こんにちは。あるいは初めまして。
高山企鵝(タカヤマ キガ)です🌿
今回は「LILIUM」を歌わせて頂きました。
テレビアニメ「エルフェンリート(Elfen Lied)」のオープニングテーマ曲です。

オリジナル版
 作詞・作曲:小西香葉・近藤由紀夫
 歌:野間久美子

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🌿曲の歌詞
この曲の歌詞はすべてラテン語で、聖書やグレゴリオ聖歌から引用されています。

🔹「Os iusti meditabitur sapientiam. Et lingua eius loquetur indicium.」
これは、旧約聖書詩篇第36篇第30節からの文言です。
(ヘブライ語聖書では第37篇。ラテン語訳詩篇はヘブライ語原典ではなく七十人訳ギリシャ語聖書を元にしているため、各篇の区切り方と数え方が異なる。)
ただ、詩篇では
「Os iusti meditabitur sapientiam. Et lingua eius loquetur iudicium.」
「正しい者の口は知恵を語り、その舌は公議を述べる」
となっていて、最後の単語が異なります。
それでも公式サイトで購入した楽譜には「indicium」とあり、あえてこの語を使用した可能性もあるため、今回は「indicium」と歌いました。

次の節は後述させて頂くためちょっと飛ばします。

🔹「Kyrie, fons bonitatis. Kyrie, ignis divine, eleison.」
「Kyrie, fons bonitatis」および「Kyrie, ignis divine, eleison」は、おそらく10世紀のものと考えられるグレゴリオ聖歌からの文言です。
しかしこの文言について、海外の一部のネット情報では、テアトロム・ケミコム(Theatrum Chemicum)」という錬金術の書物に掲載されているメルキオール・チビネーシス(Melchior Cibinensis、あるいはニコラス・メルキオール(Nicholas Melchior))が記した文書から来ている、と書かれていたります。
「テアトロム・ケミコム」の内容は確認できなかったので実際に載っているのかもしれません。
でもたぶん、引用元はグレゴリオ聖歌だと思います。
この聖歌は歌い出しがタイトルとしても扱われる「Kyrie fons bonitatis」となっています。
そしてこの曲の中には、「Kyrie, ignis divine」および「eleison」という文言も出てきます。
「Kyrie(主よ)」と「eleison(あわれみたまえ)」はこの曲に限らず、多くの賛美歌やグレゴリオ聖歌に使用される言葉です。

🔹「O quam sancta, quam serena, quam benigna, quam amoena esse virgo creditur.」
「O castitatis lilium.」
これらはひとつのグレゴリオ聖歌の一節から採られています。
この曲は歌い出しの文言から「Ave, mundi spes, Maria(めでたし 世の希望であるマリアよ)」と呼ばれています。
ジョスカン・デ・プレ(Josquin Des Prez)のモテット(ミサ曲以外のポリフォニーによる宗教曲)の元にもなりました。

ただ、原曲では「castitas」と歌っているように聴こえます。
「castitas」はラテン語の名詞で「貞操」「純潔」「慎み」というような意味です。
一方「castitatis」は、「castitas」の単数属格で「操正しい」「純潔な」「慎み深い」いうように、性質を表現する語となります。
「castitas lilium」だと「純潔、白百合」と名詞が続くことになりますが、
「castitatis lilium」の場合は「純潔なる白百合」となります。
今回はグレゴリオ聖歌の歌詞に準拠して「castitatis lilium」と歌っております。

あ、今さらっと出してしまいましたが「lilium」とはラテン語でユリ(百合)のことです。
キリスト教において特に白いユリの花は純潔の象徴であり、聖母マリアの象徴でもあります。
天使ガブリエルも絵画において白いユリと共に描かれることがあります。
これはガブリエルが聖母マリア受胎告知を行ったとされているからです。
聖母マリアが男女の交わり無しにイエスを受胎したことは処女懐胎(あるいは処女受胎)と呼ばれ、イエス・キリストがその誕生から神性をもった神の子であったということを明示するものとされています。
また歌詞に出てくる「Virgo」は言葉の意味は「処女」となりますが、頭文字が大文字となっている場合は聖母マリアを示している可能性が高いです。
元のグレゴリオ聖歌では「Virgo」となっているようなので、聖母マリアを示していると考えられます。
白いユリが純潔の象徴であることには、こういった聖母マリアのイメージも影響していると思われます。

