のりピーです!W

概要
庵野秀明初監督作品。本作品は『王立宇宙軍 オネアミスの翼』だけを制作して解散するはずのガイナックスが興行不振により生まれた借金を返済するために制作された。地味な作風でアニメファンへ受けが悪かった同作の反省を踏まえ、本作ではキャラクター原案に当時『超時空要塞マクロス』などの美少女キャラクターで人気のあった美樹本晴彦を起用、そのタイトルに見られるようにアニメ『エースをねらえ!』や映画『トップガン』を始めとする往年の作品のパロディ的な構成とし、昭和時代のアニメ・特撮作品に対するオマージュを盛り込むなど、一転して明るくとっつきやすい作風となった。

本作はパロディを中心に始まりつつも、次第にシリアスな内容になっていく物語構造を持ち[1]、ジョー・ホールドマンのSF小説『終りなき戦い』から着想を得て、「ウラシマ効果」を積極的にストーリーに取り入れるなど、根底には重厚なSF描写や細かい科学設定がある。最終回の第6話はほぼ白黒で、作品題名とラストシーンにごくわずかな着色があるのみ(リマスター版収録のノートリミング版に至ってはその部分も白黒になっている)。ラストは企画段階ですでに構想されており、庵野と岡田は「これならいける」という確信があったという。

企画立案の際、岡田のコンセプトは「作り手がやりたいSF・女の子・メカをそのまま出すのではなく、1万本売れる様に、1万円払った人が満足できるビデオを作る」を提示し、そこに庵野は「もし岡本喜八がアニメーションを監督したらどうなるか?」というテーマを持ち込んだ。そこから「しゃべる人間の顔を必ず映す」「キャラクターがあまり動かずに、切り返しを多くする」「ロケとセットもきっちり分けて、セットは今あるものの中に小道具スタッフが作ったものがポンとあるだけ」という表現を多用した。それはセル画の枚数をかけずに面白く見せるために開発した手法でもあった[2]。

家庭用ビデオデッキの普及を背景に「バブル育ち」と形容されるようなOVA作品が数多く作られた1980年代にあって、映像やドラマ性を重視した本作は「OVAの金字塔」とも形容された[1]。ビデオ1巻につき2話収録。1巻あたりの制作費は2500万円。1巻あたり3万本を販売[3]。VHS、ベータマックス、LD、VHD、ビデオCDの5方式にて各全3巻リリースされている。

発売当時の宣伝などでは主人公タカヤ・ノリコとその声優である日髙のり子、オープニングテーマ『アクティブ・ハート』・エンディングテーマ『トライAgain…!』を歌っているアイドル歌手酒井法子のトリプルノリコを売りにしていた。岡田によれば、当初は酒井にノリコ役を依頼しようと検討されていたという。

なお、登場人物の名前はスタッフやガイナックス関係者に近しい人々の名前から取られているものが多く、主人公のタカヤ・ノリコは当作品の美術スタッフ・高屋法子から。オオタ・コウイチロウは岡田斗司夫の友人である漫画家・みんだ☆なお(眠田直)の本名[注 2] からなどである。

まず岡田斗司夫が企画を立ち上げてプロットを書き、それを元に山賀博之が脚本を書き上げた。岡田斗司夫名義にした理由について山賀は「小さい下請け仕事を、山賀の次回作という形で世間に出すわけにはいかない」「脚本をまとめた僕としては、“脚本:岡田斗司夫”というクレジットは匿名脚本家としての共同ペンネームのつもりでした」[4] と語っており、共同ペンネームとして当時ガイナックスの代表だった岡田斗司夫の名前が使われた。4話以降は半分以上が庵野によって書き直された。

MAG.MOE - The MAG, The MOE.