【感動☆総集編】長年憧れた企業への入社式当日。車がパンクし困っている老人を助けて入社式に大遅刻した俺。部長「は?時間も守れない奴はクビだ!」すると、助けた老人が現れ、「クビになるのはあんただよ」【朗読
俺の名前は友田 介俺は山梨県の生まれだ主要駅からそう 遠くはないところに住んでいたが基本的に 山梨は車社会でどこに行くにも車での移動 が基本だったそんなところだから中学まで は歩けば30分以上かかったし高校に自転 車で通うのはすごく大変だった俺の父と母 は2人で洋食屋を営んでいたお世辞にも 地元の名店なんて言えないような店だった それでも常連さんはいたしいつもお客さん が入って活気のあるお店だったいつでも誰 かの笑い声は聞こえてきたし食事をしない くせに偽るような人もいた何よりその店で 働く両親は毎日心の底から楽しそうだっ た父さんは料理が好きで毎日厨房に立つ ことが幸せなようだったいろんな独自の メニューなんかを日々考えて常連さんに 振る舞ってい たこれはうまいな是非メニューに加えよう なんて言われれば満面の笑を称えていたし これはずれだ金なんて取れやしないなんて 言われればそれはお前の下が悪いんだ なんて口を尖らせて言い返していたそんな 風に客と言い合いになりそうになったら出 てくるのが母さんだった母さんはいつだっ て口元に笑を称えた聖母のような人だった 常連さんと父さんが言い合いをしていても そこにそっと近づいていって双方の言分に うんうんと耳を傾ける といつの間にかどちらも落ち着いてくるの かまた楽しく男性なんて 始めるそういう穏やかな雰囲気を持った 母さんのことが父さんも俺も大好きだった し常連の中にはファンまでいるような始末 だっ た俺はそんな2人が楽しそうに仕事をする 姿を毎日見ていた学校から帰ってきたら2 階の自分の部屋になんて行かずずっと食堂 にいた カウンターの橋にじんどるとそこでお客 さんとテレビを見たり宿題をしたりその ままそこで父さんの作る夕飯を食べた俺に とってその自分だけの特等席は何より 居心地のいい空間だっ た眉間にしを寄せながら味見をする父さん いつでもほがらかにお客さんに料理を運ぶ 母さん会場代わりに盛り上がりすおさんた その人たちが作り出すその温かい空間が俺 は大好きだっ たそんな両親が断るごとに言っていたこと があるそれは困っている人がいれば救いの 手を差し伸べなさいという言葉だいつでも 誰に対しても思いやりを持って過ごすそれ を両親はもにしているようだった母さんは まさにそれをするような人でその言葉を口 にするのも納得がいった父さんは一見 そんな風な気持ちを持っているようには 到底見えなかっただがよくよく見ていると 口は多少悪いながらも随所随所には人を 思いやるような振る舞いが溢れてい た金に困っているっていう常連さんがい たら少しでも貸してあげたりしていた隣 近所で困っているお母さんがいれば代わり にその子供の面倒を1日見てあげていた店 も休みがなくて大変なくせに町内会の登板 活動なんかには1番に参加した困っている 人がいたら助けずにはいられないそんな 両親だったんだよく言えば思いやりのある 人そして悪く言えばお人よしで扱いやすい 人だっただからだろう うちの両親は詐欺にあったそして大切な 洋食屋を手放すことになったん だあれは俺が小学4年生の時だ店を出て 行かなければいけなくなって親子3人で店 に背を向けたその時のことは今でも鮮明に 覚えていることの発端はこの店を フランチャイズしないかという誘いから 始まったどこで嗅ぎつけてきたのかある日 突然スーツ姿の男が2人店に来たんだ そしてその男たちは父さんの料理の味を 仕切りに褒めた俺や母さんからすれば何を そんなに感動することがあるんだと思う ほどその男たちは大げさに味付けを評価し てい たもちろん父さんは鼻高々だったしそんな に手放しで褒められこともないからすごく 満足そうにしてい たその後その男たちはある書類を持ち出し てきたんだその内容はこの味を全国的に 展開するためチェーン点を出さないかと いうような誘いのものだったこの味を山梨 県だけに埋もれさせておくのはもったい ない是非とも多くの人が味わえるように するべきだそんな風にスーツ姿の2人は 力説していた父さんはまんざらでもなさ そうな顔しながらその言葉を聞いていたし 母さんも心なしか嬉しそうだったそして 悩む2人にさらにこんな風に言葉を続け たどうですか是非検討していただけません か実は私たちもう何週間もかけていろんな お店を回らせていただいてるんですしかし なかはこのように美味しい料理を出して いただけるお店に巡り合いませんで今日 まで来ました正直他にはもう目星もあり ませんしこちらのお店が最後の頼みの綱な のですどうか私たちを助けると思ってお力 を貸してはいただけないでしょうかきっと このお店にとっても悪い話ではないはず ですそうして男たちは仕切りに頭を下げて いた 父さんも母さんもそうやって困った人に 頼られるとどうにも断ることができない 一晩考えさせてくださいとは口で言ってい たがおそらくこの時にはその契約を結ぶ つもりだったんじゃないかと思っただから こそ翌日スーツの男たちが再び来た時には すぐさま契約書に反抗つくことになってい たけれど蓋を開けてみるとそれは完全な 詐欺だったんだうちの両親は額がないから その契約書の内容を理解することもでき ないままに反応してしまったしかしそこに 書かれているのは2速3問でこの店の全 権利を手放すという内容だったんだ実は その男たちは詐欺師で口で説明された内容 と契約書に書かれている内容は全く違った のだ しかし当時は録音なんてしてなかったし 実際に契約書に反抗ついてしまっている からそれを取り消すことはできなかった後 からスーツ姿の男にそれを説明されている 時父さんも母さんも顔が真っ青だったもう 何を言っても無駄だった弁護士にも相談し たが法的には正直勝ち目がないと言われ 結局その数週間後には俺たちは店を出 なければいけなくなってしまったその時 父さんも母さんも泣いていたボロボロと 大きな涙をこぼしながら何度も俺に謝っ た本当にごめんな そうい父さんと母さんが頭が悪いばっかり に大切な店を失うことになっちまったお前 にとっても大切な場所だったのに本当に ごめん な別に俺はいいんだでもあいつらのことは 許せないこうやって人のためを持って行動 する父さんたちのことを利用して人として 最低なことだもう誰のことも信用できなく なりそうだよそう一それは違うよ今回の ことはあったけどでもそれでもやっぱり誰 に対しても思いやりを持つことは大切そう やって人を信じていればきっと報われる日 は来る からまだそんなこと言ってんのかよそんな んだから騙されたんだろ父さんも母さんも もう人のためになんて生きるなよそう思う 気持ちは分かるぞそれでもな俺も母さんも 変わることはないぞこれからも困っている 人がいれば救いの手を差し伸べるそんな人 でありたいんだ このごを読んでこんなことを言っている 両親に俺は真底驚いた人を信じて救いの手 を差し伸べたら自分の大切なものを奪われ たっていうのにそれでもその考え方を変え ないなんてなんて人たちなんだろうと思っ たそして同時に少しの誇らしさを覚えたの も事実だ多分その人間としてのの強を感じ たからだ眩しいほどにまっすぐなそんな 両親の姿がなんだか輝いて見えたもの だそしてそれからの生活は今までとは 様変わりした父さんは料理をすることは なくなりタクシー会社に就職した母さんは 近くのスーパーのパートで働き始め た今まで持っていた店という財産を失って しまったから生活はだいぶ貧しいものに なった夕飯のおかずはだいぶ失なものに なったし今までみたいにどこかに旅行に 行ったりすることも減ったそれでも両親の 中も別に変わらず良かったし新しく借りた アパートでの生活も笑顔の溢れる楽しい ものであっ ただけど小学校から帰ってきても2人とも 働きに出てるから家には誰もいない真っ暗 で静かな部屋に1人座って2人の帰りを 待つそれは当時の俺にはたまらなく寂しい ことだっ た今まではいつだって笑い声の響く温かい 店の橋が俺の低位置だった寂しさなんて 1度も感じたことなんてなかっ たその時の映像や聞こえてくる音を 思い出して誰もいない部屋で俺は何度も 1人泣いたものだ当然そんなことは両親に は一言も言わなかったこれ以上親に追いを 感じて欲しくなかったからだから俺は必要 以上によく喋りよく笑うことを心がけた そうしてそんな日々が続いていっ た額がないことで親が困ったことを当たり にした俺は勉強によく そのおかげもあってか通う中学校では校内 トップクラスの成績だったそのまま高校も 県内有数の進学校に行くことができた そして高校でも勉強に励んだ俺は有名な 国立大学へと進学したとにかく俺はお金の ことで両親を困らせたくなかっ ただから学費が1番安い国立大学へ選んだ んだ初めは東京に出て1人暮らしをしよう か迷ったけど無駄にお金を使いたくなかっ たし俺は父さんと母さんが好きだっただ から家から通える国立大学を選んだんだ こんな風に俺は額がないという両親の失敗 については反面教師にして生きてき ただけど不思議なもので両親の失敗のもう つ1つの理由であるおしについてはどうに も俺も受け継いでしまったようだ人が良 すぎるから騙された両親を目の前で見てい たはずなのにそれでも俺も困った人がいる とどうも無視できなかっ た中学生の頃勉強が苦手な友人の特典を 伸ばすため試験の前に時間を割いて家庭 教師をしたことがある家庭教師とは言って も当然無休だが友人は大きく得点アップし て喜んでいたが逆に俺の点は下がって しまっ た近所の行事の人手が足りないから手伝い をお願いされた時も友達と遊びに行くはず だった予定をキャンセルして手伝いに行っ た後から友達に文句を言われたりもしたが 何度も謝ってちゃんと和した学校から何人 か仕活動に参加しなければいけないけど誰 も手をあげなかった時仕方がないから俺は 参加することにしたそこでおじいちゃんお ばあちゃんが楽しんでくれるよう必死に 演芸とかもし たそんなような蝶がつくほどの人よしとし て高校でも大学でも生きてきた周りは俺に 優しいとかそんなことをよく言ってくれる が実際それで何か特したこことなんて なかったそれどころか基本的に損をして ばかりだ時間だって労力だっってかかる それに見合った見返りなんてなかったそれ でも俺はそういう人助けみたいなことを やめられなかったそんな自分のことが自分 で不思議だっ た別に感謝の言葉が欲しくてやっていた わけでもないなんとなく人を助けることっ ていうのは俺にとって当たり前のことだっ たんだこれはおそらく小さい頃から両親に 困っている人は助けなさいと言われて育っ たからなんだろうそういう俺のことを両親 は誇りに思っているみたいだったし断る ごとに褒めてくれた俺は俺でそんな自分の ことを損しがちだななんて思いながらも そう嫌いではなかっ たそんな風に俺はは親譲りの蝶がつくよう なお人よしと親に似ず勉強が得意なことし て育っていった当然大学でも単位なんて 落としたりすることはなかったしゼミの 先生の口利きで企業の人たちと食事をする 機会も多かっただから大学3年になって 卒業後の進路についても選択肢は山のよう にあっ たよくしてくれる教授はそのまま自分の 研究室においでなんて誘って くれるお世話になった部活の先輩からは 新しい事業の立ち上げに付き合えとも言わ れた食事する機会の多かった企業の人は うちに来て同じ部署で働きたいなんて言っ てくれるだから俺はどの道を選択するか 一丁前に悩んだりし たそんな俺は悩みに悩んだ末にある経営 コンサルの大企業にむことに決めた そもそも俺はどこかで人を救うということ を大切に生きていきたいと思っているかつ 俺の両親は悪徳な経営詐欺にあって人生を 台無しにされ たそんな風に困る人が今後出ることのない よう俺は経営のノウハウを人に生かすため に使う仕事につきたかっただからいくつも ある企業の中から誰でも聞いたとのある ような大企業を選択したんだそんな大企業 に俺なんかがとも思ったが入社試験は1時 2時と順調にパスしていった大学の霊 バリューによるものなのか俺の人柄が認め られているのかは分からないが自分でも 不思議なくらいにトト拍子に進んでいった そしてようやく最終面接という名のほぼ 内定が確定するであろう会のようなもの まで進んだただ唯一俺につっかかってくる 人がいたその会社の部長である佐藤という 人だ佐藤さんは二次面接の時に面接感をし ていたのだが分かりやすいほどに圧迫面接 だったきっとこれは演技でやっているのか なんて思っていたがその渾身会で実際に話 をしてみるとただ本当に漢字の悪人だと いうことが分かった尺が遅いと罵声を 浴びせたり何か面白いことをしろと無茶 ぶりをし たり別に俺だけに漢字が悪いわけでなく 良くも悪くも全ての内定者に感じが悪かっ たそんな佐藤さんと入社後はうまくやって いかないといけないのかなんて考えると 少しだけ憂鬱にはなったがただ同期の奴ら も漢字がいい人ばかりで俺は実際に働き 始めるのが楽しみになってい たそしてその渾身会が終わった後会社から 正式に採用の通知が来た父さんも母さんも 手を叩いて喜んでくれた母さんは夕飯は どんな素敵なところでお祝いしようかしら なんて色めきっていたし父さんは身の周り の人に早くも俺のことを自慢し始め いまだ気が早いよなんて言いつつも俺も 少し浮き足だっていたのは事実だそして その通知には入社式の日時も書かれていて その日に向けてスーツを信長したり新しく 車を購入したりし た東京の人には信じられないかもしれない が山梨では1人1台車を持つのが当たり前 なんだ高卒前に免許を取って大学入学の時 に車を親からプレゼントしてもらうそんな 風習があるただうちは貧乏だったし健康の ためと言い張って俺は大学には自転車で 通っていたんだそんな俺の気遣いに親は 気づいていたのだろうがお互いに車のこと に触れないのが暗黙の了になっていたただ ここに来てようやく俺もになることが 決まり自分で言うのもなんだがなかなかの 高級取りになるはずだったそしてその会社 は車での通勤が許可されている会社だった こともあり入社前に車を買うことにしたん だ人生初の大きな買い物に俺はビクビクし たが1つ大人になったような気もして 嬉しかったそして町に待った入社式の日が 来た俺はのスーツを着て愛車に乗り会場で ある大きなホールへと向かうことにした そしてその時にある出来事に巻き込まれて しまったん だその日は時間に余裕を持って家を出た そのホールへと向かう途中も鼻歌なんて 口ずさみながらハンドルを回していたのだ がその途中で気になる男性を見かけたその 男性は車を道路の橋に寄せ仕切りにタイヤ を覗き込んでいたのだ脇を通りすぎる時に 見るとすごく困っている様子で俺はどう しようかと考え た本当ならこのまま車を走らせてホールに 向かうべきなのだがどうにもさっきの男性 が気になって 仕方ない何度も何度も考えたが結局俺は その男性の元へと引き返し たその男性は高級そうなスーツに身を包ん だ60くらいの男性で何度もタイヤを確認 していた俺はその人の近くに車を止めると どうしたんですかと尋ねてみ たお困りみたいですけどどうかしたんです かああ実は車がパンクしてしまいましてな 修理の人を呼ぼうとしたのですがまだ空い てないお店が多く を呼ぼうかとも思ったんですがこのまま車 をここに放置していくのもどうかと思い ましてどうしたものかと困っていたんです なるほど用事があるけど身動き取れなく なっちゃったんですねそうなんです正直 一刻を争う事態ではあるのですぐにでも 向かいたい場所があるのです がそう言われて俺はどうしたものかと考え たこのままこのおじさんにえばきっと入社 式には遅刻してしまうだろうでもこのおじ さんもすごく困っていることは伝わって くるだからどうしようか俺も頭を抱えた何 度も何度も考えたそれでもやっぱり俺は このままおじさんを放っておくことはでき なかっただから俺はおじさんに手を貸す ことにしたんだよかったらその用事のある 場所まで送りますよ いえいえそんなの悪いですよあなたも忙し そうだしそれに車をここに置きっぱなしに するわけにもいきませんし ねそれも大丈夫ですおじさんをその場所に 送り届けたら俺がここ戻ってくるんで少し 待てば修理業者も捕まると思いますしいや それはさすがに申し訳が経ちませ んただ俺は1度決めたことは実行する人間 だ何度も断るおじさんを多少強引かもしれ ないが俺は車に乗せて走り出したおじさん の目的地を聞くとどうやら新幹線の泊まる 駅まで行きたかった らしいホールとは完全に逆方向ではあった がもう今更だと思った俺はその駅に向かっ て車を走らせ たおじさんは柄何度も頭を下げお礼を言っ てくれたが俺は別に気にしなくて構いませ んとだけとにかくアクセルを踏み込ん だそうして駅に着きおじさんを送り出すと 俺はまたおじさんの車のあるところまで 戻ってきたそして数十分待っていると おそらくおじさんが手配したのであろう レッカーの車が来たそこである程度の状況 を説明すると俺は入社式の会場に向かった 時計を見ると開始時刻から3時間以上が 経過していたとくに始まっているどころか おそらくもう式事態が終わっているのでは ないかという時間だった案の定会場である ホールについてももう誰1人残ってい なかっ た道中何度も担当の部長には連絡していた がおそらく式の運営でで忙しいのか電話に は出なかった一応留守伝には事情を説明 する言葉を残しておいたがそれも聞いて いるかは定かではないしそもそも聞いて いるからと言って許してもらえるかは 分からなかったそしてどうしたらいいか わからない俺はとりあえずすごすごと家に 帰ってきた父さんも母さんもまだ帰ってき ていない時間だったから部屋は薄暗かった そんな部屋に俺は1人座り込みこれからの ことをどうしたものかと考え始めたそして そんなことを考えている時に佐藤部長から の電話が鳴った俺は慌てて出るとそこには 怒りを隠そうともしない部長の声がし たすみません折り返しで何度もお電話 いだいておりまして留守にも残させて いただいたのですが入式に向かうと中で車 のタイヤがパンクしてしまっている男性が いてその方を送ってあげていたため入社式 には間に合いませんでし たその留守で聞いたんだけどさちょっと 状況が飲み込めないんだけどなあその男性 ってお前の知り合いとかじゃないんだよな そこで偶然見かけた人なんだよ なはいその時が初対面 ですそれってさなんでお前がその人を送っ ていってあげないといけなかったわけいや 大切な用事があったようですごく困っ てらっしゃって何かお手伝いできること ないかなと思ったんですおいおいお前に とって入社式は大切な用事じゃねえのかよ そんなおじさんの用事よりも自分の用事を 優先しようとは思わないのかいえ入社式の 重要性はしているのですが何分そういった 困った人を放っておけないたちでして そんなん知ったこっちゃねえんだよお前が どんな人かなんて今回お前が欠席してよ誰 が恥かいたか分かってんのか担当の俺だよ なあそこまで分かっててそのおじさんを お前は選んだっってことでいいんだよな これからお世話になる俺のことよりその おじさんの方が大切ってことだよないえ 決してそういうわけではないのです がお前の取った行動はそういうことを意味 するんだよもういいこれ以上電話でお前に 話すことはないというよりもお前の今後に ついてはこれから社内でもう一度会議に かけさせてもらうとりあえず今週は家に いろうそれで来週になったら会社の方に 来い覚悟してろ よそう言って電話は切れた俺は正直もう 終わりだって思ったきっとこの会社で働く ことはできないだろうしこれから新しい 仕事を探さなきゃなんて考え たただその時はとりあえず何もする気に ならずぼーっと過ごしていた気づけば紐 落ちて部屋の中は暗になっていたそんな時 まず母さんが帰ってきた入社式に行って 晴ればれとした初日を終えたはずの息子が 暗い部屋の中で座り込んでいるから母さん はすごく驚いていた事情を聞かれたが とりあえず父さんが帰ってきたら一緒に 聞いて欲しい話があるんだとだけ伝えて俺 は部屋に戻っ たそれからそれほど時間は 父さんは帰ってきたそして2人揃った ところで俺は今日会った出来事について 話し始め た入社式に向かう途中に車がパンクして 困っている人がいたことその人を放って おけずに駅まで送ってあげたことその人の 車がレッカーされるまでそこで待っていた ことそのせいで入社式には遅刻してしまっ たことさっき部長から激しく出席された ことそして俺はおそらく働き始める前に もうこの仕事を首になるであろうことそれ を全部伝えたそれを聞いている時父さんも 母さんも何も口を挟まずただ黙って俺の ことを見ながら話を聞いてくれ たそして話を得た俺に父さんが1つだけ 質問をしてきた今回の自分の行動を今お前 はどう思っているのかとそれに対して俺の 結論はもう出ていた全く後悔はしていない もし人生をやり直せて同じ状況になったと しても俺は同じ選択をするだろうそんな風 に答えたこれは意地を張ってそう言って いるわけでなく俺には本当に後悔がなかっ たんだそりゃ当然電話を切った後は絶望も しただがその後暗い部屋で何度も考えた こういう結果に終わると仮に分かってい たら俺はあの時車を止めずにおじさんを 放っておいただろうかいやそんなことは ないこういう風になると分かっていても俺 は間違いなく同じ行動を選択していたはず だどっちの方が賢い選択なんて子供でも きっと分かることだそれでも俺にはどちら が賢いかよりもどちらが自分にとって ふさわしいかが大切だっ ただから今回こうして大企業への入社が 叶わなかったとしても別に構わない後から 転職したっていいしたくさん稼ぎたいわけ でもないだから他の企業を今から探せば いいだけだと思っていたそしてそんな考を 両親に話したするとそんな俺のことを2人 とも褒めてくれたやはり俺の蝶がつくほど のお人よしはこの2人から受け継いだん だろうななんてその時は思ったもの だそして翌日から俺は早くも新たな就職先 を探して求人誌などを読み漁ったただ時期 も時期だからなかなかいい求人なんてない なと思っていた その時見知らぬ番号からの着信があった誰 だろうなんて思いながら出るとその電話の 相手はあの時のおじさんだったそういえば このお礼は必ずさせてくださいなんて言っ てきてて別に俺はそんなものはいらないと 何度も断ったのだがあまりにしつこいおじ さんにとりあえず名刺を渡しておいたん だったその番号できっとかけてきたの だろう その説は大変お世話になりました本当に ありがとうございましたいえいえ力になれ たならよかったです用事には間に合いまし たかはいなんとか予定の新幹線には乗る ことができ無事済ませることができました あなたの方は大丈夫でしたかいやあ実は あの日入社式だったんですけど大幅に遅刻 しちゃって部長からはだいぶお叱りの言葉 をもらっちゃいましたえそうだったんです かそれで平気なんですか何か不都合とかは あったりしません か不都合というかなんというか多分俺首に なるんですよねあでも本当おじさんのせい とかじゃないから気にしないでくださいね 俺が自分で決めたことだし別にあの会社 じゃなきゃいけなわけじゃない からそうなんですかちなみにその会社と いうのはこの名刺に書かれた会社のこと ですか ねそうなんです張り切って作った名刺なん ですけどね新しく作り直さなきゃもし何か いい仕事でもあったら紹介してくださいね もちろんです私にできることでしたら何で もさせていただきますのでとりあえず礼の と思いますので来週あたりどうぞよろしく お願いし ます俺は当然何度も断ったのだがおじさん も一歩も引かなかっただから最後には俺も 折れてとりあえず来週どこかで食事でもと 言うことになっ たただ俺には元々来週地獄のような予定が 入っているのだがそしてとうとうその地獄 の日が来たのだ わざわざ首を宣告されるために会社に行く のは嫌だななんて思いながらもそれでも筋 は通さなければと思った俺は暗い顔で 真っさらなスーツに袖を通し車に乗り込ん だそして恐ろしい佐藤部長の待つ会社へと 