにサプライズをしたかったの で両親にの日程などは伝えておらず俺は 高なる気持ちを胸に飛行機に乗り込んだの だったそして久しぶりに戻った地元は20 年経って随分と変わってしまってい た高校は電車で林間まで通っていたので その3年間毎日使っていたあの最寄り駅も 俺の記憶とはかけ離れた姿になっている 薄暗い照明の下にあった立ち食い蕎麦屋は 後方もなく消え去って有名な某ドーナツ屋 になっていたその横にはファストフード店 が2件並んでおり私服姿の中高生らしき 若者たちが列をなして いる俺がまだ学生だった当時はこのような 店はなかったので小さなショッピングの ソファーで食っていた時代と共に随分と 変わってしまったものだそこから少し歩く とお土産屋とコンビニがあり話題のカフェ もあって学生たちがおしりしたり勉強し たりしていたまるで異世界に迷い込んで しまったかのような感覚になるここはもう 俺の知っている地元ではなかったのだ キャリーケースを引きながらタクシー 乗り場まで歩いていくと見たこともない 大きな建物が視界に飛び込んできた同時に 予約していたタクシーの運転手が降りてき て俺の荷物をトランクに積みながら 話しかけてき たお兄さん規制か何かですかあはいもう 20年以上ここを離れていてそれならこの 町がと発展して驚いたでしょうこれは分場 マンションでしてこの町で初めての タワマンなんですよあっという間に満員 御礼だったそうでどうやらここ以外にも 同じ会社が同じタワマンを立てている らしくそちらもすでに問い合わせが集まっ ているとのことだったさらに1回部分には カフェ併設の24時間ジムとその上には 予備こや塾が入っている らしい俺が中学生の頃通っていた塾もあの 古びたビルの一室ではなくてタワマンの中 に入っているとかタクシーに乗り込んで窓 から街を眺めているとタワマン同様この 田舎町に似合わない建物が顔を見せ た俺が通っていた小中学校だあ のボロボロだった建物が一進されて ピカピカになっており当時のおかげは一切 ない街が発展して人口も増えたことは 喜ばしいことではあるのだがなんだか 寂しくも感じ た実家までは車で30分ほどかかる今は ちょうどお昼時で大きな道路は混んでいる ことから裏道を使ってもらって実家に 向かうことにしたその道中赤信号を待って いる時窓の外を眺めていた俺はある女性の 姿を 捉えるうずくまって苦しそうにしており 明らかな異常事態だと思ったすみません あそこの女性まずいんじゃ俺が言うと タクシー運転手も気づいてすぐ方に停車し してくれた俺はすぐさまタクシーを降りて 女性に駆け寄るするとバッグについていた マタニティマークに目が行った妊婦さんが 苦しんでうずくまっているということは どう考えてもまずい状況だと判断して すぐさま救急車を手配しようと思っ た見ての通り今は大きな道が混んでいる からがかかるかもしれない大丈夫ですか かかりはどこですかタクシーを停車させて 降りてきた運転手が妊婦さんに 問いかける真っ青な顔をした彼女はかの なくような声でちょうどこの先にある個人 病院だと答えたそれなら救急者を呼ぶより タクシーで行った方が早いということで 女性を乗せて急遽500m先にある産婦人 家病院へ急ぐことになった女性はすでに 破水していたがたまたまこのタクシーは マタニティタクシーとしても利用できると いうことで清潔なタオルなどを積んでいた それで対応しながら俺が代わりに病院へ 連絡すぐ分娩の準備をすると言われ指示 通りに行動したそして病院につくなり女性 は単価で運ばれ分娩室に消えていったの だったその時女性の担当いらし美人女医が 俺の方をちらっと見るとちょっと待って あなたもしかしてと言って困惑の表情を 浮かべる俺はそれを無視していいから お母さんと赤ちゃんをと言うとジイは はっと我に帰りすみませんとだけ言って 同じように分娩室へ消えてしまったそれ から15分もしないうちにうぶ声が聞こえ てきて俺もタクシー運転手もほっと胸を 撫で下ろしたのだっ た俺はあの妊婦さんと面識がないこれ以上 ここにいるわけにもいかなかったのでその まま帰ることにし たそれから10分もしないうちに実家に 到着タクシー代を支払おうとするとなぜか 想像よりも少し安かっ たなので不思議に思っているとタクシー 運転手はこう答えた妊婦さんを助けて病院 まで走ったのは私個人の判断ですその間は メーターを止めていましたですのでその分 の運賃は結構ですそれを聞いた俺は少し 考えた後わかりましたと言って1万円札を 渡すお釣りを出そうとした運転手に俺は こう言ったあちこちが変化したこの町の 案内をしてくれたことや妊婦さんを助ける ためにすぐ動いてくれたあなたへの経緯 ですお釣りはチップだと思って ください言いながらタクシーを 降りる何度もタクシー運転手が頭を下げる ものだから軽く釈をし去ったのを確認して 実家のベルを押したしばらくすると年を 取ってしまったものの20年前のおかを 持つ母が 現れる俺を見た途端一瞬固まって目を丸く したものの数秒後には豪快に笑いながら 歓迎してくれた随分と背が伸びたね急に 帰ってくるからびっくりしたよほらあがり なリビングに行くと父がスマホで動画を見 ている何をそんな熱心に見ているのかと 思うと母が俺のそばにやってきて耳打ちし たお父さんはまってずっと聞いているのよ 何だったかしら覆面バンドほらお父さん アメリカ出身だからそういうの大好きなの よいつ来日するんだってずっと言っている わ話を聞いた後改めて父の方へ目を向けた すると俺に挨拶もしないで語り始めたこの 4人の音楽には魂を感じるんだよ重低音を 自在に操るベース音楽を心から楽しんで いるギターそいつらをまとめるドラ そして画面越しでもソウルが伝わるこの ボーカル全部がクールで最だそれから しばらく両親と断捨した後俺は地質に戻っ た幼少期から高校生まで過ごしたこの部屋 はあの頃のままでまるでここだけ昔に タイムスリップしたかのようだっ た窓や机に指の腹を乗せるも誇り1つつか ない母がこの部屋をどんな思いで手入れし ていたのかを想像し俺は温かい気持ちに なったそして夕飯を食べながら家族団欒を 過ごしゆっくりと湯舟に 浸る海外での生活が長くお風呂という 日本独自の文化に久々に触れた俺は心が 安らぎほぐれていくのを感じたそうして 温かいベッドで就寝し 翌日両親たちが誰かと言い争う声で俺は目 を覚ました今の俺は上下スエットさすがに このまま出るのはまずいと思いひとまず 着替えて1回に降りたすると玄関先で両親 と知らないが言い争っている姿が視界に 飛び込んでくる男性は俺を見るなりかっと 目を見開いて叫ん だお前かこのふきもが娘をたぶらかしよっ て絶対に許さんお前には責任を取って もらうから なちょっと落ち着いてくださいうちの息子 がそんなことをするなんて考えられません そもそもうちの子は昨日まで母が静止を かけるも男性は怒りが頂点に達しているの か聞く耳を持たない正直何のことを言って いるのか分からなかった言い方からして俺 が何か女性問題を起こしたというのは 分かるしかし会いにく女性とは個人的に 連絡を取っている人はいないプライベート のスマホに入っている連絡先で異性はただ 1人母のみだったそれで一体何何何のこと やらと思っているとその男性は昨日俺が 病院に連れて行った妊婦さんの父親だと いうことが判明したどうも俺のことを娘の 元彼か何かだと勘違いしここに乗り込んで きたらしい母が俺にをなくてもそれが事実 ではないと否定しているのにも納得がいっ たなぜなら俺は昨日日本に戻ってきた ばかりなのだから守秘義務というものが あるので病院が俺の情報を漏らしたという ことはないと思うだけど1つだけ心当たり があるそれは昨日彼女を病院へ送っていた 時 しても礼がしたいから連絡先を教えて ほしいと言われたの だ連絡先ですかいえ俺は別に感謝される ようなことはしていません助けを求める人 に手を差し伸べることは当たり前のこと ですそういって断ったもののどうしてもと 言われてそれ以上言い返すようなことは できなかっただから近所に住んでいると いうことだけを告げたのだそれだけでは俺 を特定できないと思っていたが出産した娘 の元へ駆け込んだこの父親は看護師たちが こんな話をしているのを聞いてしまった ようだ高坂さんを連れてきてくれた男性何 も言わずに帰っちゃったのよえじゃあもし かして子供の父親高坂さんって未婚よね ええそうらしいは担当の助産師が カウンセリングとかして聞き出そうとした けど言わなかったそうなのでもまあ本人が 決めたことだから病院が介入できるわけで もないしどういうわけかこれを彼女の父親 は元彼氏は娘が妊娠した途端捨てたくせに 病院まで送ってそのまま消えたと勘違いし たようだった 普通ならそんな思考にならないとは思うが どうも父親は突然孫が生まれたと知らされ てパニックになっていたらしい仮に俺にも 娘がいてその娘が突然子供が生まれた父親 はいないなんて言ったら発狂もだ当然父親 は娘を問いただしたらしいけれども彼女は 何も語らなかっただから索しても答えて くれないと思いいい人が送ってくれたそう だなと当たり障りのないことを言って娘 から情報を聞き出したよう だ娘は笑いながら俺のことを話しこの辺に 住んでいることと見た目からしてハーフっ ぽいと伝えたとかその話で彼はすぐさま俺 たちのことだとようだ父が元軍人だったし 母はおしりが大好きである意味目立つ家族 だったのだそれで今日こうやって乗り込ん できたというわけだったとんでもない 勘違い劇場を繰り広げているこの父親は もう手をつけられない状態で警察を呼ぼう かと母が話しているひとまず俺と彼女は顔 見知りではなく昨日が本当に初対面だと 言った実は昨日海外から戻ってきたばかり で本当に言い訳はいらんえりはうちの大事 な一人娘なのになんでこんなこと にどうやら娘の名前はえりという らしいえりさんの父親の怒りは収まらずに 言い争いがヒートアップするばかりで拉が 開かな 私たちだけじゃ解決できないわそのえり さんはまだ産後入院中でしょうし本人に今 は負担をかけるべきじゃないとなれば やっぱり警察に相談した方がするとここで 第3者が声をあげたこの人は娘さんの元 恋人ではありません全員の視線がエリさん の父親の背後に行くそこにいたのは昨日俺 に何か言いたげにしていたあの美人産婦人 会だっ た彼は本当にたまたま道端で人direし てしまった高坂さんを助けてタクシーで 運んできてくれた人です娘さんがこのこと を知ったらきっとショックを受けますよ お父さん心配なのも分かりますがひとまず 落ち着いて くださいでですが 私が保証します彼は悪人ではありません そう言われてもまだ納得がいかないエリ さんの 父親しかしながら娘の主人の言葉には反論 できず結局俺をじろっと睨みつけるだけ だったすると黙っていた父親が急に口を 開いたうちの息子によそのお嬢さんを ないがしろにするような教育を施した覚え はない神に誓う息子はそんな男じゃない そうだったら俺がその腐った根性を直して やるもう60代後半の父だが元軍人なだけ あって迫力が凄まじかった息子の俺ですら 息を飲み込んで黙ってしまうほどエリさん の父親はようやく状況を理解し何も証拠が あったわけでもないのに勝手に決めつけて 悪かったと言って頭を下げた母が俺の方を 見るきっとこの人をどうするかは俺が 決めろとでも言いたいのだろう俺は小さく ため息をついていった勘違いは誰にでも あるさえりさんのお父さん今度から衝動的 なことをせず冷静な行動を心がけて くださいするとエリさんの父親は顔を 真っ赤にしてすみませんと言って立ち去っ ていったのだったちょいはそれを見て本当 にあの人を許してもいいのかと尋ねてきた 両親も同じ意見だったらしいが俺は肩を すめてこう 答える俺だって若い頃は勘違いから多くの 人と衝突してたくさんの挫折を経験してき たよきっとあの人は娘を誰よりも大事に 思っているじゃなきゃこんな大胆な行動に は出られないだろすると父は小さくため息 をつくとそうだなお前はそういうやだお前 がいいなら俺も何も言わない母さんもう いいだろう と言ってリビングのソファーに戻っていっ たすると母が女医を見てあっという顔を するどうしたのだろうと思っていると母は 遠慮がちにこう聞いたもしかしてさく ちゃんするとちょいは少し驚いた顔をし つつも花が滅ぶような笑顔を向けて答えた お久しぶりですおば様 途端に母は先ほどまでの緊迫した表情から いぺやかに笑いさくと呼ばれた女医に マシンガントークを始めたいやいやいや そうだったのさくちゃんだったのいつ戻っ てきたのよもうこんなに綺麗になってやだ そうならそうだと言ってくれたらよかった の におしり好きな母はまだ喋りそうだったの でで俺が一旦制して紅茶でも持ってきてと お願いしたさという名前を聞き俺も 思い出したの だもしかして高校の時3年間同じクラス なぜかずっと隣の席だった一宮さだよね するとジイもいさは頷いたそして思わぬ ことを口にする えりさんのお父さんがいたのはたまたま私 の用事はそれじゃなかったのまだあの時の 勝負の決着がついていないじゃないその 勝敗を決めようと思ってここを尋ねたの よはて何のことだろうと思っていた俺だが ふと昔のことを思い出した確かあれは高校 に進学した直後のことあの日もさは突拍子 のないことを口にしたねえどっちが先に 相澤先生のテストで100点を取れるか 勝負しようよついでにテストの点数でも 勝負しよう相澤先生とは英語の女教師なの だがテストがものすごく難しいことで有名 だった俺ですらうんとなることが多々あり 英語が得意で日常会話ならペラペラのさで すら最高得点は98点この勝負は高校3年 生になっても続いていたが俺は海外へ行く ことを決めており途中からテスト勉強も そこそこになっていたそして進学する気も なかったので手を抜き2学期に行われた 最後のテストはそもそも風で受けず追も 放棄し どうやらその時のことを言っている らしいあの最後のテストで勝敗がついてい たかもしれないのにあなたは何もしなかっ たうんだからさの不船章だよはあそんなの で納得できるわけない でしょ何を言い出すのかと思えばさは問題 用紙と答案用紙を俺に渡してくるなんだ これと思っているとさは得意顔で答えた 最後のテストまだ取っておいたからそれを パソコンで打って印刷してきたどうやらさ はやる気満々のようだ勝負を受けないと 彼女は帰らない気がしたので俺はしぶしぶ 受けて立つことにしたのだっ た問題を眺めながらこう思ったあの頃はと 感じていたテストも今ならなんなく解ける 当時は父親が英語を話せるというだけで 海外経験はなかった俺しかしこの20年間 海外で過ごしてきた俺にとってこの問題は 小学生レベルであっただけど最後の問題で 手が止まるどうにも納得がいかないでいる ともそれにいか笑いながらこう言っ た私もそこでんて思って手が止まったのよ それで結果は99点これに正解していたら 100点だったの にしばらく考えたがどうしても答えが 見つからず最後はずぽで答えた採点すると 俺もさと同じ99点これで引き分けか結局 勝負はつかなかったねさがそんなことを 言っていると彼女のポケットのスマホが 振動していることに気がつくどうやら病院 からの呼び出しだったようで母が出した 紅茶とおやつを口にして去って言った まるで嵐のような存在の彼女を母は残念 そうな顔をしながら 見送る母なならさについて何か知っている と思って尋ねてみたどうやらさは高校を 卒業した後日本で最高峰と呼ばれる一流 大学の医学部に進学したらしいあの病院は 元々さの父親がやっていたらしく母は普段 隣町のかりいに見てもらっているので 代替わりしたことに気づいていなかった そうだ さちゃんがお父さんの病院を継いで委員長 ですって今ご近所さんから聞いてびっくり したわよさくちゃんが戻ったのは1週間前 ですって母はこういう関係が広くこの1 時間ほどで近所の人と情報交換をしていた ことに驚いたいやそれよりもさだ結局医者 になったのか勉強は常に学年トップだった から飛び切りおかしな話ではないものの なんだか自分とのギャップを感じてしまっ たそれよりも俺は納得いかないことがある やはりこの問題だった正解がこれだと言わ れても納得がいかない相澤先生はどうして これを正解にしたんだ俺の独り言に母も首 をかしげるだがどんなに考えても真実には たどり着けなかったこれ以上考えても無駄 だろう俺は頭からそれを古い落としたそれ からは何事もない日々を過ごし海外に戻る 2日前のこと夕方頃に来客があり出ると そこにいたのは小さな赤坊を抱えている あの時の女性エリさんがいた先日はお世話 になりました父もたなるご迷惑をおかけし たと聞いてなんとお詫びを申したらいいか エリさんの後ろには気まずそうな顔をして 立っている彼女の父親がいた気にしてい ないから大丈夫俺がそう伝えるとエリさん も父親もほっとした顔をしてい たエリさんたちはお礼にと言って 地元で有名なケーキ屋さんのケーキを家族 分買ってきてくれていたせっかく持ってき てくれたのだから断るのも逆に失礼だと 思って受け取ると2人はペコペコと頭を 下げながら去っていく母にこのことを話す と嬉しそうにしてテーカップに紅茶を注い でケーキを皿に移し替えた両親は無類の 甘いも好きお詫びとしてもらったのなら ありがたく頂戴しようという精神なので ケーキを食べることにした口いっぱいに 広がる生クリームの甘みとイゴの酸味が 織りなす滑らかな口当たりに俺も思わず 口元が緩むそして甘いものが大好きな父は 鉱物を口にすると饒舌になるのか急に こんなことを言い始めた 魂を感じるこのケーキはやはり うまいその時はっと思い出して立ち上がり 2階の地質へと駆け込んだもう一度最後に 間違えてしまったあの問題を 読み直すどうしてキャッシーはここで涙を 流したのか長文問題の最後の問いだった それは順当に読めば間違いなく答えは選択 肢2番だったさも当然のようにそれを選び 不正解となってしまったのだ単に当てずぽ でも答えられそうだが理由を書かなければ ならず正当者は1人もいなかった らしい俺はもう1度英文を読み直すことに したじっくり丁寧に登場人物に感情移入 するほどをしっかりとそしてある答えに 気づき思わず駆け出していた向かった先は さの病院今はもしかしたらおさをしている 勤務時間中かもしれないので会えないかも とは思ったが運よくさは休憩化中庭で コーヒーを飲んでいた息を切らして走って きた俺を見てさは目を丸くする どうしたのそんな急いであの問題の答えが 分かったんだ よ途端にさは身を乗り出した嘘でしょ結局 相澤先生は回答を言っただけで理由までは 教えてくれなかったのに俺はゆっくりと この機械な問題について説明をすることに したこの文章自体は特に当たり障りのない 普通の物語で途中の問題だって普通に考え たら解けるものばかりだったしかし俺は 思い出したのだこの物語に出てくる キャシーという女性は文章をしっかり読め ば誰を題材にしているのかがわかる某有名 な偉人でありその人の有名な言葉として 人生には解決法なんかないんだあるのは前 に進む力だけだ解決法は後からついてくる ものさというものがあるそこで俺は直前の 文章からこうを導き出したキャシーはどう して泣いたと思う遠くに旅立つフィアンセ との別れを惜しんだから悲しい気持ちだ から涙を流したのか いいや違う彼女が実はこの偉人の言葉を元 に作られた人物像だとし たら俺が言うとさも気づいたようで小声で まさかと呟いたするとさを呼ぶ看護師の声 が聞こえてくるどうやら分娩が急速に進ん だ妊婦さんがいるらしく今すぐ向かわ なければならないとのことあの場所で 落ち合って答え合わせをしようそういうと さは太陽のような笑顔を向けて今度こそ 勝敗をつつけるわよと言って走り去って しまったのだったそしてフライと当日の朝 飛行機自体は夕方の瓶を取っているので この町を出るのはお昼過ぎだ すると約束通りの場所にさがやってきた 臨時で別の産婦人会にヘルプを頼み今日の 午前は時間を取れるとのこと何かよせぬ ことが起こればすぐに戻るがと言いながら スマホを握りしめているさと共に訪れたの はかつての恩師である相澤先生の自宅だっ たと言っても目の前の表には高坂と書いて あるのだが俺もさも相澤先生にはお世話に なったので自宅はどこにあるのかを知って いたそしてチャイムを押して出てきた人物 と目を合わせて俺たちはびっっくり するそこにいたのは相澤先生ではなくあの 時の妊婦である高坂エリさんだったからだ 驚いていたさんだったが相澤先生のことを 話すとすぐに納得してくれ大雪室に通して くれたどうやら相澤先生は認知症を患って しまい今は施設に入居しているのでここに はいないらしいえりさんは相澤先生の孫だ そうだおばあちゃんはもう私や父のことも すっかり忘れています結婚し 高坂に苗字が変わったことも忘れています あのお2人のことはある程度聞いていまし たどういうことなのかと思っているとえり さんは手紙を取り出してこう言った自分の 中に忘れられない生徒が2人いる自分の テストで100点をどっちが早く取れるか 密かに勝負をしていたおばあちゃんが残し ていた手紙の冒頭はそういう言葉から 始まっていまし たまさに俺たちのことを言っていると俺も さも気づいて片を飲み込んだエリさんは ゆっくりと言葉を 続ける続き読みます ねこの問題は2人に向けて作ったも同然 