そして「LILIUM」においては、それらユリのイメージがエルフェンリートの登場人物たちに重なります。
ルーシーが本来生殖機能を持たないはずのディクロニウスでありながら生殖機能を持つ唯一の個体であることや、生殖機能を持たないジルペリットの存在を考えると、いろいろと興味深いです。

🌿こまけえ話
さてそれでは残していた一節を見ていきます。
重箱の隅をつつくような細けえ話を長々としていくだけですのでスルーして頂いても構いません。
「Beatus vir qui suffert tentationem. Quoniam cum probatus fuerit accipiet coronam vitae.」
この歌詞の引用元は新約聖書『ヤコブの手紙(ヤコブ書)』第1章第12節の
「beatus vir qui suffert temptationem quia cum probatus fuerit accipiet coronam vitae」
です。

🔹「tentationem」か?「temptationem」か?
まず前半部分の「Beatus vir qui suffert tentationem」ですが
『ヤコブの手紙』では「beatus vir qui suffert temptationem」となっています。
この「temptationem」の意味は「試練」です。

ただこの語から派生した英語「temptation」の意味は「誘惑」です。
一方、ラテン語では「誘惑」は「tentationem」です。
「LILIUM」の歌詞に出てくるのはこちらとなります。
祈祷文「主の祈り」にも「tentationem」という文言が出てきます。

信仰においては「誘惑」とは堕落の入り口であり、負けてはならないものとされます。
そういった文脈の中では「誘惑」と「試練」は意味が重なる部分もあります。
とはいえラテン語において「tentationem」と「temptationem」は異なる単語ということになります。

引用元の「qui suffert temptationem」ならば意味は「試練に耐える者」
歌詞の「qui suffert tentationem」ならば意味は「誘惑に屈しないよう抗う者」
となるため、どちらでもおかしくはありません。
それでも公式サイトで購入した楽譜には「tentationem」とあり、ここもあえてこの語が使用された可能性があるため、今回は「tentationem」と歌いました。

🔹「Quoniam」か?「Quoniqm」か?「Quia」か?
それでは後半の「Quoniam cum probatus fuerit accipiet coronam vitae」を見ていきます。
『ヤコブの手紙』では「quia cum probatus fuerit accipiet coronam vitae」となっています。

歌詞の冒頭の「Quoniam」ですが、海外のサイト等ではそうでもないのですが、ネット上の情報ではなぜか「Quoniqm」という言葉が散見されます。
実際に原曲ではこの言葉を歌っているように聞こえなくもないです。
ただ、「Quoniqm」というラテン語はありません。
これは完全に私個人の推測ですが、「Quoniam」の小文字の「a」が「q」と、どこかで誤認されてしまったのではないかと思っています。
一方「Quoniam」ならば、英語における「for」あるいは「because」あたりの意味となるため文章として意味が通ります。
『ヤコブの手紙』にある「Quia」の方が「because」という意味合いが強く、より自然な文となるかと思います。
ただし、この箇所もまた「iudicium」と同じで、クリエイターの方があえてこの語を使用した可能性があるので「Quoniam」と歌いました。

🔹「coronam vitae」の意味
「probatus」は、英語では「tested」「tried」「approved」あたりの意味となります。
この直前の「qui suffert tentationem(temptationem)」つまり、「誘惑(試練)に耐えた者」と「判定された」「認められた」という意味になると思います。

「accipiet coronam vitae」
直訳すると「命の冠を受け取る(授かる)」となります。
ただ「suffert tentationem(temptationem)」や「probatus」という言葉が続くため、私の頭に思い浮かんだのは「最後の審判」です。
世界の終焉後、既に死んだ人間を含めて全ての人間が生前の行いを審判されるというものです。
キリスト教では、復活したイエス・キリストが再臨して裁きを行い、永遠の生命を与えられる者と、地獄に墜ちる者を分けるとされています。
その審判のことを「probatus」と表現していると考えると、「命の冠を授かる」とは、永遠の命を与えられることなのではないかと推測できます。
ここの「冠」は王位などを示すものではなく、神から善行を認められた証の比喩表現、といったところでしょうか。

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音源作成・歌唱・ミックス・動画編集:高山企鵝

Hello🌿
I’m Kiga Takayama (高山企鵝).
I sang “LILIUM”.
This is the TV anime “Elfen Lied” opening theme song.

Original Song
Written by Kayo Konishi & Yukio Kondou
Vocal by Kumiko Noma

Karaoke making / Vocal / Mixing / Video editing by Kiga Takayama

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