向かったの だ会社について受け付の人に用事を伝える となんだか不便そうな顔をされて室へと 通されたそして皮張りのソファーには座ら ず直立不動で部長が来るのを待ったそして 扉が開くと数人の部下らしき人を引き連れ 顔を真っ赤にした部長が部屋に入ってきた そして入ってくるなり俺に罵声を浴びせ 始めたおい貴様一体どういうつもりなんだ 入社式を当日欠席するなんてしかも理由が 困っているおじさんを助けるため俺のこと をコケにしてんのかいえそのようなつもり は全くないのですがどんな言い訳したって 無駄だもうお前の処遇は決まっている時間 も守れないような奴は社会人失格お前は首 だ はあやっぱりそうだよななんて思いながら 俺はただひたすらに まあ許してもらえるなんて思っていなかっ たが部長にも迷惑をかけただろうし精一杯 の謝罪だったただそんな時急に大雪室の扉 が開き1人の男性が入ってきたその男性は あの時のおじさんだったなんでこんな ところになんて俺は驚いて言葉も出なかっ たのだがおじさんは部長に向かってめた まあまあ佐藤君そう熱くならないでくれよ これは専務どうしてこのようなところに いや君が私の音人に向かって首だと怒鳴っ ている声が聞こえたのでなあそれは困ると 思ってきたのだよえ部長の人こいつ がそうなんだよ東京者に途中に車のタイヤ がパンクしてなその時に助けてくれたのが この友田君なんだそんな私の恩人を首に するなんていう君のことを首にしたって いいんだ ぞいやそんなじゃあ友田が助けたおじさ んって専務のことだったんですねそうだよ しかも彼は私の肩書きや事情も知らずに 助けてくれる非常に立派な青年なんだ そんな人を我が者から手放すわけがない だろうそう言っておじさんは俺に説明を 始めたどうやらこのおじさんはこの大企業 の専務だったらしいそして俺が同じ会社に 新規採用されるはずが首になりそうと聞い て駆けつけてくれたそうだ俺はこんな ドラマみたいな展開信じられなかった だがその専務の口添えもあって結局俺の首 はなくなっ たそしてそれから俺はただの侵入社員の くせに定期的に専務とご飯を食べに行くと いう謎の人物として周りからは変な目で見 られたりしたその立場を知ってしまった後 はどうにも緊張したが回数を重ねるうちに 親子みたいに打ち解けて今では作に話せる 中にになっているこうして自分のつき たかった仕事を自分の入りたかった会社で できている現状があるのはきっと両親の 教え通り困った人がいれば救いの手を 差し伸べるということをしてきたから だろうそしてそんな俺も結婚し子供も 生まれ たその子たちには断あるごとにこう言い 聞かせている困っている人がいれば思いを 持って助けてあげなさいそうすればきっと それは巡り巡って自分に帰ってくる からそうしつこく言う俺をいつも妻は 優しく微笑んで見て いる俺の名前は織田照明32歳の サラリーマンだ俺は小さい頃からハサムな 父そしてその父に似た兄そして可愛い顔を した母に生れてどこか惨めな思いをし ながら生きてきた例えば授業参か日や父と 参加する授業など親が来る機会があれば お前って父ちゃんと母ちゃんとも似てねえ んだなお前だけまけで変な顔とかお前の 父ちゃんはイケメンで母ちゃんは美人兄貴 もイケメンなのになんでお前だけそんな顔 なのしかも兄ちゃんの方が頭も性格もいい じゃん明るくてしっかりしてるしなのに お前ってなんでそんな感じなの自分で 恥ずかしくないわけと か全然家族と似ていないんですねと言って からかわれたり美しい家族に似ていない案 に劣っていると言われてきた俺はその度に 自分の顔と性格そしてどくさにやけがさし ていたそしていつしか自分という存在が見 にくく劣っていて恥ずかしいと思っている ような子供時代を過ごしたそのためか兄と 同じだった高校や中学の俺と兄を知る友人 からは裏でいつもキョロキョロしていて人 に怯えているみたいだよねとかいつも自信 なさそうにおどおどしているから兄ちゃん と兄弟に見えないなとよく言われていた らしいそれを聞いたのは卒業してから偶然 同級生と再開した時なのだがやっぱり周り からもそういう風に思われていたのかと 悲しくなった思い出があるただ父と母は そんな俺と兄を比べるようなことを言っ たり兄のことだけを特別に可愛がるという ことはしなかったことだけが救いだった クラスメイトからは見下されたりからかわ れたりするような要素ばかり持っていた俺 はあまり学校という場が楽しいと思えた ことがないそんな中家に帰ってくれば 穏やかで適度に話しかけてくれる父と 同じく優しい母が待っていてくれた兄も俺 を見下すようなそぶりは一切なくむしろ 友人のようにしていつも遊んだり冗談を 行ったり2人でふざけあったりしていて仲 が良かったと思うしかしやっぱり父さん たちがどんなにたちの扱いに差をなくそう としてくれていても圧倒的に兄の方が優れ ているという扱いを受けることは変わら なかった何しろ兄は完璧だった女の子だけ ではなく親戚近所の人会う人会う人を魅了 するようなルックスそして性格の良さに しろスポーツにしろ初動コンクールに出し た絵にしろ兄はどれも完璧だったそのため 兄は人から賞賛を受け続けるのは必死だっ たと言える兄は家庭化の時間に作るナップ サックでさえ驚くほど美しく作って持って 帰ってきたのでやはり親もやっぱり お兄ちゃんの作るものは綺麗ねとか3者 面談の後なんかはやっぱりお兄ちゃんは お父さんに似て足が早いしリーダーシップ もあるみたいねそれにみんなに疲れてい るって聞いてお母さん嬉しいわと兄ばかり を褒めるので俺は常に親ではなくこんな風 に生まれてきた自分を恨んでいたなんで こんなに俺にはいいところがないんだ顔と 能力はある程度仕方ないにしても性格すら 兄の方がいいなんて俺はいつも見下される 側のまま生きていくのかなと悲しくなる ことも多くどうしようもない能力の低さに なんだか泣けてきて夜枕を濡らしたことも 何度だってあるそれでもどんな境遇であれ 腐らず頑張っていれば見ていてくれる人は いるということも学校だけではなくバイト 先や他の世界などで色々な人と関わって いくうちに分かってきたがそれでも俺の 仕事ができないドン臭くマイペースという ところは変わらなかったその能力の通り 仕事ができない扱いを受け続けたままそれ でもなんとか話しかけやすいだとか話し やすいと言ってもらえていたことでバイト 先の人とは仲良くなれていたと思うそれで も人の良さだけでカバーしているような 状態に俺は嫌気がさしていたしかしとある 中堅大学を卒業してから10年後俺は とある会社で営業マとして務めていたのだ がいくつかの取引先から気に入られるよう になっていったまたあなたに来てほしい あなたからなら買いたいと思えた取引先の 相手からそんなことを言われた時は 飛び上がりたくなるほど嬉しくなった内気 でどん臭くて今まで全くと言っていいほど 褒められてこなかった 俺その様子じゃ就職失敗しそうだねと 始めてバイトした先で言われていた俺が こんな風に会社の役に立てるようになる なんて思っても見なかったその反面両親は 次第に俺があまり稼げそうにないと分かる と徐々に態度が冷たくなっていき俺は家に かなりいづらくなってしまったそして あまり俺の顔を見ても嬉しそうにはしなく なっていたしかし常に人との関わりがあり また恋人の存も明かしている兄は新しい 話題にこかないそして自分の話もそこそこ に母たちの話をうんうんと年頃に聞いて いる兄のことを両親がすかないわけが なかったそれに比べあまり話上手でも 聞き上手でもない俺俺も俺なりに両親の話 を聞こうとはしているのだがどうしても 切水の聞き上手には勝てない何かがある 多分俺は自然と親に兄よりは下劣っている 話していても心地よくないと思われている ことを分かっていたそのせいで親の前では 緊張してしまっているという自覚もあった それも謝って俺は余計に両親の前では小学 生くらいまでの時のようにただ無邪気に 話すことはできなくなっていた今までは 劣等感を隠して悩んでいない風に振る舞っ て過ごしてきたが もうそれも限界だ俺は大学ありから自分を 明るく取り繕うのをやめバイトも無能で あることに疲れるためあまりたくさん シフトを入れなくなっていた高校あたり までは努力すればなんとかなるとか能力が ないのに努力しないのはただの怠慢と思っ てきたがそれは少しだけ違う持って生まれ た集中力疲れた後回復する能力そして うまい勉強のやり方が分かっているかどう かそれらが全て親にある程度収入があるか や有能かといった運営であることを俺は 分かっていなかったのだ塾に行くお金を 出してもらうこともできない教師の説明を 聞いても理解できない科目もあった俺に とって努力することはいつしかただ疲労 することに変わっていった努力しても報わ れにくい必死に努力し続けてやっと少し 優秀な成績を出せる全ての科目でそれだけ の努力をすることはどうしても不可能だと やっていくうちに分かっていくと俺はもう 自分の能力以上に優れよおうとすることに 疲れてしまったそれからは自分のペースで バイトや勉強するようになるとそれが できる父や母からしたら怠慢に見えたよう で俺は成長するにれ両親から失望される ようになっていっただからこうやって 稼げるようになっても親に何かをして あげようという気にはなれないしかしかと 言って優しく思いやりのある兄のことを 嫌いになるのは違うと分かっていたし俺は ただひたすら自分はダメだなのにどう努力 していいのかわからないという地連まに 悩み続けてい たある時どん臭い俺にわざと怒られるよう 話や仕事を振ってくる先輩がいた彼の手口 は実に巧妙で普通に仕事を振っているよう で少し紛らわしい言い方をするそれで俺が え何と言いましたかと聞き返したり間違っ た受け取り方をしたと分かるとそんなに 怒鳴らなくてもいいじゃないかという くらいすごい見幕でとなってくるのだ俺は その先輩とバイトの時間がかぶっている だけでビクビクしてしまうし必ずと言って いいほど嫌な思いをさせられるので悩んで いたそんなある日ふと兄にその先輩のこと を相談してみたことがあるすると兄はああ そういう人っているよねと返してきたえ 兄ちゃんもそういう人を見たことがあるの ああ俺は何かされたことはないけどよく 後輩の誰かに目をつけて大げさに怒鳴って いるやはよく見かけたよなあ照明でも嫌な ことをしてくる人にも何らかの理由がある んだよその理由が決してそうしていい理由 にはならなくともね相手に何かすごく 面白くないことがあるとしたらまだほんの 少しでもその人が間違ったことをするっ てこも納得できるだろう だから相手の背景を想像することを忘れ ないでそして相手の依頼だや鬱憤になんて 負けないという思いでいるといいよ照明の 人生がそんなやのせいで潰されるなんて もったいないだろうだから嫌なことして くるあいつは何か嫌な思いをして嫌われ てるんだって思っ とけその言葉に俺はなるほどと思ってそれ から嫌なにあったらあいつはきっとみんな から嫌われているだから人生が面白くなく てこういうことをするしかないかわいそう な奴なんだと思うことでそのバイト先での 時間を乗り切っていたその先輩は兄に言わ れた通り皆にも性格が悪いことがバレてい たからきっと嫌われているそして先輩自身 もそのことを自覚しているそれか家族に 冷たくされているとかすごく大きな問題を 抱えているだとか何か抱えきれない辛さが あってぼんやり見える何もやりかえなさ そうな俺に当たっているのだとそれでも奴 のあまりの理不尽さと受けるダメージに 耐え切れずそのバイト先は2年ほどしか 続かなかったがそれでも弱くて何度も くじけてきた自分なりに頑張って続けた方 だと思っているそして今の会社に入って からもそういうやからに目をつけられては いたがこんなことでくじけそうになって たまるか絶対俺はここで成長してみせる 仕事ができるようになって何も言われない ようになってみせると兄から譲り受けた片 の時計を見てそう意込むのが日課になって いたそう兄は10年ほど前にこの世を去っ ていたのだ大学を卒業した兄はとある大 企業で働いておりその人望と頭の良さから 海外死者に早々に転勤していたそしてその 1年後兄はとある事件に巻き込まれて命を 落としてしまったのだまさか兄とこんなに 早くに別れるとは思っていなかった俺は その事件のニュースを見てもまさか兄が 巻き込まれているなんて思いもしなかった その後察しの悪い俺にしては珍しく兄の 住んでいるところに近いかもしれないと 思ってネットで調べて見ると結構近かった ので少し心配していたくらいであるすると その次の日兄の会社の人から電話がかかっ てきた母は兄の会社の番号をよく覚えてい なかったため何気なくその番号に出たのだ というするとそれは兄がその事件に 引き込まれてしまったという知らせの電話 だったのだそれからの母はあれにあれた それはそうだろう出来のいいいつも帰りを 待ち望んでいた大好きだった兄がいなく なり俺だけが残ったのだから母の兄に 対する出来合いぶりは子供の時とは違い 相当なものだったきっと老後困ったら面倒 を見てもらうつもりだったのだろう穏やか で者の兄と年を重ねられたらどんなに幸せ かと母は思っていたに違いないなのに こんなにあっけない形で兄はいなくなって しまった出そないで兄と比べたら残って 欲しくない方であった俺には母を慰めても 逆効果な気がしてただ母の怒りが収まるの を待つしかできなかった父もその時は丁寧 を迎えた後というのもあってひどく 落ち込んで塞ぎ込んでいたその後俺は大学 を卒業すると共に家を出た大学近くの下宿 先を出てももうあの家には帰りたくないと 思ったからだそれからはたまに父に母は 元気かと聞く程度に交流はとめているその 距離感がお互いのためになると思っていた から今あっても母は俺を必要としないよう な言葉しかぶつけてこない気がして怖かっ たというのもある俺はこれが親元から離れ られない未年の時でなくて良かったと密か に思っていたそれからはやっぱり容量が 良くないやとして先輩たちを困らせていた だろうが俺なりに言われたことも何か 手伝うことがないか気にかけることも怠ら ず精一杯働いて来てきたつもりだ走行して いるうちにこの社で働いて10年の月日が 流れていたそんなある日ついにA社勤務 10年目となる俺に海外企業の相談を担当 してみないかという話が持ちかけられる こととなった俺はまさか自分が任されると は思ってもおらずえまだ私には荷が重 すぎるのではないでしょうかと言って辞退 しようとしたのだがたちはどうしても俺が いいのだと言って聞かなかった営業成績も 良くない俺がなぜと俺は不思議でなら なかった俺だったら同期のあいつかあいつ を指名する絶対にこんなに頼りなさそうな 自分なんて選ばないのに英語は話せるが他 に受けの良さそうなもっとはきはきした 爽やかな奴はたくさんいるのになんで俺 そう思いながらも任されたからには絶対に 成功させたいという強い思いが湧いてもい た今まで仕事でほとんど英語を使ったこと のなかった俺は慌てて業務中に使用する 単語や専門用語を覚えるため英語を勉強 し直すことに決めたのだったそれから しばらくは俺の英語の勉強や相談の準備も 加わり業務料は格段に増えよりハイ スピードで仕事を終わらなくてはいけない 日々が続いていた事前調査や提案する プランの立案など色々やることがある中今 まで通り仕事をこなしていくのはなかなか 疲れたがそれでも今まで任されたことの ない責任ある仕事に俺の胸は高なるばかり だったそして相談当日今回の契約は社運を かけたかなり大口の契約だと聞かされて いるここで失敗したら皆の今までの苦労が 水の泡だそれにこの相談が決まればきっと 将来の評価アップにもつがるだろう今の ところ結婚する予定もないのだから とりあえずお金が稼げるようになるに越し たことはない絶対に契約してもらうぞいつ もは推しが弱くあまり乗り気でない相手に は強くいけない俺だが今回だけは外せない と資料も念には念を入れて作ったできる だけのことはやろうと思いつつも俺の説明 の仕方などがあまり良くなくて他の同業 他社に取られてしまう可能性だって多分に ある彼らよりもうちがいいと思ってもらう には分かりやすくうちの製品の強みを伝え なければならないそのためには相手の企業 の求めているものを的確に掴み取る必要だ だってあるやることはいっぱいあるぞと 思いながら俺は必死に来る日も来る日も 相手の会社のことなどをリサーチし続けた また海外の企業とやり取りしたことがある 先輩や部長などに色々聞きながら資料作り を進めていったプレゼン資料は前日 ギリギリまで修正や追加を繰り返しその日 の夜やっと完成した談前日の夜俺のやり方 1つにかかっていると思うと何も食べられ なくなるほど緊張してしまっていたしかし どんなに怯えていてもその日はやってくる 俺は持っている中で1番いいスーツを着て 兄の片の時計を腕につけ商談相手の待つ 会社へと赴いたのであった俺は念には念を 入れてプレゼン資料とは別に大量の資料を 用意していたラや見積もり書にも漏れや 間違いがないよう何度も見直したがそれで も不安は完全にはなくならないままだった こんな時誰かが一緒に来ていてくれれば 過去のアドバイスなんかをもらえるのかも しれないが俺1人なのでそうやって緊張を ほぐすこともできないその会社は現在 かなりあちらの国でシェアの大きい有名な 会社で契約が取れればかなりうちの経営は だろう大きくそびえ立つ会社がその企業が どれだけ業績がいいのかを物語っている ようだった俺はドドとなる胸を押さえつつ 受付に行くと美しい受付の女性が柔らかに 微笑んで本日社からお越しいただく予定の 小田様ですねお話は伺っておりますどうぞ こちらへ2階の会議室に案内いたします 言ったうちの会社とは違うピカピカの窓と 大きなエントランスそして広い廊下に目を 見張っているといつの間にか会議室の前に ついていたそれではこちらの部屋にお入り くださいそう言って彼女は頭を下げて歩い ていった震えそうになる手をなんとか震え ないように力を入れながらドアをノック する失礼いたします はいお入り くださいドアを開けてみると商談相手の 2人はそんな大企業に務めていても全く 高圧的な感じではなく優しく穏やかそうな 口調で話しかけてきてくれ た本日相談を担当させていただきます織田 照明と申します本日はお時間を取って いただきありがとうございますどうぞ よろしくお願いいたしますお互いに名刺を 取り出して交換 し合う初めましてこの度はご速いただき ましてありがとうございます私は宮永 はじめと申します本日はよろしくお願い いたします今日の担当者は2人名前は宮永 はじめさんと神田サさんというらしい2人 とも偶然アメリカ人とのハーフと クォーターということで日本語を母国ごと しながらもアメリカにもよく呼ばれて遊び に行っていたためどちらの言語も堪能なの だということだった俺は家が裕福でもなく 学費と短期留学費用を稼ぐのに精一杯だっ たため2ヶ月ほどの留学で少し日常会話が 身についてきたところで終わってしまった そのため生まれや親の都合で英語が喋れる 環境にあったことが少し羨まし 自分の生まれをあまり恵まれていなかった と思ったことはあまりないがそれでもこう いった苦をせず言語を身につけた仕事の できそうなイケメンたちを見ているとどう にも劣等感が湧いてしまう無意識に劣等感 を心の奥底で感じつつもそんなことを考え ている場合ではないと俺は団に集中する ことにしたのだった団は入念な準備の おかげもあってか何を聞かれてもスムーズ に答えることができ今までで1番いい出来 だったと思うそのおかげか相手側からの 反応も上場で見事契約してもらうことが できた今まで無能扱いしかされてこなかっ た俺が金属10年目にしてやっと会社に 貢献できたという思いで何とも言えない 嬉しさが胸いっぱいに込み上げてくる俺は 高ぶる感情を表に出さないように気をつけ ながら挨拶を済ませたそして最後にそれで は本日はこれでと言い右手首につけた時計 を確認したその時宮永さんが突然あち ちょっと待ってくださいき君その腕時計は と大きな声を出したあああこれですかこれ は10年ほど前に亡くなった兄の片なん です俺が驚きながらもそう答えると宮永 さんは目を目いっぱい 見開きままさか君のお兄さんの名前は織田 大地と言いますかと尋ねてきた俺はまさか の質問にさらに驚きを隠せなかったははい そうですがもしかして兄とお知り合いでし たかすると宮永さんの表情は先ほどまでの 爽やかな笑顔とは違う知り合いと接して いるような取り繕っていないものに変化し たああ突然呼び止めてこんなことを聞いて しまって申し訳ありませんでも私実は昔 お兄さんとは仲良くさせていただいていた ものでつい声をかけずにはられませんでし たそういう宮長さんの目は真っ赤に染まり 始めていて俺はきっと兄と深い中だったの だろうと思った兄もアメリカの企業に転勤 してそこで働き続けていましたあの兄の ことってもう知っていますか恐る恐るそう 尋ねると宮永さんはこぼれ落ちる涙を そっと拭いながら静かにはい あの時は本当に絶望しましたこんなに 落ち込むことはあるのかってくらい 落ち込んでそれからは夜家に帰ってから 寝る前ふと道を歩いている時に涙が止まら なくなることもありました10年経った今 はさすがにそんなことはなくなりましたが それでも大地のいなくなった事実は私の心 にぽっかり穴を開けたままふしがってはい ません と答えてくれたそんな宮永さんの背を そっとさする神田さんそんな2人の様子を 見ていると彼らの間にも深い信頼関係が あることがわかるそれから宮永さんはもし お時間があればと前置きしてから兄との 思い出話を話してくれたのだっ たあれは10数年前のこと兄はアメリカ 死者に移ることとなり住む場所を探してい たしかし高収入とは言えどお金を使うこと が嫌いだった兄は一部屋借りるよりは手頃 な家賃になる大きなシェアハウスに入居 することに決めたのだという兄と同じよう な考えでそのシェアハウスに入居を決めて いた宮中さんは当初同じ日本語を話せる 入居者として兄と1番に仲良くなった今 まで日本に住んでいた宮さんは見た目は アジア人ぽくないものの純粋なアメリカ人 とはまた違う顔付きで心ない人たちから嫌 な態度を取られることを知っていただから 住んだことのない父親の母国でうまく やれるのか心配だったというしかし兄は 違った兄は白人ではないというだけでそう いった扱いの違いがあると分かっていても 常に堂々としていたそんな兄のす姿を見て 宮永さんはいつも元気をもらっていたのだ というまた仕事で何か悩んでもお互いに 相談することができてすごく心強かったと 兄は常にひひとしていてどっしり構えてい て嫌なことがあってもそれを態度に出さ ないそして宮永さんが弱を吐いても俺が バイト先の嫌な先輩のことを相談した時の ように淡々とこ返してきたのだというそれ はね相手に能力がないだけだそれは仕事 だけじゃなくてそれぞれできることが違う こと能力の低い人もいる中でそのことに 起こっても意味がないことを知らない人 そんな人が嫌がらせをしたり怒ったりする んだよそれにミスが多い人や清な人を責め ている時点でその人に問題があるだけなん だからそれにになっていても君がそんな だけだろうそれを受け流す嫌なことをされ ても過去のことだと思って少しずつ忘れて いくしかないんだよまあそれがすぐにでき たら苦労しないんだけどねほら今日は君の 好きな料理とお菓子お酒を用意したから 一緒に飲もう嫌なことはスカットして流し ていくことしかできないだからそういう パーティーにならいくらでも付き合う よそう言って兄はいつも相談した後は気分 が良くなることを用意してくれていたと いうまた仕事だけで煮詰まらないように たまに開催されるバザーや日本で言フェス のようなものまた趣味の集まりなど色々な 場所に参加する時兄は必ず宮永さんも誘っ てくれたそんな兄に連れられるまま自分の 世界を広げていったら会社での悩みなんて 悩んでいるだけ無駄でいかに相手を怒らせ ないか相手の理不尽な怒りをスルーするか たえ嫌な相手に向かっときてもどう気分 転換しようかと考えることに重きを置く ようになったすると前よりも格段に