だっただから答えはないそうそれが答えな んだきっと真実にたどり着いたらきっと誠 君とさちゃんはここに来るそう信じて いるここで手紙は終わっていますエリさん はそう言って手紙を俺たちに手渡した しばらく沈黙が続いていたのだがその静寂 を切り裂いたのはさだっ たキャシーは悲しいから泣いてたんじゃ ない解決方法がないから自身への怒りで 泣きそして自分が前に出なきゃならない から希望を抱いて再び涙を流した選択肢に 答えは存在しない存在しないということが 答えだったのよ俺も同じ結論にたどり着い ていたため大きく頷いたエリサに礼を言っ て家を後にし俺たちは駅に向かいながら 2人で話をしてい たなんでこのからくに気づいたの俺も 分からなかったが父親が言った魂という 言葉ではっなったのだ元々文章を読み ながら不思議に思っていた何かを導いて いるような文章なだけに英語がよくできる 人ほど少しだけ気味が悪い構成になって いるきっと相澤先生はこの少女に宿って いる魂を見抜いて欲しかったのだと思った それが彼女の背景にある偉人の姿で彼の 名言からこの答えを導き出したんだよ実に 相澤先生らしい相澤先生はフランス サッカーが大好きだったって言ってたしな この偉人もフランス作家だ俺の言葉にも ゆっくりとおいた後また不思議そうな顔を し たていうか昔から誠のお父さんて魂とか ソウルとかよく言ってるよねああ ロマンチストなんだよ俺もそれに影響を 受けたそこで俺はもう1つのトリックに気 がつくソウルそうかそういうことか実は俺 の父親は元軍人でありながらも人脈が広い ことからフランス作家と知り合いで相澤 先生ともプライベートで交流があったと 聞いていたそのことも関係して相澤先生の 家を知っていたのだそして父は俺のもう1 つの顔を知っている唯一の人物でもある父 が話したのかもしれない 相澤先生は俺の夢を知っていたのかそれで あんな問題をいや違うなこの頃ならそうか そういうことだったのかはは俺より俺の心 を知っているんじゃないかあの人は今 ようやく俺の中で疑問だった点と点が線と なって繋がった気がした俺は現在海外を 飛び回るアーティストをやっている実は 海外に飛ぶ時も父にだけは魂を奏でる ミュージシャンになりたいと明かしていた きっと交流があった相澤先生は俺がそれを 目指していることを知っていたに違いない だから問題を通じて気持ちを伝えたかった のだろう俺の背中を押したのだ2つの意味 であるのは前に進む力だけだ解決法は後 からついてくるものキャッシーのモデルは 偉人と見せかけた俺自身だったの かいつも科目で何を考えているのか分から なかった相澤先生だが俺やさのことはよく 気にかけてくれていたことを思い出す 俺がブツブツ何か言っているのでさはわけ がわからないと言った顔をしていたがいつ の間にか駅に到着していたちょっと意味が 分からないんだけどさっきから何を言っ てるの俺の心とかモデルは俺だったとか どういうことそんなさに俺は笑って 答える次に会うのは半年後だと思うその時 答え教えるよ不思議がっている彼女の ポケットで鳴っているスマホを指さした アクシデントか 頑張れよ慌てて電話に出る彼女に笑顔で手 を振り俺は新幹線に乗り込んだのだっ たそれから半年後俺は約束通り再び日本に 戻ってきてさの元を尋ねた 答え合わせを急いでいる彼女の前にひき俺 は小さな箱を 見せる俺はアーティストになる道を選んだ けどどうしても君のことが忘れられずにい たんだ海外に行く時もずっと君の顔が ちらついていたし実は今でもそうだったん だ再開したあの時あまりにもも綺麗になっ ていたから気づかなかったよどうしたら どっちの夢も叶えられる諦めるしかないの かいいや解決方法は後からいくらでもつい てくる俺は俺らしく自分の信じた道を 突き進んでいくことにしたんださ俺と結婚 前提のお付き合いをして くださいそう言うととさは目に涙を浮かべ ながらシルバーリングを受け取って顔を くしゃくしゃにしながら笑っ た大人になってから視野が広くなって解決 方法を見つけたって言いたいの自分の夢を 取るか私と付き合うかもう本当に相澤先生 もまも全部が全部回りくどいのよこちら こそ よろしくお願いし ます相澤先生は俺がさに思いを寄せていた ことを知っていたの だろう父と同じでロマンチストな彼女は俺 たちをついでいる英語のテストというもの を返して俺の背中を押してくれていたのだ 自分が介入できる問題ではないけど教え子 が困っているのであれば助けたい相澤先生 はそういう人なの だ大の場でプロポーズ間のことをしたから か周りから盛大な拍手と完成を浴びた俺 たちそして1年後には無事にゴールインし 新居で暮らす前に実家で独身最後の日を 過ごすことになっ た父が珍しく酒に酔いつぶれてしまったの で肩を貸して寝室へと母と共に運ぶそして 父の部屋を見て絶したこれあの覆面 アーティストのしかもボーカルばかりの 写真じゃないか父さんそんなに好きだった のか俺がそう言うと母は上品に笑って答え たお父さんは昔からソウルが大好きでしょ この歌詞からは自分に近いソウルを感じる んですって父をベッドに横たわらせると彼 は小さな声で呟いた俺はこのボーカルが 世界で一番好きなんだなんてったって俺の 自慢だからな俺は涙が出そうになり母は 優しく背中をさすってくれたのだった そして2年後さは妊娠出産を経て仕事復帰 をし俺たちは世話しない日々を過ごして いるもうアーティスト活動はいいのいいん だ自分が何者か分からないから俺は顔を 隠し続けただけどもうそんなことする必要 はないあのバンドのボーカルは自分が何者 かわからないやつが慣れるんだ俺はもうお 払い箱だってメンバーに言われたよそう 言うとさは笑いながら続けたにしては彼ら みんなあなたの幸せを願っているように 見えたわよ新しいボーカルを迎えた最初の 曲だってあなたに向けたもの みたいちょうどその曲を聞きながら俺も あいつら生なことをするななんて思ってい たところだそしてエリサのことを思い出す 俺がかつて所属していたあの覆面バンドの 新たなボーカルとして加入した日本人画面 越しに彼を見ながらエリさんは涙を流して いた相澤先生が作ったあの問題に出てくる キャシーという少女彼女も夢を追いかけ 旅立つフィアンセを見送ったそしてキャシ は強く生きることを選択したエリさんも 同じなのだろう父親が誰なのかを明かさず 今は家族と子供を育てている立派な母親に なった人には秘密の1つや2つあっても おかしくないエリさんの人生や新しい ボーカルの彼に幸せが訪れることを俺は 願ったあそうだ今度相澤先生のところに 報告へ行こうよいいなそれまあ俺たちの ことは覚えてないからいつも通りお茶のみ 仲間としてなそんなたいない会話をし ながら俺はようやく自分の手で掴み取った 幸せを噛みしめながら生きていくのだっ た岩崎お前は首だ明日から来なくて いい突然の解雇宣告に俺は戸惑う一体なぜ 俺が何をしたって言うんだ解雇される理由 が見当たらないえどういうことですか俺 何か会社に迷惑かけました か首って言ったら首なんだほら解雇通知だ これを持ってさっさと出ていけ 待ってください社長せめて理由を聞かせて ください見苦しいわねあなたみたいで無学 で品のない人大嫌い会社の品格が疑われる わここにもうあなたの居場所はないの さっさと出ていってちょうだい その場にいた社長夫人がなめくじでも見る ような目で俺を見ている か彼女の差し金か高卒から働き金属35年 の俺が社長夫人に嫌われて首にされた こんな理不尽なことってあるか い俺の名前は岩橋徹53歳高校卒業して からずっとこの会社末松内装店に務めてき た本当は大学に行きたかったんだけど家庭 の情が許さなかった父親を早くになくした 俺には家族を養うという義務があった母は 体が丈夫じゃなかったし俺には3歳年下の 妹と5歳年下の弟がいた彼らにもひもじい 思いをさせるわけにはいかない俺が働か なきゃお父さんの残してくれたお金がある し保険金もあるだから心配しないであなた が自分の夢を諦めることはない のありがとうお母さんでもそのお金は みやびとじに使って よあの2人にお金が必要になるのはまだ先 のことよそれまでに母さん頑張って稼ぐ から今はあなたが使い なさい何言ってんだよ体が丈夫じゃじゃ ないんだから無理しないで よだけどドルあなた大学に行きたいって 言ってたじゃ ないサークルやコンパがやりたいだけだよ 正直俺勉強好きじゃないん だ母さんに余計な気を使わせたくない俺は 精一杯の嘘を つく俺よりもジの方が優秀なんだぜジは 医者になりたいんだってみやびだっていつ か結婚する時には嫁入り道具が必要だろう だから父さんのお金は2人のために取って おこうドルはドルはそれでいいのもちろん 俺は2人の兄貴だ ぜありがとう とる医者になりたかったのは俺だ父さんを 虫ばんだ病魔が憎くて俺は人を助けられる 医者になりたいと思っただけどそれは弟の 人も同じだった弟は県内でも有数の進学校 に進んだばかり思いが同じなら優秀な弟が 医者になった方がいい俺の夢は人に託して 彼が思いっきり学べる環境を用意して やろう俺はそう決心し社会に踏み出す決意 を固めたとは言っても専門学校卒でもない 高卒の俺がやれるような仕事なんてそうは ない事情を知る担任教師が一生懸命探して くれたのは隣町にある畳屋だっ た先生の知り合いのつてなんだけどな明治 から創業している優正しい畳屋なんだ岩崎 にその気があるのなら職人として鍛えて くれるらしいどうだ興味ある か畳みって儲かる の最近はフローリングが増えてきている けどやっぱり床の間とかは畳だろう 食いっぱぐれることはないんじゃないかな 国家資格を狙ってみると いい時代はどんどん西用化されていた けれどまだまだ畳みは需要があったそれに 職人という響きは何ともかっこいいじゃ ないか国家資格というのも白がついていい 俺は教師の進めるまま畳に就職を決めた その畳が今の末末内装店だ今でこそ内装 全般を手広く扱っているが俺が入社した 当時は畳の専門店だった名時2年に創業し たという末末畳店は創業150年を超える 相当な死だだけどここに至る童貞は波乱 万丈で畳だけでやっていけないと悟った4 代目が床や壁紙といった内装から リフォームまで幅広く手掛ける内装点に 家事を切ったその4代目が今の社長で俺に 畳のなんたるかを教えてくれた人 だトル畳は何でできているか知ってるか い草でしょそうだどうしてい草で畳を作る んだと 思う丈夫だからそれ からそれ からどうしてい草なのかなんて考えたこと もないだって畳はい草だから俺にとっては それ以上でもそれ以下でもない何の知識も ない俺を馬鹿にすることなく社長は語を 読み聞かせるように根気強く教えて