「本名は鎌田孫次郎かも知れねえが、彼あ甘田甘次郎が本当だと云うんだ」
青空文庫より『おもかげ抄』(山本周五郎)を朗読しました。

妻・椙江(すぎえ)に寄せる想いの強さ、切なくも美しいその想いに打たれました。

こうした人情物は「お涙頂戴」などと揶揄されることも多いですが。

ボクも安易に感動させようとする脚本や芝居には閉口することもありますが、これだけ良く出来た、しっかりと想いが伝わってくる作品には涙腺が緩みます。
孫次郎の台詞部分は読んでいてちょっと大変でした・・・

話は変わりますが。
作中、決闘シーンが出てきます。
時代劇などでもよく見かけ、ああした場面では張り詰めた空気の中、一瞬で勝負がつくイメージを持っていたのですが、実際はそうでもなかったそうですね。

物語の中でもあるように「決闘だ!」的な声もかかり、見物も増え、決着がつくまで相当時間がかかることもあったようで。
場合によっては休憩を入れたり、見物目当ての物売りまで出たこともあったそうです。

考えてみれば切り合う当人たちにとってはまさに命がけなわけですし、おいそれと迂闊に動くことも出来ない、そんな緊張の中でのことだったのでしょうね。

当時の生活、風俗を直接知ることは叶いませんが、そうした人々の呼吸に触れられたような気持ちになれるのも山本周五郎の作品の魅力だと思います。

#時代小説 #山本周五郎

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