うじうじとどうにもならないことで悩む ことが減ったと宮長さんは懐かしそうに 話してくれたその話を聞いて俺は明るく いつも頼りがいのあった兄らしいなと思っ ていたそれは昔兄もそうやって俺と過ごし ていてくれたからだ一緒にテレビを見て ああでもないこうでもないと言い合ったり ふざけて芸人の真似をしたり一緒にゲーム をしてお互いの好きなお菓子を食べること などで俺のククした気持ちをいつの間にか 軽くしようとしてくくれる人だったそれは 兄が無意識にやっていたこかもしれないが そういう人を癒すこと癒す空間を自然と 作り出せることは兄の才能だと思う普通 深く悩んでしまうと疲れきって実質に こもりたくなることも多いものだしかし兄 はそういう時も一緒にいて疲れない空気を 持っていてそれとなく一緒にいて リラックスできる空間を作ってくれる兄と いう存在が自分と一緒にテレビを見てこと 何かリラックスできることを一緒にして いるということが重要なのだもし1人で 好きなものを食べたりゲームをしてもここ まで心癒されることはないだろうまた大 多数の人はそれを古くからの友人や 幼馴染み恋人などに求めるものなのだろう が俺たちは違った俺はコンプレックスの 位置要因となりながらも大好きだった兄の ことをそして宮永さんもまた偶然 ルームメイトとしてあった兄のことを心の 支えとしていたのである兄は仕事も勉強も とにかく何でもできたのにそれを鼻にかけ ない人だったそしてそれは宮永さんも同じ だったあの有名なB社に務めていながら こんなに作で話しやすい雰囲気を出して いるのは彼の人柄がいいからだろう俺は 会社に入った時からから車内を歩いている 社員も受付場も人が良さそうだったことを 思い出したそしてこんな風に人格者が 集まっているからこそ変なロスを産まずに 業績を上げられているのだろうと思った 宮永さんはまた涙を拭った目から涙を こぼし ながらそれは私が送ったものなんですよ彼 の明るさやひひとしているところそして ルームメイト思いなところには何何度助け られたか分かりません私は昔からどこか気 が弱くてそんなに都出したものもない人間 でしたそれでも努力に努力を重ねて運力B 社に入社できただけなんですというか父の おかげで英語が堪能なのもあると思います しだからあんな大きな会社で優秀な人が たくさんいるところでやっていけるか実は とても不安だったんですきっと私はあなた のお兄さんがいなかったら何度も落ち込ん で暗い気持ちになってベッドに横になって いる休日を過ごしていたでしょうそして嫌 だなと思いながら嫌なこととか嫌な人の ことを考えてため息をつきながら毎日働い ていたと思いますアメリカでの生活を 楽しく過ごすよう気持ちを切り替えさせて くれた大地には本当当に感謝しているん ですそれこそ家族のように思っていたほど にだから大一が私のあげた時計を大切な ものとして扱ってくれていたことそして弟 であるあなたに託していたことになんだか 深く感動してしまって私嬉しいんです大地 が私のことを大事に思っていてくれたん じゃないかって思える からその話を聞いて俺はまた兄との色々な 思い出を思い出してなんだか心がじんわり と温かくなっていくのを感じていたそして ふと横を見ると神田さんも静かに涙を流し ていたきっと神田さんも今まで辛いことが あって誰かに助けてもらったのかもしれ ないまたは兄のように頼れる優しい人が 近くにいなくて苦労してきたのかもしれ ない今までの彼の験が宮永さんの話によっ て思い出されているように感じてしまって 俺は一緒に泣いてしまいそうになった宮長 さんはしばらく静かに涙を流すと相談の後 に長々とお時間を取らせてしまって申し訳 ありませんでもあなたと話していたら大地 のように優しく心ある人だと分かりました あとあなたの持っているなんとなく人にに 気を張らせない雰囲気が第一そっくりだな と思いました今日の相談もあなたが一生 懸命用意してくれたことが分かる内容でし たその他にもあなたの雰囲気や話し方 私たちの意見を聞いてくれようとする姿勢 が私たちの心を動かしたんだと思います もちろんそれだけが契約に至った理由では ありませんがそれでも私たちが心からよく 契約すると言えたのはやはりあなたの おかげだと思うんですと俺の目をまっすぐ 見ていってくれた俺は今まで取引先の相手 にそんなことを言われたのは初めてでは なかったしかし兄に似ていると言われるの は初めてだったのでかなりびっくりしたと 同時になんだかよくわからないこそばゆい ような優しい気持ちがじわじわと込み上げ てきて俺の心を温かくしたそれは努力が 報われた時も親に優しくされていた時に 感じたものとも違う今までに感じたことの ない感情だった宮永さんに兄の身につけて いたものを返そうとも思ったが宮永さんが その時計を大切にしてください大地は きっと織田さんのことを大切にしていたに 違いないと私は感じていますだから時計を 譲ったのだと大地の片のような存在の あなたが持っていてくれたら私も救われ ますと言ってくれたのでやめたそうして 最後はお互いに泣きはらした顔でロビーに 出たため少し周りの人はびっくりしたよう にこちらを見ていたが心が晴ればれとして いた俺たちはそんなことは気にならなかっ た宮永さんたちと笑顔で辞儀ををかわすと 俺はB社を後にしたのだった会社に帰って から契約書を出すと車内はお祭り騒ぎと いうくらい大騒ぎになった万年平社員候補 または会社の経営がもし傾いた時真っ先に 首にされると思われていた俺がまさかの 大きな契約を取ってきたとあって俺は一時 ヒローのように持てはやされていた社長は 俺のことを信じてくれてはいたもの正直 どうかなと思っていたらしくかなり俺の ことを見直しているらしい俺が面接に来た 日清そうな俺を採用したのはなぜかは 分からないがこれで少しは社長たちに 恩返しができたかなと俺は少しだけアンド していたそれからというもの前よりも業務 に自信を持って当たれるようになったと 思うまたあそこまでやり込めば俺も完璧に 仕事をできるのだと分かり資料をチェック するのもより熱心にやるようになったこの 調子で少しずつ自分に自信がつくように なっていけたらいいなと思っている 兄ちゃんそして宮永さん俺を支えてまた誰 も気づかなかった俺のいいところを見つけ てくれてありがとう今までは辛いと思って きた自分という存在を今やっと少しずつ 認められるようになっている気がする よ岩崎お前は首だ明日から来なくて いい突然の解雇宣告に俺は戸惑う一体なぜ 俺が何をしたって言うんだ解雇される理由 が見当たら ないえどういうことですか俺何か会社に 迷惑かけましだ か首って言ったら首なんだほら解雇通知だ これを持ってさっさと出て いけ待ってください社長せめて理由を聞か せて ください見苦しいわねあなたみたいで無学 で品のない人大嫌い会社の品格が疑われる わここにもうあなたの居場所はないの さっさと出ていってちょうだい その場にいた社長夫人がなめくじでも見る ような目で俺を見ているそうか彼女の 差し金か高卒から働き金属35年の俺が 社長夫人に嫌われて首にされたこんな理 不尽なことってあるか い俺の名前は岩橋53歳 卒業してからずっとこの会社末松内装店に 務めてきた本当は大学に行きたかったんだ けど家庭の事情が許さなかった父親を早く になくした俺には家族を養うという義務が あった母は体が丈夫じゃなかったし俺には 3歳年下の妹と5歳年下の弟がいた彼らに もじい思いをさせるわにはいかない俺が 働か なきゃお父さんの残してくれたお金がある し保険金もあるだから心配しないであなた が自分の夢を諦めることはない のありがとうお母さんでもそのお金は みやびとじに使って よあの2人にお金が必要になるのはまだ先 のことよそれまでに母さん頑張って稼ぐ から今はあなたが使い なさい何言ってんだよ体が丈夫じゃないん だから無理しないで よだけどどるあなた大学に行きたいって 言ってたじゃ ないサークルやコンパがやりたいだけだよ 正直俺勉強好きじゃないん だ母さんに余計な気を使わせたく俺は精 一杯の嘘を つく俺よりもジの方が優秀なんだぜジは 医者になりたいんだってみやびだっていつ か結婚する時には嫁入り道具が必要だろう だから父さんのお金は2人のために取って おこうドルはドルはそれでいいのもちろん 俺は2人の兄貴だぜ ありがとう とる医者になりたかったのは俺だ父さんを むしばんだ病魔が憎くて俺は人を助け られる医者になりたいと思っただけどそれ は弟の人も同じだった弟は県内でも有数の 新学校に進んだばかり思いが同じなら優秀 な弟が医者になった方がいい俺の夢はにに 託して彼が思いっきり学べる環境を用意し てやろう俺はそう決心し社会に踏み出す 決意を固めたとは言っても専門学校卒でも ない高卒の俺がやれるような仕事なんて そうはない事情を知る担任教師が一生懸命 探してくれたのは隣町にある畳屋だっ た先生の知り合いのつてなんだけどなから 創業している優正しい畳屋なんだ岩崎に その気があるのなら職人として鍛えて くれるらしいどうだ興味ある か畳みって儲かる の最近はフローリングが増えてきている けどやっぱりとのとかは畳だろう 食いっぱぐれることはないんじゃないかな 国家四角を狙ってみるといい 時代はどんどん西洋化されていたけれど まだまだ畳は需要があったそれに職人と いう響きは何ともかっこいいじゃないか 国家資格というのも白がついていい俺は 教師の進めるまま畳屋に就職を決めたその 畳屋が今の末末内装点だ今でこそ内装全般 を手広く扱っているが俺が入社した当時は 畳の専門店だった明治2年に創業したと いう末末畳店は創業150年を超える相当 な死にだだけどここに至る童貞は波乱万丈 で畳だけでやっていけないと悟った4代目 が床や壁紙といった内装からリフォーム まで幅広く手掛ける内装店に家事を切った その4代目が今の社長で俺に畳のなんたる かを教えてくれた人 だとる畳は何でできているか知ってる かい草でしょそうだどうしてい草で畳を 作るんだと 思う丈夫だからそれ からそれ からどうしてい草なのかなんて考えたこと もないだって畳は草だから俺にとっては それ以上でもそれ以下でもない何の知識も ない俺を馬鹿にすることなく社長は物語を 読み聞かせるように根気強く教えて くれるい草はスポンジ構造と言ってな表面 がでこぼこになっているんだこのでこぼこ が湿度を絶妙に調整してくれるから畳の ある部屋は快適に保てるんだ そうなんだい草すごいじゃんそうだ畳は ただの好物じゃないみんなが毎日を気持ち よく過ごせる環境を生み出す大切な役割を 担っているんだ一般的には知られていない かもしれないけど畳職人はな誇り高い仕事 だ よこの言葉が俺を畳職人の道に進ませた もちろん簡単なことじゃない一口に畳みと 言っても用途は様々で必要に応じて形や 大きさ重さが変わるい草や縫い付けの知識 やテクニックはもちろん日本文化に対する 増しも求められるだって茶室を作るならお 茶の作法を知らなくちゃならないだろう どうしてその大きさなのかそこでどんな ことが行われるのかそれに必要で絶える畳 とはどんなものか知らなければ作れない 仕事中は職人について技術を学び仕事が 終われば日本の文化や歴史について 学ぶトルはいつも本ばかり読んでるな あんまり読んでばかりいると目が悪くなる ぞそうそう若いんだからたまには遊んだら どうだなんなら女の子紹介するぞ そう言ってよくからかわれたっけ俺は本来 勉強が好きだ畳という未知なる分野は俺の 興味を駆り立て知れば知るほど知的好奇心 は刺激された時間さえあれば関連する書籍 に目を通し分からないことがあれば職人 たちに聞く当時はまだ技術を見て盗めな 時代だったし職人は無口な人が多い俺は 質問する代わりに職人たちの背中に へばりつき邪魔だ整なられながらも手の 動きを見つめメモを取りそれでも分から ない時はタイミングを見計らって恐る恐る 声をかけ教えを来い学び続けた二十歳前後 の若い脳は柔らかくてそれこそい草のよう に俺は知識を吸収したそうして10数年の 修行を得て俺は畳政策一級技能士に合格 一端の畳職人として厚生労働大臣に認め られることと なるまさか本当に合格するとは な社長俺のこと信じてなかったんですか そんなことはないさま途中でやめるかと 思ってはいたよなんだよ それ今でこそコンプライアンスだなんだと 騒がしいが俺が修行している時は厳しくて 当然バカ野郎そうじゃないだろお前に畳職 になんか勤まらんやめちまえなんて厳しい 言葉が飛び交う毎日だった言葉だけじゃ なく肩骨や道具が飛んでくるだからと言っ て訴えてやるなんていうやはいない叱ら れるうちが花じゃないけれど見込みがある から鍛えようとするわけでああだこうだ 言いながらきちんと面倒を見てくれる叱ら れる度にくそじじい見てやがれと魔剣根性 が湧き上がり情熱はヒートアップいつか鼻 の穴を明かしてやるさと技を磨き続けるの だ今では考えられないことだろうけどこれ が通常運転おかげで今や押しもされぬ畳 職人としてでの地位を得ることができた わけだだけど俺が畳職人になってすぐ会社 が傾き始めた時代は西洋式へ一直線もはや 古臭い文化は見向きもされず町には勝者な マンションが立ち並び畳はフローリングへ と変わっていった片に畳一筋でやってきた 会社だったけれど時代の波には抗えず 生き残る手段として内装リフォームの会社 へと家事を切ることとなっただからと言っ て畳をなくすわけじゃない畳は日本の文化 日本人の心だ需要は少なく市場は狭くなる だろうけど畳職人の灯しびは絶対に消さ ない畳はお前に任せる通る頼んだ ぞわかりました 社長この頃には俺を指導してくれた職人 たちはすでに引退していて実質俺がトップ になっていた俺の下には5人ほどの人間が いたけれどうち見習い3人はいずれも若く 絶対に畳を作りたいと志願して入社した わけではない社長はボランティアでほしい のことをしていて育てのない若者を自らの 会社に引き入れていた家庭や社会にされた という思いがあるのかひねくれていて わがままで言うことを聞かないそんな若者 3人を親代わりのように面倒を見るのは骨 が折れるちょっと目を離すとさぼるし 何より畳に興味がないのがいけない昭和 時代を生きてきた俺にとって平成以降の 若者は未知なる存在だ見て盗めなんて通用 しないし強引に勉強させるわけにもいか ない上に立つもとしてどう指導すればいい のか頭を悩ませる日々が 続く会社は内装店に様変わりしたとはいえ 当時はまだまだ小規模でお昼になれば社長 夫人がお茶を入れおやつの時間にはお菓子 を用意してくれるそんな家庭的な繋がりが まだ残ってい たみく仕事はどうそろそろ慣れてきたかし しっとも岩橋さん怒ってばかりだ し岩橋さんどういう こと怒ってないですよ指導してるだけです あなたの言い方が悪いんじゃないの今の子 には優しくしてあげなくちゃだめ よ甘やかしてばかりいてはいい職人になれ ません よ俺職人になんてならないしそもそも畳 なんて興味ねえよそれを言ってはおしまい だろうなんと言ってもここは畳や内装店に くえしたとはいえ畳は未だ売上の大半を 占めているしかし社長夫人は若い子の味方 だ手に興味がないならリフォームはどう かしらあなたみ君の担当変えてあげなさい よミネはいい筋してるんだけどなあどうだ とる俺もそう思いますミネならすぐに一級 技能心になれます よ本人が嫌だって言ってるの よ社長夫人はお茶とお菓子だけでなく口も 出すみんな彼女には逆らえないから自然と 若者たちは夫人に甘えるほとほと参る けれど若い力は貴重だ 一刻も早く戦力となってもらうには多少の わがままにも目をつらなきゃいけない おかげで俺はアと鞭の使い方がうまくなっ た峰だって興味がないとは言いつつもその 作業は丁寧で完璧だ修行を続ければ間違い なく一級品の畳職人になれるそれは彼の モチベーションや誇りになるし何より未来 を助けるだからこそ俺も指導に熱が入るし ついついもいがきつくなることもあるさ 本人だって分かっているはずだだけど夫人 が甘やかすから助長して自分の未来に水を 刺すだけどミネには可能性があるんです なあミネお前本当にやりたくないのか畳針 の使い方もうまくなったし縫い付けだって にやってるじゃない かだから興味がないって言ってるじゃない 俺はみに聞いてるんです奥さんは黙ってい て くださいなんですって私に対してその口の 聞き方は 何いつもこの調子だ俺は自分がそうやって 助けられてきたせいか困っているものが いれば手を差し伸べる社員たちが社長に なかなか言えないことを大弁することだっ て 多い社長最近ちょっと残業多くないですか みんな疲れきってますよだがなここで 頑張ってもらわないと今月きついんだ よそれは分かりますがだからって体壊し たら本末転倒でしょ仕事が増えるのはいい けどきちんと体を休ませるのも仕事のうち ですよ うーそうだ なあなんて会話をしていると社長夫人が顔 を出し口を 出す平社員の分際で随分と偉そうねそれは 社長が考えることであってあなたの仕事で はないわ黙って なさいだけど奥さんみんな疲弊してるん ですよ交代性にするとか働き方を考えない とでだからあなたの考えることじゃないっ て言ってるのそれに奥さんて呼ぶのやめて くれる社長夫人と呼び なさい一時が万事この調子社長夫人の耳に 入らないところで話してもなぜか筒抜け そりゃそうだろう全部社長が報告している からなおかげで俺は耳の痛いことばかり 言う口うるさい社員の楽員を押されること になった社長は分かってくれているけれど 何しろ夫人に頭が上がら ないすまないなあとそっとつぶやく社長の 顔は非想感が漂っていてものすごく道場を 誘うのだけれどだからと言って口を閉ざす わけにはいかない変えるべきところは変え ていかないと時代の変化についていけない 外だけ取り作ろったところで中身が伴わ なければいつか破綻するだろう俺はそれを 防ぐべく口うるさい小言を言い続ける きっとそんな俺を持て余すようになったん だろうある日社長室に呼び出された俺は いきなりこう告げられ た岩崎お前は首だ明日から来なくて いいいやいや突然すぎるだろ俺が何をし たって言うんだ俺には解雇される理由が 見当たらないえどういうことですか俺何か 会社に迷惑かけました か首って言ったら首なんだほら解雇通知だ これを持ってさっさと出て いけちょっと待ってください俺雇予告され ていませんよ の場合30日前の事前予告が必要なはずだ それぐらい俺だって知っている事前予告が なければこれは不当海子だ俺には従う義務 などないそう考えていると社長夫人が口を 挟むあなたみ君たちに賭博を教えた でしょうあの子たちすっかりはまって しまって仕事に影響が出ているのよあなた は彼らに悪いことを教えて職場起立を見し たんだから解雇でき るってわけ待ってください賭博って麻雀の ことですかそう よ俺は賭け麻雀なんか教えてませんよやっ たことがある人なら分かるだろうが麻雀は 頭のスポーツだ集中力や判断力記憶力忍耐 力そして場を読む力といったものが鍛え られるし手っ取り早くコミュニケーション も取れる雀卓を囲みながら通るお前の針に は迷いがあるだからヘリが曲がるんだ もっと筋を読め指先の感覚を 鍛えろわかりましたいつもは無口な職人も 肺を扱いながらポツポツと話をする普段 話さない分だけ彼らの言葉には重みがあり そこでしか学べないことだってあっただ から俺は後輩たちを麻雀に誘いいつもとは 違うコミュニケーションを心がけた健全 たる理由であって決して横島な気持ちなど ない1度だっってお金を動かしたことは ないしそれどころか駆け麻雀はするなと口 を酸っぱして言ってき たネ教えてないと言ったところで雀荘って そういうところでしょう若いんだから 面白くなっちゃうに決まってるじゃない 結果的にあなたが賭博を教えたことになる の よそんな俺は賭け麻雀だけは絶対にするな と何度も言い聞かせてきたんです よてらしゃい結果が全てなのよみ君なんて 借金ができてしまって怖い人に追られてる のよあなたどう責任を取る つもり責任も何も彼らはすでに二十歳を 過ぎた立派な大人だ自分の頭で考え判断 する能力は十分にあるやるなと言ったこと をやったのは彼ら自身の判断 だろう確かに麻雀を教えたのは俺ですでも その後のことは彼ら自身の責任でしょう彼 らは二十歳過ぎてるんですよ選挙権のある 立派な大人です見苦しいわねあなたみたい な無学で品のない人大嫌い会社の品格が 疑われるわここにもうあなたの居場所は ないのさっさと出ていってちょうだい 社長夫人はなめくじでも見るような目で俺 を見る社長は顔を伏せたまま一言も発し ないそうか全て彼女の差し金か高卒から 働き金属35年会社が傾きかけた時も必死 で支え続けてきた俺が社長夫人に嫌われて 首にされるこんな理不尽で稽な話ある だろう かわずかだけど退職金は出すよ今までご 苦労だったなありがとう これが社長に言える精一杯なんだろう俺は 社長が哀れに なるこんな男に退職金なんて出す必要ない のよあなたそのお金みね君にあげ なさいお断りし ます自分のせいでみね君が困って るっていうのに血も涙もない人ね血も涙も ないのはお前だろうと心の中でつばと一緒 に 吐き捨てる社長お世話になりました35 年間ありがとうございました俺は社長に だけ頭を下げ部屋を後にした荷物を まとめるために部屋に戻るとみんなに退職 の報告を するえ退職ってどういうことですかそんな 話聞いてません よ俺だって今さっき聞いたばかり だどういうことですかそれ不会子じゃない です かまあそうだ な訴え ましょうまあ待てそんなことをしたって何 のメリットも ないだからって受け入れるんです か俺は夫人に嫌われてるからな何を言って も無駄だよお前たまで心象を悪くする必要 はない今まで通り俺の分も頑張って くれみは部屋の片隅で俺たちの様子を じっと見ている俺は彼に近づき声を かけるみねお前はいい腕を持ってるんだ あと数年我慢して修行しろお前なら日本一 の畳職人になれる俺はそれを楽しみにして いるよ ああビネは俺から目をそらしたまま一言も 話すことはなかった会社を辞めた俺に行く 当てなどなかった寝耳に水の解雇だからな 当てなんてあるはずもないとりあえず 母さんになんて言おう1番の気がかりは それだったまだ帰るには早い時間だった から途中で喫茶店に立ち寄りコーヒーを 飲むそれでも時間を潰しきれなくて 仕方なく俺は家に 帰るあらどうしたの今日はやけに早いじゃ ないの うん母さん俺会社やめたんださすがに首に なったとは言えない えどうし て実は独立しようと思ってさ それにしてもいきなりじゃないあうんそう だねちょっといきなり思い立っちゃってさ ほら思い立ったが吉実って言うじゃないか こういう決断には思いきりが必要なん だはれの悪さに何かをさしたのか母はそれ 以上突っ込んでは来なかったそれから数日 俺はやることもなくダラダラと家の中で 日々を過ごした高校を卒業してからこの年 まで畳一筋で生きてきた俺に趣味など なかったあえて言えば麻雀だがさすがに 雀荘に行く気にはならない新聞を読み 転がっている雑誌を読むともうやること なんてないしょうがないから家の畳を1枚 ずつ点検し気になる部分を引き剥がしては 修理するとは言っても大きな屋敷でも あるいし畳の数なんて高が知れているから その作業もすぐに 終わる隠居して老人みたいねゴロゴロして ないで物件でも探しに行っ たら 物件独立するんでしょあああうんそうだね そうだ俺は独立するためにをやめたんだ 行けない設定を忘れるところだっ ただったら会社が必要じゃないさすがに この家では無理 でしょそれもそうだね天気もいいみたいだ しちょっと行ってくる よ行っ てらっしゃい1週間ぶりの外は日差しが 眩しい街路樹も青青としげり鼻も咲き誇っ ている世界はこんなに綺麗なのに俺だけ くすぶっているなちょっぴり戦地な気分に なっていると俺を叫ぶ声が 聞こえる岩橋さん岩橋とるさんですよ ね振り返ると見覚えのある女性が追いかけ てくるあれはライバル会社の美人部長じゃ ないか名前は確か西田はみさんだったな 西田さんお久しぶりです嬉しい覚えていて くれたんです ねそりゃこんな美人忘れるわけがないが そんなことは口に出せないもちろんです いいライバルでしたから ねライバルでしたなんで過去系なんですか もううちの会社はライバルにすらなり得 