くれるい草はスポンジ構造と言ってな表面 がでこぼこになっているんだこのでこぼこ が湿度を絶妙に調整してくれるから畳の ある部屋は快適に保てるん だそうなんだい草すごい じゃんそうだ畳はただの物じゃないみんが 毎日を気持ちよく過ごせる環境を生み出す 大切な役割を担っているんだ一般的には 知られていないかもしれないけど畳職人は な誇り高い仕事だ よこの言葉が俺を畳職人の道に進ませた もちろん簡単なことじゃない一口に畳みと 言っても用途は様々で必要に応じて形や 大きさ重さが変わるい草や縫い付けの知識 やテクニックはもちろん日本文化に対する 増資も求められるだっって茶室を作るなら お茶の作法を知らなくちゃならないだろう どうしてその大きさなのかそこでどんな ことが行われるのかそれに必要で絶えうる 畳みとはどんなものか知らなければ作れ ない仕事中は職人について技術を学び 仕事が終われば日本の文化や歴史について 学ぶとはいつも本ばかり読んでるな あんまり読んでばかりいると目が悪くなる ぞそうそう若いんだからたまには遊んだら どうだなんなら女の子紹介するぞそう言っ てよくからかわれたっけ俺は本来勉強が 好きだ畳という未知なる分野は俺の興味を 駆り立て知れば知るほど知的好奇心は刺激 された時間さえあれば関連する書籍に目を 通し分からないことがあれば職人たちに 聞く当時はまだ技術を見て盗めな時代だっ たし職人は無口な人が多い俺は質問する 代わりに職人たちの背中にへばりつき邪魔 だ整なられながらも手の動きを見つめメモ を取りそれでも分からない時はタイミング を見計らって恐る恐る声をかけ教えを来い 学び続けた二十歳前後の若い脳は柔らかく てそれこそい草のように俺は知識を吸収し たそうして10数年の修行を得て俺は畳 政策一級技能士に合格一端の畳職人として 厚生労働大臣に認められることとなる まさか本当に合格するとは な社長俺のこと信じてなかったんですか そんなことはないさま途中でやめるかと 思ってはいたよなんだよ それ今でこそコンプライアンスだなんだと 騒がしいが俺が修行している時は厳しくて 当然バカ野郎そうじゃないだろお前に畳に なんか勤まらんやめちまえなんて厳しい 言葉が飛び交う毎日だった言葉だけじゃ なく肩骨や道具が飛んでくるだからと言っ て訴えてやるなんていうやはいない叱ら れるうちが花じゃないけれど見込みがある から鍛えようとするわけでああだこうだ 言いながらきちんと面倒を見てくれる叱ら れるたにくそじじい見てやがれ と魔剣根性が湧き上がり情熱は ヒートアップいつか鼻の穴を明かしてやる さと技を磨き続けるのだ今では考えられ ないことだろうけどこれが通常運転おかげ で今や押しされぬ畳職人としての地位を 得ることができたわけだだけど俺が畳職人 になってすぐ会社が傾き始めた時代は式へ 一直線もはや古い文化は見向きもされず町 には勝者なマンションが立ち並び畳は フローリングへと変わっていった片に畳 一筋でやってきた会社だったけれど時代の 波には抗えず生き残る手段として内装 リフォームの会社へと家事を切ることと なっただからと言って畳をなくすわけじゃ ない畳は日本の文化日本人の心だ需要は 少なく市場は狭くなるだろうけど畳職人の 灯しびは絶対に消さない畳はお前に任せる 通る頼んだ ぞわかりました 社長この頃には俺を指導してくれた職人 たちはすでに引退していて実質俺がトップ になっていた俺の下には5人ほどの人間が いたけれどうち見習い3人はいずれも若く 絶対に畳を作りたいと志願して入社した わけではない社長はボランティアで保護 島間のことをしていて当てのない若者を 自らの会社に引き入れていた家庭や社会に 見放されたという思いがあるのかひねくれ ていてわがままで言うことを聞かない そんな若者3人を親代わりのように面倒を のは骨が折れるちょっと目を離すとさるし 何より畳に興味がないのがいけない昭和 時代を生きてきた俺にとって平成以降の 若者は未知なる存在だ見て盗めなんて通用 しないし強引に勉強させるわけにもいか ない上に立つものとしてどう指導すれば いいのか頭を悩ませる日々が続く会社は 内店に様したとはいえ当時はまだまだ小 規模でお昼になれば社長夫人がお茶を入れ おやつの時間にはお菓子を用意してくれる そんな家庭的な繋がりがまだ残ってい たみね君仕事はどうそろそろ慣れてきた かしらちっとも岩橋さん怒ってばかりだ し岩橋さんどういうこと 怒ってないですよ指導してるだけですネテ の言い方が悪いんじゃないの今の子には 優しくしてあげなくちゃだめ よ甘やかしてばかりいてはいい職人になれ ません よ俺職人になんてならないしそもそも畳 なんて興味ねえ よそれを言ってはおしまいだろうなんと 言ってもここは畳屋内にえしたとはいえ畳 は未だ売上の大半を閉めているしかし社長 夫人は若い子の味方だ手に興味がないなら リフォームはどうかしらあなたみ君の担当 変えてあげなさい よみはいい筋してるんだけどなどうだ 通る俺もそう思いますみならすぐに能に なれ 本人が嫌だって言ってるの よ社長夫人はお茶とお菓子だけてなく口も 出すみんな彼女には逆らえないから自然と 若者たちは夫人に甘えるほとほと参る けれど若い力は貴重だ一刻も早く戦力と なってもらうには多少のわがままにも目を つらなきゃいけないおかげで俺は雨との 使い方がうまくなったみだって興味がない とは言いつつもその作業は丁寧で完璧だ 修行を続ければ間違いなく一級品の畳職人 になれるそれは彼のモチベーションや誇り になるし何より未来を助けるだからこそ俺 も指導に熱が入るしついついもいがきつく なることもあるさ本人だっって分かって いるはずだだけど夫人が甘やかすから助長 して自分の未来に水を 刺すだけどミネには可能性があるんです なあミネお前本当にやりたくないのか畳 張りの使い方もうまくなったし縫い付け だって丁寧にやってるじゃないかだから 興味がないって言ってるじゃない俺は峰に 聞いてるんです奥さんはいて くさいなんですって私に対してその口の 聞き方は 何いつもこの調子だ俺は自分がそうやって 助けられてきたせいか困っているものが いれば手を差し伸べる社員たちが社長に なかなか言えないことを大弁することだっ て 多い社長最近ちょっと残業多くないですか みんな疲れきってますよ がなここで頑張ってもらわないと今月 きついんだ よそれは分かりますがだからって体壊し たら本末転倒でしょ仕事が増えるのはいい けどきちんと体を休ませるのも仕事のうち ですようーそうだ なあなんて会話をしていると社長夫人が顔 を出し口を 出す平社員の分際で随分と偉そうねそれは 社長が考えることであってあなたの仕事で はないわ黙って なさいだけど奥さんみんな疲弊してるん ですよ交代性にするとか働き方を考えない とだ からあなたの考えることじゃないって言っ てるのそれに奥さんて呼ぶのやめてくれる 社長夫人と呼びなさい 一時が万事この調子社長夫人の耳に入ら ないところで話してもなぜか筒抜けそりゃ そうだろう全部社長が報告しているからな おかげで俺は耳の痛いことばかり言う口 うるさい社員の楽員を押されることになっ た社長は分かってくれているけれど何しろ 夫人に頭が上がらない ないなとそっとつぶやく社長の顔は非想感 が漂っていてものすごく道場を誘うのだ けれどだからと言って口を閉ざすわけには いかない変えるべきところは変えていか ないと時代の変化についていけない外側 だけ取り繕ったところで中身が伴わなけれ ばいつか破綻するだろう俺はそれを防ぐ べく口うるさい小言を言い続けるきっと そんな俺を持て余すようになったんだろう ある日社長室に呼び出された俺はいきなり こう告げられ た岩崎お前は首だ明日から来なくて いいいやいや突然すぎるだろ俺が何をし たって言うんだ俺には解雇される理由が 見当たらないえどういうことですか俺何か 会社に迷惑かけました か首って言ったら首なんだほら解雇通知だ これを持ってさっさと出て いけちょっと待ってください俺解雇予告さ れていませんよ解雇の場合30日前の事前 予告が必要なはずだそれぐらい俺だって 知っている事前予告がなければこれはは 不会子だ俺には従う義務などないそう考え ていると社長夫人が口を 挟むあなたみ君たちに賭博を教えた でしょうあの子たちすっかりはまって しまって仕事に影響が出ているのよあなた は彼らに悪いことを教えて職場起立を乱し たんだから雇でき るってわけ待ってください賭博って麻雀の ことですかそうよ俺は賭け麻雀なんか教え てませんよやったことがある人なら分かる だろうが麻雀は頭のスポーツだ集中力や 判断力記憶力忍耐力そして場を読む力と いったものが鍛えられるし手っ取り早く コミュニケーションも取れる雀卓を囲み ながら お前の針には迷いがあるだからヘリが 曲がるんだもっと筋を読め指先の感覚を 鍛えろわかりましたいつもは無口な職人も 肺を扱いながらポツポツと話をする普段 話さない分だけ彼らの言葉には重みがあり そこでしか学べないことだってあっただ から俺は後輩たちを麻雀に誘いいつもとは 違うコミュニケーションを心がけた健全 たる理由であって決して横島な気持ちなど ない1度だっってお金を動かしたことは ないしそれどころか駆け麻雀はするなと口 を酸っぱくして言ってき たあなたが教えてないと言ったところで 雀荘ってそういうところでしょ若いんだ から面白くなっちゃうに決まってるじゃ ない結果的にあなたが賭博を教えたことに なるの よそんな俺はかけ麻雀だけは絶対にするな と何度も言い聞かせてきたんです よてらっしゃい結果が全てなのよみ君 なんて借金ができてしまって怖い人に 追いかけられてるのよあなたどう責任を 取る つもり責任も何も彼らはすでに二十歳を 過ぎた立派な大人だ自分の頭で考え判断 する能力は十分にあるやるなと言ったこと をやったのは彼ら自身の判断 だろう確かに麻雀を教えたのは俺ですでも その後のことは彼ら自身の責任でしょう彼 らは二十歳過ぎてるんですよ選挙権のある 立派な大人です見苦しいわねあなたみたい な無学で品のない人大嫌い会社の品格が 疑われるわここにもうあなたの居所はない のさっさと出ていってちょうだい 社長夫人はなめくじでも見るような目で俺 を見る社長は顔を伏せたまま一言も発し ないそうか全て彼女の差し金か高卒から 働き金属35年会社が傾きかけた時も必死 で支え続けてきた俺が社長夫人に嫌われて 首にされるこんな理不尽で固形な話ある だろう かわずかだけど退職金は出すよ今までご 苦労だったな ありがとうこれが社長に言える精一杯なん だろう俺は社長が哀れに なるこんな男に退職金なんて出す必要ない のよあなたそのお金みね君にあげ なさいお断りし