ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから避難してきた留学生が、日本のアニメの翻訳に挑戦しました。ヨーロッパを中心にオンラインで配信されています。

◆ウクライナから避難し日本語を学ぶ
福岡県太宰府市の日本経済大学で日本語を学んでいるのは、ウクライナから避難してきた留学生です。ウクライナ中部チェルカースィ出身のダリナ・アルィモヴァさんは、8か月前に日本に避難してきました。

ダリナさん「戦争から避難して、日本で日本語を勉強するのを続けるため(日本に来た)。戦争のある国に住むことは怖くて大変です」

日本での生活にも少しずつ慣れてきて、今は充実した学生生活を送っているといいます。

ダリナさん「日本の大学で勉強するのが好きです。面白くて、役に立つ。日本語の発音が好きで、その後勉強を始めました。ウクライナ経済大学で日本語を勉強して、アニメと日本のことをもっと調べました」

◆「翻訳、難しい……」ウクライナからの留学生
ダリナさんが特に興味を持っているのが日本のアニメです。そのアニメの翻訳作業に挑戦しました。この取り組みは、テレビや映画の翻訳家を育成している「日本映像翻訳アカデミー」が、インターンシップの一環として実施しました。完成した作品は、ヨーロッパを中心に、11月25日から12月2日までオンラインで配信されています。翻訳したのは、海外でも人気の映画「ルパン三世カリオストロの城」と、2013年に公開された「サカサマのパテマ」の2つの作品です。

ダリナさん「『サカサマのパテマ』が、一番好きなアニメです」

重力が反転し、多くの人や物が空へ向かって落下した世界を描いたこの作品は、ダリナさんのお気に入りです。日本語を聞き取り、ウクライナ語の字幕に変換した後、ほかに適切な言い回しがないか何度も検討を重ねます。

ダリナさん「翻訳作業はとても楽しかった。でも、難しいところもありました。ウクライナ語で適切な言葉を見つけにくかったです」

◆「少しでも明るい気持ちに」
ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めてから9か月が過ぎました。ウクライナから国外に避難した人は約1000万人に上っていて、先の見えない避難生活を送っています。ダリナさんは、そうした人たちに日本のアニメを見て少しでも明るい気持ちになってほしいと願っています。

ダリナさん「ウクライナ語の字幕のアニメを見て、ウクライナ人やほかの人々が明るい気持ちになって、楽しくなることを望んでいます」

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