ないんです か途端に悲しそうな顔をする西田さんに俺 は慌てて訂正を するそうじゃないんです俺会社やめたんで えやめたどうしてってことは岩橋さん今 フリーなんです か切り替えの早い人だな答えを待たずに 質問を繰り出すのは頭の回転が早い証拠 だろう彼女はみさんは末松内装店の ライバル会社エデンホームの営業企画部長 確かまだ30代仲間ぐらいじゃなかったか その年齢で部長食に着くぐらいだからどれ くらい優秀かは押して知るべし末松内装店 とはリフォーム分野でよく立ち合いいつも 相見積もりでヒートアップを繰り広げた うちに比べれば歴史の浅い会社だが腕の いい職人やデザイナーを多数抱えている テレビ番組の企画でリフォームを手掛けた ことで長売れて有名企業に成長今やノりに 乗っていると言っていい だろう岩橋さんフリーなんですねだったら 是非うちに来てくださいあなたが欲しい ですちょちょっと待ってよいきなりすぎ ないいきなりじゃありません私ずっと あなたを狙っていたんですここで出会った のは絶対に運命です私と一緒に来て ください美人部長にグイグイと迫られ腰が 引ける俺そのままエデンホームへと連れて 行か れるでどうして末末内装店辞めちゃったん ですかストレートな問いかけにたじろぐが 嘘をついてもしょうがない俺がの末を話す と西田さんは激怒し た何考えてるんですか末松社長はボケ ちゃったんじゃないですか岩橋さんを首に するなんて世界の損失です絶対に会社潰れ ます よ西田さん言いすぎだっていいえ末松社長 は岩橋さんの価値を分かっていません岩橋 さんあなた自身も ほいいですか岩橋さん今畳の価値は世界的 に見直されているんですなのに畳職人の数 は減っている正直需要に供給が追いついて いないんです確かにここ数年で畳の価値は 再浮上したい草にはバニリン フィトンチットという物質が含まれている のだけれどバニリンはバニラのような甘い 香りで心を落ち着け集中力を高める フィトンチットはリラックス効果があると 同時に優れた殺菌効果を保有するい草は 空気を正常に保ってくれるし温度調節もし てくれるまた畳の黄色は目にも優しく安心 感を与えてくれる弾力性に優れているから 転んでも衝撃が少なく物を落としても音が せず気がち 畳が生み出す快適な空間は集中力を持続さ せ勉強や仕事の効果を上げる畳のある部屋 で勉強した子供たちの回答率が 14.1アップしたという研究結果もある ぐらいだ何より畳は日本人のDNAに 刻み込まれて いる我が者は今後より一層畳に力を入れて いくつもりです国内でも茶室だとかお寺だ とか一定の需要が見込めますそれにね最近 は畳を導入する進学塾も増えてるんです よそれは すごいすごいですよねでも職人が不足し てるんです岩橋さんうちに来て くださいでもエデンホームさんにも優秀な 職人さんがいらっしゃいましたよ ね確か俺より若くてすご腕の職人が数人い たはずだいますよもちろんでもね岩橋さん ほどの人はいないんです俺なんて大した ことないですよそれよりもちゃんと技術 学校に通って学んだ人の方が優秀だし信頼 できる謙遜しないでください確かに技術 学校の指導は優れていますでも現場で1 から体に染み込ませてきた人にはやっぱり 勝てないんです叩き込まれてきた技術力と 畳魂が違うん です畳み魂 って岩橋さんにはありますよね畳 魂畳魂確かにこの35年間俺は全身前連を 込めて畳と向き合ってきたその時間を学び を技術を畳魂と呼ぶのなら俺は間違いなく マイスターだろう謙遜しては見たものの俺 は畳職人として一級品であることを自由し て いる我が者の職人はみんな優秀ですが クールというか割り切っているというか畳 に対する愛が足りないんですもっと愛情を 込めて向き合えば今以上に素晴らしい製品 を作れるはずですだから岩橋さんには是非 うちの職人たちに畳み合いを叩き込んで 欲しいんです今度は畳合いと来たか西田 さんの言うことは分からないでもない確か に最近は皇帝が機械化されたりして作業は 随分感化された機械の方は正確でゆみが ないこともあるけれどなんとなく物足りな さは否めない畳はやっぱり一針1針 縫い上げてこそではないかキルトやパッチ ワークと一緒だい草を縫いつけるその一針 に西田さんが言う畳魂が注がれていく若い のに立派な考えの人だな俺は関心せずにい られないわかりましたどうせ行く当ても ないし契約社員ですかそれともパート 社員です職人頭としてリフォームチームを 率いてください はい岩橋さん畳を作る時部屋全体の インテリアをイメージしてますよね もちろんだ畳は畳だけで完成しない部屋に しっくりはまってこそその機能日を発揮 する恥ずかしい話ですが我が者には トータルコーディネートできる職人がい ないんですだから岩橋さんにはチーム リーダーとしてリフォーム全般を見て いただき たい俺畳のことしかわからないよ内装関連 の技術力なら問題ありませんそこはうちの 職人たちに任せてくださいあなたに求める のはトータルイメージですクライアントに 自信を持って進められる和風モダニズムを 追求してほしいんです洋風でも和風でも マッチする畳りをお願いします難しいこと を言うねその困難を岩橋さんのお力で是非 とも具現化していただきたい予算は十分に 取ります不足するようなら言ってください ちなみにお給料はこちらでいかが でしょう提示された額を見て俺は腰を 抜かしそうになる 前の会社の倍を軽く超えているじゃないか 吉興しすぎて言葉を発せずにいると西田 さんが不安そうな顔で 問いかけるご納得いただけませんか我が社 では破格の金額なんです けどいやいやいやいやこれはもらいすぎ でしょうゼロの数間違ってませんかいえ 正確な数字ですこの数字は岩さんへの期待 値ですそれぐらい私たちはあなたが欲しい んですあなたが欲しいのフレーズに思わず 体がビクッと反応してしまういや落ち着け 俺これは相当なことを求められているぞ畳 しか作ってこなかった俺にできるのか瞬 するもののあることに俺は気づくそうだ俺 は勉強が好きだ50歳を過ぎても知的心が 衰えることはなく新しいチャレンジは未だ に大好物分からなければ学べばいい とことん研究して物にすれば いいわかりました是非やらせて くださいありがとうございますではこの後 3時からのミーティングに参加して くださいえまだ契約もしてないんですけど 大丈夫です任せてくださいいつかこんな日 が来るだろうと岩橋通るダッシュ プロジェクトなるものを策定していたん です上層部もすでに了承済みですなんとも まあ俺の当たり知らぬところで体操な プロジェクトが進行していたものだうふふ と不敵に笑う西田さん侮れないなこはず 仕事なんてできないぞ俺は深く深呼吸して 腹を くるわずか1週間でライバル会社に就職 するなんてふりにも思えるが俺は解雇され たみだそこは心配ないが果たしてそんな俺 をエデンホームの社員は受け入れてくれる のだろうか先々強とした気持ちで車内を 歩いているとあちこちからざわざわと声が 聞こえるあ岩橋さんだへえあれが岩橋さん かとうとうちに来てくれるのかなマジかよ じゃああのプロジェクトも動き出すんだな 気のせいかものすごく歓迎されている気が する西田さんあのプロジェクトって何です かすぐに分かりますよ今からとその 打ち合わせです から結論を言えばあのプロジェクトとは 固定概念を覆す畳の政策だったエデン ホームが目指すのは畳の海外輸出クール ジャパンをきっかけに誕生した日本Bキの 心をわしづかみにする製品を考案し新たな 畳の利用法を提案していくプロジェクト なんとも面白そうではない か合と繰り広げられる白熱した議論年代も 立場も関係なくどうたみを世界に認め させるかの一点で意見を戦わせる前の会社 では感じることのなかった公用感が俺を 前のめりにする別に床に敷かなくてもいい んじゃない絵画みたいに飾るとかお盆 代わりにするとかカラフルな畳なんかを 一松上にくみたら北王家具にも会いそうだ よねみんなが一斉に俺を見てえという顔を するしばしの沈黙の 後カラフルな畳ちょっと想像できない ない草って染められるのでも色を選べると いいよ ねだったら私黒がいいいやもっと可愛いに し とけよ話はどんどん広がり次回の ミーティングまでに各自実現したい色を 決めることになっ たさすがです岩橋さんこういう発想を待っ てたんですあれでいいんだ歴史や文化を 知っているからこその発想ってあると思う んですよねこれからもどんどんこの調子で お願いし ます無事エデンホームに迎え入れられた俺 はそれからも遠慮なく好きなことを 言い放った俺の発言にインスピレーション を受けた若者たちが形にすべく必死に 取り組む技術的な問題があれば遠慮なく 指導するいい循環だエデンホームには 物づくりに最適な環境が整っていたそして 今完成した作品のPRのために俺は海外の 展示会に来ている今回のテーマは北欧家具 に合わせたリビングの提案だピンクや緑色 とりどりに染め上げられたい草がなんとも ポップな空間を 作り上げる目にする人々は口々に アメージングジャパンと言っては目を輝か せ居心地の良さを堪能している様子ついで に持ち込んだ畳トレイやイ草バッグも興味 を引いている 畳は日本の誇るべき文化だスタイルが 変わろうと文化や歴史そして畳に注がれる 愛情が廃れることはない時代や要望に 合わせながらも肝心な部分は決して手を 抜くことなく諦めないその心行きが畳と いう姿になって多くの人に受け入れられる のだろうそんな俺の気持ちを一番よく理解 し腕となってくれているのが峰だ俺が首に なった2年後末松公務店は廃業した実は その時末松社長からのれを引き継がないか という話をもらったこんなこと言えたぎり じゃないんだが創業150年の歴史を 途切れさせたくないんだどうか戻ってきて 引き継いでくれない か今更過ぎますよすでに俺はエデンホーム の一員として地位を確立していたし何より 仕事が面白くなってい たみはどうしてるんです か元気だよお前を解雇したこと相当恨まれ てなろに口を聞いてくれなくなった でしょうねみはあんな態度だったけれど俺 のことをリスペクトしていた 彼は彼なりに必死になって俺から技術を 盗もうとしていたのだ会社は引き継げませ んが峰は俺が引き取りますよ今もまだ つっけんどんな態度だけれどそんなところ も含めて峰はエデンホームの仲間に温かく 迎えられ俺の補佐役として汗水垂らして いる俺の後を継ぐのは間違いなくこいつだ な俺はそう確信している過去から未来へ 日本から世界へ畳魂はきっと全てをついで くれるだろう多分きっと西田さんとの縁も ねせっかくいい部長に恵まれてやりがいを 持って働けていたのに突然の部長の交代 代わりに来た片桐部長はひどい上司であっ た サービス残業は当たり前自分の言ったこと に責任を取らずミスは部下のせいにする そして俺は定学歴だと見下される始末 しかし俺は今まで上司に恵まれすぎていた んだよなと思い直し自分をコして仕事を 頑張ったあと数週間頑張れば夏休みが もらえるサラリーマンというのはいい時期 もあれば辛い時期もあるのだ淡々と頑張っ ていればきっとまたいい時期も来る俺は そう信じて頑張っ たそして数週間が経ちようやく1週間の 夏休みがもらえた今年は実家に帰るか俺は 1人暮らしの自宅でそう独り言を言い ちゃちゃっと荷造りをして新幹線に乗った 俺の実家は東北の市街地にある大学の時 から況していて本当正月ぐらいしか実家に は帰らない去年は夏休みがまとめて取れず 細切れで取ったので規制しなかった今年の 正月休みは大学時代の友人に旅行に誘われ たので行ってしまいやっぱり規制しなかっ たたまには帰ってきなさいよと母親に言わ れるし両親もどんどん年置いていくので 帰れる時には帰っておかないとなと思った のであるただいま 実家の玄関の戸を開けるとおかりと台所 から母の声がした今に行くとテレビを見て いる父がおお久しぶりだなあと寝転がり ながら言う相変わらずのいつもの両親の姿 にここは何も変わらないなというアド感を 感じたいつまでいるの34日はいるん でしょ母の問いかけに俺はまあそうだねと 曖昧な返事をする夕飯はかずと食べてくる 母が俺の夕飯をわざわざ作ると申し訳ない ので俺はそう伝えたすると母はあら ステーキ買ってきちゃったのにという さすがにそれに対しては申し訳ないと 思えるほど俺もまあ大人になったので ありがとう帰ってきたら食べるよ と母に伝え一旦荷物を置いて着替えてから 再び靴を履いて外に出 た中学の同級生のかと夜は近所の居酒屋で 食事をすることになっている約束の時間 までまだ少しあったので駅に隣接した商業 施設に入り時間を潰すことにし た本屋でも行ってみるかとエスカレーター を上がって本屋のフロアに行くとコーヒー チェーン店と本屋が同じ敷地にあり コーヒーを飲みながら本が読めるシステム になっていたのでこれは時間つぶしにいい ぞとコーヒーを1杯注文して席に着いた そして読む本を物色しに席を立とうとする と隣に座っている女性がしきりに俺を チラチラ見ているような視線を感じた俺は 不審に思ってその女性を見たそしてえと 一旦目をそらした後に2度をしたむ村谷 さん俺は確信してその名前を呼んだ俺の 憧れの美人上司急に会社を辞めてしまい 心配していたの だやっぱり勝又君なんでここにいる の村谷さんもとても驚いた様子でそう言っ たなんでってここ俺の地元なんですよ実家 ここからすぐなんです俺がそう説明すると 村谷さんはすごい偶然と小高に言った村谷 さんもここが実家ですかいやそんなわけ ないよな年1つしか違わないからそしたら 中学とか一緒で顔見たことあるはずだし俺 がブツブツと独り言まじりにそう言うと私 の実家はここじゃないよもっと 西と村谷さんは言うじゃあなんで俺はそれ から彼女の衝撃の事実を聞くことになった ので ある俺の名前は勝又勇樹メーカー勤務の 27歳だ大学卒業後に新卒で入社した会社 はやりがいがあるとは決して言えないが 会社ってこんなもんなのかなと思いながら 毎日働いていたゆ ランク大学を出ている俺のことを見下す 上司もいる上司に媚びて気に入られようと 必死な同機もいる理不尽に仕事のミスを 他人になすりつけたり他人の手柄を横取り する社員もいるそうやって悪いところを あげていくとうちはブラック企業なのかも しれないとも思うしかし悪いところだらけ ではなくいいところだって ある勝君は影でみを支えてくれているのに 周りが気づかないんだよねほら他の人は 自分がちょっと頑張ったらアピールする じゃないだからそっちが目立っちゃっ てリフレッシュルームで休憩中に雑談して いたら先輩の村谷まかさんにそう言われた 彼女は俺より1年しか先輩じゃないのに スピード出世により最年で部長に登り詰め た有能社員頭が良くて仕事ができてみに 疲れていてそして美人なのだ俺なんて仕事 を覚えるのも遅いし目立たないし何の 取りえもないから多分一生平社員なんだと へこむけどへこむ以上に村谷さんが優しく て美人で優しいから癒されるあ ず優しいを2回言ってしまったとにかく 彼女の姿を見るだけでも嬉しいのだが 話しかけられるなんてもっと嬉し しかし喜びもつのまはっと我に帰ると今の 発言は俺が目立たないとディスられている のかもと 気づくすみません俺が地味で目立たない ばっかりに本当に使い物にならない社員で 申し訳ないです俺は慌ててそう言ったする と村谷さんはえそんなこと言ってないよ 確かに海外だと自己アピールしないとダ めって言うけど ここは日本だからアピールする人の良さも 控えめな人の良さも両方あると思うんだよ ねだから勝又君の個性も私は尊重したいな と言った神かよと心の中で叫ぶ俺神って いうか女神我が者の美しいビーナスだ学校 だって職場だってなんだって嫌なことは 多いけどどこかに癒はつかだあありがとう ございますそんな風に言われたことないの でめちゃくちゃ嬉しいです俺が彼女にそう いったタイミングで同期の山瀬穂がお疲れ 様 ですとリフレッシュルームに入ってきたあ 山瀬さんお疲れ様お昼遅くなっちゃって 大変だったね大変話してたらこんな時間 会議があるから行ってくるね 村谷さんは時計を見て慌てて部屋を出て いった俺と山瀬は笑顔でペコリとお辞儀し 村谷さんを 見送る村谷さん本当美人だし頭いいし 優しいし素敵なよねちょっとすれ違うだけ でもねいの言葉とか励ましの言葉とかかけ てくれるもん癒される よ山瀬がそう言ったので俺も本当同感 と力強く言うと勇気は村谷さんと喋ってる 時デレデレしすぎで怖いと山瀬に言われた ちなみに山瀬は同期の研修の時に同じ グループだったのもあり社員の中では仲が いい方であるえ俺そんなに怖いぐらい デレデレしてるマジかマスマス村谷さんに 嫌われる俺は不安になり山にそう言った 村谷さんに嫌われるかどうかを仕事の軸に してるのも 怖い山瀬が追い打ちをかけるだってそれ くらいしかこの会社での楽しみがないんだ から俺がそう返すと山は確かにと言って 笑った休憩を終えて業務に戻ると峰尾副 社長に呼び出しをされた峰尾副社長は社長 の実の息子である自家社長になることは 決定しているので今はなるべく社員たちと 直家に接したいと思っているらしく副社長 から直々に平社員に話があるというのは よくあることだっ た勝又君だね君は入社して5年目なのに これと言って大した実績もないけどやる気 あるの峰副社長は俺にそう言ったさっき 村谷さんに俺のいいところを褒められた けどとその喜びは今の一言でガラガラと 崩れ落ちるすすみません副社長やる気は あります俺は焦ってそう答えたやる気が あるあるって口では何とでも言えるんだよ それよりも結果で見せてもらわないとね それに君学歴が大したことないから他のや よりも余計に頑張らないと今に窓際族なる よ峰夫副社長はそう言ったこの人も学歴で 人を見下すタイプである俺が何も言えずに 黙っているとまとりあえず君を今日呼んだ のは武将移動の件だ明日から人事部の方に 行ってもらうというミオ副社長 え人事部ですか明日 から唐突に言われたので驚いてそんなに 行ってしまった俺だったが気を取り直して わかりましたと返事をすると副社長は じゃあそういうことでよろしく戻っていい よと言った俺は廊下を歩きながら嘘だろ 村谷さんと違う部署になっちゃうじゃん俺 の唯一の職場での楽しみを奪わないでくれ よと心の中で叫んだのであったそして翌日 俺は後ろ髪を惹かれながら昨日までいた 商品管理部に別れを告げて人事部へ移動し た移動先の部長はいい人だろうかいや村谷 さん以上の素敵な部長なんてこの世にいる わけがないそんな風に考えて肩をがっくり 落としながら1つ上のフロアへ上がっ た本日からこちらの部署に属になりました 勝ですよしおいします俺は人事部の部屋に 入ると入り口にいた男性社員にそう告げて お辞儀をしたお君か新しくうちの部署に来 てくれた社員はありがとうね今日から よろしく頼む よそう言って挨拶を仕返してくれたその 男性社員は背が高くて男前で俺より少し 年上に見えた人事部の部長の橋本です その男性社員はそう名乗って一礼した大変 失礼いたしましたどうぞよろしくお願い いたします俺は焦って再度お辞儀をする まあまあ片肘張らずに楽にしていいようち の部署は自由にのびのびともとに個人の 能力を最大限に行かせるように働いて もらってるからあ今慣れてる社員を呼ぶ から今日は彼に色々教えてもいいよおーい 島橋本部長はそう言って奥の席にいる男性 社員を呼んだ島崎さんと呼ばれたその男性 は島崎です分からないことがあったら何で も聞いてくださいよろしくと笑顔で言って くれた漢字のいい人であるとりあえず 新しい部署で人には恵まれたようなので ほっと人安心する俺なのであったそして 部署移動して3ヶ月ほどが過ぎた色々な 社員と雑談する中で分かってきたことは 人事部は人に恵まれた部署ということだっ た村谷さんはもちろん憧れの素敵な上司 だったが今の部署の橋本部長も信頼でき 尊敬できるいい上司である頭が良くて仕事 ができ社員に気を回して様々なケアをして くれるので働きやすかったそして個々の 得意なことを見抜く能力も高く部署内の 社員は褒められて伸ばされて生き生きと 働いていた俺もこの会社に入社してから 初めてやりがいを持って仕事をするという 経験をさせてもらった今まではお金や社会 的な制裁のためにしぶしぶ働いていたけど 橋本部長のおかげでいい仲間といい仕事を するのはこんなに楽しいんだだと知ること ができたしかし他の部署の社員の話を聞く と人間関係が悪かったり上司がワンマンで 仕事が円滑にできないという話が多かった うちの会社はいい会社なのか微妙だよなと 俺はいつも思っていたまあとりあえず今の ところ俺の周りは平和なのでそれは本当に ありがたいと思っ たそんなある日のことだった たまたま山瀬と大近時間が一緒で同じ タイミングで会社を出たので駅まで一緒に 帰ったその様子だと勇気は聞いていないよ ね村谷さんのことそんな風に言われ俺は 大好きな村谷さんの名前が出てきたので 村谷さんが何かあったのと食いつくように 聞いたすると村谷さん会社首になってやめ たんだよ と山が言ってきたので俺は驚きすぎて平に 舗装された歩道にも関わらず足がもつれ 派手に転びそうになったう嘘だろなんだよ その 話なんとか転ばずにバランスを整えながら 俺はそう言葉を返したそして山がなん ちゃってとふざけるのだと80%くらい 期待したしかし山はびっくりだよよ私たち も何も知らされてなくて村谷さんここ3日 くらい休んでるから体調不良かなと思って たんだけど今日新しい部長が就任して全人 の村谷は解雇になりましたって理由も教え てくれないし私たち部署内の社員はみんな パニックだよと言った俺はそんなこと信じ たくないのに山が否定しないことが憎いと 思ったそんなわないだろう村谷さんに限っ て仕事で重大なミスをするとは思えないし むしろ会社に利益しかない存在なの に俺は自分でそう言いながら泣きそうに なる携帯に電話やメッセージしても連絡 取れないみたい心配だし寂しいし新しい 部長はなんか感じ悪いし会社やめたくなっ ちゃう よそういう山も少し涙ぐんでいた俺も村谷 さんがいない会社なんてもう行きたくない よと思ったけれどそういえば部署移動して からほとんど彼女に合わない生活だった から実質関係ないといえば関係ないとすぐ に気づいただけど心にぽっかり穴が吐いた 気がしてあの素敵な笑顔で休憩時間に 話しかけられることもないんだと思うと底 悲しかったので あるそれから 過時々村谷さんのことを思い出して寂しく なるけれど俺は橋本部長の元でやりがいを 感じながら毎日仕事にせを出したしかし俺 の運気もついに落ちてきたのだろう か今日から人事部の部長になりました 片切りですとある日突然人部の部長が 変わったのであるえ橋本さんは小声で思わ ず口に出してしまった俺であったが先輩の 島崎さんがそれを聞いて小声でこを返した 橋本さんは体調不良でしばらく来れない みたい俺はショックを受けた俺のいい ところを褒めてくれていつも明るいムード メーカーだった橋本部長しばらく来れない ほど体調が悪いなんて大丈夫なのだろうか しかし橋本部長がいないから何もできない 俺ではめだと 思い直す橋本部長が不在でも俺たちで しっかり仕事をし安心して休んでもらおう と思ったしかし代わりに来た片桐部長が これまたひどい上司であったサービス残業 は当たり前自分の言ったことに責任を取ら ずミスは部下のせいにする俺はまたまた 定学歴だと見下される始末しかし俺は今 までに恵まれ過ぎていたんだよなと 思い直し自分をコして仕事を頑張ったあと 数週間頑張れば夏休みがもらえる サラリーマンというのはいい時期もあれば 辛い時期もあるのだ淡々と頑張っていれば きっとまたいい時期も来る俺はそう信じて 頑張ったそして数週間が経ちようやく1 週間の夏休みがもらえた今年はに帰るか俺 は1人暮らしの自宅でそう独り言を言い ちゃちゃっと荷造りをして新幹線に乗った 俺の実家は東北の市街地にある大学の時 から状況していてボと正月ぐらいしか実家 には帰らない去年は夏休みがまとめて取れ ず細切れで取ったので帰省しなかった今年 の正月休みは大学時代の友人に旅行に誘わ れたので行ってしまいやっぱり帰省し なかったたまには帰ってきなさいよと母親 に言われるし両親もどんどん年置いていく ので帰れる時には帰っておかないとなと 思ったのである