ます自分のせいでみね君が困って るっていうのに血も涙もない人ね血も涙も ないのはお前だろうと心の中でつばと一緒 に 吐き捨てる社長お世話になりました35 年間ありがとうございました は社長にだけ頭を下げ部屋を後にした荷物 をまとめるために部屋に戻るとみんなに 退職の報告を するえ退職ってどういうことですかそんな 話聞いてません よ俺だって今さっき聞いたばかり だどういうことですかそれ不会子じゃない です かまあそうだ な訴え ましょうまあ待てそんなことをしたって何 のメリットも ないだからって受け入れるんですか俺は 夫人に嫌われてるからな何を言っても無駄 だよお前たちまで新相を悪くする必要は ない今まで通り俺の分も頑張って くれみは部屋の片隅で俺たちのをじっと見 ている俺は彼に近づき声をかけるみねお前 はいい腕を持ってるんだあと数年我慢して 修行しろお前なら日本一の畳職人になれる 俺はそれを楽しみにしている よみは俺から目をそらしたまま一言も話す ことはなかった 俺に行く当てなどなかった寝耳に水の解雇 だからな当てなんてあるはずもない とりあえず母さんになんて言おう1番の 気がかりはそれだったまだ帰るには早い 時間だったから途中で喫茶店に立ち寄り コーヒーを飲むそれでも時間を潰しきれ なくて仕方なく俺は家に 帰るあらどうしたの今日はやけに早いじゃ ないのうん母さん俺会社やめたんださすが に首になったとは言えない えどうし て実は独立しようと思って さそれにしてもいきなりじゃないあうん そうだねちょっといきなり思い立っちゃっ てさほら思い立ったが吉実って言うじゃ ないかこういう決断には思い切りが必要な ん だはれの悪さに何かをさしたのか母はそれ 以上突っ込んではこなかったそれから数日 俺はやることもなくダラダラと家の中で 日々を過ごした高校を卒業してからこの年 まで畳一筋で生きてきた俺に趣味など なかったあえて言えば麻雀だがさすがに 雀荘に行く気にはならない新聞を読み 転がっている雑誌を読むともうやること なんてないしょうがないから家の畳を1枚 ずつ点検し気になる部分を引き剥がしては 修理するとは言っても大きな屋敷でもある まいし畳の数なんて高が知れているから その作業もすぐに 終わる隠居して老人みたいねゴロゴロして ないで物件でも探しに行っ たら 物見独立するんでしょあああうんそうだね そうだ俺は独立するために会社を辞めたん だ行けない設定を忘れるところだっ ただったら会社が必要じゃないさすがに この家では無理 でしょそれもそうだね天気もいいみたいだ しちょっと行ってくる よいっ てらっしゃい1週間ぶりの外は日差しが 眩しい街路樹も青青としげり花も咲き誇っ ている世界はこんなに綺麗なのに俺だけ くすぶっているなちょっぴりセチな気分に なっていると俺を叫ぶ声が聞こえる 岩橋さん岩橋とさんですよ ね振り返ると見覚えのある女性が追いかけ てくるあれはライバル会社の美人部長じゃ ないか名前は確か西田はみさんだった な西田さんお久しぶりです嬉しい覚えてい てくれたんです ねそりゃこんな 忘れるわけがないがそんなことは口に出せ ないもちろんですいいライバルでしたから ねライバルでしたなんで過去系なんですか もううちの会社はライバルにすらなり得 ないんですか途端に悲しそうな顔をする 西田さんに俺は慌てて訂正を するそうじゃないんです俺会社やめたでえ やめたどうしててことは岩橋さん今フリー なんです か切り替えの早い人だな答えを待たずに 質問を繰り出すのは頭の回転が早い証拠 だろう彼女西田はみさんは末松内装店の ライバル会社エデンホームの営業企画部長 確かまだ30代仲間ぐらいじゃたかその 年齢で部長食につくぐらいだからどれ くらい優秀かは押して知るべし末末内装店 とはリフォーム分野でよく立ち合いいつも 相見積もりでヒートアップを繰り広げた うちに比べれば歴史の浅い会社だが腕の いい職人やデザイナーを多数抱えている テレビ番組の企画でリフォームを手掛けた ことで売れて有名企業に成長 今やノに乗っていると言っていい だろう岩橋さんフリーなんですねだったら 是非うちに来てくださいあなたが欲しい ですちょちょっと待ってよいきなりすぎ ないいきなりじゃありません私ずっと あなたを狙っていたんですここで出会った のは絶対に運命です私と一緒に来て ください美人部長にグイグイと迫られ腰が 引ける俺そのままエデンホームへと連れて 行か れるでどうして末末内装店辞めちゃったん ですかストレートな問いかけにたログが嘘 をついてもしょうがない俺がこの顛末を 話すと西田さんは激怒し た何考えてるんですか末松社長はボケ ちゃったんじゃないですか橋さんを首に するなんて世界の損失です絶対に会社潰れ ます よ西田さ言いすぎだっていいえ末松社長は 岩橋さんの価値を分かっていません岩橋 さんあなた自身も はあいいですか岩橋さん今畳の価値は世界 的に見直されているんですなのに畳人の数 は減っている正直需要に供給が追いついて いないんです確かにここ数年で畳の価値は 再浮上したい草にはバニリン フィトンチットという物質が含まれている のだけれどバニリンはバニラのような甘い 香りで心を落ち着け集中力を高める フィトンチットはリラックス効果があると 同時に優れた殺菌効果を保有する い草は空気を正常に保ってくれるし温度 調節もしてくれるまた畳の緑色は目にも 優しく安心感を与えてくれる弾力性に優れ ているから転んでも衝撃が少なく物を 落としても音がせず気が散らない畳が 生み出す快適な空間は集中力を持続させ 勉強や仕事の効果を上げる畳みのある部屋 で勉強した子供たちの回答率が14.1 アップしたという研究結果もあるぐらいだ 何より畳は日本人のDNAに刻み込まれて いる我が者は今後より一層畳に力を入れて いくつもりです国内でも茶室だとかお寺だ とか一定の需要が見込めますそれにね最近 は畳を導入する進学塾も増えてるんです それはすごいすごいですよねでも職人が 不足してるんです岩橋さんうちに来て くださいでもエデンホームさんにも優秀な 職人さんがいらっしゃいましたよ ね確か俺より若くてすご腕の職人が数人い たはずだいますよもちろんでもね岩橋さん ほどのはいないんです俺なんて大したこと ないですよそれよりもちゃんと技術学校に 通って学んだ人の方が優秀だし信頼 できる謙遜しないでください確かに技術 学校の指導は優れていますでも現場で1 から体に染み込ませてきた人にはやっぱり 勝てないんです叩き込まれてきた技術力と 畳み魂が違う です畳魂 って岩橋さんにはありますよね畳 魂畳魂確かにこの35年間俺は全身前連を 込めて畳と向き合ってきたその時間を学び を技術を畳魂と呼ぶのなら俺は間違いなく マイスターだろう謙遜しては見たものの俺 は畳職人として一級品であることを自由し て いる我が者の職人はみんな優秀ですが クールというか割り切っているというか畳 に対する愛が足りないんですもっと愛情 込めて向き合えば今以上に素晴らしい製品 を作れるはずですだから岩橋さんには是非 うちの職人たちに畳み合いを叩き込んで 欲しいんです今度は畳み合いと来たか西田 さんの言うことは分からないでもない確か に最近は皇帝が機械化されたりして作業は 随分肝化された機械の方は正確で歪みが ないこともあるけれどなんとなく物足りな さは否めない畳はやっぱり一張1針 縫い上げてこそではないかキルトや パッチワークと一緒だい草を縫いつける その張に西田さんが言う畳魂が注がれて いく若いのに立派な考えの人だな俺は関心 せずにいられないわかりましたどうせ行く 当てもないし契約社員ですかそれとも パート正社員です職人頭としてリフォーム チームを引いて くださいはい岩橋さん畳を作る時部屋全体 のインテリアをイメージしてますよね もちろんだ畳は畳だけで完成しない部屋に しっくりはまってこそその機能日を発揮 する恥ずかしい話ですが我が者には トータルコーディネートできる職人がい ないんですだから岩橋さんにはチーム リーダーとしてリフォーム全般を見て いただき たい俺畳のことしかわからないよ内装関連 の技術力なら問題ありませんそこはうちの 職人たちに任せてくださいあなたに求める のはトータルイメージですクライアントに 自信を持って進められる和風モダニズムを 追求して欲しいんです洋風でも和風でも マッチする畳作りをお願いします難しい ことを言うね その困難を岩橋さんのお力で是非とも具現 化していただきたい予算は十分に取ります 不足するようなら言ってくださいちなみに お給料はこちらでいかが でしょう提示された額を見て俺は腰を 抜かしそうになる前の会社の倍を軽く超え ているじゃないか吉興しすぎて言葉を外せ ずにいると西田さんが不安そうな顔で 問いかけるご納得いただけませんか我が社 では破格の金額なんです けどいやいやいやいやこれはもらいすぎ でしょうゼロの数間違ってませんかいえ 正確な数字ですこの数字は岩橋さんへの 期待値ですそれぐらい私たちはあなたが 欲しいん ですあなたが欲しいのフレーズに思わず体 がビクッと反応してしまういや落ち着け俺 これは相当なことを求められているぞ畳 しか作ってこなかった俺にできるのか新々 するもののあることに俺は気づくそうだ俺 は勉強が好きだ50歳よ過ぎても知的好奇 心が衰えることはなく新しいチャレンジは 未だに大好物わからば学べばいいとことん 研究して物にすれば いいわかりました是非やらせて くださいありがとうございますではこの後 3時からのミーティングに参加して ください えまだ契約も何もしてないんですけど 大丈夫です任せてくださいいつかこんな日 が来るだろうと岩橋ダッシュプロジェと なるものを策定していたんです上層部も すでに了承済みですなんともまあ俺の 当たり知らぬところで体操なプロジェクト が進行していたものだうふふと不敵に笑う 西田さん侮れないなこれは恥ずかしい仕事 なんてできないぞ俺は深く新呼吸して腹を くるわずか1週間でライバル会社に就職 するなんて切りにも思えるが俺は解雇され たみだそこは心配ないが果たしてそんな俺 をエデンホームの社員は受け入れてくれる のだろうか先々興教とした気持ちで車内を 歩いているとあちこちからざわざわと声が 聞こえるあ岩橋さんだへえあれが岩橋さん かとうとうちに来てくくれるのかな マジかよじゃああのプロジェクトも動き 出すんだな気のせいかものすごく歓迎され ている気が する西田さんあのプロジェクトって何です かすぐに分かりますよ今からちょうどその 打ち合わせです から結論を言えばあのプロジェクトとは 固定概念を覆す畳の制作だったエデン ホームが目指すのは畳の海外輸出クール ジャパンをきっかけに誕生した日本ビキの 