ただいま実家の玄関の塔を開けるとお かえりと台所から母の声がした今に行くと テレビを見ている父がおお久しぶりだなあ と寝転がりながらが言う相変わらずのいつ もの両親の姿にここは何も変わらないなと いうアド感を感じたいつまでいるの34日 はいるんでしょ母の問いかけに俺はまあ そうだねと曖昧な返事をするどうも息子と いう生き物はいい大人になっても親には そっけな態度を取る生態らしいと自己分析 をしそれも甘えなんだろうと思った夕飯は かと食べてくる母が俺の夕飯をわざわざ 作ると申し訳ないので俺はそう伝えたする と母はあらステーキ買ってきちゃったのに というさすがにそれに対しては申し訳ない と思えるほど俺もまあ大人になったの でありがとう帰ってきたら食べるよと母に 伝え一旦荷物を置いて着替えてから再び靴 を履いて外に出た中学の同級生のかに寄生 すると連絡をしてあり夜は近所の居酒屋で 食事をすることになっていた約束の時間 までまだ少しあったので駅に隣接した商業 施設に入り時間を潰すことにした本屋でも 行ってみるかとエスカレーターを上がって 本屋のフロアに行くとコーヒーチェーンと 本屋が同じにありコーヒーを飲みながら本 が読めるシステムになっていたのでこれは 時間つぶしにいいぞとコーヒーを1杯注文 して席に着いたそして読む本を物色しに席 を立とうとすると隣に座っている女性が しきりに俺をチラチラ見ているような視線 を感じた俺は不審に思ってその女性を見た そしてえと驚いて一旦目をそらした後に 2度見をしたむ村谷さん俺は確信してその 名前を呼ん だやっぱり勝又君なんでここにいる の村谷さんもとても驚いた様子でそう言っ たなんでってここ俺の地元なんですよ実家 ここからすぐなんです俺がそう説明すると 村谷さんはすごい偶然と小高に言った村谷 さんもここが実家ですかあいやそんなわけ ないよな年1つしか違わないからそしたら 中学とか一緒で顔見たことあるはずだし俺 がブツブツと独り言まじりにそう言うと私 の実家はここじゃないよもっと西の方と 村谷さんは言うじゃあなんで俺がそう聞く やいなやち で仕事してるのまさか勝君にここで会う なんて本当にびっくりしたと言われた そして俺と村谷さんはコーヒー店でお互い の近況を話した村谷さんは会社を首になっ た後こっちへ来て再就職したというがその 就職先についてがまた驚くべき内容であっ たコンサル会社なんだけどその代表取締り 役がね橋本部長なのあ 今の会社では橋本社長って呼ばれてるけど 俺はあまりに驚いてコーヒーを斜めにして しまいうっかりこぼれそうになった橋本 部長そんなはずはと言いかけた俺だったが 俺の中で橋本部長は体調を崩して両用中と 疑いもせず決めつけていたことが崩れ た橋本部長は今うちの会社を給食中です けどそれって嘘だったですか俺がそんな風 に言うと村谷さんは嘘だなんてそんなこと はないよ体調を崩したのは本当だけど休ん でいるうちにあの会社に戻る価値を感じ なくなっちゃってやめて自分で会社を やろうと思ったんだってそれで声をかけて もらったんだもう橋本部長の退職届は受理 されてるはずだよと言ったそうだったのか と俺は驚くばかりだってことは橋本部長も この町にい るってことですね俺がそう問いかけると 村谷さんはそうだよ実は今ここで 待ち合わせてる相手も橋本部長いや橋本 社長なんだあちょうど来た来た社長こっち ですと言って手を振った俺が振り向くと 本当に橋本部長いや部長改め橋本社長が そこにい た橋本 社長俺は大好きな橋本社長にあえて嬉しく なり思わずハグしようと思ったくらいで あった勝又驚いたぞ元気だったかあ いきなり呼び方を社長に変えなくていい からなさ付けでも呼び捨てでもいいから お前の社長じゃないし橋本社長いや橋本 さんは相変わらずそんな風に俺を気遣って くれてやっぱりナイス外だったそして 大好きな村谷さんと橋本さんの2人に急に 再開できたことが嬉しかったがふと我に 帰ってあることに気がついたあのももしか してお2人は付き合って るってことでしょうかそうでなきゃこんな 場所で一緒に働こうなんて俺は思い切って そう聞いた村谷さんは素敵な女性で自分が お付き合いできるのならもちろんしたいが 俺なんかには高値の花すぎて現実的では ない俺の尊敬する橋本さんと村谷さんなら お似合いで現実的だし悔しいという気持ち よりもむしろ清々しかっ たやだ勝又君私たち恋人同士に見える そんなわけない よ村谷さんはそう言って否定したが本当は 何かわけがあって事実を隠そうとしてるん じゃないかと思うくらい俺は目の前の2人 が恋人にしか見えなくなっていた橋本さん ははと爽やかに笑っている俺がしつこくで もと言うと誤解だよそれは絶対にないと 村谷さんは言い切った橋本さんも横で うんうんと頷いているち違うんですか俺は は当が外れて表紙抜けしたすると橋本さん がこう言った勝誤解を招いて申し訳ない俺 がこっちで会社を立ち上げたのは俺の婚約 者の実家がこっちにあるからなんだ5年 付き合ってた彼女がいてもうすぐ入籍する 予定で彼女の実家の近くに住むことを決め たという理由もあってこっちで事務所を 借りて会社を設立したんだそこまで言わ れるとかしているでもなく本当に2人は ただのビジネスパートナーだと信じられる ようになってきたしかし気になることは他 にもあったそうなんですねご解をすみませ んそれとあの重ね重ね質問ばかりですみ ませんその村谷さんはどうして会社を 辞めることになったんです か俺は恐る恐るその質問をした首になった という話だったけ 仕事ができてスピード出世した村谷さんに 限ってそれはないと思ったから真実を聞き たかったのだ村谷さんは黙ってしまいすぐ には答えなかった俺はその様子を見て聞い ちゃいけないことでしたらすみません答え なくて大丈夫なので今の質問は忘れて くださいと詫びたすると村谷さんは ゆっくりと口を開い たまだあ会社の社員である勝又君には言わ ない方がいいんじゃないかって今少し悩ん でたのだけどやっぱり行った方がいいと 思ったから言うねあの会社はダメだと思う 有能な社員はいたけれどトップがあれじゃ ね橋本さんも話を聞きながら頷いていた私 は被害者首にされた時はショックで しばらく立ち直れなかった実にしばらくは 引きこもって誰とも連絡取りたくなくて スマホの電源もずっと切ってただけどこの ままじゃ行けないと思ってコンサル業の 勉強をし始めたんだそんな時に橋本部長 から連絡が来てね俺も会社を辞めるから よかったら一緒に新しい会社をやらない かって誘ってくれてね村谷さんがそう説明 すると橋本さんがそれはと仕事を始めた 経緯だろ勝又が聞いてるのはなんで君が 会社を首になったのかってと突っ込んだ 確かにじゃあ首になった経緯を話すけど私 が会社を辞めたのは峰夫副社長のせいなの 村谷さんはそう言った俺は驚いてみみお副 社長ですかと復唱する村谷さんは続きを 話した 副社長に個人的に話があると呼び出される ことが多くて行くとくだらない話ばかりで 不審に思ってたんだけどある時俺と 付き合わないかと言ってきたの副社長は 結婚はまだしてないけど婚約者がいる でしょ会社にもよく顔を出していた女の人 俺はなあ俺も何度か見かけたことがあり ますみなさんですよね茶髪ロングヘアのと 村さんはそうそうその人と苦笑いをしまた 話を続けたそれで婚約者がいらっしゃるの にどういうことですかと聞いたらみなには バレないようにするって言ってきたの私は 気分が悪くなって俺もそれを聞いた瞬間 背筋がぞっとしたなんですかそれ最悪です 思わず声が大きくなる俺それでそういう ことはできませんとはっきりお断りしたら 副社長はそれならお前は首だってその時は 冗談だと思っていたら本当に解雇され ちゃって本当に驚いたしショックだったよ 私が今までこの会社で頑張ってきたことは 何だったんだろうって村谷さんはそう言っ てため息をついた俺もその話にはかなり 驚いたまさかそんな非常識なことす人間が 会社の時期社長だなんて大人って怖い社会 って怖い再び背筋がゾゾゾとした勝又が どん引きして固まっちゃったぞ橋本さんが そう言って苦笑いしたそりゃそうですよ どん引きするのが普通の 反応村谷さんもそう言って笑う村谷さんの その笑いはもう過去の事としてたようで すっきりした表情の笑いであったしかし それ完全にコンプライアンス違反じゃない ですか訴えましょうよ俺は真面目にそう 言ったすると村谷さんは私も当初はそう 思ったでも証拠がないから諦めたんだだ けどと言いその途中で橋本さんが割って 入ってきた俺は村谷がやめる時に村谷から こっそりその話を聞かせもらったんだそれ で腹が立ってすぐ行動したんだよ行動と 言いますとと復する俺うん村谷が辞めた後 俺は副社長のとろに行ってその話を ストレートに聞いたんだ村谷に交際を 申し込んで断られたからって彼女を首にし たことは本当ですかってねもちろん副社長 はそんなわけないだろうと否定しただけど 俺は村谷は有能ですからその時の会話を 録音していたでしょうねもし副社長が今 ここで僕に自白し村谷に謝っていただける なら僕から村谷にそのことを伝えて許して もらえないか出ししましょうっってねそう したら副社長は何確かにあいつは用人 深かったしお前の言うことならちゃんと 聞いていたからじゃあ任せたぞって言って たよ結局最後まで謝りはしなかったんだ [音楽] 橋本さんはそう説明したもちろん私は音声 録音はしてないんだけどね橋本社長は私 なら録音してると思ってたらしくてでも副 社長はそれで私の不当解雇については本当 だと自白したそしてそのやり取りの音声を 橋本部長はしっかり録音してあったって わけ謝った部分を私に聞かせようと思って たらしいわ村谷さんをけす俺は思わず腹を 抱えて笑った副社長どこまでもやばいです それでその後副社長には何て言ったんです か俺が聞くと橋本さんは俺はその後村谷が 録音していなかったことを知ったんだが それからほどなくして退職しちゃったから この機会を逃すまとこっちからは連絡し ないでばっくれてた副社長から例の件は どうなったって連絡が来ることもあった けどもうちょっと待ってくださいって ごまかしてる自白の音声は俺が大事に保管 していてもうちょっとしたらそれを社長に 突きつけるつもり俺の自分のコンサル会社 の仕事が落ち着いたらぼちぼち動こうと 思ってるいやあ少し早とりだったけどそれ が役に立ったなと言ったなるほどと俺は心 する副社長みたいな仕事の能力も人間性も 乏しい人が時期社長になるくらいだったら 橋本さんみたいな有能な人が社長に ふさわしいのに村谷さんといい橋本さんと いい会社は惜しい人を手放したよなと しみじみ思った俺であったそんなこんなで その日はひょんなことから俺の尊敬する 2人にあえて嬉しかったし争も聞けて よかったまさか夏休みにフラッと帰省した 先でこんな出会いがあるとは驚きだそして 俺は規制先で数日間久しぶりに友人に会っ たり母親の手料理を食べたりとのんびり 休暇を取った後1人暮らしの自宅に戻っ た会社を辞めさせていただき ます2ヶ月後俺は会社に自評を出したこの 2ヶ月の間に会社ではゴタゴタと騒動が あった霊の村谷に交際を申し込んで断られ から首にしたという事実をミ副社長が自白 した音声がついに車内で広まったのだ橋本 さんはうちの会社の社長に時々にその音声 を聞かせコンプラ違反を指摘したみお達也 副社長の父親である峰夫孝社長である峰夫 孝社長は大変驚いて息子の下ことを問題 行動と認めて達也は平社員に村谷さんには 雇用を脱進したもちろん村谷さんは元の 会社には戻らず橋本さんの会社で引き続き 働くことを選択そして社長ではなく社員 たちにも達也の愚行を広めたのはこの俺で あった自分だけではこのことを抱えきれ なかったし社長だけに話しても隠蔽されて しまい村谷さんが首になるようなミスをし たと誤解されたままだろうと思ったので俺 はの音声のを橋本さんからもらい同僚に 聞かせたのだもちろん村谷さんに事前に 許可を取ってのことであるその真実は人 から人へとまたたく間に広まったそして 達也は会社内で居場所がなくなり窓際族に なった因が王法であるそういえばその昔 達也から君今に窓際族になるよって嫌みを 言われたことがあったっけ言ってる方が そうなってるじゃん 俺はそんなゴタゴタした会社にけがさし やめることを決めた最終職先は橋本さんの コンサル会社だ地元に戻って実家の近くに アパートを借りたそして驚くことに最終職 をしてしばらくしてから俺に彼女ができた 彼女の名前は村谷マカさんなんと高の花 だった憧れの村谷さんがまさかの俺の恋人 になってくれたのである村谷ってこんなに 美人なのに見た目も中身も地味なやが タイプなんだってさずっと前から言ってた よ橋本さんが俺にそんな風に言ったそれっ て俺を褒めてるのディスってるまあどっち でもいい俺がそのタイプなのは間違いない ので村谷さんは俺みたいなやがビゴだった ということかそれなら神様ありがとうと いう気持ち だ勇気は地味じゃないよ影でみんなを支え てくれてるんだ から彼女が俺をフォローするそんな風に かつてリフレッシュルームで褒めてもらっ たことを思い出し顔がにやける俺いやそれ を世間では地味と言うんじゃ橋本さんが そう言ったので3人であと笑った橋本さん は先月無事に入籍して新婚さんだ とにかく俺たちは今仕事も順調だし幸せな のである同期の山瀬は退職した俺を心配し て時々連絡をくれていたけど実は村谷さん と付き合うことになったと報告したらなぜ かひどいと言われた先に俺に恋人ができた から悔しいんだろうなと思っていたら山瀬 さんはずっと勇気のこと好きだったと思っ てたよ と村谷さんに言われたいやいや俺なんて そんなに持てないはずだけどと首をかげる 俺でもかつてみんなの憧れの美人上司だっ た村谷マカの彼氏になれたんだから ちょっとは自信を持ってもいいだろうか そして村谷舞花の彼氏として恥ずかしく ないように仕事のスキルも人間性も高めて いこうそう誓った俺であった 私に何したの 最低俺は登山が好きな美人社長に誘われ 雪山へ向かった楽しい登山かと思われたが 突然毛吹きに襲われて 遭難こえる美人社長を助けたが意識を 取り戻した途端俺がひどいことをしたと 勘違いして大 号泣無事に家に帰れたものの美人社長から は勘違いされたままだ数日後俺は社長室に 呼び出されるのだがそこで思わぬ展開が 待ち受けていたのだった俺の名前はバド 英介今年で35歳になる新卒で大手企業に 就職した俺は一生そこで働き続けると思っ ていたでもある時同じ大学に通っていた 加藤証拠が起業するという話を聞くことに なる人手が足りなくて優秀な人材を探して いたところ俺に連絡を送ってきたというの だ自分が優秀かどうかは分からないが業績 は常に上の方を維持していたし周りから よく質問されることも多かった加藤からも 是非うちで働いて欲しいと言われたので 比較的仕事ができる方なのだろうでも加藤 から話を持ちかけられた時俺は正直迷って いた大手企業職してまで新しく立ち上げた 会社で働くのはリスクが大きいだから加藤 から話を聞かされた後も俺は返事ができず にい た大手企業では働いて13年になるし キャリアだってそこそこ気づけてきた全て を投げ出す覚悟が俺にはあるのだろうか そんなことを考えていた時俺は昔の夢を 思い出したのだ俺は自分で会社を 立ち上げるのが夢だった でも大企業に受かったんだから業績が伸び てきたんだからと何かと理由をつけて企業 に関する夢は後回しにしてき た昔はもっとリスクを取る方だったのに な大学生の頃を思い返していると加藤の 会社で働いてみてもいいのかもしれないと 思い始めてきたそれでうちで働いてくれる 話はどうなったうんその話引き受けること にするよ 本当に ありがとう俺が会社を辞めて加藤の会社で 働くと告げると加藤は大喜びしていたの だっ た加藤はどちらかと言と地味な印象で人と あまり話さない方だったが社会人になって から雰囲気ががらりと変わったようだ眼鏡 からコンタクトに変えたり化粧をするよう になったりしたことが大きいのだろう 100人いたら99人は加藤のことを美人 だというに違いない大学生の頃を知って いる俺にとって今の加藤にはものすごい ギャップを 感じるしかも加藤はとにかく優秀で社内で も美人社長として知られている俺はそんな 加藤の元で働くことになり今まで以上に 頑張ろうと思えたのだっ た以前働いていたところとは業界が違う ため初めは何をしていいのかわからなか 初歩的なことから学ばなければならなかっ たので年下に質問することも多かったのだ 職場に馴染めるかといった不安もあったが 加藤が見つけてくる人材は優秀な人ばかり 説明も分かりやすくて俺はすぐに業務に なれることができたそして加藤の会社で 働き始めて1年が経った頃俺は登山に誘わ れたのだったどうやら加藤は少し前から 登山を趣味にしており気分展開に山を登る らしいいつもは1人で行くことが多いのだ が俺が大学生の頃に登山部だったことを 思い出し誘ってくれたというの だそういえばバンド君て登山部だったよね 今度の休みよかったら一緒に行かない登山 か久しく言っていないけど誘ってもらった んだからぜひ行かせてもらうよめ は数人で登山へ行く予定だったのだが 先輩方は子供の世話があるからと ドタキャン 最終的に残ったのは俺と加藤の2人だけで せっかく集まったのだからと結婚すること に なるやっぱり子供がいると予定が狂いがち だよな私たちは独身だから自由が効くけど 子供ができたらそうはいかないもん ねそんな話をしながら俺たちは山を登って いく加藤は本格的な登山がしたかった らしく選んだ山は上級者向けのものだった しかも今は冬の季節なので寒さ対策が必要 で雪も降っているため足元が おぼつかな加藤も俺も十分に装備を整えた ものの徐々に息切れが激しくなっていく俺 に関しては本格的な登山は久しぶりだし 加藤も雪山に挑戦するのは初めてらしい 酸素スプレイを適度に使用しつつまずは 休憩所を目指していくことにし た結構登山には慣れていたつもりだけど 雪山ってこんなにしんどいんだね俺も 初めて雪山に挑戦した時は驚いたな加藤は 大丈夫か無理そうならリタイヤしよう 大丈夫こんなことでへこたれられない から加藤は思っていたよりも活動力のある 人物らしく盗聴するまでやめないと言った のだったそれなら俺も最後までついて いこうこの山を盗聴できたら自分の中で 何か変わるかもしれないそう思い俺たち 2人は助け合いながら山頂を目指して いく中腹あたりまでは順調に進んでいたの だが少しずつ雲行きが怪しくなってきた もしかしたらこのままだと吹雪になるかも しれない急いで休憩所に行かなければ最悪 の場 遭難する可能性もある吹雪になるかもしれ ないから 急ごう俺は疲れている加藤にもう1 踏ん張りするよう励ましたしかし頑張りも 虚しく休憩所を目指しているさ中にもう 吹きに見舞われる加藤大丈夫か前が見え ないけどなんと か加藤は頑張ってくれているけど寒さで かなり限界が近づいてきているようだなん ととか地図を頭の中で思い出しながら俺は 加藤と紐で体を結んで進んでいく体を紐で 結んでおけば加藤とはれることはない だろうそしてしばらく歩いているとやっと 休憩所の看板が目の前に現れたやっと着い たぞ早く入ろうう うん俺たちは休憩所の中に入るとすぐさま 暖房をつけた暖房は問題なくついたのだが 隙間風がひどいいくら暖房のそばで段を 取ろうとしても隙間風のせいで体が 震えるすでに限界が近かった俺たちにとっ てこの状況は非常にまずいそれに加藤は インナーまで雪で濡れてしまい体の芯から 冷え切っているようだ俺は外側の防水服 しか濡れていないため上着を脱げばなんと かなるでも加藤は歯をガタガタと鳴らす くらいいて生命の危機に陥るかもしれない なんとか加藤の体温をあげようと思い俺は 部屋が温まる術を探したのだっ たもうもう無理かもしれない手の感覚が ない大丈夫だとにかく温まって吹雪が去る のを 待とう俺は非常食用に持ってきておいた カップラーメンを作り加藤に 手渡す加藤はなんとかカップを手にしてを 食べ進めるが手の感覚がないため何度も フォークを落として しまうラーメンを食べた直後は体が温まっ たようだが時間が経つと元通り 体を寄せ合いながら段を取っていたが突然 加藤が俺の方へと倒れ込んできたおい 大丈夫か加藤しっかりしてくれどうやら 加藤はインナーまで雪に濡れたことで停滞 温症になりかけているようだ 意識を失ったということはかなり危険な 状態だと言えるだろう本当ならこんなこと するべきではないのだが今は緊急事態だ俺 は急いで加藤の服を逃せると毛布で体を 全体的に覆った濡れた服を脱いだことで 少しは体が温まってくるはずだ俺は加藤の 体を温めることに専念し毛吹きが去るのを 待ったいくら登山部とはいえこんな毛吹雪 に会うのは初めてだでもここで俺が弱気に なっていては加藤が起きた時に不安になる だろうだからできるだけ最悪な状況を考え ずに家に帰った後のことを 考える家に帰ったらあのドラマを見よう家 に帰ったらラーメンを食べに 行こうそんなことを考えているだけでも 少しは気が紛れるのだ加藤は一向に目をさ がゆっくり寝息を立てている起きないこと を心配していたがきっと寝てる間に体が 温まってきたのだろうこれならそのうち目 を覚ますはずだ結局吹雪が去った頃には 休憩所に来てから5時間ほどが経過してい たそろそろ起きてもいい頃だがそう思って いると加藤が俺の膝の上で目を覚ました あれ私眠ってたの 気を失ってたんだよ起きてくれてよかった 吹雪はもう去ったみたいだよそうそれなら よかった え加藤は自分が服を着ていないことに 気づき勢いよく起き上がると俺のそばから 離れて いく俺は事情を説明しようとしたが パニックになっている加藤には全く伝わら ないそれどころか説明をしようとすれば するほど 加藤には言い訳のように聞こえるようだ私 に何したの最低違うんだこれには訳があっ てわけって何こんなことしておいてただで 住むと思わないで運悪くそこに救助隊が やってきてしまう実は休憩所についてすぐ 俺は救助妖精を送っていた吹雪が収まれば それでいいのだが万が一のことを考えての のことだった加藤は毛布で体を包んだまま 救助隊の元へ駆け寄っていったのだ事情が 把握できていない救助隊は俺を睨み加藤に は服を着るようにと指示をする誤解された ままではまずいことになるので救助隊の 1人に事情を 説明救助隊は雪山のことをよく知っている ので俺の行動を理解してくれたそれでも 加藤は俺のことをとして見ていて収支怯え た表情で俺を見ていたのだっ た明日から通常通り仕事があるのだが加藤 に誤解されたままではどうなるかわから ないだからまずは出社してすぐに加藤の 誤解を解かなければならない次の日俺は胃 を消して会社へと向かったしかし時すでに 遅し俺と加藤の噂は会社中に広がっていた のだあの話聞いたバドさんが加藤さんの服 を脱がしたんだっ て特に女性社員たちからの視線が痛くて俺 はオフィスにいるのが苦痛だっ たその日は運よく外回りばかりだったので よかったが明日からはそうもいかない だろう俺はずっとこんな鋭い視線を浴び なければいけないのだろうかしかもあれ 以来社長室に入ろうとすると秘書に止め られ 連絡をしても一切返事は帰ってこない そんな日々が数日続き俺は精神的に参って しまっていた今までは仕事で結果を残して きたがここ最近は全く成果が出ていない それどころかケアレスミスが多いし取引先 からはクレームも来ているこの状況が続い ていくとなると俺は会社にはいられないか もしれないとにかく心の不安を和らげる ために同僚であり同級生である松永正太郎 に相談することにしたのだっ た俺は間違ったことはしていないと思うん だがでも加藤には恐怖心を植えつけて しまってお前は何も悪くないだろう俺だっ て同じ状況だったらバンドと同じことして た さ松永は大学の頃の同級生で同じ登山部 だっただから俺の言いたいことも理解して くれる そして俺が相談した内容についても一切 悪くないから胸を張ってろと言ってくれた のだほとんどアドバイスにはなっていない けど俺は話ができただけでもかなり心が 軽くなったそれに1人でも俺の味方でいて くれるならそれだけでなんとか乗り越え られる気が する俺は松永に励まされながらなんとか 業務をこなして いくよくあんな平気な顔していられるよね 社長の気持ちとか考えたことあるのか な他の社員たちからは心ない言葉を言われ ていたがそれでもなんとか踏みとどまって いた俺は悪いことをしたわけではないし 弁解の機会をもらえないだけだ弁解でき ないのなら下手に騒ぎ立てるより沈黙を 貫き通す方がいいと思っていたそうして数 日間を過ごしていると突然加藤から社長に 恋と呼び出されたのだった登山から帰って きて以来加藤と対面するのは初めて だこれまでずっとこちらからの連絡を無視 していて今更何を言うつもりなのだろうか もしかすると俺にとってあまり良くない話 なのかもしれ ない俺は最悪な結果を想像しつつ恐る恐る 社長室のドアをノックしたのだっ た入って くださいドア越しに聞こえてくる加藤の声 は冷たく歓迎されていないことが分かっ た実際に社長室に入ってからも加藤が怒っ ている様子が空気感でわかっ たどうして呼ばれたのか分かります かこの間の雪山での出来事に関して でしょうか分かっているのなら話は早い ですねあなたには退職していただき ますやはり俺が想像していた通りの内容 だった加藤が怒っていることは知っていた し何か処罰を与えられるだろうと思ってい たでも俺は加藤の命を助けた側なのに いきなり退職というのはあんまりではない かあの時も説明しようとしたけど俺は加藤 の命を救おうとしたんだそんなのただの 言い訳でしょ人の服を脱しておいてよく 言えるわね頼む頼むから俺の話を聞いて くれ もうこれは決定事項だから後輩に引き継ぎ を行っておいてね加藤はそう言うと社長室 を出ていくように促してくるもうダメなの か全てを投げ出してここで働き始めて やっと人生が楽しくなってきたところだっ たのにそんなことを考えていると社長室の ドアが勢いよく開い たそこには息を切らした松長が立っていた のだ ちょっと待ってくれ話を聞いて ほしい松永も加藤と同じ大学だったが あまり面識はないはずだ今更松永が何か 言ってくれたところで結果は変わらない だろう俺は諦めて社長室を出ようとすると 松永から腕をつまれる諦めるなと言わん ばかりの表情でこちらに訴えかけてきて いるこれを見てくださいこれはんです か松永が加藤に差し出したのはスマホの 画面だった俺の方からは何が映っているの かわからないが加藤は食い入るように画面 を見ているそしてしばらく考え込んだ後 少し考えさせて欲しいと言い出したのだ1 分ほど経った頃だろうか加藤はおに 立ち上がりこちらへ向かってくるすると腰 を90度にあげて俺に謝罪をしてきたの だっ た勘違いしていてごめんなさいえどういう ことです かさっきなぜバンドが雪山であんなことを したのかやっと分かった の松永からスマホの画面を見せてもらうと そこには救助方法が書かれていた濡れた服 を着ているといくら段を取っても体温が 下がっていくだから濡れた服を脱いで毛布 に包まるのが1番だと書かれていたのだ そうかその手があったの か当事者になると思考回路が停止しがちな ので俺がなぜあんな行動していたのか外部 の情報を使って説明するなんて考えは一切 浮かんでこなかっ たネットの記事には審議が分からないもの も多いがこれだけ多くの情報が並んでい たら加藤も納得せざるを得ないだろう 松永は俺が退職にならないようにこうして 息を切らしてきてくれたのだ退職を免れた ことよりも松永が俺を助けてくれたことに 涙が出そうになる松永とは同じ登山部だっ たけど大学生の頃はそれほど仲良くは なかっただから同じ会社に入った時も あまり話さなかったし相談を持ちかける までは友人とも言えなかったと思うでも 松永はこうしてになって俺を助けようとし てくれているのだなぜここまでして松永が 助けてくれるのかわからないが今は松永の 行為に感謝 しようその後加藤の口から車内発表が行わ れ晴れて5解が解かれたのだっ たあの時は助けてくれてありがとう本当に 助かったよそれはお互い様だよだから気に するなでも俺は松永に何もしてやれてない だろう もしかしてあの時のこと忘れたの かそう言うと松永大学の頃の話をし始めた 俺は大学生になりやりたいことも特に なかったのでサークルには入らないつもり だっったでもその時に友人から誘われたの が登山部だ登山なんて全く興味がなかった けれど友人からの誘いだったということも あって1度だけ参加してみることにしたの だ 俺はその1回で登山の魅力に取り憑かれ 入部を決意友人はあまりしっくり来なかっ たようで別のサークルに入ったよう だ俺は知り合いがいないながらも他の メンバーと仲良くなり週に1回行われる 登山を楽しんでいた松永は俺よりも早く 入部していたが仲良くしていたメンバーが 違ったので接点はないどうやら松永も同じ 認識だったらし 特に仲がいいわけではなかった時々 サークル内で会議が開かれる時に会話を するくらいだったと思うしかしそんな中で 俺が松永を助けたことがあるというのだ俺 自身そんな記憶は全くない詳しい話を聞い てみるとその日は風の強い日だったそうだ 今回のような雪山ではなかったし低い山と いうことでが軽装日で挑んでいた突然風が 吹き始めたためサークルメンバーはかなり 焦っていたでもその中で1人だけ冷静に 対応してメンバーを導いた人物がいるのだ そうだそれがバンドだったんだよ俺はあの 時からバンドを尊敬してるそういえば そんなこともあったな言われてやっと 思い出したよ登山部と言ってもその日は 初心者ばかりでメンバーはかなりパニック になっていた記憶があるもちろん俺も登山 初心者だったのだが事前に勉強していた おかげで助かっ たいろんな状況をシミュレーションして おいてその時に合わせた対処法を考えてい たのだだから強風が吹いた時も冷静に対応 できたし今回の雪山でも応急処置ができた 自分のおかげで誰かが助かったんだという 認識ではなかったのだがこう考えてみると 俺は多くの人を助けたのかもしれ ない今まで自分にあまり自信は持てなかっ たけど少しだけ自信を持てたような気が するバンドは自分の力に気づいていないん だよ俺はバンドをもっと大きなことが できるやつだって思ってる から大きいこと か松永は俺の肩に手をポンと置くと自分の デスクへと戻っていっ たその日から俺はあることを考え始めてい たそれは起業してみたいということだ今年 で35歳だけどまだ挑戦できる気がするで も何から挑戦していけばいいのだろうか 分からなければ人に聞くのが1番だ俺は 1番身近にいる加藤に話を聞くことにした 起業するには資金の調達や事業に関する 書類の作成など面倒なことが多 すぎるそれでも俺は一生懸命勉強してなん とか企業に関する知識を頭に入れ たただその頃には加藤から小心の話を もらうまでになっていたの だ起業従っていたのは知っているけどもし よければこのまま働いていて ほしい今それを言うかごめんなさいでも あなたの力が必要なのちゃんとについても 考えてる から正直小心の話があると言われた瞬間心 が揺らいでしまったのは事実だでも大学生 の頃の夢が今目の前まで迫ってきている 安定を取るかそれとも夢を取るか俺は何 ヶ月も悩んだ結果起業することを選んだの だっ た加藤は悲しそうな顔をしていたし松永も 寂しそうに俺を見送ってくれた 後ろ髪を惹かれる思いではあったがこれは 自分で決めたことだとにかく今は利益が 出せるように頑張るしかない俺は起業して すぐにいろんなところに顔を出したが なかなか仕事につながる出会いはなかっ た1人でやっているので従業員に対するお 金はかからないがそれでも毎日お金が減っ て いく一応こんなこともあろうかと貯金はし ていたがこのままでは貯金も底をついて しまうどうしようか迷っていたところ松長 から電話がかかってきたのだっ た今日は残業がなさそうだから時間がある ならどこか飲みに行こうぜちょうど飲み たいと思ってたところなんだ駅前集合で いい か今は節約をするべき時だと分かっている が誰かとお酒を飲みたくて仕方がない俺は すぐに支度を済ませると約束していた駅前 へと向かった先ほどカレンダーを確認して みたのだがどうやら俺が退職してから半年 が経っていた らしいここ最近は忙しすぎてまともに休ん でいなかったので時間の感覚がなくなって いた半年ぶりに会う松永は少し大人びてい て前よりも落ち着いているように 感じる久しぶり元気にしてたかいい感じの 店を見つけておいたからそこに行こうぜ 落ち着いた雰囲気とは裏腹に話し方は前の 松長と何も変わらなかった久しぶりに会え ただけで俺は思わず涙ぐんでしまう松永は 俺の目が赤くなっていることに気づいて いるのかわからないがなぜか俺の半歩前を 歩いている松永が選んでくれたお店は おでんが美味しいと有名な場所らしい しかもちゃっかり予約済みだというのだ このお店は前に予約していないと入れない らしいがもしかして電話をかける前から俺 を誘おうと思っていたのか少し疑問に思っ たがこういうことは聞かない方がいい だろう俺は店員さんに案内された席に座り 松永と同じようにビールを頼ん だそういえばさあの加藤が結婚するらしい ぞマジか先を越されたな松永は俺のを無理 に聞き出したり暗い表情を指摘したりして こない今会社がどんな状況になっているの か自分が何にはまっているのかそんな話 ばかりしているきっと松長なりに気を使っ てくれているのだろうでも松永のことだ から俺を心配して飲みに誘ってくれたはず だ実はさあんな単価を切ってやめたのは いいけどあんまりうまくいってないんだよ なまあ表情を見ればなんとなく分かったよ それでこれからどうするつもりなんだ 分からない正直そろそろ限界なんだ精神的 にも体力的に も今日は松永と久しぶりに会うのでできる だけ楽しい気持ちでいたかったでも1度 仕事のことを話し始めるととどなく不安や 愚痴が出てきて しまう松永はそんな俺の話を黙って聞いて くれて責めることも指摘することもない そして俺が等し切り話し終わった後こんな ことを言い出したのだっ た1人でやってるから不安なんじゃないの かそれだったら俺が手伝うよ手伝うっ たって松長にも仕事があるだろうそんなの やめればいいじゃん何の冗談だと思い俺は バっと顔をあげたしかし目の前にいる松永 の表情は真剣そのものだ松永は本気で言っ ているんだそう思うと警察には返事ができ ないと思ったでも結局限界を迎えかけてい た俺は松永に助けを求めることになる俺は 回答をしっていたのに対し松永俺の元へ 来ることが分かっていたかのようだ飲みに 行った次の日から後輩に引き継ぎを行い 加藤にも標を提出していたのだという あまりのに俺は若干引きつつも松長には 感謝しなければなら ないもし俺がもう会社なんてやめるって 言ってたらどうしてたんだよその時はその 時って感じかなでも俺は信じてたよ何をだ バンドが逃げずに戦い続ける人だってこと 俺はもしかすると松永を誤解していたかも しれない松永は痩せ型で筋肉も少なくて 登山部とは思えないくらいだったそれに 大人になってからも積極的に発言しないし 本気になっている場面を見たことがなかっ たでもなぜか俺に対してだけは 違う俺が困った時には必ず駆けつけてくれ て手を差し伸べてくれるのだしかも自分が 最終的にどうなるかなんて考えていない ようで大学生の頃のことを考えると今の 松永はおかげがないほどだ俺はどうしても 気になってしまい松永に聞いてみることに したのだったどうしてここまでしてくれる んだ大学生の頃に助けたって言ってもあの 日はそこまで危ないわけではなかったし命 を救ったなんて大げさだろう俺は社会人に なってからも助けられてたよそんなこと あったっ け俺は入社してから今までのことを 思い返してみる もしかしてあの時のことかと思う出来事は いくつかある俺が仕事になれ始めた頃車内 で大きなトラブルが起きたパソコン内の データが完全に吹っ飛びバックアップも 取っていない最悪な状況の中で手をあげた のが俺だ俺は趣味でプログラミングやIT に関する勉強をしており復元できるかも しれないと思ったからだ他の社員たちも 手伝うと言ってくれたが1から教えなけれ ばいけなくなるためみんなには帰って もらって俺1人会社に残って作業していた かなり急ぎの仕事だったこともあって俺は 徹夜しながら復旧作業に取りかかっていた あの時は確か2日ほどで復旧できたと 思うそういえばあの時手伝うと言ってくれ た社員の中に松永もいたかもしれ ない俺が大きなトラブルの話をすると松永 は頭を縦に振ったのだっ たそうあの時は本当にどうしようかと思っ たよでもバンドが真っ先に手をあげてくれ てしかもあんなに必死になって作業した から助かったんだよ俺にとって困っている 人がいたら助けることは当たり前だでも それが松永にとってはとても重要だったの だろうだからこうして俺を助けてくれるの だ 礼をして欲しくてしたわけではないが自分 のしたことは巡り巡って戻ってくるのだと 思わされた出来事だっ たそれから松永と俺は1から見直しを始め なんとか授業を形にしていくその間2人 とも仕事がないのでお金が足りなくなり 深夜バイトをしながら食いついでいた バイトなんて大学生以来だけどやってみる と意外と面白いものだ俺たがてたのは深夜 のコンビニバイトでいろんな人の観察が できるビジネス外にあるコンビニという こともあって来る人の中には社長などもい たのだ深夜は人が少ない時間もかなりあっ ていろんな人と仲良くなった中には深夜 まで残業している人もいれば起業したての 人もい たいろんな人と接していく中で俺はまだ 頑張りが足りないことに 気づく松永が来てくれたことで少し安心し ていたのかもしれ ない深夜のコンビニバイトを通じて俺は 学ぶことがいくつもあっ たそろそろ本格的に指導させるかそうだな 今なら行けるかもしれ ないコンビニのバイトを半年ほど続け俺 たちは会社を本格的に動かすことにした バイト中にいろんな人脈を作っていた おかげで少しずつ仕事をもらえるように なった そして起業して2年が経過する頃には黒字 が続くようになっていたのだ数人だが従業 員を雇えるようになり企業は成功したと 言える だろうあれから加藤の結婚式に呼ばれたり いろんなことがあった加藤は雪山での 出来事を謝ってくれて今では笑い話になっ て いるこれまでずっと忙しく働いてきた俺 たちはやっと休みを取ることにななった そして2人で向かったのは以前一緒に行っ たことのあるおでんのお店 だここのおでん本当に美味しいよなそう だろうバンドが好きそうだなって思ってた んだよ松永は俺のこと何でも知ってるんだ な当たり前だろ友達なんだから松永は自分 で行って照れたのか顔を隠すように窓の外 を眺めた俺も釣られて窓の外を見てみると そこには大きな満月が 見える地球からは月の裏側は見えないと 言われているが月の裏側はどうなっている のだろうか一生分からないものを 追い求めるのも楽しいのかもしれないでも 俺は結果が見えるものだけを追い求めたい のだその結果こうして一緒についてきて くれる仲間もできた人も月と同じように 一面だけ見せていればいいのかもしれない でも相手の全てを知ることができれば もっと深い関係を気付けるのだ実際に俺は 良くない面を松長に見せているしその結果 何度も喧嘩をしている反対に松長の悪い ところも知っているし俺はそれにイライラ することだってあるこうして相手の嫌な 部分も受け入れてこそ真の関係が気付ける のではないだろうか今の社会において松長 のような人物を見つけるのは難しいなぜ ならみんないい面ばかりを見せたがるし 本心を出さない人もいるからだそれに雪山 から帰ってきた後の加藤のように話を聞い てくれない人もいるいくら自分に事情が あったとしても悪いことをしていなかった としても誤解されたまま全てが終わること だってあるの だそれにいくら自分が相手と心を通わせ たいと思ってもそれに答えてもらえる保証 はないこれは仕事でも恋愛でもいろんな 人間関係に当てはまることだと 思う俺はそんなことを考えながら満月を 眺めて日本酒を煽ったいつもはワイワイ話 をするのだがその日は俺も松永もしっぽり とお酒を楽しんだあれから俺たちは会社を もっと大きくするために奮闘した松永が 見つけてくれた社員たちはみんな優秀で 大きなトラブルもなく数年が過ぎた しばらくは社員たちに会社を任せても 大丈夫だと考え俺たちは海外へ向かうこと になった日本だけで授業を展開していても いいのだが海外ならもっと大きな可能性が あると考えたのだ海外では日本とはまた 違った価値観があって需要と供給も異なる だから海外についてからも初めのうちは 人脈を作ることに専念した 俺たちが知り合った人たちはみんな フレンドリーでいろんなことを教えてくれ たそれに海外は学生の頃から起業する人が 多く会社経営に関する話も聞けた海外で 新しい取引先は見つけられなかったが海外 進出のためのアイデアは考えられる俺と 松永は日本に帰るやいなや海外でどう仕事 を展開していくか話し合ったまだまだこれ からやらなければならないことはさんある だろうがとにかく前に進むしかないもし 困難が立ちはかったとしても松永がいて くれるならなんとかなる気がする俺は事業 企画を話している松永の横顔を見てそう 思ったのだっ た俺の名前は内見たよとある子供向けの おもちゃなどを作る会社に勤めている昔 からゲームや子供向けアニメの合間にして いるCMのおもちゃに心踊らせていた俺 しかし俺は私設育ちなのでそういった高価 なものは買ってもらえるはずもなくでも その時々で1番みんなが持っていた期待を 羨ましそうに眺めながら遊ぶ時は貸して もらうそんな感じで乗り切るしかなかっ たしかし親がいないということを理解して いても子供というのは感情を正直に言葉に するもの だなんでいつも俺らの借りてるのそんなの ずるいじゃないああ施設は貧乏だから 仕方ないの かそう言って裏で笑われていることを俺は 知ってい たでもお金のこと捨てられてしまったこと については 自分ではどうしようもできなかったから俺 は必死で明るくそんなことなんて気にして いない風にしながらみんなに気に入ら れようと常に頑張りながら過ごしてい たそんな無理をする癖がついたのか社会人 になって数年経った頃もたまにキャパ オーバーして他の同僚より休む頻度が多い といつも面談でやんわり注意されていたな でも小さい頃からの生き方ってよほどの ことがない限り変わらないそれを俺は今 から身を持って実感することになるの だ施設で使いふされたおもちゃしかなかっ た幼少期クラスメイトに裏であわわれ やっぱり自分のせいでないことで裏で悪く 言われることは悔しいし悲しかっ たゲームさえあれば親が揃っていて きちんと子供にものを買い与えてくれる 普通の親がいたらまたもしゲームがない 時代だったら俺はこんな惨めな思いをし なくて済んだのにそう思ったことは もちろん あるしかしそんなことを考えても不毛だっ ただってある程度の世代から ゲームは誰もがはまる白物であり子供の コミュニケーションツールになっていたの だ から俺がとても昔に生まれていたら別の 遊びで仲良くなれていたのかもしれない それもまたいい側面はあるのだろうが やっぱり俺もゲームがとても好きだった からゲームのない時代なんて考えられ なかっ ただってゲームは自分の世界で確実に 楽しい部分を増やして くれるその世界の中では自分ではない特殊 能力や可愛い世界に行ってドキドキする 冒険や生活を送ることが できるそれは現実世界では絶対に味わう ことができないものだそんな素晴らしい 世界を作る企業に関われて俺は仕事にこの 上ないやりがいを いもも人付き合いは好きではない昔恋愛や よくわからないバラエティを見ていなくて も話のできる友人を見つけるまでに俺は 15年かかった春期あたりから男子と女子 は話さなくなりお互いを意識し始める つまり友達になれる人が半分まで減るのだ そんな中でどの芸能人のが好きかお笑い 芸人はあのグループの中ならそんな話しか しないクラスメイトに困惑し俺は大学に 入るまでは友人がいるようでいなかった何 も話が合わず笑って頷いているだけの俺に 面白くないという人がほとんどの中で俺は 高校まで本当の意味での友人ができ にくかったのは仕方のないことだだそんな 俺が支えられたものがネットゲームだっ たそこには年齢も環境も違う大人と子供が 入り乱れる世界で俺は同年代から時に個性 的で面白いまた優しく面倒身の良さそうな 大人たちに囲まれて普通に話ができていた 相手の趣味も何も知らないのに環境が違う だけで色々と話題はあるものでなんだ 芸能人の話なんてしなくてもいいじゃんと すごく安心したのを覚えている特に年上の 人はやはり色々冗談を言ったり俺たちの ことを遊んでくれるように面白いことを 言う人も多くてそういう人と話している時 俺は時間を忘れて熱中していたんだまた ゲームをしているとも 衣装が欲しいだとかこういうことまででき たら楽しいのになんて思うことも多々あり 将来ゲームの設定やシナリオを作る会社に 入れたらいいのになんて思うこともあっ た高校卒業後そういった会社もいくつか 受けてみたがやはり大学に行ってないから そういうところは目指せなかった学歴が ないからだ就活の時はお祈りメールばかり 来て俺はひどく落ち込んでいたそんな時 唯一俺を拾ってくれたのが手広く子供用 おもちゃを取り扱い販売するこの会社だっ たゲーム政策には関われないがどのような ものが出て売れていくのかそれを見ること も働いていけばいくほど面白いと思うよう になっていたそんなこんなで恋愛結婚 なんて縁のないまま異性ともほとんど業務 的なことやグループで遊ぶ時に軽く話す くらいで友人すらできたことのないまま 気づけば俺は33歳を迎えてしまってい たただ何も不満はないこの自分の好きな ことに携わってそれで自分の家や職を賄っ ている今の状態はいい安梅の温泉にでも 使っているような状態だ元々恋愛事という のはドラマやゲームの中の出来事でしたい と思って手を伸ばした人または容姿や性格 がそれ向きの人しかできないものだと思っ てい たもちろんそういった機会が何もなかった と言ったら嘘になるなぜか話したことも あまりない俺に行為を寄せてくれているか もと思う人もいたがあっちもそれ以上距離 を詰めてこようとはしないし俺も意識は するもののかと言って付き合おうと思った ことはないそんな感じで俺は今後も家族 なんてものはできないのだろうと漠然と 考えてしまう20代の頃は謎の自信があっ ていつかいい人と出会えるだろうとか1人 でも全然いけるじゃんなんて思っていた けどそれは若くて自分が世間でなんとなく いい位置にいて好感度の高い若い見た目を していたからだと気づい た見た目も性格もどんどん置いていくなの に自分のためにしか生きていないおっさん なんて誰が相手にしてくれるんだろうか それに自分が弱 に本気で心配してどうにかしてくれようと する人がい ないふとした時に将来俺のことを心配して くれる人がいないことが無償に不安になっ てしまったの だしかしマッチングアプリは何度を試して も会話がうまく続かずまた気を使って疲れ きってしまってダメだったもう結婚とか 子供とか経験しなきゃって思うの疲れた 家族っているべきだっけ疲れきってまた 結婚の必要性が分からなくなった時俺は ふとある施設の前を通っていることに 気づい たそこからはわあわあと子供たちの楽し そうに遊んでいる声がする保育園だろうか 今まであまり小さい子に縁はな のスーパーや他のお店で見かける子供に 対し俺は可愛いな泣き声とかはちょっと耳 が辛いと思うことはあるし育児はとても 想像がつかないほど大変そうだけどそれで も子供と暮らしていたら心が温かくなり そうだな家に明りがとったようになると いうかとにかく人生が変わりそうだという 夢を抱くようになっていたしかしまずその 相手ができそうにもなかったことと やっぱり俺なんかじゃ無理かもと今までの 自分の辛抱のなさや子供っぽいところが 残ったままなことそれに心身の強くない ところを見ても何かトラブルがあった時に 対応できないと思ってやめたのだ そんな経緯はあって子供を持つつもりは なかったが子供を見るのは好きなので ちょっとだけと思い俺は中を覗いてみる ことにしたしかしここで俺はあることに 気づいたあれ保育園ではないの か俺はちょっと面食らってしまったそこに