心をわしづかみにする製品を考案し新たな 畳の利用法を提案していくプロジェクト なんとも面白そうではないかけけゴゴと 繰り広げられる白熱した議論年代も立場も 関係なくどう畳を世界に認めさせるかの一 てで意見を戦わせる前の会社では感じる ことのなかった用感が俺を前のめりにする 別に床にしかなくてもいいんじゃない絵画 みたいに飾るとかお盆代わりにするとか カラフルな畳なんかを一松上に組んでみ たら北王家具にも会いそうだよねみんなが 一斉に俺を見てえという顔をするしの の 後カラフルな畳ちょっと想像できない ない草って染められるのでも色を選べると いいよ ねだったら私黒がいいいやもっと可愛い色 にし とけよ話はどんどん広がり次回の ミーティングまでに各自実現したい色を 決めることになった さすがです岩橋さんこういう発想を待って たんですあれでいいんだ歴史や文化を知っ ているからこその発想ってあると思うん ですよねこれからもどんどんこの調子でお 願いし ます無事エデンホームに迎い入れられた俺 はそれからも遠慮なく好きなことを 言い放った俺の発言にインスピレーション を受けた若者たちがにすべく必死に 取り組む技術的な問題があれば遠慮なく 指導するいい循環だエデンホームには 物づくりに最適な環境が整っていたそして 今完成した作品のPRのために俺は海外の 展示会に来ている今回のテーマは北欧家具 に合わせたリビングの提案だピンクや緑色 取り取りに染め上げられた草が何とも ポップな空間を 作り上げる目にする人々は口々に アメージングジャパンと言っては目を輝か せ居心地の良さを堪能している様子ついで に持ち込んだ畳トレイやイグバッグも興味 を引いている畳は日本の誇るべき文化だ スタイルが変わろうと文化や歴史そして畳 に注がれる愛情がれることはない時代や 要望に合わせながらも肝心な部分は決して 手を抜くことなく諦めないその心行きが畳 という姿になって多くの人に受け入れ られるのだろうそんな俺の気持ちを一番 よく理解し右腕となってくれているのが峰 だ俺が首になった2年後末末公務店は廃業 した実はその時末松社長からのを引き継が ないかという話をもらったこんなこと言え たぎりじゃないんだが創業150年の歴史 を途切れさせたくないんだどうか戻ってき て引き継いでくれない か今更すぎますよすでに俺はエデンホーム の一員として地位を確立していたし何より 仕事が面白くなっていた ミネはどうしてるんです か元気だよお前を解雇したこと相当恨まれ てなろに口を聞いてくれなくなっ たでしょうねみはあんな態度だったけれど 俺のことをリスペクトしていた彼は彼なり に必死になって俺から技術を盗もうとして いたのだ会社は引き継げませんがは俺が 引き取りますよ今もまだつっけんどんな 態度だけれどそんなところも含めてミネは エデンホームの仲間に温かく迎えられ俺の 補佐役として汗水垂らしている俺の後を 継ぐのは間違いなくこいつだな俺はそう 確信している過去から未来へ日本から世界 へ畳魂はきっと全てをついでくれるだろう 多分きっと西田さんとの縁も ねパパ私この豚肉がいいりんは嬉しそうに メニュー表を見ている今日は娘りんの 誕生日前々から高級焼肉店に来るのを 楽しみにしてい た好きなものを何でも頼んでいいよカルビ は頼まなくてもいいのか俺の問いかけに りんは笑顔で豚肉がいいのと答えたりんは 昔昔からある理由があって豚肉が大好きな のだテーブルの上はあっという間に豚肉の 皿でいっぱいになったすると隣の席に座っ ていた銀行員のカップルがこちらを見て 笑い出しありえないことを口にするのだ見 て隣のテーブル豚肉だらけやっぱり貧乏な の ねリンは下を向いている貧乏だと思われて しまったのは自分のせいだと思ってしまっ たのだろうこんな失礼なことを言ってりん を悲しませるなんて許せない2人には反省 してもらおう俺はある決意をするのだっ た俺の名前は立木正美40歳だ現在は10 歳の娘のりんと2人暮らしをしているい俺 が妻と離婚したのは8年前だ家事もせずに 外で遊んでばかりいる妻は娘の世話もし なかったしまいには俺に金の無心までする ようになってしまい離婚することにしたの だっ たまだ赤ちゃんだった娘を働きながら育て ていくのは難しかったが会社の協力もあり 在宅ワークでなんとかここまで大きく成長 させることができた 俺は日々の生活のため必死で働いている できるだけりんと一緒にいる時間を確保し たいと思っているがなかなか 難しいパパ来週授業参観だよ来てくれるよ ねりんは学校から配られたプリントを俺に 見せてきた俺ははっとした授業参観のこと すっかり忘れてしまっていたよ調整して 必ず行くからな 俺の顔を見てがっかりするりんため息を つきながら前から行ってあったのにもう 無理しなくてもいいよと拗ねてしまった 忙しさのあまり学校の予定や仕事の スケジュールがごちゃごちゃになって しまうこともよく ある絶対行くから大事なりの授業参観だ からな行かないわけがない だろうりの表情が一気に明るくなった10 歳とはいえまだまだ甘えたい盛りの女の子 なのだそんなある日のこといつもは元気 いっぱいで学校から帰ってくるりんが 泣きべそを描いて帰ってきた俺がりんの顔 を覗き込んだ時には泣きはらした目は 真っ赤になっていたどうした学校で何か あったの か俺の問いにりんは何も言わずに部屋に 入ってしまった友達と喧嘩でもしてしまっ たのだろうか俺の頭の中は心配でいっぱい になってしまった俺はりんの部屋の前に 行きりんに優しい声で 話しかけるりんパパはいつでもりんの味方 だ何か話したいことがあったら何でも言っ ていいんだ ぞ俺の言葉でリンが部屋から出てきた そして泣きながらゆっくり話し始めたの だ大雅君がうちはお母さんがいないから 貧乏だっていうの貧乏人はこの学校に来る なって俺は言葉を失うまたあの大雅か大雅 とは幼稚園の時から一緒で断るごとにりん にじわを言ってくる男の子だりんが今の小 学校受験すると言った時も貧乏なくせに俺 と同じ小学校に行けるのと言った言い方を 何度もしてりんを困らせた俺はその度に パパがバリバリ働いているからうちは貧乏 ではないんだぞとりんに言ってきたの だなぜこんなにもりんにつっかかってくる のか理解できないだがタイガだけを責める ことはできないのだなぜなら大雅の母親 黒瀬リカも意地悪なことを言う人だった からだ小学校のPTAの帰り道保護者同士 でランチ会をすることになった父親の参加 も数人あったので緊張はしたもののみんな と一緒にそのレストランに向かっていたの だその時リカはみんなの前で俺に立ち木 さんお金が苦しいでしょ無理して参加し なくてもいいのよと言ってきたのだ保護者 の視線が一気に俺に集まり恥ずかしくなっ てしまった俺は会に参加することなく急い でその場を後にしたの だ妻がいないというだけでクロセさんは俺 やりんを偏見の目で見てきたのだった そんな経緯もあり俺は黒瀬親子とは関わら ないように生活してきたのだ俺はりんの顔 を覗き込んだ何回も言っているけどうちは 貧乏ではない大雅君は何も知らないだけな んだ よ俺はそう言ってでりんを抱きしめたりん は徐々に落ち着いていった次の日俺はりん のことが心配で途中まで一緒に歩いて行く ことにし たパパと一緒に歩けるの 嬉しいりんは嬉しそうに歩いているりんの 誕生日もうすぐだなまたいつもの焼肉屋 さんに行く かりんは大きく頷き行くやっ たとの声を出したこんなに喜んでもらえる なんて嬉しいリンの笑顔は俺の活力になる のだ微笑ましくりんを見ていると後ろから りんに話しかける声が 聞こえる今日は貧乏父ちゃんと一緒に投稿 かだせえなあ俺はりんに小声でりん聞い ちゃだめだ無視しなさいというがりんは 悲しそうな顔している無視して歩いている とさらに黒瀬さんの声が聞こえてきた黒瀬 さんは笑っているタガそんな失礼なこと 言ってはだめよ本当のことを言ってしまっ たら悲しむ人もいるから ね俺は黒瀬さんの言葉を聞いて真底驚いた 大雅の性格が悪いのもこの親のせいだと この時確信したのだった無視していると 黒瀬さんが俺とりんに話しかけてきた あたちさんさぞかし生活が苦しいでしょう もし大変だったら銀行にお金を借りたら どうかしらうちの夫に聞いてあげる わ黒瀬さんは俺を鼻で笑いながら言って いる黒瀬さんの夫は銀行で働いていて裕福 な生活をしていると聞いたことがあるその ためお金があることを自慢したいのだと 思った俺はイライラしてい たはますます心配そうな顔をし 始める俺は黙っていられず思わず大きな声 を出してしまっ た俺も働いていますしお金には本当に困っ ていないんですだから銀行でお金を借りる 必要もないのですよですから子供の前でお 金の話をするのをやめてもらってもいい ですか ね俺は怒りでいっぱいになっていた黒瀬 さんもタガも驚いた表情をしているその後 はすぐに不機嫌になったこちらは心配して 提案してあげただけなのにそんな言い方は ないんじゃないかしらこれだから貧乏人は 嫌なのよ私たちの幸せを妬んでいるの でしょう見苦しいわやれやれこの人には何 を言っても通じないのかもしれない俺は りんにこんなおバカな人たち相手にしては いけないぞンは胸を張って勉強頑張るばい んだ行ってらっしゃいと言ったりんは元気 よく行ってきますと言って学校に向かって いった黒瀬さんはその様子を見てこの学校 だって私立なんだから相当なお金がかかっ ているでしょう正直あなたたちのような 貧乏人が通っているとこの学校の品格が 下がるから嫌なのよと言ってきたのだそう だよ早く公立の学校に 行けよ俺は2人の言葉を聞いてため息しか 出てこなかった俺がリンをこの学校に通わ せることにしたのは英語教育で有名な学校 だったからだりは小さな頃から英語を勉強 するのが大好きだった将来は海外で働き たいという夢も持っている学費は効率に 比べて何倍も高いがリンの夢を応援して あげたかったのだりんはこの学校に入学し てからますます英語が好きになり毎日 楽しんで勉強している何も知らない黒瀬 親子に効率に行けと言われる筋合いなど ないの だ仕事があるので失礼します俺はそう言っ てその場を後にしようとしただがリカは しつこく俺に話しかけてくる貧乏人は暇が ないのねまあせいぜい頑張りなさい 男のくせに貧乏なのありえ ない俺は黒瀬親子に背を向けて歩き始めた こんなにも人のことを不快にさせられる なんて一種の才能だとも思い始めたどうし て妻がいないだけでこんなにも失礼な態度 を取られなければいけないのか理解に 苦しむ家に到着し俺はイライラする心を 落ち着かせるためにコーヒーを入れた家の 中がコーヒーの良い香りでいっぱいになる 俺は新呼吸しながらコーヒーを飲んだ俺に