は割と背の高い中学生や 小学校高学年くらいの子もたくさん遊んで いたから だ施設育ちではあったもののまだあまり 個人というものの存在を知らなかった俺は しばらくぼーっと彼らを見つめてしまって いたしかしそんな俺を怪しむことなく職員 さんらしき人が話しかけてくれたんだ こんにちは今日は何のご用でたんです かそんな質問に俺はうまく答えられずええ と言った後俺は怪しまれないためにも子供 が好きだけど自分は持つつもりがないただ 子供が楽しそうにしているところを見ると 元気がもらえるのだということを話した すると職員さんはそれに頷きながらそう ですよね私たちも彼らにはいつもパワーと いうか元気をもらっていますもん元気で 明るい子たちでしょでもみんな心にどこか 寂しい穴が開いていてふと暗い表情をする んですよねそれが切なくて悲しくなる時は ありますそれをなんとか明るい気持ちに 暗い気持ちを少しでも忘れられるように 声かけしていきたいとはいつも思っている んですがただ明るく人と関わっていれば その寂しさは紛れるもののなくなりはし ませ んそれはこれからもっとたくさんの人と 関わって少しずつ少しずつ人間関係や コミュニティ大切な人を増やしていって 初めて薄れるものなんじゃないかと思って いますというか親子さんとまたあえて和解 するケースすらほとんどないのでそれしか 方法がないのが現実なん ですそう話す職員さんの顔はなんとも悲し そうでやりきれない表情になって いる俺も育ての親に大切に育ててもらうか 他の人と関わっていくしか解決法はないよ なと思いつつ生まれながらに安心して甘え られる存在がいないことはどんなに心細い だろうかと俺に似た彼らの真中を考える だけで悲しくなったそして俺は外で遊ぶ彼 らの背後にある大きな建物に目をやった 淡い色を貴重としたその建物は保育園の ように安心感を与えるようなデザインに なっておりなかなか広そうだこんな中で 大勢と暮らしているなんて色々遊び相手が いていい反面やはり1人の時間がない だろうなとコミ障な俺はその苦労を思い ため息をついた色々と考え込んでいると そんな俺を見て職員さんはあなたは子供が 本当にお好きなんですね好きなだけ見学し ていってくださいと言ってくれたそれなら とお言葉に甘えしばらく子供たちが わあわあしている様子を眺めていくことに したそして彼らを見ているとその若さ肌や 顔の若さゆえの美しさそしてくっのない パワーが俺の心にじわじわと元気を与えて くれるお年寄りが子供や若い人と話すと 元気が出るというが本当だなと強く実感し ていたそして色々な子がいるがやっぱり 明るい子だけではない人見知りそうな子 気弱そうな子から少しここでの生活が心配 な子そして1番目を引いたのが行為的に 明るく接している職員さんをものすごい 眼力で睨みつけ片に拒否している女の子 だった少しハーフのようで可愛い顔立ちな のにかなりじっとりとした大人を一切信用 していないぞという目で職員さんたち そして俺のことも睨んでいる彼女に俺は なんとなく自分を重ねて見てしまっていた 俺が不審者に見えてしまうのは仕方がない がまだ幼いにも関わらず職員さんのことも 全然信用していないし 心も開いてなさそう だもしかして最近来たばかりの子なのかな そう思い彼女をずっと観察していたくなっ たもののこれ以上いるとさすがに怪しいな と思い俺はその後すぐにキロに着い たカチャカチャと仕事をしながらも俺は たまにあの個人のことを思い出してい たそうやって考え込みながら仕事をして いる俺を見 ておいたよお前また眠れていないんじゃ ないだろうなまた無理したら後からドカン と来るんだからあまり無理しすぎるな よと先輩から心配されてしまったこの先輩 はめちゃくちゃ明るいというわけでもない が話すのも聞くのもうまいいわゆるコミ教 だだったそして軽口を言うのがうまいにも かわらず真面目な話も絶妙に取り入れてき て人の心に入り込むのが実にうまいと 感じるそんな人だったそんな気遣いの 細やかな先輩のことが嫌いな人なんて もちろんいるわけもなく俺も彼のことを心 から尊敬しているうちの1人だったそんな 先輩がなぜか話したこともないのにこう やって初期の頃から俺のことを気にかけて くれていて面倒みがいいんだなと俺は密か にありがたく思っていたしかし後に同期と 話していると先輩は同期のことは体調不良 だと気づくほど気にかけてはいないことに 気がついたなんでこんな何も先輩と 関わろうとしないコミ障な俺に と思って俺が不思議そうな顔をしていると 同僚はなんかお前って面倒身のいい先輩 からしたら気になりそうな存在だもんな うまく言えなくてごめんだけどなんかお前 のことがつい気になっちゃうんじゃないの かあもちろん後輩としてなと言っていたで もいくら面倒みがいいからと言っても こんな愛そのないやつを特別に気にかけて くれるなんてことないだろうそう思ってい たしなぜなのかは分からないけど誰かから 自分のことを特別気にかけてもらえること は悪くないというかすごく気持ちが温かく なることだとも思ってい たそう俺の親はこんな愛情を注いでくれる ことがなかったどころか俺を置いていって しまっただから俺は先輩のことを少し親 みたいに見ている部分もあったのかもしれ ないとにかく思わぬところから向けられる 愛情に俺の心のガサガサした部分は大分 癒されていることは事実だった特に理由 なんてなくてもなんとなく巡り合わせや 相性が見た瞬間に分かるそんな人ってい ないかその人の表情とか話し方佇まいを見 て直感的にビビっと来るやつ だそんなものを知らず知らずのうちに感じ てもらえているのだとしたら明るいたとか 聞き上手だとかそんなポジティブな面は ない未熟な俺でもなんとなくという理由の ないままに好かれるということは今まで 愛情に飢えてきた身としてはとても救われ ていることだと思っていたそしてその数日 後色々考えた結果そこそこ収入に余裕が あったということからもなんとか行けそう だと俺はあの子を引き取ろうと唐突に 思い立ったのだった気づけば俺はまたあの 個人で職員さんに里親になりたいという話 を持ちかけていた やはりあの最後に見た女の子の悲しそうな 怒り顔が自分も過去に同じ状況だったこと からも気になっていたの だ大きくなってから親にこの施設に突然 置いて行かれてしまったのならまだ不機嫌 そうになる話は 分かるただあの子はかなり小さいそれこそ 記憶なんてなさそうな 赤ちゃんの時にここに預けられたのだと いうしかし彼女は当初からどんな接し方を しても決して全く目すら見てもくれずいつ も誰かを睨みつけるようにしていることが 多いということだっ た俺も必要最低限のお金はかけてもらった があまり自分のことを気にかけてもらった ことがないだから今今も人を頼ることや 悩みを相談するという概念がなくて度々 仕事で迷惑をかけてきた今少し年数を積ん できたから仕事上ではなんとか相談などは できるようになったものの自分のことに 関してはやはり自分でため込んで忘れるか 解決させるか話して別の道を考えてもらう と かうとした気分を発散させるなんてことは 絶対にできないとそう思ったままだこんな 理由で引き取っていいのかは分からない ただ気づくと俺は孤児を引き取るための 書類を大量に家に持ち帰ってい た独身でも誰かのためになることがしたい そういう気持ちが周囲の温かさに救われて なんとか生きてきた俺の出した論だった そうしてそれからは彼女をなんとか 引き取れるように何度も職員さんと話し 個人に見学に行ったしかし彼女はやはり 堅くに大人を警戒したままでこのままでは 難しいと言われてしまったもっと他の素直 で人なつっこい子がいいのではないかと 言われたがそういう子なら両親が揃った人 のいい人たちにもらわれていく可能性も 高いだろう多分これは俺の予想でしかない が彼女とは境遇も持っている気持ちも違う ところはいくつもあるだろうただ優しくて 明るいだけの里親では分かってあげられ ない心の闇やダークな部分そして可愛気が ある風に振る舞えない彼女が俺には合って いる気がしたん だもしかしたら一生心を開いてもらえない 可能性だってあるしかし俺はもう彼女の目 を見た瞬間からなぜか苦労することは 分かるのに彼女しかいないと強く感じてい たの だこんなことを言ったら家庭も持てないや が子供だけ引き取るなんてきちんと育て られるのか自己映そしてそんな彼女を 助ける自分に酔っているなんて言われるか もしれないだから俺は周りには言わないで ただ仕事に支障が出るのは困るので会社の 上司たちにだけ訳を話し彼女を正式に 引き取ることが決まった自分で言い出した ことながら俺は驚いていた まさか彼女がすぐに俺についていくと返事 をしてくれるとは思っていなかったからだ まずは一歩全身かと思い俺は彼女が住み やすいよう色々とカーペットを柔らかく 滑りにくいものに変えたり色を落ち着く 柔らかいものにしたり空いている部屋を 子供部屋っぽくしたり色々と準備を重た そして俺俺はまだ警戒心たっぷりの目をし て体をこらせている彼女を引き取ることに なったのだっ た俺と自宅に向かうまでも収支緊張して いる彼女に名前を聞いてみるとただユダと 教えてくれたそれに対しいい名前だね なんて偽善めいたことは言わないそういう お世辞みたいなことはれた精神をより閉じ させると経験上分かっていたからだそれ からも他愛もない話や個人でのことを軽く 聞いてみたりすると彼女は一言ではあるが ポツポツと答えてくれるそれが嬉しくて俺 はいつもより明るくそしておしりになって しまっていたあまりしつこく質問しすぎる のも良くないこの子を疲れさせてしまう だろうそう思いながら話していると目つき は険しいままなもののゆうちゃんはそんな に嫌そうではないことに気がついたそんな 様子を見てもしかしたら彼女とは相性が そんなに悪くはないのではと心をどらせて いたしかしやっぱりそんな俺の考えは こなごなに砕かれることに なる家についてもして欲しいことを何1つ 言わないゆうちゃんそのため彼女は家に 着いてから途端に体調を崩して寝込んだり また突然お漏らしをすることもあった彼女 は年齢的に言えば4歳なのでもうとっくに トイレができる年ではあるただ今まで不安 な環境で育ってまた見知の男の家に 引っ越すことになったのだ不安でないわけ がないと思って俺はそれについては驚く ことはなかったしかし物静かそうに見えた 彼女だったが徐々に手先が不器用でこの年 の子ができることがなかなかに困難なこと そして彼女自身の沸点も低く何かうまく いかないまたは思い通りに行かないと ものすごい声で感触を起こし続けてしまう のださすがにこれは想像していなくてすぐ に俺はひどい疲労感とほとんど寝ていない 最悪の体調で仕事をするはめになって しまったしかしこの子を引き取ると決めた 以上向き合わなくてはそう思っているもの の体は確実にSOSを出しているのが 分かるそして事情を知っている高先輩は そんな俺のことますます心配して何かあっ たら言えよ絶対にため込みすぎるなよと何 度も言ってくれた俺はそれに何度も頬を 緩ませただ大丈夫ですと言うしかなかっ たこんなに感触の激しい子だとは思ってい なかったこれがこの子の元々の性質なのか 親の愛情不足みたいな好天的な原因がある ものなのかそれすらわからない職員さんや ママを支援する団体みたいなところにも何 度も相談してみたがいい解決策は見つから ないままだっ た日日に重くなっていく体を抱えつつああ 今日も動くのが辛いなまた1日なんとか 耐えられるだろうかそう考えながら会社に 向かっているとおいおい大丈夫 か気づけば俺は白い部屋の中で横たわって おり真剣に俺に呼びかけ続ける高先輩の声 で目覚め たここ はしばらく意識がぼおっととして自分が どこにいるのかとパニックになる 俺しばらくキョロキョロと辺りを見回して いると高先輩がここは犬室だお前は やっぱり人に頼ることが下手でしゃあない なお前はずっといつもの何倍も顔色が 悪かったなのにゾンビみたいな顔をして お前はいつものペースで仕事を進めるもん だから 心配してたんだぞずっと何か相談して くれるのを待っていたがやっぱりお前は何 も言ってくれなかったそう言った後先輩は 悲しそうなそしてとても申し訳なさそうな 顔をしてだけどあまりにも取引先とのアポ が詰まっていて外回りばかりだった俺は 忙しさにかまけてお前が限界を迎えている って分かっていても話を聞かなかった心配 だって言っておきながら俺も会社を優先し てしまったんだ本当に申し訳なかっ たそう言って顔を真っ赤にして涙グ先輩俺 はいつも引っ込み事案で上の人とうまく 話せなくてだから気にかけてもらっても それにうまく答えることができなかった そんな俺がしんどいからと言って人を頼る 資格なんてないと思っていたしかし先輩は そんな俺のSOSをずっと待っていてくれ たというそれは会社のことを優先するのは 当たり前だろう俺が勝手にゆうちゃんを 引き取るとこうなった時に頼る先も決め ないまま1人で行動した結果なんだから 先輩に会社のしなくてはならないことを ほっぽってまで 俺のことを気にかけるべきだなんてことは 誰も思わないんじゃないかと思うこれが 家族なら違ったんだろうけどなと思い俺は 彼女のことをまた心配し始めてい た今は会社の託児書に預けられているが あんなに感触を起こしていてあれは大きく なったら落ち着くのだろうかもしかして 何か普通の子みたいにうまく発達してい ない部分が彼女にはあるのかもしれない俺 だって感触は起こさないけど精神が未熟な まま関わりやすい人としかうまく関われ ないで生きてきたそれ以外はだまりですぐ 1人で自爆しては寝込んで迷惑をかけたり してきた高先輩が俺によく声をかけて くれるようになったのはその頃からだった 俺のなんとなく弱いところを見抜いてくれ ていたのかもしれないと倒れた今ならそう 気づくことができたとすると彼女がこの 激しい沸点の低さによる暴れHOUSEが 治らないものだった場合これからかなりの 苦難を俺も共に強いられるだろう俺これ から持つかなそう弱気になっていると居室 にコツコツという音が響い た私もずっと心配していたのよ大人しくて いつもしかりに働いてたまに体調を崩して いたあなたが急に子供を引き取ったなんて 言う からそう言って居室に入ってきたのは部署 内で高先輩と同じく人望の熱い鈴原先輩 だった彼女とは本当にほとんど話したこと がなかったのだが彼女も高先輩と同じく 不器用でいつも辛そうな顔をしているのに 周りを頼れていない俺が目にとまっていた らしいそしてどちらかと言えば人とうまく やれるし容量もいい方だった鈴原先輩は俺 のそんな1人で突っ走る姿を見てなんで 無理しないということができないんだろう とずっと不思議でならなかったという そしてそれは心配という気持ちが強く全然 あなたの性格を責めたいってことじゃない のよと先輩は話してくれ たなぜか自分の弱さを見てくれて心配して くれる人が2人もいるその事実に俺の今 まで1人でなんとかしなきゃコミなだから と片になっていた心はほけていったそして 気づけば涙声になりながらゆうちゃんの ことを話していたそうだったの辛いと思っ ていることを全部話してくれてありがとう ねそう言って何か解決策がないかという 鈴原先輩に専門期間や個人の先生にも何度 もしたが発達検査を受けることもし何か 発達に問題があるのなら支援を受ければ いいということしか言われなかったと言う と先輩たちはうーんと言ったきり考え込ん でしまったすると突然鈴原先輩があっと 言ってそうだそれなら休みの日に私がゆう ちゃんを見に行くってのはどうと提案して きたのである俺はそれはと遠慮したのだが ほらさっきゆうちゃんの写真を見せてくれ たじゃないちょっとゆうちゃんの表情や 視線が不自然というかそのことで私あなた の悩んでいることに心当たりがあるのよ あと私昔母親にあまり恵まれなかった みたいでね母親に気にかけてもらうとか 悩みを相談してもならこうするしかない じゃないって1番全頭そうな答えだけ帰っ てきて旗から見たら合理的でいいじゃんっ て思われてたみたいだけど私は一緒に辛さ を共有して色々な解決策を考えて欲しかっ たのそれで親の愛みたいなものに飢えてい て怒りがたまる気持ちは分かるのよだから 私も彼女に関わらせてくれないかなな一緒 に面倒を見させてほしいのそう熱望する 彼女に高先輩はうちみの性格を考えても それは負担が大きいんじゃないか自分の家 に人をあげることって結構気遣れするもん だぞと言ってくれたが正直発達検査を受け に行く余裕もこの忙しい時期にはまだ なかったし誰の手でもいいから借りたいと 考えていたことを2人に心配してもらえて 俺は今度ははっきりと自覚できていただ からおどおどしながらよろしくお願いし ますと言ったんだそうして迎えた 日曜日クがひどく土気色の顔をした自分の 顔を見てひどいな俺と呟いたしかしそこで ガチャンガチャガチャンプ というけたたましい音が聞こえてくるそう またゆうちゃんの感触が始まったのだ今度 は何だと見に行くとまた朝食のパンが うまく割れなかったとかとても些細なこと で拗ねてしまい泣いて暴れて周りを ぐちゃぐちゃにしているのだあゆちゃん そう言ってゆうちゃんの元へ飛んでいき力 いっぱい彼を 抱えるしかしいつも通りすごいパワーで 暴れるゆうちゃんこんなことが続くよう じゃそう思いながら彼女の劇場が収まるの を待っているとそこでピンポンとチャイム が鳴ったはいすみません今取り込み中で鍵 開いてるんで入って くださいそう俺が叫ぶと鈴原先輩は驚いた ような顔をしながら部屋に入ってきた しかし先輩は彼女の顔を見た瞬間その 大きな瞳をさらに大きく見開いたのである あれこの子何か泣き方が特徴的ねそう言っ てしばらく考え込む 先輩そしてゆうちゃんと目線を合わせると 意も簡単にゆうちゃんのことを落ち着かせ てくれたのだ一体これはどういうことなん だ先輩失礼かもしれませんがこういったお 子さんを育てられたことがあるんですか俺 がそう尋ねると先輩は昔お世話になったと いう親戚の女性の子供がASDなどあり かなりすごいこだわりそして感触持ちだっ たというその子は発達の偏りによりできる こととできないことの差が激しくまた性格 も特徴的だったことから神経過敏そして 元々の気質も激しくゆうちゃんと似た普通 の子供の泣き方とは違う耐えがいほどの 激しい暴れ方を長時間継続させていたのだ というそれにほとほと困りはてその親戚の 女性は心身を読みかけていたとそれを見て なんとなくたまに連絡を取りたくなって 自分からメールを送ったり電話をしていた 鈴原先輩は彼女がどこか元気がないと 気づいて心配でたまらなくなり彼女の性格 ならきっと大丈夫と優しく遠慮するだろう と思い勝手に家に押しかけたのだという すると案の定明らかに異様な表情をした 彼女は部屋の中でただ暴れる子を見つめ ながらぼんやりしていたというそこから 先輩が発達検査などを進めてそういった 事実が発覚したのだというそれから先輩は 育児は1人ではできるものではなく色々な 大人に助けてもらいながら1人で抱え込ま ないことのの大切さを 実感色々な専門家に頼りながらその子との 関わり方をその親戚と一緒に模索して 子育てに参加していた経験があるというの だそして元々感触持ちな子もいるけどゆう ちゃんの泣く理由とか普段の様子からも 多分人と関わるのもうまくなさそうだなと かあと笑顔や表情も少ないし かなり気難しそうだったからもしかしてと 思ってねねえ私もつきそうから今度検査を 受けに行ってみないと言ってくれた俺も そうでもしないと彼女と向き合って行き 続けられないなと正直思っていたので彼女 の申し出をありがたく受け取ったのだ検査 の結果やはりゆうちゃんはADHDとの 性質がミックスされた子であるとのこと だった発達の偏りがあるものの適切な 関わり方をしていけばこの感触もかなり 頻度を減らせると聞いて俺はほっと胸を 撫で下ろしていたそれからも手伝わせて 欲しいという鈴原先輩そしてたまに俺もと 顔を出してくれる高先輩の力を借りながら 俺は前より格段に順調にゆちゃんの感情を うまくコントロールできるようになってい た感情特に心のSOSをうまく出せずこう やって不機嫌になることでしか表せない子 がいるそれを俺はゆちゃんを通して自分も 似たところがあると気づくことができた そして1度倒れるまで無理をしたことで彼 らに本音を打ち明けることができるように なった一見ゆうちゃんの子育てに苦労して いるように見えるだろうが俺もまた彼女と 共に生きていくことで人を頼ることの大切 さを教えてもらったの だそして数年経った今ゆうちゃんの激しく 起る癖は身を潜め楽しそうに友達と学校 生活を遅れている支援員さんからは適切な 支援を受けられなかったら彼女はその気質 から友人に惹かれてしまいクラスで浮く 可能性も高かったという話を聞い たなんでも人間関係をその特性で クラッシュしてしまう人が多いのだとか しめらで俺を睨んでいたあの時の彼女の 表情が 蘇る彼女に人をできないまたなんとなく うまくいかないと思ったままそんな辛い目 に合わせなくて良かったと俺はその話を 聞いて心底を鈴原先輩たちに感謝したその 気持ちを伝えたら先輩たちはすごく照れて いたけど少年少女みたいなあけない笑顔で とても嬉しそうにしていた先輩たち曰く人 の役に立つことってととても幸せなことな のだとだから頼らなくちゃ無理だって時 くらい頼ってほしいとこんなに人に恵まれ ていたなんて学生の時は寂しい思いも たくさんしたしうまくやれない自分を責め ていたけどゆうちゃんも小さい頃から施設 の人への頼り方甘え方が分からなかったん だろうなそう思うと今の彼女を見て泣けて くる これからもゆうちゃんには楽しく生まれて 良かったと思えるような人生を歩んで ほしいそして俺自身もゆうちゃんのおかげ で明らかに人との付き合い方がいい方に 変わったこれから2人で楽しく生きて いこうな俺は彼女たちと出会えたことに 感謝しながらそう心の中でゆうちゃんに 語りかけていた 低学歴はゴミ拾いでもしてなと言ったのは 昔付き合っていた元カノの明りだ俺の名前 は田村誠治まだ27歳だが俺の人生は少し 変わっている気が する俺は保育園の頃から絵を描くことが とても好きだった先生が絵本の読み聞かせ をしている時も画用紙を出してきて絵本に 出てくる絵を書き出していた先生は次の ページに進めないと困っていたのを覚えて いるそのうち外で遊ばず1冊の絵本を 取り出してその中にある絵をずっと書いて い たそんな俺のことを気にして母は小学校に 入った俺を塾やA会話に通わせてピアノも 習い忙しい毎日だっ た母はパートで働いていたが帰ってくると 宿題を早く済ませなさいその後はピアノの 練習ねと厳しくて夕食を食べると塾へ行き 本当に勉強づけだ父も母も有名大学を卒業 していて父は割と大手の企業に務めている 1年生の時はそんな感じで環境が変わって 夜はクタクタになって早く寝ていた運動は 苦手だったが学校の勉強では困ったりはし なかったしかし昼休みしか絵を描く時間が なくて友達はなかなかできなかったん だ中にはあまり学校の友達と馴染めない子 も何人かはいたようで小学校2年の時は 近くに住む健太という子が俺の絵を覗きに 来 て今日学校の帰り遊ぼうよと言ってきたん だその日は学校が早く終わるので俺は健太 の家に寄り道した 健太のお母さんは夜遅くまで働いていた ようでお父さんはいないと言って俺に ゲームを進めてきたんだケン太のアパート は狭くてガランとしていた物がほとんど なくてすっきりしているただ漫画の本は お母さんが毎週買ってくれてゲームも買っ てくれるようで携帯も持ってい た俺の家と全く正反対でのびのびとした 性格の健太だだけ 服とかがいつも同じで学校では嫌がらせを 受けていたん だ俺は毎日忙しかったり宿題をしないと 怒られたりと母が厳しいことを健太には 話せたすると健太は一緒に先に宿題を済ま せてくれたそして俺は母が仕事から帰る前 に急いで家に帰る宿題は終えていたので ピアノの練習をしている時に母が帰って くる か母に怒られないようにいつもビクビクし ていたんだ食欲もあまりなかったのだけど 食べ残すと叱られるので無理に食べていた 父が帰ってくると母は急いで父に夕食を 出して俺の塾の送り迎えを する母も毎日だから今振り返るとタフな母 だったと 思う俺にとってだんだん授業が退屈になり 先生に見つからないように別に一冊ノート を出して鉛筆で朝見と鼻の絵などを描いて いくそれを昼休みになると色鉛筆で赤や 黄色青と塗っていたいつも健太の家に 行けることだけが楽しみだった一緒に ゲームをして健太は読み終えた漫画の本を 俺にくれたん だ高学年になった時塾には自転車で通う ことになりやっと俺も携帯電話を買って もらえたケン太とすぐアドレス交換をして 夜布団に入るとメールをして楽しんだ健太 は夜もゲームに夢中な様子だっ た後で聞くと健太のお母さんは看護師さん で夜勤もありそれで夜健太は1人だった らしい俺は机に隠した漫画の本を読み ながら色々な主人公の絵を描いていったり 漫画の絵はほとんどが白黒なので色を塗っ ていったたりしていたテレビで見れば色も 分かるだろうしかし俺にはテレビさえ両親 は見せてくれなかったのだっただから空想 しながら緑にしたりそこに赤を合わせて いったり する携帯を持ってから健太の家のゲーム 画面をたくさん写真を撮ってそれを元にし て絵を描いた健太は突然漫画家になりたい と言い出した俺の絵に興味を持ったようだ 俺はストーリーを作るのは苦手なので無理 だと思った健太は国語が好きになり 行き詰まった時は俺に聞いてきていろんな 本を読み出したんだ簡単な作文をたくさん 書き出したりメールでもたまにポエムを 送ってきたりして結構幻想的なポエムだっ たりし たある4年生の夏休み俺は服を探して タンスを探っていた別の引き出しを開ける と 何か手帳みたいなものを 見つけるそれは母子手帳と書かれていて中 を開いて見てみるすると母親の名前が違う のだ俺の母は田村雅子だがそこには田村 ひえと書かれて いる俺は慌てて携帯で写真を撮るそして すぐ元の場所へ戻して部屋に入ると心が氷 のように固まっていった暑い夏ににも かわらず体がなぜか冷えていきそれに反し て熱い涙が頬を伝うのだ俺の本当の お母さんはどこにいるんだろう俺はやり きれない思いで健太にメールしてすぐ健太 の家に 行くいきなりどうしたんだと聞かれた俺は しばらく声が出ないケン太は麦茶を入れて 持ってきてくれたそして俺が話し出すのを 静かに待ってくれている 太俺は声をふわせ ながらあのさあお俺のお母さんて本当の お母さんじゃなかったんだよと言うと健太 は驚いた顔をしてまた少し黙っていた夏の セミの声が慌ただしく聞こえて いるなあケン太俺今のお母さんに聞く勇気 がない よせ誠治何か理由があったんだよきっと いつか本当のお母さんに会えるよううん 聞いてくれて ありがとうそれだけだったんだまたゲーム させてくれよな今日は 帰る今にも泣いてしまいそうで俺は涙を こらえて走って帰ったん だその日も塾があったが部屋でしばらく 大声で泣いて眠った俺そして顔を洗って 夏休みの宿題をしたその日のことは今も 鮮明に覚えているそして塾の宿題をして ピアノを引いていたのだが俺はピアノに あまり興味がなかったんだ小学5年生に なって俺は1つ決断をしたんだピアノは やめようと思ったその夜母にそのことを 話すとずっと頑張ってきたのにもったい ないでしょう いや僕音楽の才能はないと思うんだでも その代わり勉強を頑張るからパソコンを 買って欲しいんだけどと言うと母は しばらく黙ってその後父に相談していた父 はこれからの時代はパソコンは必要だろう と言ってくれて次の日父はノートパソコン を買って帰ってきた俺は父にお礼を言って 受け取る部屋に持っていき設定を始めた 案外簡単に設定できてインターネットの 接続を父に頼むとOKだったん だしばらくしてから工事業者が来てネット が接続される俺は配列されている キーボードの練習をチャットをしながら 覚えていった母のことを思う悲しい気持ち はパソコンを触ることで現実避ができて俺 は何もなかったように過ごした学校と塾の 往復は続いている 健太もクラブに入らず早く学校が終わった 時は健太の家に行くそしてゲームを楽しん だ健太は少しずつ元気を取り戻した俺を見 て安心してくれたよう だ学校の授業は相変わらず退屈で成績には 問題がないので母は何も勉強については 言わなくなるしかし6年生の時俺は初めて 母に反撃したんだ母がが中高一貫の私立 高校へ行けと言った俺は健太と離れるのは 絶対や だお母さん俺友達がいるんだその子は離れ たくないんだよと大声で言うといつも 穏やかだった俺の姿に母は 驚く両親は俺が絶対行かないと言ったので 勉強を頑張るならと諦めてくれた俺は ほっとしたし て中学生になった俺相変わらず塾は続けて いた勉強は好きだったのでスポーツクラブ には入らず健太も下校クラブだ中学になっ てから健太は勉強につまづき出した俺は 毎日健太の家に行って宿題を教えるように なる中学になった俺は友達がいることを母 に告げていたので夕方遅くまで健太の家に いたんだ俺はゲームを少しして健太の勉強 を応援した塾から帰ると好きなゲームの 主人公などをパソコンで探して俺は絵を 描くそのうち主人公の着ている服に興味が 湧き出した俺はノートに主人公の服を違う デザインにしてみたり色を変えてみたりと 楽しむ両親は俺の趣味に気づいていないが この時だけは自分の世界だ健太にその ノートを見せるとこれは面白いと笑って くれる健太のお母さんは勉強にはうるさく なかったがせめて高校へは行くようにと 言っていて俺は塾の宿題を健太に見せて 健太は予習をしながら少しずつ成績は良く なっていった健太のお母さんは喜んで健太 に新しいゲームを買ってくれるテンション が上がり俺と一緒にしようと誘ってくるの だった俺も新しいゲームが楽しかった 学校のクラスの子たちもいつもゲームの話 で盛り上がっていたしかし俺は中学になっ てもみんなと仲良くはできず目立たない 性格だった昼休みは健太の教室に行き 新しいゲームの主人公の絵を見てもらう そしてデザインして着せをした主人公の絵 をいつも見てもらっていたんだケン太は それを楽しみにしてくれていたそ 中学生活も受験を 迎える健太はゲームをやめて勉強を頑張り 出し た俺は高校には行く気がなかったんだ多分 東大卒の両親は反対するだろうしかし 息苦しく感じるこの家から1日でも早く出 たい俺ネットで社宅付きの仕事を探す ちょうど近場でコンビニ向けの弁当を作る 工場があったて受験シーズンに母はどこの 高校に行くのか聞いてくる俺にとって第2 の両親への反撃が始まっ た母さん俺高校には行かないからえあんた 何を言っているのだから高校は行かないと 言ったんだ よそんなことで将来はどうするの将来俺は 俺で考えるよ俺はやりたいことがあるんだ あんたねえ世の中そんなに甘くないのよ そうだねでも俺はこの家を出ていくよ もちろん父さんや母さんには感謝している けど俺本当のお母さんに会いたいんだと俺 が言った時母の声が止まったしばらくして 母は誠治あんた知っていたのねうん小学校 の時にね すると母はショックだったのか好きにし なさいと俺に何も言わなくなったんだ進学 塾もやめただけど高校程度の参考書を買っ てもらい1人で勉強はしたんだ俺は働いて も勉強はするからと両親に告げて卒業式を 迎える健太は高校に合格できた俺は早めに 工場へ面接に行っていたので仕事は決まっ ていた 育ての両親に深深とお礼を言って俺は社宅 へ必要なものだけ持って引っ越した窓を 開けると崎の桜が満開になっていてとても 綺麗だ高校の参考書をパラパラと見ながら 俺は工場に出勤となったんだ流れ作業の 仕事は単純ですぐ慣れた家を出る前に両親 は10万円だけ俺に渡してくれたんだ そして定時まで働きコンビニ弁当を買って 社宅に帰る勉強癖がついていたので参考書 の問題を解きながら答え合わせをするそう して働きながら俺は好きなゲームや小さい テレビを買ってアニメを見たゲームも手 放題で楽しい新生活になる俺はネットで 高卒認定試験のことは知っていて2年後 認定試験に 合格給料は少しずつ貯金をしながら新しい スマホを買っ たそこからデザイン関係の本を何冊か調べ て要塞の本を選び購入した次の給料で安い ミシンを買って布を買う俺はアニメの キャラクターの服をいろんなデザインにし て書いていき仕事が終われば独学で要塞を 学ん だある日いつも行くコンビニのアルバイト の女性にメモを渡された俺は何だろうと 思ったがそこには電話番号と宮崎明りと いう名前が書かれていたん だ一応ショートメールを送ってこんにちは とだけ送信するとその女性からの食事のお 誘いメールだった俺は別に食事ぐらいと 気楽にokの返事を送って一緒に女性と ファミレスに行ったん だ突然ごめんなさいいつも来てくれるので 気になってて働いているのですかああ工場 で働いているよ学校はどこなの学校は行っ てないよえ家庭の事情か何かかないやただ 学校が嫌いなだけでと俺がそう言うと彼女 はぷぷっと笑うあでも俺もう一応高卒なん だと言って高卒認定試験の話をすると彼女 は驚いてたそしてよかったらありと呼んで ねまたこうして食事しようようん分かった 明り俺は 政治そんな風に最初は友達として食事する ことになったのだ彼女は案外お嬢様のよう で家に誘われたがすごく大きな家だっ た彼女の両親に挨拶をして友達としてお 付き合いをしていることを俺は言ったそう している間に明りがバイトが休みの夜は俺 の社宅に遊びに来るようになったん だ彼女は俺の部屋を見て驚いていたまず ミシンと縫いかけの服に驚くあかり俺の 趣味だと言うと彼女はまたぷぷっと 笑う一緒にゲームをして楽しんだそんな風 に交際はだんだんと深くなっていく夜は 必ず彼女と自転車をしながらまで送って いったのだ明りの両親は安心してくれた 平日は工場から帰りデザインした服を 仕上げていく俺何枚か出来上がった時に俺 は悩んだ置いておくのも邪魔だしな俺は ネットで販売してみることにしたんだする とアニメやゲーム好きの人が買ってくれた のかすぐ完売した結構な副収入になる俺は しくなってきてデザインを考えて販売して いくその頃明りからメールが 入る今度映画行こうよ政治の好きなアニメ だけどと誘いが来た明かりも案外アニメが 好きなようで映画に行って一緒に食事を する最初は映画の話で盛り上がり次は明り の大学の話に なる親がさ一流大学へ行けってうるさいの よ そっかまあ頑張れよえ政治は大学はどこに 行くのえ俺学校が嫌いだと言ってたじゃん あそっかもうバイトをやめてかき講習に 通わないといけなくてなるほどな応援する よ勉強で行き詰まったらまた家においでよ 俺こう見えても勉強は好きだからさと そんな会話になったんだ明りはかき講習を 頑張りながら苦戦していたそして俺の家に よく来るようにもなっ た俺が明りがつまづいている勉強の場所を 見ていくすると案外簡単だったありは納得 して喜んでいるそんな風に仲良く交際して いた明かりは勉強しながら俺はミシンを かけていくでいろんなデザインを考えて絵 を描いていくのだった ある日明りとショッピングに行った町まで は電車で30分ほどだ明りの誕生日だった ので欲しいものを買ってあげようと思って いたんだ電車に乗るといろんな女性の服や カジュアルな男子の服などが目に 入る俺はそんな服や靴をキョロキョロと見 ていると明りが何見てんのよと怒り出した んだ俺はただいろんな服が気になってと 言ったが機嫌が悪くて帰ってしまったんだ 仕方ない俺は1人で街を歩いて明りの プレゼントを探した少し収入があったので ブランドのバッグをプレゼント用に包んで もらった1人で食事して帰り明りの家に 行くすると明りが出てきた何をいや何怒っ てんだよこれはい プレゼントと渡すと明りは袋から出して 一気に機嫌が治る俺は良かったと思い プレゼントだけ渡して社宅に帰った俺が よみをしていたのが嫌だったんだろうと これから明りと会う時は気をつけようと 思ったそして外は冷たい冬を 迎える俺は北風に押されながら自転車を 漕いで工場へ向かうただ気楽に仕事を済ま せて社宅に帰るとありからのメールだっ たありは勉強を追い込んでいて次に会える のはクリスマスだとのこと俺は相変わらず シャワーを浴びてゲームをするそして 新しいデザインが浮かんだ新作のゲームの 主人公の服だ黒一食の主人公だったが俺は 赤のポケットを上下につけてみて絵を描い た自分的にはこちらの方が好み だゲームソフト制作の会社のホームページ を見てみたんだたくさんのデザイナーが いる俺は描いた絵を写真に撮りお 問い合わせのところにメールしてみたする としばらくしてゲームソフト会社から メールが来た思い切ったことをしてみたの だが適当に流されると思っていたのだ返事 にはもしよろしければ何枚か見たいとの 返事だったんだ 俺は他のキャラクターの服もデザインし たり敵のキャラクターの服の絵も多数書い てまたメールを送ってみるすると画面で 連絡を取りたいとの こと指定された時間に俺は仕事を休んで 連絡を待ってみたパソコンに電話がかかっ てきてSkypeをついで欲しいとのこと だった俺が送った1枚の絵をパソコンの 画面に相手が出してきてゲームソフト会社 は俺のデザインを使いたいとのことで俺は 大喜びしたんだその絵は特許申請をして 特許が降りたのでゲームソフト会社で俺の デザインを利用してもらえることになる俺 に対してはゲームが売れるたびに印税が 入るそして他のデザインも考えて欲しいと メールが来たんだ俺は嬉しくてアイデアを 考えながら絵を描いていく他にも女性の アニメの服や靴などもたくさん書いていっ た町はクリスマスになり俺のデザインの ゲームが新作として販売されたそしてその ことは誰にも内緒にしていたありと行く レストランを予約する明りはとても可愛い ワンピースとコートを羽織り俺はスーツを 買って喧嘩以来の電車に乗ったよみをし ないように町へついて割と高級な レストランへ着いた町のイルミネーション が赤や緑に光りそれが窓から見える レストランだ俺はこういった店は初めてな ので少し緊張したけどフルコースを頼む 明りは嬉しいでも白球なのに無理して こんないいレストランにああ確かに時給は 安いけどさ俺の社宅は会社持ちだから 助かってるんだよとそう言うと可愛い笑顔 を見せてくれたあり 彼女は大学に合格すると車の免許を取り たいと言っていたので俺はブランドのキー ケースをクリスマスのプレゼントにしたん ださすがにお嬢様なのかナイフとフォーク もとても上手だあまり遅くならないように 店を出て街のイルミネーションを楽しみ ながら彼女とゆっくり 歩くすると雪が降ってきて彼女はまた少女 のような笑顔を見せる俺は胸が高鳴った しかし夜の10時には家に彼女を送るまた 彼女はその後受験勉強に励み俺はデザイン をたくさん書いていく俺にはあまり関係の ない正月が来て新しく年を迎えて彼女は 有名大学に見事に合格できたんだ俺は メールでおめでとうと送ったしかし彼女は 俺が本当に大学に行かなかったことを残念 がるメールが来ていた俺の仕事の方は デザインが少しずつ取り入れられてその度 に特許を取っていった健太も大学に合格し たと連絡があった俺は相変わらずだよと 返事をしてミシンの前に 座る特許を取った商品を何枚かだけ塗って ネットで販売していった売行きは順調だっ た春になるとアニメやゲーム好きの フェスティバルが町で行われる予定だそう いう場所はコスプレイヤーパコロケ てしまった俺は駅に着いてから明りに電話 をしてみるすると電話に出ない不安な 気持ちのまま社宅に帰ったしばらくして 明りから着信が ある今日は電話くれてたけどごめんね高校 時代の友達と女子会があったの今帰ってき たよいや俺今日たまたま町に出たんだけど 明りを見かけたんだ本当は誰と一緒にいた んだああの子は友達よふーんお前って男子 の友達と腕を組んだりするんだもういい よちちょっと待って平気で嘘をつく人間だ とは思わなかったよ さよならそう言って俺は一方的に電話を 切ったその後明りから着信があったが俺は 着信拒否にしたその後メールが明りから 入った内容は相手は本当にただの友達とか 将来について話していたとか俺には明るい 将来がないでしょうなど色々書いてあった ので俺はメールも拒否にしてベッドに 横たわる明りとの楽しい日々が相馬刀の ように俺の頭の中でガラガラと音を立てて 壊れていくつまり俺は騙されていたんだ むしゃくしゃしでシャワーを浴びたまるで 過去を洗い流すように排水溝に水が くるくると流れていくもう涙も出なくて ただ情けなかったんだ好きになれなかった 両親嫌いになった彼女でも俺には会いたい 人が1人だけいるそれは田村ひえ実の母親 だためた貯金で探偵を雇うとわずか3日 ばかりで母親は見つかった実の母は町で 小さなスナックを経営している俺は夜遅く に会いに行く店が閉店する前に中へ入った ん だ田村ひえさん政治ですすると母親は驚い てすぐ2階の部屋へあげたそこには俺の8 歳上の兄の工事という人がいたん だあの赤ん坊だった政治がと目を真っ赤に してい た母親から理由を聞くと俺が生まれてすぐ 父が蒸発してしまい生活に困ったそうで 子供のいない父の弟夫婦の容姿に礼を出し たということだった俺は今までのことを 話すと実の母も涙を流して聞いてくれた 理由を納得した俺も多分目が赤くなってい たと 思う俺は今の状況を2人に話してまた来る よと言って帰ろうとするとその後兄が仕事 の話を持ちかけてきたんだ兄は ソフトウェアを作る会社にいるとのことで 兄は自分の会社の企画部に俺のデザインを 紹介してくれるとのことでその後俺は仕事 をもらえることになっ た俺のデザインは兄の紹介で違うゲーム ソフトを作っている会社から取り入れられ たのだった俺の収入が上がっていき工場を やめて小さなアパートへ引っ越した自営業 1本になり忙しくなっていく正月は実の母 と兄と一緒に迎えまた母の涙を見 た母が調理してくれたおせちと雑煮に母の 店のカウンターで俺も涙をこらえ たあっという間に忙しい日々が4年過ぎる ある日兄の会社でミーティングがあった 企画部の人に俺のデザインを見てもらう ことになる俺は認めてもらったデザインを 特許申請したミーティングを終えて帰りの 電車を降り階段を下る時少し年配の男性が 階段でふらついた慌てて俺は男性が階段 から落ちないように男性の目の前に立ち 危ないと言って男性を庇うその男性は しばらく目をつり手すりを持って立ってい た俺の鞄が落ちて階段の下に俺のたくさん のデザインの絵がパラパラと舞い散って しまったしかし今は男性の身が大切だ目を 開けた男性はお青年すまない助かったよ 少し目まいがしただけなのだがもう大丈夫 ですかと声をかけると頷いたので俺は男性 と一緒にゆっくり階段を降りて鞄の書類を 片付けているとその男性が俺のデザインの 紙を手に取りしばらく見て君この後少し 時間はあるだろうかと尋ねてきたので俺が 返事をすると男性とタクシーに乗り大きな ビルの前で 降りるそして男性とビルの最上会に向かっ た部屋に通されてソファーに座る男性は 名刺を差し出してきた俺も名刺を出す男性 はこのビルでデザイン会社を経営する会長 だった男性はもう一度俺のデザインの絵を 見せてくれないかと言ってきて全ての書類 を差し出したその左会長がひょんなことを 言い出したの だ実はわしの息子がデザインが好きでな こののとして活躍していたのだが急な病で 多してしまったんじゃよそこでわしの命の 恩人である君に弊社の社長を任せられない だろうかそしてこのデザインを弊社で扱わ せてもらえないだろうかは私が社長ですか 無理にとは言わないだがよければ田村君の 力を貸してほしい収入は役員酬として今の 君の収入の倍にする仕事は自宅でもこの ビル内でもいいんだ がということで俺はいきなり26歳で社長 になってしまうあくまでも俺はデザインを して好きに絵を作成しそれを企画部へ送る というだけの仕事だ俺は健太はどうして いるのかと思い連絡を入れてみたすると 大学は卒業したが就職が決まらずバイトを しているとのことだ俺はケン太に一緒に 働いてほしいと頼んだゲーム好きの健太は 俺の秘書として就職し漫画を描くのも自由 にして俺のアイデアも取り入れてもらった 反対に俺がアイデアをもらったり助言を もらったりしていったんだそしてある日 この本社から死者へ視察に行くことになっ たその死者で元とだ元は大きな声であら バイトかしら定学歴はゴミ拾いでもしてな と俺を見下す発言をした俺がしばらく黙っ ていると社長がとんで 近づきし社長うちの秘書がとんでもない 失礼を本当に申し訳ございません え 社長と元は白になる俺は無視して死者長と 車内を見てみる現場では俺がデザインした 普通の婦人服からコスプレ用の服まで俺の 特許のSTというロゴがついている たくさん仕上げられていて俺は嬉しかった しかし元カノについてはデザイン業界で 学歴を見下す人間は必要ないと思った俺俺 は元カノのことを社長と相談して東一地方 に作戦したんだ中卒の人も俺のデザインし たものをミシンで丁寧に仕上げてくれて いる元カノは実家から離れるのが嫌で自主 退職となった社長の話では彼女は社内の 男性とも色々問題があったよう だ一方で俺は会長の孫である同年の美香 さんとのご縁があり素敵な美香さんと結婚 が決まった 会長からはタワーマンションお祝いとして 送られ可愛い娘が生まれたんだ俺は実の母 と兄育ての両親に住みやすいマンションを プレゼントして会長と共に笑顔で幸せに 暮らして いる健太も1冊目の漫画の発売が決定した んだ俺は時には育ての両親や母や兄と会い 孫を可愛がってもらった 俺は応援してくれる全ての人に今は感謝の 気持ちでいっぱい [音楽] だJA [音楽]
〜本日の総集編〜
①【感動する話】長年憧れた企業への入社式当日。車がパンクし困っている老人を助けて入社式に大遅刻した俺。部長「は?時間も守れない奴はクビだ!」すると、助けた老人が現れ、「クビになるのはあんただよ」【朗読】
(2023/11/20公開)
②【感動する話】海外企業との社運を賭けた商談当日、今は亡き兄の腕時計を身に付けていた。商談相手「き、君!その腕時計は?まさか…」その人はなんと兄の◯◯だった…
(2024/4/24公開)
③【感動する話】高卒から働き勤続35年の俺が社長夫人に嫌われクビにされた。1週間後、道端でライバル会社の美人部長と遭遇「あなたが欲しいです」と迫られて衝撃の展開に【いい話・泣ける話・朗読・有料級】
(2024/3/9公開)
④【感動する話】最年少で部長まで上り詰めた美人上司が突然クビに。ある日、地元に帰省した俺が偶然美人上司に再会し「何でここにいるの?」→衝撃の真実を知り俺の人生が180度変わることに【泣ける話・朗読】
(2024/3/20公開)
⑤【感動する話】登山が趣味な美人社長に誘われ雪山へ。すると猛吹雪となり遭難してしまい凍える美人社長を助けたら意識を戻した社長が「私に何したの?最低!」と号泣。数日後→社長室に呼び出されると…まさかの展開
(2024/2/25公開)
⑥【感動する話】施設育ちの俺が身寄りがない子を引き取ったが慣れない育児の疲れで寝込んでしまった。心配する美人上司が見舞いにきたので子供を見せると「え?この子ってまさか…」【いい話・泣ける話・朗読】
(2024/2/6公開)
⑦【感動する話】本社から視察に来た俺をバイトだと勘違いした有名大卒の元カノに遭遇。高卒の俺を見下し「低学歴はゴミ拾いでもしてなw」→支社長が俺に近づくと元カノは顔面蒼白で…
(2024/1/21公開)
#感動サウルスの朗読 #朗読
是非チャンネル登録をお願いいたします !
https://www.youtube.com/@kando-saurus?sub_confirmation=1
※登場する人物は仮名です。実在する人物とは一切関係ありません。
※ストーリーの流用や再編集したものなどを含め、無断転載は固く禁じております。
※このストーリーはフィクションです。
▼音楽・効果音▼
YouTubeオーディオ
▼イラスト▼
本動画で使用しているストーリーは「感動サウルスの朗読」がクリエイター様に製作依頼をし、作品は契約・法律によって保護されています。
許可のない二次利用・転載等は御控えいただきますようお願いいたします。
★感動しましたら、高評価やチャンネル登録をお願いいたします!
コメント等も是非よろしくお願いいたします!
MAG.MOE - The MAG, The MOE.