はイライラする時間などない仕事をしてお 金を稼ぎりんを立派な大人に成長させる ことが俺の1番の仕事だからだ俺は パソコンを開き仕事を始めたそして数時間 が経過し俺は銀行へと向かったのだという のも月末が近づきそろそろりの学校の給食 費が求される頃で現金が手元になかった からだいつもは違う銀行の視点に行くのだ が今日は急いでいたため家のそばの視点に 行くことにした銀行に到着すると月末の 成果スーツを着たお客さんで込み合ってい たこれは時間がかかりそうだ俺はそんな ことを思いながら番号札を手にして椅子に 座り自分の順番が来るのを待つことにした だが待てどくらせど俺の順番は呼ばれない 俺の後に来た人たちはもうすでに呼ばれて いるこれは何か おかしい早く用事を済ませないとりんが 学校から帰ってきて しまうそう思った俺は立ち上がり胸元に 相澤という名前のバッジをつけた社員に 尋ねたすると相澤は俺の格好を見て薬と 笑うそして衝撃的な言葉を口にするのだっ た現在大変込み合っていまして急ぎのお客 様を優先してお通ししているのですよ急ぎ のお客様俺だって急いでいるし何を基準に 決めているのだろう不思議に思った俺は 相澤にすみません俺も娘の帰宅前に用事を 済ませてしまいたいのですがと言ったのだ が相澤は俺のことを睨みつけ てにも待ってらお客様がいるので大人しく 待っていてくださいと言ってきたのだ俺は 在宅で仕事をしているためだいぶ カジュアルな格好で銀行に来てしまってい たそのため暇なお客さんとでも思われて しまったのだろうと思った仕方がないので 俺は椅子に座り直し自分の順番が来るのを ひたすら待ったのだそれから数10分後に ようやく俺の番号が呼ばれた俺はで窓口に 行き給食費の分だけお金を下ろそうとした すると窓口の片寄せというバッジをつけた 女性社員はその金額を見て鼻で笑ってきた のだ俺は自分の勘違いだと思ったのだが次 の会話でそうではなかったと確信したこの 金額だけですかはいそうですが俺の言葉を 聞いて片寄せはさらに鼻で笑ったのだ 何がそんなにおかしいのだろうかこの くらいの金額ならばATMでも引き落とし ができます よ片寄せの言っていることは最もなこと だったが窓口で下ろそうがATMで 下ろそうがそんなのは俺の勝手ではないか 俺はイライラする気持ちを抑えてはい知っ ていますよとだけ答えたすると片寄せは俺 を睨みながら黙々と作業し俺の金を投げる ようにトレイに置いたのだ俺は自分の目が 信じられなかった俺も一応お客さんなのに そのような態度を取ってくるなんてありえ ないという気持ちでいっぱいだったのだ俺 はため息をつきながら金を財布に入れた するとそばで見ていた相澤も笑っていた なんという失礼な銀行だ俺は飛び出すよう にその銀行を後にしたのだった 家に帰るともうすでにりんが学校から帰っ てきていたパパどこに行っていたの遅かっ たじゃないりんはそう言いながら夕飯の 準備をしていた10歳になってからりんは 俺が何も言わなくても家のことを手伝って くれるようになった夕飯の準備もその1つ だありがとうでもスピーチの練習しなくて もいいのか 俺は心配してりんに 問いかける実はリンは英語のスピーチ大会 に出場が決まっているしかも学年で2人 しか選ばれないところを通過したのだから 素晴らしいリンはこのスピーチ大会で優勝 することを目標としていたのだそのため家 のことはいいからそちらに集中して 欲しかったのだしかしりは片に手伝いを すると言って聞かないスピーチの練習は 学校でもしているし大丈夫だよ今日は 美味しい肉じゃがをパパのために作って あげたい のリンは手際よく野菜を切っているなんて 優しい子に育ってくれたのだろう俺は思わ ず感動してしまった銀行であった嫌なこと もりんのおかげで忘れることができたのだ りは見事においしそうな夕飯を作ってくれ た俺とりんは楽しく会話をしながら夕飯を 食べる早く誕生日になってくれないかな 焼肉 楽しみりんは笑顔で言っている今朝のりん とは大違いだあと少しだなあんなに 赤ちゃんだったのにもう11歳になって しまうなんて早すぎるよなんだか寂しい な俺の言葉にりんは笑い出すいつまでも赤 ちゃんだなんて嫌よ私は早く大人になり たい のリンは少し大人びて見えたこうやって俺 から離れていくんだろうな俺は少し寂しく 感じたそれから数日後リンのスピーチ大会 当日になった俺はこの日のために仕事を 休みにしていたリンの晴れ部隊をビデオに 収めようと思い1人で張り切っていたのだ そんな俺を見てりんはパパ時間になっ ちゃうから行こうよと言っている緊張して いる俺に比べてりんは自信ありげに堂々と していたああごめんごめん 行こう俺とりんは急いで車に乗り込んだ 今日は絶対優勝するからリンは俺にそう 宣言したりんならできるパパ客席から応援 しているから な俺は自分の緊張がりんに伝わらないよう に笑顔で伝えただが車を降りるににパパ 緊張しすぎリラックスしてと言われて しまったりんには全てお見通しだったよう だ会場には県内の学校から選出された子供 たちがたくさんいた俺は会場でりんと別れ 席に着くその時隣の席の女性に声をかけ られた俺はその女性の顔を見て嫌な予感が したあらオタのりんちゃんも代表なのね うちのタイガもそうなのよまあうちのこの 優勝で決まりだと思う けど隣の席に座っている女性それはタイガ の母親だったのだ俺は思わずため息が出て しまうそうですね俺は適当に返事をした これ以上リカと関わるとろなことが起き ないと思ったからだりんちゃんあまり スピーチがじゃないとガが言っていたけど 本当かしらうちの学校に泥を塗るのだけは やめてちょうだい ね黒瀬さんは案の定嫌みばかり言っている 俺はそんな黒瀬さんの言葉を右耳から入れ て左耳に流していた相手にするのも馬鹿 らしいすると壇上に司会者が現れて スピーチ大会が始まったのだ1人1人素敵 なスピーチを英語で堂々としてい俺は 釘付けになっていたそしてリンの番がやっ てきたリンも一礼をして堂々とスピーチを 始める言い間違いもなく1つ1つの言葉を はっきりと発音していて親の俺が言うのも なんだが本当にかっこよかった会場中は 拍手で包まれている隣の席のリカも悔し そうな顔をした続いてタガの番だタガは リンと違いだいぶ緊張しているようだ現行 を持つ手が震えてしまっているりに嫌味を 言うような悪い子だがこの時ばかりは心の 中で応援してしまっていた原稿を読み始め たタガだったが緊張のあまり手に持ってい た原を落としてしまったのだタガは気が 同点しているようで現行を拾うことなく 呆然と立ち尽くしている会場は然と リカは書きじゃないようで立ち上がり男に 向かおうとしたその時だった舞台裏にいた リンがタガのとろに駆け寄り現行を拾って タガに渡したのだタガは驚いた表情をして いたがすぐにまたスピーチを再開したリカ はほっとした表情をしているリンはタガに ひどいことを言われたのにもかわらずタガ を助けたのだのしに俺は脱毛した全ての 出場者のスピーチが終わりいよいよ入賞者 の発表だリンは俺の隣に座り静かにその時 を待っていた俺は手を合わせてリンの努力 が報われるように神様にお祈りした司会者 は壇上に上がり次々と入賞者の名前を呼ん でいく呼ばれた子供たちは乾期の声をあげ て続々と男性に上がっていった さすがのりんも少し不安そうな顔していた 次の瞬間奇跡が訪れた最後の入賞者は立木 りん さん俺とりんは顔を見合わせて喜んだリン はガッツポーズをしながら壇上に上がった 隣のリカは何とも言えないような悔しそう な表情をしている一方のタガは拍手をして リンを祝福してくれた残念ながら優勝する ことはできなかったがそれでも十分だっ た次は絶対に優勝してみせるからりんは そう言って俺に入賞の症状を見せてくれた 俺がその症状をまじまじと見ていると大雅 が俺たちのところに近づいてきた俺もりん も思わず身構えてしまうすると大雅はりん の目を見てお礼を言ってきたのだ今日は ありがとう立のおかげで最後までスピーチ できたそして今までごめん今度スピーチの 仕方教えて よりんは嬉しそうにいいよ今度一緒に練習 しようねと答えた素直になったタガを見て 俺は心から安心していただが次の瞬間後ろ から大きな声が聞こえてきて振り向くと 黒瀬さんだったのだ大が何を謝っているの もしかして立木さんあなたが言わせた の俺は突然の乱入に驚いて言葉にすること ができなかったするとタイガはクロセさん に大きな声を出したお母さん違うんだよ僕 が自分で謝りたくて謝ったのすると黒瀬 さんは信じられないという表情をした あなたは悪いことなんて何1つしていない んだから謝る必要なんてないのよ また黒瀬さんの事故中心的な考えが始まっ たと思ったこうなると長くなるのは目に 見えて分かっていたので俺はりんを連れて 家に帰ることにしただが黒瀬さんは大雅の 精神も聞かずに永遠に1人で話している ここまで来ると病気 だ今回の入賞だってまぐれなのよ本当は うちのタガが入賞するはずだったの にその場を去った後もも後ろの方でずっと 声が聞こえてきたそれでも俺たちは無視し て車に乗り込ん だどうして大雅君のママはパパとか私には 厳しいのりんは悲しそうな顔をして俺に 聞いてきたこの世の中にはどんなに頑張っ てきても大雅君のママのように意地悪を 言ってくる人というのが存在するんだよだ けど然とした態度を取っていればいつかは 消えていくから決して負けてはいけないよ 俺は力を込めて話したりんは納得した表情 になっ たそれから数日が経過した今日学校から 帰ってきたら焼肉だよ忘れないでねりんは 嬉しそうにしているそう今日はりんの町に 待った誕生日なのはわかってるよ朝から りんはご機嫌だすると玄関からタガのの声 が聞こえてきた立ち木行くぞはーいパパ 行ってき ますりんはタイガに連れられて学校へと 向かっていったそう実はあの後りんと タイガは仲良くなり朝一緒に投稿するよう にまでなったのだタガは前までの態度とは 違いりんに優しくしてくれているようだ もちろん朝りんと一緒に投稿することを 母親にはは伝えてはいないようだが一緒に 行き始めてりんも学校がより楽しくなって いるのが伝わってきている大雅が良い方向 に変わってくれてよかったと 思うその日の夕方りんは寄り道もせずに まっすぐ家に帰ってきたパパ何時に 行くりんは待ちきれないようで俺をせかし てくる俺はそんなりんのためにも急いで 出かける準備をしたそしてりんにによし 行くぞと言うとそれはそれは嬉しそうな笑 を浮かべたのだった高級焼肉店に到着した まだ早い時間だということもあり店の中に はあまりお客さんがいなかった俺たちは奥 のテーブル席へと案内されたリンは早速 メニューを見て いる全部美味しそうで選べない よ分気味にメニュー表を開いているりんを 見て微笑ましくなったそして数分が経過し た頃りんはパパ私この豚肉がいいと言った その豚肉はメニュー表の中でも1番安い メニューだった俺は思わず好きなものを何 でも頼んでいいよカルビは頼まなくても いいのかと言ってしまったしかしリンは 表情を変えることなく豚肉がいいのと答え たのだ 実はリンは小さい時に牛肉アレルギーが あり牛肉を避けた食生活を送っていた 大きくなりアレルギー症状はなくなった ものの自分からは牛肉を食べなくなって しまい代わりに豚肉が大好きになったのだ 俺もそんなりの食生活に付き合っていく うちに豚肉が大好きになったそのため 気づくとテーブルの上には注文した豚肉の 皿で埋めれていたのだりはそれを見て嬉し そうな顔をしたパパ早く焼いて俺はりんに 促され豚肉を焼き始めたすると何やら隣の 席から声が聞こえてきた見て隣のテーブル 豚肉だらけやっぱり貧乏なのねあああの時 から俺は貧乏だって分かっていたけど なあ俺は思わず声のする方を振り向いた そこにはあの時の失礼な銀行員の片寄せと 相澤が座っていたのだ俺は驚きすぎて言葉 が出てこないしかし今日はりんが楽しみに していた焼肉なのでことを荒立てたくは ない俺は2人の言葉を聞かないようにりん と話し続けただが隣の2人は大きな声で これみよがしに話して いる好きなものも食べさせてもらえない なんて子供もだな本当だよねたくさん働け ばいいの に2人は下品に笑い合っているするとリン は突然下を向き始めた2人の会話が耳に 入ってしまったの だろう豚肉しか食べない自分を責めている のかもしれない俺はそんなりんの手を握り 豚肉を食べるように促したがりんは食事も 喉を通らないくらいショックを受けている するとそこに見覚えのある人がやってき た2人とも待たせたなこれが俺の妻のリカ だ初めまして そう黒瀬さんだ俺は思わず見してしまった すると黒瀬さんは俺とりんにすぐに気が つき話しかけてきたあら貧乏人がこんな 高級焼肉店で何をしている のそしてすぐに俺たちのテーブルに豚肉 ばかり乗っているのを見て笑い出した安い 豚肉ばかりじゃない無理しなくても安い 焼肉店なんてたくさんあるでしょうにりん ちゃんもカルビが食べたいでしょ頼んで あげましょう かリカは得意げに俺に話しかけるイライラ した俺はりんは牛肉が好きじゃないんです よとだけ言った俺の言葉を聞いた片寄せと 相澤は声を出して笑った が嫌いな人なんてそうそういないだろう 子供に気を使わせるなんて最低な親だな そうよ貧乏人と同じ空間にいたくない わそばにいるリカの夫も鼻で笑って いる今日は大事な後輩の片寄せ君と相澤君 の結婚祝なのに貧乏人のせいで雰囲気が 台無しだな席を 移ろう黒瀬さんの夫はそう言うと店員を 呼んで席を移ろうとしたリンは少し涙ぐん でいる何も悪いことをしていない俺たちが 傷つくのはおかしなことだこれ以上リンを 傷つけさせたくはない俺は耐えられずに 立ち上がっ た黒瀬さん俺の顔に見覚えありますよね俺 は立ち木です よ俺の問いかけに黒瀬さんの夫は笑い出し たなぜ私が君の顔に見覚えがあるというの かね ああ 立ちその瞬間俺と彼の間には沈黙の時間が 流れたすると黒瀬さんが嫌みな声を出して きた最近息子とオタのりんちゃん仲がいい らしいけどこれ以上仲良くするのをやめて いただけないかしら貧乏が映ると嫌なの よ片寄せと相澤は黒瀬さんの言葉にさらに 笑い出した だが次の瞬間俺の顔をまじまじと見ていた 黒瀬さんの夫の顔が青白くなった俺はその 顔を見て話しかけ た思い出しましたかすると黒瀬さんの夫は 静かに立ち上がり俺に土下座をし始めた そばで見ていた誰もが驚きの表情をして いるああなた一体どうしたって言うのよ 黒瀬さんは動揺している クロセさんの夫は必死に頭を下げながら妻 に怒鳴り始めたお前も土下座しろ 早くなんで私がこんな人に土下座しなけれ ばいけないのよいい からクロセさんは何が起こっているのか 全く分かっていないようだが夫に怒鳴られ たことで一緒に土下座し始めたりんは驚い て目を丸くしているここの旅は申し訳あり ませんでしたどうかお許しくださいこの 通りです黒瀬さんの夫は必死に謝り 続けるあなたの銀行の行員の態度は良く ないですよですので今後の取引は考えさせ ていただき たいそうそんなそれだけはどうか勘弁して ください俺の言葉で黒瀬さんの夫は片寄せ と相澤にも土下座するように命じた4人が 一斉に土下座し始めると店の中のおさんは 一斉に俺たちのことを見てきたのだ黒瀬 さんは土下座をしながら夫にこの人は一体 誰なのと聞いてきた黒瀬さんの夫は小声で 震えながらこの方は立木グループの社長だ よと言ったのだその場にいた他の3人は声 も出ないぐらいに驚いているこの方は貧乏 どころか大金持ちだよそれは俺たちとは 比べ物にならないくらいなんだここの人が あの立ち木グループ の俺は4人を睨みつけて静かに席を立った 帰る か俺はそう言って戸惑うりと一緒に店を出 たのだせっかくのりんとの楽しい誕生日会 は4人のせいで台無しになってしまった そう実は俺は総合勝者タキグループの社長 をしている 俺が会社を経営しようと決意したのは妻と 離婚した直後だった当時わずか1歳だった リを抱えながらのサラリーマン生活は 厳しく長く続けることはできないと思った からだ俺はパソコン1つで起業した会社を 立ち上げた当初は資金繰りに悩んだ時も あったが根気強く続けて従業員数が 1000人を超える大きな企業へと大変身 を遂げたのだったそんな俺の会社の資金を 預けているのが黒瀬さんの夫の銀行だった のだいつも行く銀行の支店長は俺に良い 対応をしてくれるのだが俺のことを知ら ない視点の行員は俺の格好を見るだけで俺 を貧乏人と決めつけて対応したのだ挙句の 果てにその婚姻の上司である黒瀬さんの夫 までもが俺を貧乏に扱いしたたえ俺が貧乏 であったとしてもおにそんな態度を取る なんて許されないことだ俺はある決意をし たのだっ た黒瀬ふは店の外まで俺を追いかけてき た立ち様どうか考え直していただけません かこのままでは私たち家族が路頭に迷う ことになってしまいますそうよお願いし ます黒瀬一家が路頭に迷うことになろうが 俺には関係ない俺やりんのことを貧乏人と 言って見下してきたくに今更何を言って いるんだ怒りがふつふつと込み上げてきた そばにいるりんは不安そうな顔して いる焼肉また今度リベンジしような今日は ごめん俺の言葉にりんは頷いた次の日俺は 朝1番で黒瀬さんの夫の銀行に向かった ある計画を実行するためだ俺が来店したの を見て片寄せとは立ち上がり釈をした続い て店の奥から黒瀬さんの夫が出てき たあの昨日は大変失礼なことをしてしまっ て申し訳ありませんでし た黒瀬さんの夫はまた謝ってきただがその 言葉はもう俺の耳には入ってこ ないオタクの銀行に預けている200億他 の銀行に移したいんだけど手続きして くれるかな俺の言葉に凍りつく黒瀬さんの 夫店長が奥の部屋から出てきた立様 200億ですかどうしてまた急にそのよう なお考えになったのですか店長は明らかに 動揺しているそれはそちらの黒瀬さんに 聞いてくださいもう決めたことなので早く 手続きしてもらえませんかどうか考え直し ていただけませんか200億となりますと この銀行がに潰れてしまう額になってい ます我が銀行が立様に不快な思いをさせて しまったのならば私が責任を取ります店長 はそう言って俺に深深と頭を下げたこんな にも仕事に真剣に向き合っている店長の ことを裏切ることなど俺にはできなかった さらに今ではリンと親友の中である大雅の ことを思うと黒瀬さんの夫の働く場所が なくなるようなことはしたくなかったのだ 結局全てを話し銀行内の接客を再教育して もらうことになり俺はこのまま銀行に資産 を預け続けることにしたのだその後黒瀬 さんの夫は俺への不適切な言動が問題に なり平社員に攻殻されたさらに片寄せと 相澤は地方に作戦され離れ離れになって しまったと風の噂で聞いた黒瀬さんは俺に ることがなくなり俺を避けるようにして 生活している一方のタガは以前と変わらず リントは大の仲良し だそれから1年後リンは今年もスピーチ 大会の会場にいる今から運命の時間 だ今年の優勝者は立木りさんですなんと リンは夢が叶いスピーチ大会で優勝したの だ俺もりんも泣いて喜んだパパのおかげだ よ ありがとうりんは俺に泣きながら抱きつい てきたこちらこそ素敵な景色を見せてくれ て ありがとう俺は心の底からりんに感謝した りんのおかげで努力すれば叶わない夢など ないと分かったこれからも俺はりんのため に生きていこうと [音楽] 思うJA [音楽]

〜本日の総集編〜

①【感動する話】休日、海釣りをしていると溺れた女の子を助けたら取引先の美人社長の子どもだということが発覚。社長「ご恩は必ずお返しします」5日後、机に解雇通知書が…女の子「お兄さんクビなんでしょ?」【朗読
(2024/3/28公開)

②【感動する話】出張帰りの田舎道で立ち往生している外国人女性を助けた営業マンの俺。会社に連絡すると社長が許可してくれたので、東京まで送ってあげた。→後日会社に高級スーツを着た外国人女性が現れ【朗読】
(2024/4/23公開)

③【感動する話】祖父が他界し昭和レトロな喫茶店を継いだ俺。ある日、60歳代の夫婦が来店し「このクリームソーダ懐かしい…なぜですか?!」俺は祖父の写真を見せた。すると、数日後驚きの展開に【泣ける話・朗読】
(2024/3/7公開)

④【感動する話】会社では中卒というだけで無能扱いされ雑用ばかりの25歳の俺。ある日、海外有名企業CEOが来社した。俺を見て「まさか…君は!」→その後、驚きの展開に【いい話・泣ける話・朗読・有料級】
(2024/3/24公開)

⑤【感動する話】20年ぶりに海外から田舎に帰省する38歳独身の俺。実家までの道中、妊婦を助け診療所に駆け込むと美人女医に声をかけられ「ちょっと待って!…もしかして」翌日、女医が俺の家を訪ね思わぬ言葉を…
(2024/2/24公開)

⑥【感動する話】高卒から働き勤続35年の俺が社長夫人に嫌われクビにされた。1週間後、道端でライバル会社の美人部長と遭遇「あなたが欲しいです」と迫られて衝撃の展開に【いい話・泣ける話・朗読・有料級】
(2024/3/9

⑦【感動する話】娘の誕生日に高級焼肉店へ。娘が安い豚肉ばかりを注文すると隣の銀行員カップル「貧乏人と同じ空間にいたくないわ」俺「…帰るか」→翌日、速攻で口座から200億を他銀行へ移すと…w【いい話朗読】
(2024/2/8公開)

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